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エンレン ブルゾンつくし
2017-11-12-Sun
更新の間が随分開いてしまいました。
この1話で終わらせようと話を飛ばしたら繋がらなくて、またはじめから書き始めると…
なんか調子出ませんでした。
そして続きそう…







空気が冷たくなったからとか季節のせいじゃない。


あたしは寂しいんだと思う。
あいつが恋しいんだ。


約束の4年間を経てもなお帰国できないあいつ。
その理由には納得している。

納得はしているけど…

寂しいって感情は納得しても消えてはくれないみたい。


今思えばあたしらしくない行動ばかりしている。
その日の占いに一喜一憂したり、アドバイスやラッキーアイテムを真剣に見入ったり。
そして自分からSPの車に乗ったり…

あいつは普段通りのあたしの生活をさせてくれるけど、SPを見るたびあいつを意識してしまう。

…見るたび、じゃないな。
あたしがSPを探してしまってたんだ。

だってSPがいるって事はあいつがあたしを気にしてくれてるって事じゃない?

そうだ、だからあたしはSPを見つけてしまったんだ。
無意識にあいつを探して…



無意識じゃない。あたし満員電車で押しつぶされてたじゃん。



「ふふっ。」

手にしていた単行本を顔に当て笑いをこらえる。

だが見ているページは笑える内容ではない。
というか、手にしている単行本はハーレクインのコミックでコメディの要素は全くない。
田舎の別荘を訪れた金持ちの男と祖母に育てられた素朴な若い女が、いがみ合いながらも恋に発展していくラブストーリーだ。

その単行本を4/5読み進めたところで展開が読めたつくしは胸に満足感が広がり、笑ってしまった。

誰かさん達と良く似た二人の恋の結末。
いや、これから二人は始まるのだから結末ではない。門出になるのだからはじまりのストーリーだ。


「言い合って、相手を知って… そんな…したなぁ。」

部屋にはひとりしかいないのに“好き”や“恋”を言わない自分に笑えてくる。たったひとりなのにだれに対して照れているのか。


「もうひとつのコミックも買っておけば良かったなぁ。これ(ハーレクイン)って確か全部ハッピーエンドだったよね。」

もうひとつとは裏表紙のあらすじを読んでどれを買うか悩んだもう一冊の本だ。普段コミックを読まないつくしは数冊購入する事を渋った。

それは金銭的な余裕がなかったからじゃない。
社会人になりそれ相当の給与が支給されているし、なによりそのコミックは新刊を扱う書店からではなくチェーン展開する古本屋から購入したものだ。

その古本屋にも足を向けられたのは帰宅の時もSPの車に乗ったからだ。

なぜそうしたのか。

その日つくしは心がざわざわしたまま仕事をしていた。

朝、仕事をさぼって恋人に電話をかけた。
久しぶりに聞く司の声につくしの心は満たされた。

だがすぐに現実に引き戻される。
業務中すぐ側では同僚が仕事をしている。
そんな中にさぼり続けるなどつくしにはできなかった。

そそくさと何もなかったようにデスクへと向かう。
そんな中手のひらの中のスマホは振動していた。
誰がかけているかを想像して顔がにやけてしまう。無理だろうと思いつつもつくしはにやけ顔を必死で隠していた。

そして案の定それを指摘され誤魔化すのだが、いつもとは違い今日は多くを聞かれる事なくやり過ごすのだった。

安堵するところだけれど、つくしはちぇっと舌打ちした。嘘を付かない範囲で話したい気分だったのだ。
いつものように焦ってしまえば同僚も食い付いたかもしれないが正直者のつくしにそんなテクニックは持ち合わせてなかった。

キーボードを叩きながら後で優紀に電話してみようかと考える。だがいつも自分に親身な親友は必要以上に心配するかもしれない。今のつくしは軽い相づちがほしかった。

心のざわざわはいつしかもやもやへと変わっていく。

司の声を聞いただけの事を話せない欲求は叫びたい欲求に変わ……りはしなかった。


「一瞬だけは変わったわよ。一瞬だけね… 叫ぶの?って考えたらできる訳がないじゃんね? ま、あいつは喜ぶだろうけど。」


それで多少冷静になれたがもやもやが完全に晴れる事はなく、ため息を聞き付けた同僚に声をかけられ、もやもやしている事をしどろもどろに告げると「私なら漫画読みまくって気を晴らすよ」と返ってきた。

そこで「漫喫に行けば?」と提案されたが、SPが張り付かれている身、つくしが行けば漫喫側も迷惑だろう。なので購入して帰ろうかと漏らすと、「古本屋なら大人買いもしやすいよ」と近隣にある大きな古本屋を教えてくれたのだ。で、朝同様にSPをタクシー代わりに使ったのだ。

ちなみにその同僚は漫画を読みふける場合はプチ贅沢をするらしく、普段は行かないお高めスーパー成城○井のお惣菜をツマミにするらしい。SPタクシーに乗ったついでとつくしも成城○井デビューする事にした。


「チーズケーキ美味っ💕 これはコンビニでは買えないわぁ~」


気分が回復したのは漫画よりもチーズケーキの功績ではないかとつくしも思うが、チーズケーキはラブストーリーの結末を読む満足感は与えない。つくしは漫画とスイーツは最強コンビだと思った。


「まだ8時かぁ… (SPの)タクシーで帰ってきたからなぁ。うーん、寝るにはまだ早いよね。でもあの古本屋歩きでは遠いし、(本物の)タクシーで行くほどじゃないよねぇ…」


どうしたものか、と考えるつくし。もやもやは晴れたけれど逆に恋愛の気分は高まってきた。司と会えない寂しさはあるけれど待っていられるちゃんと信じられると自信を取り戻せた。


下着をしまってあるキャビネットから小箱を取り出した。蓋を開けて中にある写真を手にする。

二人で撮った唯一の写真。

胸から上は写っていないが、笑顔であるだろうと思える写真。というのも実際に写っていれば笑顔のピントではなかったかもしれない。(まぶたが閉じていたとか、薄目だったとかね…)



その写真を持ってベッドに向かう。
枕元に置きライトを落として口元まで掛け布団を引き寄せ目を閉じた。







『そんなに俺の夢が見たいのか? しょうがない奴だな。』





パチッ




「何であのドヤ顔なのよ… ムカつくけどそれがあいつ…だわ。」




つくしはベッドから起き上がった。そして数分後笑顔であろう写真は元のキャビネットに戻されてしまった。






※※※



「おはよう。今日は機嫌が良いのね。」
「おはようございます。漫画のおかげです。」

出勤してきたつくしに同僚が声をかけてきた。

つくしは歩きながら機嫌が良い理由を思い出していた。

それは今朝もSPタクシーで出勤したのだが、その車内が豪華になっていたからだった。それもリムジンのような高級車の豪華さではなく、例えれば彼氏が初めて彼女を愛車に乗せるようなグレードアップの程度なのだ。つまり普通に少し背伸びをした印象でつくしには好意的に映った。

