甘さとスッぱさと ... 素肌にシャツを着て99
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素肌にシャツを着て99
2016-10-16-Sun
「何を張っているのですか?」

つくしが一週間ぶりに出勤すると、菜々子が店内にポスターを貼っていた。

「あ、つくしちゃんおはよう。休みはどうだった?」

休みのことを聞かれてつくしは赤くなる。

「あ、はい。いろいろありました。」

「そう。」

ニッコリ笑って菜々子は掲示を続ける。

その掲示物は店の休みの知らせだった。

「この日お店開けないんですか?」

「ええ。私の都合でね。そしてみんなもそう。だからお休みにするの。」

菜々子にしてははっきりしなくて、なにやら曖昧にする意図を感じながらも、つくしは受け流した。

「そうなんですか。」

カチャ

「おはようごさいます。あっ牧野、よっ。休みはどうだったか?」

「へ?牧野?おー本当だ。NYどうだったか?スーツは渡せたか?」

出勤してきた同僚達が口々に休みのことを聞いてくる。皆、自分と道明寺の事が知りたいらしい。

「おはようごさいます。えっと、スーツは渡せました。でもNYには結局行きませんでしたよ。」

「へ?何でだ?」

「あいつ、日本に居たんです。」

***


出勤時のおしゃべりも就業時間になり、朝のミーティングが始まった。

つくしはこれからのことをどう話そうかと気が気ではなかった。

「他に何かある?」

「ああっ、はいっ。」

つくしは焦って大きな声を出してしまった。なので皆の注目を集め、さらに焦ってしまう。おまけに心臓はバクバク言ってて口から出そうだ。

「え、えっと、ですね。わ、私事なんですけど、、、」

つくしは肩肘がはって拳には力が入っている。おまけになぜかつま先立ちになっていて、おかしな姿勢になっていることには気づいていない。

「あ、あの、、、」

皆の視線が集まっている。つくしは唾液の量が半端ないことを自覚していた。

どうしよう。唾飲み込んだら、皆に聞こえるかも、、

ええいっ

ゴクッ

かあっと顔が赤くなる。

つくしは小さくなった。

「あの、にゅうせきしました。」

声は小さかったが、シンと静まり返っていたので、その声は皆に聞こえた。

しかし、反応はない。

しばし、沈黙が続く。

パチ、パチ、、

パチパチパチ

「おめでとう。つくしちゃん。」

「牧野おめでとう。」

「「「おめでとう。」」」

皆の反応を見ると暖かい目で自分を見ている。

つくしはホッとしていた。



が、

「知ってたぜ。」


は?

そう言うのはつくしをからかってた広沢だ。

つくしがブサ顔で広沢を見ると、

「ぷっ、牧野その顔、、面白ぇ~」

そう言って笑われた。

「あ~広沢さん、そんな風に言っちゃあダメっすよ~」

「牧野の緊張見ていて、それはひどいと俺も思います。」

「だって、緊張しすぎだろ。それに皆道明寺さんとのこと知っているんだから、想像つくじゃん。」

「想像はしませんよ。だって、会ってないって牧野言ってたじゃないですか。会っていきなり入籍はしないでしょう普通。」

「あの人普通じゃねぇだろ。」

まあと皆が頷く。


「え?知ってた、、んですか?」

つくしは何が何だかという表情だ。

「道明寺さんの秘書の方からね、連絡があったの。無事に入籍しましたので、これからご迷惑になりますって。」

菜々子も申し訳なさそうに言う。

「へ?ご迷惑?ご迷惑って何ですか?」

「そりゃ、お前辞めるからだろ。」

うんうんと皆頷く。

「道明寺さんのとこに嫁いで、うちに働けるのお前?」

うっとつくしは答えに詰まる。確かにそれは自分でもそう思っていた。


「それにお前が道明寺さんと会う前から、道明寺さんは言ってたぜ。あいつは俺のだから返してもらうぞって。」

「はぁ?!」

***


つくしはミーティングが終わって自分の部屋でグッタリしていた。

同僚に入籍の事、結婚の事、仕事の事をどう話そうかとヤキモキした自分は何だったのか、、

司はその日(今日)に向け、足場をかなり前から固めていたらしい。

それが自分の職場なのがムカつく。何で自分はそこまで気づかなかったのか、、

いや、そもそも皆が隠しているんだから気づくはずはないんだけど、、

「ふぅ。でもあいつにムカつくのは筋違いよね。あいつはあたしが会いに来るまでずっと待っていたんだから。」

そう司はつくしのことを待っていた。それはスーツの出来上がりではなく、つくしがテーラーの仕事を満足するのをだ。

「自分を返せって、あたしは皆のものじゃないわ。」

クスっと笑う。

ムカつきは無くなっていた。

「あたしはずっとあんたのものよ。あんたを好きになった時から。」

つくしは立ち上がり、部屋を片付け始めた。

つくしの退職はアッサリと皆に受け入れられている。ならば退こう。自分の席が空けば、次の人が来れる。もしかしたら自分と同じようにテーラーの仕事を出来なくて悩んでいる人が店を探しているかもしれない。

そうだ。求人を出すなら女性テーラー大歓迎なんて出してもらおう。男性ブラを売ってるから無理とか言うなら一発お見舞いしなきゃ。

ふふふとつくしは笑みをこぼす。


片付けの中、衝立を動かす。

あの日、上半身裸になった司に肌着を着てと言ったら、お前のシャツは素肌に着るつもりだと言われた。

その通り素肌に直に着ている司。

「肌着が邪魔って変なの。」

でも、自分でもそうする気がする。

司と再会し、目覚めたベッドで自分のシャツではなくて脱ぎ捨ててあった司のシャツを着た。それは自分が作ったものだったからって言うのもあるけど、、

「匂いか、、あたしもあいつの匂い好きなんだよね。安心するもの。」

司は素肌に直にあたしのシャツを着て、あたしを感じていたんだろうなと思った。

「よく我慢したよね。俺様のくせに。」

だからもう我慢なんてしないんだろうなとつくしは思う。

司はこれからは肌着を着けるんだろうか?

つくしは着けないと思った。これからは自分を待つためではなく、自分と共に進むために着るのだから、やはり肌着は邪魔なのかもしれない。

「手袋はめて手を繋ぐようなもんかしら?あいつなら素手で繋ぐわよね。布一枚でも俺たちを隔てるなって。」

クスクスクスクス

俺様の底の見えない深すぎる愛情に苦笑いする。

「直に着るってことは、布もそうだけど、縫製も技術かいるのよね。んっ、がんばろ。」

カタン

衝立を片付けた。

「お世話になりました。」

つくしはぺこりと深くお辞儀をする。

今までの感謝をこめて。



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第五章スーツに愛をこめて cm(0) tb(0)
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