実際にはシートカバーやカーオーディオなど全て経費で変えられている上にシートカバーやオーディオには極小カメラが隠されていた。しかも使われている車自体が昨日のものとは違っていたため、グレードアップはつくしの予想の斜め上をいっていた。






時刻が昨日つくしがこっそり電話をかけた時を通りすぎ、道明寺ホールディングス日本支社の業務が通常通りに動き始める。


そんな中支社前に数台の警護車を伴った1台のリムジンが止まった。




SPの壁に囲まれ背の高い男が支社の中へと入って行く。

その男の姿を捕らえた人々は驚愕の表情を浮かべ、受付担当者も報告にない事態だったため、呆然とその立場を忘れてしまっていた。


重役専用のエレベーター前でその集団が立ち止まる。どうやらひと悶着が起きているようだ。
だがすぐに到着した一般用に乗り込み、その場で動けず見守っていた人々はエレベーターの移動階の数値をしばらく目で追っていた。





~♪♪♪~♪~♪♪~

つくしの耳に聞き覚えのあるメロディが流れた。


周りの同僚達もそのメロディに気付き、メロディの持ち主は慌てて消音する。誰かが着信音変えたのと聞くと、持ち主はその映画を久々に見て換えたくなったと答えていた。


つくしも数年前はその着信音を使っていたなと懐かしい気分になる。でも今なら登場曲はオースティン・マ○ーンだよなぁとか、ならあたしはちえみか!なんてククッとひとり笑っていた。





そして周りがざわつき始め、つくしも真顔になる。


「えっ?」とか「嘘…」の声につくしもそのざわつきに顔を向け…





「35億…」

ボソッと呟いた声はしっかりと届いたようだった。

「は? 何だって?」
「いや、35億くらいありそうだなーって… あんたの場合は資産になるか…」
「俺の資産? 珍しいなお前が俺の金を気にするなんて。」
「いや、あんたの資産なんて全く興味ない。」
「は? じゃあなんだその35億って?」
「大した事じゃないわ。てか、なんでいるの?」


待ってましたの声に司がニヤリと笑う。


「そりゃお前を抱きしめるためだ。仕事サボってまで俺に電話するくれーだからよ。寂しかったんだろ?」


そういって手を広げてつくしを待つ司。


ぽかんとするつくしだったが、ハッと周りの視線に気づく。



_こ、この中でこいつはあたしに抱きつけと言うの?




「どうした? 来ねぇのか? …そうか感激のあまり動けねぇんだな。」
「へっ、ち、ちがっ…」



黄色い声につくしは固まり、司は久しぶりのつくしの抱き心地に満足していた。
これでもかと鼻腔を最大限に広げるような深呼吸でつくしを確認する司。思う存分つくしの匂いを嗅いだ後は身を引き、反応の遅れたつくしを尻目に、道明寺ホールディングス日本支社社員の目の前でぷっつりとしたその唇に喰らいついた。



悲鳴や怒号がフロアに響き渡る。



つくしの思考回路は真っ白に燃えつきていた。



長いキスシーンが途切れた時、司は甘く優しく微笑んだ。

それは写真週刊誌でも社内誌でも見たことがないレアな司の表情だった。



再び悲鳴がフロアに響き渡る。


司はその耳障りな声に眉根を寄せる。
チラッとつくしを見ると放心状態だ。
ニヤリと口角を上げる。





※※※




「はっ。こ、ここどこ? て、リムジンの中なの?」

ようやく意識が戻ったようにつくしが話し始めた。

「おう。惚けるの長すぎだぞ。」
「惚けるの…… って、あんたが突然現れるから!」

ふぁあと大あくびして司がタブレットを放り投げるようにシートに置いた。

「嬉しくないのかよ?」

ムッとして拗ねたような司に、つくしもそれ以上突っ込めない。

「う、嬉しいわよ。嬉しいに決まってるじゃない。」
「だよな。俺も嬉しいぜ。スゲー会いたかった。」

司の満面の笑みに胸キュンになるつくし。昨夜のハーレクインがつくしを意図も容易くラブモードに引き寄せた。

「い、いつまでいるの?」
「ん、おう。2・3日だな。折角来たんだからよ。こっちで出来る事して来いだとよ。」
「そうなんだ。…眠そうだね。」
「そりゃ時差ぼけだ。向こうを朝発って着いたら朝なんだからよ。そうなるに決まってんじゃねーか。」

また司はふぁあと大あくびする。

「一眠りするつもりでメープルに向かっている。一緒に寝ようぜ。」
「あたしも?」
「…たりめーだろ。お前がいるのにひとりじゃ眠れねーよ。」
「眠れないってそんだけ眠気がありゃ寝れるよ。それにあたしは逆に起きたばかりだもん。」
「なら俺の抱き枕に徹しろよ。俺が寝入ったら起きていーからよ。」

甘える司の様子にまたまた胸キュンするつくし。抱き枕になる事さえ抵抗を感じなかった。それに今の司は本当に眠気が強くベッドに横になっただけですぐに寝入りそうだ。頭を撫でて子守唄とかどさくさに紛れて恋歌なんて歌ってあげようかとさえ思えてきた。

「良いよ。添い寝してあげる。」
「サンキュ。」

チュッと唇を合わせ、司はつくしの肩を抱いた。

ラブモード全開のつくしに司は満足げだった。




ピンクのハートが充満する車内は一路メープル東京へと向かい、

ざわつきが収まった日本支社では、社員の情報収集が公然と飛び交っていた。




どうなるつくし?







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時事ネタに救われた~
て、今年だけでしょうね。流行語大賞取るかな?
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エンレン 感動する夢
2017-10-31-Tue
「もしもし?道明寺?ああ、やっと繋がった。」
「悪かったな何回もかけさせて。会議が押しちまってよ。」

着信の件数を思い出し頬が緩む。

「また?こないだも時間通りに終わらなかったよね?
NY道明寺の社員って優秀だと思ってたけど…」
「全くだぜ。一人がプレゼンにしくじると、二人も三人もと続くんだからよ。」

こいつにしては珍しく社員への愚痴を吐く。
もっと言ってやれ!
能無し野郎ばっかだから俺らのラブタイムは少ないんだと。

「情けないなぁ… て、それって男の人?」
「あ?男って何がだ?」
「だからプレゼンをしくじった社員よ。男性社員だよね?」
「…いや、最初と三番目は男だが、二番目は女だった。」
「………」
「どうかしたか?」
「…女性社員って… ん、何でもない。」
「何だよ。言ってみろよ。女がどうかしたのか?」
「別にどうもしないよ。ただ…」
「ただ何だ?」
「………」
「だんまりするんじゃねぇよ。黙ってると余計に気になっちまう。言えって。」
「…どのくらいいるのかなって…思っただけ。その会議に参加した女性は…さ。」

女はいないと思ったのか?
そりゃ女だっているに決まってんじゃねーか。
何人くれーだと思ってるんだ?

「………」
「お、思っただけだよ。」
「くくく、そうか。思っただけか。」
「うん。」
「10人くれーだったか?」
「へ?じゅ、10人?」
「おう。」
「10人も女性社員がいるの?会議に参加してる社員だよ?」
「おう。女が10人もいたらまずいのか?こっちは女だろうと野心の強いやつばっかだからな。」
「野心…そっか、そうだよね。あんたのお母さんだって社長だし、女性幹部だっているよね。」
「くくく、秘書だと思ったのか?」
「………」

まただんまりか。図星だな。
女の秘書の存在に何反応してんだよ…

ちっといじめてやるか?

いや、ここでいじめるとケンカになっちまう。
だったらここは…

「心配するな。俺が愛してるのはお前だけだ。何人女がいよーとよ、お前じゃなきゃ俺は振り向かねぇ。お前以外は女じゃねーんだよ。」
「…うん。」
「不安そうな声だな。抱きしめて安心させてぇよ。」
「…うん。あたしも…してほしい。」

!!!!!


ガバッ




「ちっ。」

執務室じゃねぇ。




だんだんと意識が覚醒していく。
司は飛び起き上体のみを起こしたまましばらく呆然としていた。
辺りはまだ暗いが間接照明が部屋を柔らかく照らしていた。
視界に入るのはシーツの波。寒色系のシーツは半身が何かに沈んでいるようだった。だが抜け出せないとは思わない。その証拠に気だるさなどは感じなかった。

夜中に目を覚ましたのは何日ぶりだろうか?
悪夢を見た後のようにもう眠気はない。
だが今見ていたのは悪夢ではないはずだ。
飛び起きた衝撃で直前まで見ていたものが飛んでしまったが、残っている感情は悪いものではなかった。

むしろ良いものだと思える。
だんだんと高揚感が高まってきたからだ。


「執務室じゃねぇと思ったな。なんでだ?」

昨日の記憶をたどっていく。

「昨日、何か…」



やべぇ。ニヤケが止まらねぇ…


司は昨夜愛しい女から電話がかかってきた事を思い出した。
腹立つくらい素直じゃねぇ女。
困らねえようにと自分で稼いだ金を使えるようにカードを渡しても悪いからと使いやしない。
TV電話を渡しても寝ていて繋がらない事も多かった。
それなのに俺が忙しいからとかけ直す事もしない。

そんな女がかけてきた電話。
しかも急な要件があった訳でもない。

「そうだ。動画!そろそろ届く時間じゃねぇか?」

司はSPから届く報告に気づいた。
ベッドサイドからスマホを手に取ると、時刻は午前4時52分だった。

「ちと早ぇか。(PCを)立ち上げといてシャワーでもすっか。」


浮き足立ちながら寝室を出る。
鼻歌まじりでシャワーを済ませ、PCに向かうとジャストタイミングでアイコンにnewと表示された。

「きたきた。」と動画を再生していく。
しかし司が見たかった場面が編集されてなかった。

スマホを手に取り耳にあてる。


RRRRRRR…RRRRRRR…RRRR


「はい、たけお…」
「おせぇっ!!」
「す、すみません。ご用件は何でしょう?」
「今朝の動画を見た。あいつは昨夜俺に電話をかけてきたが、その映像がねぇ。そっちの時間で朝の9時頃だ。オフィスを離れて電話したに違いねぇ。人のいないところから電話してるはずだ。その時間あいつに付いてたやつと代われ!」
「はいっ。少々お待ち下さいっ。」

デスクを指で叩いて司は待った。
高速で響く指の音に受話器の向こう側は焦らされていた。


「お待たせ致しました。満井と申します。その時間を担当しておりました。」
「おう。で、あいつはどこにいた?」
「は、はい。牧野様はオフィスでのミーティングを終えるとレストルームに向かい、その後テレフォンブースで通話した後オフィスに戻っております。」
「テレフォンブース?」
「はい。各階に儲けられている防音の個室です。壁は半ガラス張りになっており音は漏れませんが姿は目視できます。なのでてっきり業務の通話だと思っておりました。」
「………」
「司様?」
「それだけか?あいつが電話したのは。」
「は、はい。オフィスではずっとPCに向かっておりました。牧野様を追ったオフィスのカメラにもそのように録画されてます。」
「そうか… 分かった。」
「あ、あのそのテレフォンブースをとらえた画像も必要でしたら取り寄せます。そのブースは安全管理上の目的でカメラが設置されているはずですので…」
「ああ、頼む。」
「へっ?」

ツーツー

SP満井が頼むという言葉に呆気にとられる間もなく司は通話を切っていた。

報告された恋人の行動をすぐに飲み込めない。


あのくそ真面目な女が堂々とサボったというのか?


テレフォンブースがどんなところかは司とて知っている。オフィスの真ん中にあり、皆の視線を集めるのだ。そうする事で隠れた不正を防いでいるのだが…


そんな場所で本当にあの女が自分に電話してきたのか?

同僚の目の前で堂々とサボったという事か?

確かに真面目な女だ。初めてとあって誰も疑わないだろう。

しかしそれはあの女のポリシーに反するはずだ。
 
腹立つくらいのくそ真面目さ。そんなポリシーにだ!





しばらく呆然としていた司だったが、徐々にある記憶が蘇ってきた。

先ほどまで見ていた今朝の夢だ。


「…そんなに抱きしめてほしいのか。」


開いた口のまま首を振り、瞬きの回数も増えていく。


「マジか… んなに、俺が恋しいのかよ…」


口に手をあてる。

司は感動が止まらなかった。


「やべえ、涙が… いや、これは目から出る汗だ。目から汗かいてる場合じゃねぇ。」


司の目に意志が戻った。
野獣とも狩人とも違う、もっと別の意志が。


「こうしちゃいられねぇ。これ以上この俺様が愛しい女を放っとくなんてできやしねぇ。…待ってろよ。」





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イラストのクイズ、みなさん分かりましたか?
コメントが少ないってのもありますが、まだ答えは出ていません。
なのでヒント💡
私の書いたお話じゃありません。
ちゃんとソファーで司が寝てるお話ですよ。
さぁ、どこかなぁ?
( *´艸`)
ショートストーリー cm(2) tb(0)
今さらな懺悔に、クイズです。
2017-10-30-Mon
lemmmonです。

早いもので今年も残り2ヶ月となりました。
lemmmonの住む南の地も秋風が冷たくなり、ようやく冬はもうすぐだなぁと感じるようになりました。

さて、準備期間に3ヶ月も要したビッグイベントがあっっという間に終わってしまいました。
長かったようで短かった。ううん、やっぱり長かったそのお話を今日は書きたいと思います。

あれはブログ1周年を目前にしたある日、異種CPイベントのお誘いを受けました。

はじめは、「へえっ?」って反応だったのを覚えてます。

つかつくオンリーの私。
つかつく以外のCPといえば、総優を一度書いたくらい。そんな私になぜ?という気持ちと無理でしょと言う気持ちで、お誘いはあったもののしばらく返事をせずにスルーしてました。

ところが管理人様から個人LINEをいただき、参加への不安を正直に伝えると、前向きに考えるようになったのです。

それはある理由がありました。

F3のキャラクターが知れるかもという事です。

実は私、原作を熟読しないまま二次を始めたという経歴の持ち主です。

だからF3を良く知りませんでした。

まぁ書きたいのはつかつくだし、他の3人が絡む話は好まないっていうのもありました。

でも全く登場しないのもどうかと…
おまけにテイラーつくしでは、類をちょっと落としてますからね。やはりF4はみなカッコ良くないとって気持ちがあり、カッコ良い類も書いてみたい。でも私の中ではサブキャラ… 調べようにも限度はある…

じゃあ、類つくを読めばいいじゃんって思ったんです。

が、断念。

つかつくの私には読み進みにくかった。
全く萌えないんですもの…

そんな事が頭の片隅にあったので、ひょっとしたらこれで知れるんじゃね?という気持ちになり参加を決めたのです。


もちろん不安はありましたよ。

でも、それを払拭するかのように飛び込み…



弾けました。


どう弾けたかというと… 


なんでもかんでも手を上げました。

自宅を休みます宣言してた事もあり、あれもこれもやっちゃえ~と。

同じつかつくの作家さんには心配されましたが、こんな機会はもうないだろうと一念発起しました。

それで参加した、書いた話が以下になります。


Romance(本編第5話)

Fantasy(第7話、第9話、司エンド)

Comedy(第8話)

Purelove(第9話、第10話)

Darkness(第9話)

Romance(司エンドRリレー第3話)



まぁ、自分でもよく書いたなと思います。
他のみなさんが、多くて7話程度のところをそれより多い9話ですからね。

よくやった。やったと思いますが…

その多さに後々苦しむ事になります。


多くの作家が参加してのイベント。
当然公開するまでに私以外の作家20人が目を通します。
つまり校正が入るんですね。

ええ、ええ、めっちゃ指摘されました。

もともと物書きが得意ではなかった私。
雰囲気を察してよ的な読者に甘えた文章を書いていたので、指摘されるのが恥ずかしかった~

そしてどう直すんじゃい?と苦労しました。

その校正は提出した直後、そしてブログ公開前とありました。


そして、私のブログを覗きに来られる方ならご存知かもしれませんが…

私コメント返信が苦手です。
コメントをいただきとても励みになってますが、ホントに遅いです。
おまけに休みますと宣言してからは返信してません。

その中にはブログ1周年記事へのコメントもあったのに…

だからコメント下さった方の中にはlemmmonって礼儀知らずだなと思われた方もいらっしゃると思います。

その通りでして全くの非礼に今更ながら、頭を下げたいと思います。


「甘さとスッぱさと」を見に来られていて暖かいコメントを下さるみなさま、本当に本当にありがとうございます。

m(_ _;m)三(m;_ _)m


本来ならばいただいたコメントひとつひとつに返信をするところなのでしょうが、ブログをはじめた当初と変わってきてブログ執筆の時間が取りにくい現状に変わってきています。

そこで私なりに考えた結果、コメントの返信よりも新しいお話をアップする事がみなさんへのお礼になるんじゃないかと、素人小説ではありますが時間を見つけては妄想し話を綴る事に致しました。

それでイベント終了後書き公開したのが「エンレン」になります。

まだ未完の「イベリス」は?との声もおありでしょう。こちらは「エンレン」を書きつつ構想を練っているところです。当初のエンドとちょっと変えたいと思ったからです。


で、話をイベントに戻します。


準備に二次熱全てを向け、9話もの話を投稿させてもらいましたが、ビッグイベントの公開が迫るなか自分の現実を知り、あんなに楽しかった準備期間だったのにも関わらず、いざイベント開始となった時は事務作業的な労力にひとり熱は下がってました。

祭りの後に来るものをなぜひとり先に味わうんだ?と疑問に思いましたが、考えるまでもないですね。とにかく書きすぎたって事でしょうか。決して自分のキャパを超えてるつもりはなかったんです。でもやってみて知るって事…なのかな。

勉強になりました。


とはいえ、多くの事にチャレンジしたイベントでもあります。

当初の目的F3を知るという事もできました。
いや、みなさん贔屓してるだけあってそれぞれの良いところを知っていて、類はこういう人だったのか~とか、総二郎は軟派だけど硬派なとこもある?あきらは優しさがピカイチなのねって風に。

風って、いや知ったけどちゃんとは書けない私。なんとなく知ったって形かな。


そして一番のチャレンジといえばDarkness(ドロドロ・シリアス)を立ち上げた事です。

これはここでは書けない。書きたくない!

でも異種CPイベントをやってみてずっと抱えていた想いをぶつけました。

原作は10代だからかもしれないが、

なぜにつくしはあんなにふらふらするのよ💢

坊っちゃんに愛されてるんだから、真っ直ぐにその想いを受け止めて、他には目を向けるなと。

ふらふらし続けたらあんたどうなるか分かってんの?

という思いから、フラフラするつくしをギャフンと言わせたいと手を上げました。


だから私の中ではバットエンドしかなかったんです。


そもそもフラフラしたら…という前提ですから。

まぁ、お仕置きですね。


そんな想いを込めて作りました。


でも考えてみたら、つくしがフラフラするからこそ類つくや、総つく、あきつくなんて花男二次のスピンオフができたのかな…とも思います。

そしたら、付き合っていただいたみなさんに悪い事した気分になってきました。超今さらだけど…

これじゃあ、つかつくでジャックしたPurelove(純愛)と何も変わらないですね。
当初私はハハハと笑ってたんですよ。外野的な立ち位置?

ジャックした事をHappyendingさんもkomaさんも気にしてたんですよね。なんて我が儘言ってるんだって。でもそれこそ坊っちゃんらしいともkomaさんはあとがきで書いてましたが…

それなら私も我が儘言ったって事でいっか(*σ´ェ`)σエヘ


このイベントに参加して私って、やっぱりつかつくじゃなきゃダメなんだなって認識しましたし。


それにCPオタクですからね。CPは他の組み合わせは…苦しいです。

結局イベントでも他のCP書けませんでしたし。

エロレロと言われたFantasyでも絡みは書いてません。



なのでこれからもここでは、つかつくを書き続けたいと思ってます。




と、ここまで長くイベントの事を書きましたが、
もうひとつ。

このイベントではいくつかイラストも書きました。
拍手用のイラストだったり、Romance司エンドのリレーであったりですが、実はひとつ没にしたイラストがあります。

で、コメント返さないくせにいきなりクイズ‼

下のイラストはどのお話のために書いたのでしょうか?

ヒントは無しで考えて下さい。
(  ̄▽ ̄)





画像がちっちゃくてごめん。
私スマホでブロガーなもので。
(^_^;)
レッッモンの小話 cm(2) tb(0)
エンレン スマートフォン
2017-10-25-Wed
PCのファイルをひとつひとつ見ていた司は、その中のひとつを自分のスマホへと送信し、シャワーへと向かった。

シャワーのコックをひねり勢いよく頭からお湯をかぶる。手を動かしていてもイラつきは収まらず、シャンプーを流しても額には泡が残っていた。

「くそっ。やっぱり笹倉のやつシメねぇと気が済まねぇな。あの顔を間近で見やがって…」

ブツブツ呟き水を滴らせながら再びPCへ向かうと、もうひとつのファイルもスマホに送信した。


NYで多忙を極める司だったが、彼には目標があり、忙しい中にもそれを達成させるためのルーチンワークがあった。

そのひとつがこのファイル保存だ。このファイルは日本にいる恋人につけたSPが送ってくるもので、前日の恋人の動く姿が納められている。それは司にとって食事以上に力を与えるものだった。

SPが彼女の動く姿を捉えるのは出勤時から帰宅までのせいぜい半日程度。だが動画にすればそれなりのデータ量だ。だからSPは報告用の動画の他に、司がスマホに保存して楽しむ厳選動画もファイルにして送っていた。彼女が社会人になって半年毎日続けられたファイル作成でSPは司の要求をかなり理解していた。

しかし今朝送られた中には司の要求に判断しかねる動画が含まれており、SPはその動画を含むものと含まないものの二通り作成したのであった。

実際、司ははじめそれを含まない動画を選んだが、シャワーを浴びても変わらぬイラつきにそれもスマホに落とす事に決めた。

それに対するボヤキが先ほどの呟きで、名指しされた笹倉とは昨日司の恋人のために売り切れたスィーツを別のコンビニまで走り恋人に差し出した人物である。

つまり判断しかねる動画とはスイーツを受け取るために見せたつくしの笑顔であり、それを間近で見ていたSP笹倉は司の嫉妬を一方的に受けていたのだった。



秘書がドアをノックする。
司は「今行く。」と短く返事をしてスマホを胸ポケットにしまった。


リムジンの中、執務室、また会議中であろうと司のスマホが音を鳴らしたり振動する事はない。

司のスマホはビジネスとプライベートの両方を兼ねるが、ビジネスに関しては秘書が間に入るため司に直接かかってくる事はない。緊急時も最近は殆んどなく、スマホが着信をつげる事といえばもっぱら日本にいる親友達が頼みもしない恋人の様子をからかい目的で報告するくらいで、それも親友達が忙しくなってからは減っていった。






「司様。お昼休憩を取られて下さい。12時30分には下げに参ります。」

そう言って秘書は小さめの漆喰の弁当箱をソファー前のテーブルに置いた。

時間はお昼には少し早い午前11時40分。朝食を取らない司への配慮からだった。

だがそれ以外の狙いも秘書にはあった。
13時からは新たな事業計画のため他社へ訪問する予定だ。
今の司はいくつも歳の離れた他社の重鎮だろうと圧倒するオーラを放つが、今日のビジネスの相手はそのオーラを幾分抑えた方が有利に事を進めると秘書は見込んでいた。

そう、この休憩で司の殺気立つオーラを穏やかに出来ればと考えていたのである。


秘書が部屋を出ていった後、司はデスクからソファーへと移動する。

だが開いたのは弁当箱ではなく、ジャケットの内ポケットにしまっておいたスマホだった。

慣れた手つきでパスワードを解除にかかる。司のパスワードは脅威の37桁だった。

この桁数ともなればちょっとしたミスで解除は失敗してしまう。司は解除が失敗する事を恋人への愛が弛んでいると考えた。そうパスワードは恋人への溢れる想いだった。愛情を示す事は気合いを保つ事とは別物だと多くの人は考えるが、司は違った。

だからパスワードの解除ひとつであろうと司には恋人への愛を誇示するもので、解除しすぐに開くのも恋人の動画だ。

昨日の恋人の動画をじっくり見ていく。
画面の愛しい女はしょげた顔でおにぎりを頬張っていた。しょげているのは社食にありつけなかったからだろう。コピー機と格闘している姿を報告の動画で見ていた司は、誰かに任せてりゃいいものをと恋人らしい行動に頬を緩めていた。

もぐもぐとおにぎりを食べ続ける女。
2つ目を食べる頃には機嫌も回復し、幸せだと顔に書いていた。

スィーツまで平らげるのを見終わって、司は目の前の弁当箱に手を伸ばす。蓋を取り、弁当の中身を見るとそれは恋人が食べたのと同じおにぎりの詰め合わせだった。

おにぎりをひとつ手に取り口へと運ぶ。目を閉じ咀嚼する司の隣には愛しい恋人がいて、「美味しいね。」と笑顔を向けるのだった。

そして弁当箱に入っている小さなカップを手に取る。それは恋人をとろける笑顔にするデザートで甘いものが苦手な司は手にしたものの眉ねを寄せる。

だが一口口にし、その甘さを実感するとこれ以上ない崩れた表情で笑うのだった。

デザートは大抵一口しか口にはしない。
だが司にはなくてはならない甘さであった。






午後の訪問を終え帰社してからは書類と向き合う時間だった。
書類へのサインを終え時間を見ると8時を過ぎていた。
4時にNYの株式市場が閉まり8時半には東証が開く。4時の時点で粗方株価変動の動きはないと予想はしていたが、なぜか今夜は何かが動くと勘が働いた。

自分が見過ごしたアクションが水面下であったのだろうか?
己の勘が鈍くなっているとは思いたくないが、気を緩めてしまう心当たりはある。

恋人への感情を秘書に上手く使われている事は気づいていた。それで歯車が噛み合うのならば文句を言うつもりなどない。だがはっきりとしない不安を目の前にそれを封じる必要性を考えてしまっていた。


眉間に皺を寄せ不安要素の有無を遡っていく。どこかで見逃したはずだ。ここで気づけばまだ間に合うはず。何のために恋人を残したままひとり戦っているのだと司は自分に叱咤した。



その時、どこからか音が漏れてきた。


それは恋愛映画の主題歌で緊張感漂う今の司には不似合いに思えた。


聞こえているが不安事項に集中していた司はその音を無視していた。


だが手を動かしたその時その音が自分のジャケットから漏れている事に気づき音の正体にやっと気づく。


スマホを手に取ると画面には会いたくて堪らない愛しい女の顔が表示されていた。


「牧野か?」
「…うん。…今大丈夫?」
「ああ。俺は平気だ。…お前は仕事じゃねぇのか?」
「う…うん、仕事中。ちょっとサボって電話してる。」
「サボる?!お前がか?何かあったのか?」
「ううん。何もないよ。ゴメン。心配させたね。」
「本当か?」
「ほんと、本当だよ。何もないって。…て、何もなかったら電話しない…よね。あたしは。」
「やっぱり何かあるんじゃねぇか。何があった?」
「そ、そんな大それた事じゃないよ。」
「ああ?んな訳ねぇだろ。お前の方から俺に電話かけた事が何回あると思ってんだ?数が多けりゃ大した事ねぇって思うがよ。お前の場合は恋人がこの俺様なのにも関わらず淋しがる様子すら見せねぇ。ちったぁ会いたいくれーの電話も入れらんねーのか!」
「だっ、だから…」
「だから?」


「だから何だ?」
「……」
「こら、シカトこくんじゃねー。だから何なんだよ。」
「…うるさい。だから何でもないのよ。何でもないんだってば。」


「そうか、何もないか。」
「…うん。」
「仕事には慣れたか?」
「へっ?」
「確かお前は経理だったか?」
「あー…うん。まだ下っぱだから雑用ばっかりだけど、がんばってるよ。」
「上に行きたいのか?」
「へっ?」
「下っぱに不満な言い方だったぞ。」
「ふっ、不満じゃないよ。1年目の新人だもの下っぱ上等よ。」
「くくく。そうか。…だが俺が帰って来たら嫌でも下っぱではいられないがな。」
「…分かってるよ。」


「まき…」
「いつ帰ってくるの?」
「あ、あー…まだ先だな。1年とか2年は無理だ。」
「そっか。」
「淋しいか?」
「…うん。そりゃあね。」


「ま…」
「あっ、そろそろ戻らないと。これ以上サボったらさすがに怒られちゃう。てか探してるかも。大変、大変っ。道明寺またねっ。」

プツ。ツーツー

「おい、言い逃げかよ…」

「くくっ。はっはっは…」

椅子に持たれかかり髪をかき上げる。

スマホの画面は待機画面に戻っていた。それはさっきまて話していた愛しい女の笑顔だ。だが着信された時に表示された写真を見たくなりその画像を開いた。
あの女は頻繁に自分から俺の方に電話する女でないと考えた司はさほど気に入ってない写真を使っていた。

だが今はその写真も特別に思える。


「あんくれぇじゃ足りねぇよ。もっと話せよな…」


自分がどれだけ物欲しそうな顔をしているか司はよく分かっていた。

込み上げてくるのは嬉しさよりも、いとおしさ。

切なさに近い淋しさが司を襲ってくる。


スマホをタップしてリダイヤルする。


トゥルルルル~、トゥルルルル~…


しばらく呼び出し音を聞いていたが、10回ほどでやめてしまった。
愛しい女は就業のためにバイブレーションにして鞄の中にしまってしまったのだろう。


「あー、くそっ。会いたくて溜まらねー。ジェットで奇襲してぇー」


口から出たのは耐えていた本音。
モバイルでコントロールしていたがやはり本物の声には敵わず、淋しくて電話をしてきた女よりも司の方が淋しさを募らせてしまった。



目を閉じ深呼吸を繰り返す。


スマホを手に取り入力を始めた。


それはパスワードの設定だった。
今までのパスワードは、

aisurutsukushiorenosubetewaomaenomono
     _愛するつくし俺の全てはお前のもの




今入力した言葉は…


aitaidakisimetaikisssitai-matakoegakikitai






長い文字数よりも女々しい言葉に苦笑する。

だがそんな自分も道明寺司であり、愛しい女はそれを受け止めてくれる存在だ。




どんな顔していたのかと恋人の表情が気になった。


毎朝届けられるSPからの報告。

今朝のとは違う表情が届くはずだ。


ガタッ


司は興奮して立ち上がった。

時刻はNY時間の午後8時40分。

東証はすでに開いていた。


「水面下のアクションなんてねぇよ。そっちの不安要素はねぇ。」


PCの画面を見ずも確信する。


「くそっ、動画が届くのは何時間後だ?遅せぇんだよ!」


そもそもまだ日本は午前中で、恋人は仕事を始めたばかりだ。



約10時間のお預け、今夜はたして司は眠れるだろうか?






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イベントサイト「花束を君に~21の翼~」のチームリレーDarknessが終わりました。
私のこのイベントでの一番のチャレンジです。
賛否両論ある内容で、読み進めるのが苦しいと言う方も多かったようです。
でも私なりに多くのメッセージをこめてお話を書きました。そのメッセージの一部をコメントとして記してますので、まだの方はそちらも読まれて下さい。
切ない話の後なので、今後は甘々が続くと思います。
胸やけしてしまったら知らせて下さいね。
ショートストーリー cm(1) tb(0)
エンレン 恋せよ乙女
2017-10-21-Sat
長らくぐうたらしてましたが、ボチボチ書いていこうかなと思います。
前回投稿した「エンレン」のつづきです。
シリーズ化するかは分かりませんが、お付き合いいただければ嬉しいです。





現代人は携帯依存している。


つくしは自分にも当てはまるとは思わなかったが、スマホをオフィスに忘れたからか手持ち無沙汰な手のひらになんだか落ちつかなかった。


目の前にはノートPCが開いている。だが何かをググる訳ではなく、キーボードを叩こうと浮かせた指は結局PCの電源を消してしまった。


時刻は日付が変わろうとする頃、スマホさえあれば今頃緩んだ顔で布団に潜っていたかもしれないが、だからといってこんな時間にオフィスに取りに行けるはずもなく、どうにかして眠気を呼び寄せようと、つくしはテレビのリモコンを手に取った。


とあるチャンネルで指が止まる。その番組は海外ドラマだった。テレビに表示されてるドラマ名を見てもつくしにはどんな内容か分からない。だが電話をかけようと思っていた相手がいるのも外国だし、大体海外ドラマといえば大半がアメリカのドラマだ。つくしはこの恋人のいる国のかもしれないドラマを見てみることにした。


ドラマの登場人物はどうやら社会人のようだ。そして駅が出てきた事でその舞台がNYである事を知った。


主人公の葛藤の場面から突然ベッドシーンに切り替わり、つくしは驚く。


「へっ?」


つくしが戸惑うのも無理はなく、画面では肌の露出は無いものの明らかに男女が励んでいる様子が流れている。


『はぁ、はぁ、ロビン、あなた最高よ。』
『サラ、君もね。こんなに燃えるのは久しぶりだよ。』
『あたしもよ。あたし達相性がバッチリみたい。』
『ああ、サラ愛してるよ。』


そしてキスシーンがアップになり、当然それは軽めのキスではなかった。

そしてまた場面が変わる。主人公へと目線が変わり、何気ないシーンとなった。とはいえ、話の展開を良く知らないつくしだから何気ないシーンに思えたのかもしれない。

だがつくしの心はざわついていた。ベッドシーンというのは、もっと前もって雰囲気を出してから流れるものとの印象があったからだ。なのにあの軽さ。まるでちょっとだけはしゃぐようないちゃいちゃを演出したようなベッドシーンにつくしはあっけに取られていた。


そんなつくしの事情を構わずドラマは進んでいく。つくしが気づいた時は主人公を含めた四人の女性がカフェで話をしていた。どうやらこの四人は親友のようだ。

四人の女性の形につくしは自分達の親友を思い浮かべた。四人ともに自分の幼すぎる恋愛を心配しては、色々とアドバイスしてくれる。ま、多少好色の目で見られているが、それは恋人があんなやつなのだから仕方ないと納得していた(させられていた)。


『で、サラどうだったの?』
『今回は見た目も好みだったんでしょ。』
『相性はどうだったか、教えなさい。』
『うふふ、相性はまずまずよ。力業で誤魔化したかなと思うところもあったけど、悪くないわ。ふふふふふ。』
『つまり気に入ったってこと?』
『やったじゃない。しっかり舵はとりなさいよ。逃がしたくないんでしょ。』
『もちろんよ。』


つくしには理解しがたかった。男との身体の相性とかいくら親友とはいえこんなに軽く話すことじゃないだろう。

お国柄かと思ったけど、彼女達がアメリカ国民全ての反応ではないし、そうじゃないアメリカ女子もいるはずだ。そして、それは日本にも当てはまり、つくしが違うと思ってもそうである日本人だって存在するだろう。現につくしの親友である桜子や滋はそんな話をしそうだとつくしは頭痛の種を思い出した。


『はぁ…いいなぁ。私も男が欲しい。まだ仕事落ち着かないけど、ジムにでも行こうかしら?』
『そうしたら?男がいてこそ女は輝くのよ。仕事だってパワーが出ないでしょ。』
『アニー、セックスはどのくらいしてないの?』
『んー、3ヶ月かな。』
『3ヶ月?!私だったら干からびているわよ。それは間開けすぎよ。』


突っ込みどころが大きすぎて、つくしは黙っていた。が、なぜかテレビを消そうとはしなかった。それは男がいることで彼女達がどう輝けるのか知りたかったからかもしれない。

実際この後はアニーのジムのシーンになり、ジムでナンパされたアニーはその男を値踏みしながら汗を流し、その表情は輝いていた。


1時間ドラマはあっという間に終わってしまった。だが見終わったつくしの心情には変化があり、手元に無いスマホを手に持って親指を動かしてみた。

目を閉じて耳を澄ましてみる。

「牧野か?」の低い声が聞こえてつくしは夢で会える期待を持ち、布団の中へと潜っていった。




※※※



「はぁ…少し寝過ごした。」


翌朝つくしが目覚めてTVで時間を見てみればいつもより30分起きるのが遅かった。だが会社に遅刻する時間じゃない。


リモコンをテーブルに置こうとすると、今日の占いを伝え始めた。

カウントダウン方式で運勢の良い順から星座が伝えられている。今日最も良い運勢はいて座だった。

つくしはそれが自分のひとつ前の星座であることに残念がり、同時に昨日の事を思い出していた。


寝過ごしているのにパジャマのままアナウンサーの声に耳を傾ける。

情報番組の占いコーナーは1分弱だ。そんな中ではアナウンサーは全ての順位を声にはしない。つくしの星座が画面に表示された時、アナウンサーはそれを読み上げなかった。


アナウンサーの声が遠くなる。つくしの星座は7位だった。良くもなく悪くもなく普通といったところか。だが、画面にはさらに運勢を良くする一言が記されている。

つくしはその言葉を自分に当てはめていた。


『昨日できなかったことにチャレンジしよう。こだわりを取り除けば新たな発見があるはず。』






道明寺家のSPは時間になっても出てこないつくしを気にかけていた。自分達の存在は知られているもののつくしには普段通りの生活をとの無理難題を雇い主から言い渡されている。そのため満員電車の中といった人員的にも護衛的にも非効率的な任務にあたっていた。


いつもだったら駅に到着する時間。朝の通勤ラッシュ時に遅れるということはそれだけ混雑も激しくなりただでさえ厳しい警護が更に厳しくなる。つくしを待つSPの誰もが顔を歪めていた。


しかしそれから程なくしてつくしがアパートから出てきた事にSP達は安堵する。つくしは足早に階段を駆け降りてきた。


しかしアパートを出たところでつくしの足が止まる。そしてキョロキョロと周りを伺い始めた。


SP達に戸惑いが生じた。つくしは誰かを待っているようだ。SP達の緊張感が高まる。誰か次第ではつくしの警護を遂行できないかもそれないのだ。


しかし5分経っても誰も来る気配がない。おまけに探しているだろうつくしは電話を手にする様子もない。SPのリーダーは意を決しつくしに声をかける事にした。


「あっ、いた。おはようございます。」


SPを見てペコリと挨拶したつくし。探していた相手が自分達だと知りSPのリーダーは目を丸くした。


「お、はようございます。牧野様、私達をお探しでいたのですか?」
「はい。あの、寝坊してしまいまして、その、電車では間に合いそうになくて、、タクシーを使おうと思ったのですが、みなさんがいるでしょうし、、車を使ったら見失うかな、と思って。」
「そうでございましたか。それは私達にもご丁寧にありがとうございます。」
「いえ、いつも道明寺の我が儘に付き合わされて大変なのは理解できますし、それはお互い様です。」


我が儘というか依頼人の要請で報酬を受け取っているのだからお互い様ではないのだが、つくしの言いたい事が理解できるSPは反論しなかった。

すると、つくしが何やら上目遣いで自分を伺っている。何か言いたい事があるようだ。


「何でしょう? 困った事があれば申し付け下さい。」
「は、はい。あの、、大変不躾なのですが、、、か、会社まで送っていっては貰えませんか?」


それはSPからすれば願ってもない話。SPの車で移動する事が最も楽に警護できるのだ。


「はい!喜んで、お送り致します。」
「ありがとうございます。お世話になります。」
「ただ牧野様、今近くに待機しているのがSPの配車用なので車内は殺風景になっております。リムジンをご用意するにはお時間を取ってしまいますが、、」
「リムジンじゃなくていいです。むしろリムジン以外の車がいいです。」


分かっていた答えに頬を緩め、リーダーは配車を手配した。



配車は国産のミニバンだった。車に詳しくないつくしでも国産車のエンブレムくらいは知っていて、SPか殺風景と言った車内も至って普通煙草臭さすらなかった。こんな車ならば送迎されても目立たないとつくしは考えていた。


「あの、この車っていつも使っているんですか?」
「牧野様、それは、、どういう意味でしょう?」
「あ、えっと、いつも私を警護してくれてますよね。その時に、車を出してるのかなって思いまして、、違いましたか?」
「いえ、間違っておりません。牧野様の警護の際は車を配置しております。徒歩の牧野様に合わせて徒歩で警護してますが不測の事態など確信はありませんから、車を待機させております。それがどうかしましたでしょうか?」
「いえ、その、今さらなんですけど、、私、警護されてて車で追っかけられてるなら、その車に乗った方がいいのかな、と、、思いまして、、」


運転手はバックミラー越しに、リーダーは助手席で視線だけを動かしつくしの様子を伺っている。つまりつくしには話しかけているものの反応が無いように思えた。


「すいません。やっぱり何でもないです。聞かなかった事に、、」
「牧野様、それは我々の車での送迎でも構わないと言いたいのでしょうか?」
「あ、いえ、その余計に煩わしそうなので、、」
「煩わしくありません。むしろ逆でございます。その方が警護しやすくなります。」
「そ、そうなんですか?、、じゃあ、明日からもお願いできます、か?」
「お任せ下さい。」


リーダーが興奮ぎみに反応する。だがつくしにも思うところがあり、身を乗り出して話しかけてきた。


「ありがとうございます。それと、あの、できればこの車でお願いしたいのですが、、リムジンでは出社したくありません。」


リーダーは苦笑していた。だがそれでこそ牧野つくしだとも思っていた。道明寺家の御曹司を虜にし我々を振り回している女性だとも。


だからこのことはSPにしてみれば渡りに船であった。


「大丈夫です。ご心配なさらないで下さい。この車を使用しますし、目立たないように配慮もいたします。」


振り向いて応えたリーダーにつくしもようやくホッとした表情を作る。

そうこうしてるうちに配車は道明寺ホールディングス近くまで到着しており、目立たぬようにと地下駐車場に入っていった。



車内でのつくしの警護を残し他のSP達は、今の送迎の報告とともに明日からの配車について打ち合わせすべく、配車の中を見回す。



「車内用のドライブレコーダーを付けましょう。正面用と、後方にも付けますか?カメラは多ければ多いほど司様は満足されると思います。」
「だが、牧野様にばれてしまわれては意味がないぞ。また徒歩、電車通勤に戻られてしまう。」
「ドライブレコーダーではなくて、隠しカメラはどうっすか? 小型のやつならばれないと思うんですが。」
「それだ。」
「音も入れたいっすね。(音が)欲しいって言ってませんでしたっけ?」
「言ってたな。よし、録音もできるやつだ。調達してくるぞ。」
「中、シートとかはこのままでいいですかね? さすがに殺風景過ぎませんか?」
「そうだな。シートカバーくらいは付けるか?」
「それ(カメラの)目隠しにもなりそうっすね。」
「決まりだ。夕方までには揃えるぞ。」
「え、帰りからっすか?」
「言ってましたっけ?」
「言ってない。だがこの際だ、行きも帰りも配車に乗ってもらおう。寄り道をされるならそれにすら配車を使ってもらうぞ。」
「寄り道しなくなりませんか? やり過ぎると元に戻りかねませんよ。」
「うっ、、それもそう、か、、」
「でもとりあえず夕方もできますと言ってみるのはいいんじゃないですか? 牧野様はそんなに寄り道をする方じゃないし、寄るのはスーパーくらいですからね。あっ、重いやつの時は使ってと言ったらどうです?」
「お前冴えてるな。よし、牧野様との交渉はお前に任せる。こっちに有利になるように持っていけよ。」
「へ、あー、はぁ。やってみます。」







「へっくちん。」


急なくしゃみを止められず中途半端な止めになったためくしゃみもへんな言葉になったつくし。周りの視線を集めてしまった。

「すみません。」とコソコソしながらオフィスに入る。だがそれも見られていたようで同僚から笑って挨拶された。


「おはよう。どこかで噂されてるのかな?」
「へ? あー、いやー、どうなんですかね~」


はははと笑って返しながら席についたつくしはデスクの引き出しを開けて目当ての物を見つけた。

見上げて時計を見ればまもなく就業開始時刻。電話する時間はなさそうだ。



___だが、




「すいません。ちょっと、メイクを直してきます。今日少し寝過ごしたもので。」
「あら。珍しいわね。ならゆっくりしてきなさい。あなたいつも頑張りすぎるから、ちょうど息抜きも兼ねるといいわ。でないと余計な仕事も回ってきちゃうわよ。」


朝礼の後トイレに出ようと先輩に声をかけたら、嫌がられるどころか行ってこいと言われてしまった。つくしは占いのアドバイスを思い出す。



_昨日できなかったことにチャレンジしよう。こだわりを取り除けば新たな発見があるはず。



トイレで個室のドアに手を伸ばそうとして電話の声が響きそうだと気づく。これまで隠れて電話する事などなかったつくし。トイレに着いてここはダメだとはじめて知る。


ならばどこで、、、


オフィス内で目にしたのはガラス張りになっている個室。重要案件などを電話する際になど使われる部屋だった。



つくしの心に黒い天使が囁きかける。だがその天使はつくしには白い天使に思えた。白い天使がいたずら顔して笑っていたからだ。



「一度だけ。今日一度だけだから、、少しずつだけでも話せれば、、がんばれる。」



ボソッと呟き個室に入ったつくし。

ドキドキしてるのは電話をするから?

それとも仕事中にプライベートな電話でこの部屋を使うとから?


目当ての番号をスクロールし、スマホを耳に当てる。



トゥルルルル、、トゥルルル、、



「もしもし、牧野か?」





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イベントサイト『花束を君へ~21の翼~』もはじまって1週間が過ぎました。本編リレー『Romance』では早々に出番がきて、その本編も残すところあと2話になりました。私は他にもいくつかのチームリレーに参加してまして、今夜からまた出没します。それも楽しんでいただければ幸いです。

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