「本当にここは日本ですか?」
岩元は広大な敷地であろう塀を過ぎ、門から玄関までもどのくらいあるのかと呆気に取られていた。
「一応そうだな。だからパスポートは必要ねぇ。」
司は岩元を見た。
「面白くねぇな。」
クックッと笑っている。
「別に自慢したくてここに連れて来たわけじゃねーよ。ここなら邪魔は入らねーからな。」
リムジンが玄関に着き、司と西田そして岩元が車を降りる。
そこには出迎えの老婆が1人立っていた。
「坊っちゃんお帰りなさいませ。」
「おう。出迎えがタマ1人で悪かったな。子分がいないと不安だろ。」
「何仰ってるんだか。そんなはずはありませんよ。さぁ、食事の準備は出来てます。こちらへどうぞ。」
そう言ってタマは岩元に頭を下げる。
案内されたのはタマの部屋だった。
「まぁ、くつろげる方が話しやすいと思ってな。邸の他の部屋は、堅苦しいだろうし。」
「和室は他にないのですか?」
「ねぇな。ここだけだ。」
そう言って盃を交わす3人。司はタマを下がらせた。大事な話があるから呼ぶまで来るなと念の押しようだ。
「どうだ。遠藤里花は見つかったか?」
「は?」
「道明寺の遠藤里花だよ。男ばかりだろ?」
ああと岩元は理解する。
「そうですね。主犯はやはり池谷派でした。それから社員の中にも池谷派と川口派が拮抗していることに疑問を感じているようでしたよ。」
「社員と話したのか?」
「偶然同級生がいました。話すのは高校受験以来でしたよ。」
何年ぶりだよと司は苦笑いだ。
「僕のことを知っていたので、隠すよりも打ち明けました。流石に道明寺に勤めるだけあって頭の回転は早いですから。まぁ、全部ではないですけど。それで社員の様子を大体知れましたね。」
「どうだった?」
「池谷派の噂の根付があると言うと納得してました。」
「噂?」
「社員履歴はどの社員でも見れる訳ではありません。どの社員がどの派閥かなど社員が知れたら仕事なんて出来ませんよ。だからあの社員履歴リストはそれを見れる人への対策です。」
「つまり俺を封じていた訳か。」
岩元は頷いた。
「チッ、小賢しいことしやがって。」
「それだけ池谷派はあまり力がないと言うことです。というか年々力を落としていっている。」
「確かにな。ジジイ達は引退していってるしな。」
「残った者はまさに藁をも掴む状況です。しかし、だからそれを暴露すれば良い訳でもありません。」
「そうだな。」
「それで川口派をどう取り込むかですが、、」
司は岩元を見た。一見睨んでいるようだが、睨んでいるのは自分ではないと岩元は分かっていた。
「パワーバランスを均等にしましょう。川口派は自分達が優勢だと理解している。だから川口派を崩すにはまず焦らさなければなりません。」
「つまり(俺が)池谷に付くってことか。」
また頷く岩元。
「それからですが、」
「何だ?」
「専務は牧野様と結婚するつもりなんですよね。」
とたんに顔を強張らせる司。
同意が返ってくるものとばかり思っていた岩元も驚く。
少しの沈黙が続いた後司が話し出した。
「いや、あいつとは別れるつもりだ。今のままではあいつは駒に使われちまう。このゴタゴタから外してやりてーんだ。」
「駒?」
そこで岩元は西田からつくしにかかる懸念を聞くことになる。上流階層の政略結婚のことは知っていたが、それが企業の営業戦略にも及んでいることは岩元の考えの及ばぬところであった。
「なるほど。牧野様を確かに外してあげなければなりませんね。」
つくしが司の弱点であることは岩元にも分かっていた。しかし司の態度にその弱点の大きさを知ることになる。
「どのように別れるおつもりですか?」
司は顔を上げず目線だけを返した。
「どのように?」
「今現在は牧野様は大学生ですよね。就職はどうなるのですか?それともしないのですか?」
「働きてぇとは言ってたな。」
司は別れることを受け入れてないようだった。それはつまり相手側もそうだ。
「ならば道明寺に入れては?」
「なんでだよ。」
司は顔を上げた。その顔は恐ろしく不機嫌な顔で、流石の岩元も一瞬たじろぐほどだった。しかし、
「道明寺に入って、専務の現状を見せるのです。きっと牧野様は身を引くと思います。」
岩元は過去の楓からの仕打ちに別れを決めた資料を読んでいた。
「それに専務の口から別れを言えるとは思えませんので。」
これには司も考えざるを得なかった。確かにつくしと別れることで司との関係を断ったことを知らしめたかったのだが、つくしとの別れ方までは頭に無かったのだ。
クソッと言い頭を掻く司。そんな司を横目に西田から岩元へと質問が飛ぶ。
「しかし牧野様が道明寺への入職を受けるかは疑問です。この現状を知らないと言うだけではなく、彼女は特別扱いを嫌います。司様と良い意味で距離を置こうと考える方です。」
そうだつくしの資料にはその事も書いてあった。物欲が無く、自立心が旺盛で、怖いもの知らずだと。
「それでは本社以外はどうですか?近場だと横浜に支社がありますよね。」
↓ランキングに参加してます。

にほんブログ村
まぁ、司もジレンマを感じながら事を進めていた訳です。
なんか飛ばしたいのですが、抜かすのもどうかと、、
っていうか、あまり執筆が進んでないんです。邪魔が入って〜
ちなみに子どもじゃないです。だからイライラするー
2次が書きたいのにー
岩元は広大な敷地であろう塀を過ぎ、門から玄関までもどのくらいあるのかと呆気に取られていた。
「一応そうだな。だからパスポートは必要ねぇ。」
司は岩元を見た。
「面白くねぇな。」
クックッと笑っている。
「別に自慢したくてここに連れて来たわけじゃねーよ。ここなら邪魔は入らねーからな。」
リムジンが玄関に着き、司と西田そして岩元が車を降りる。
そこには出迎えの老婆が1人立っていた。
「坊っちゃんお帰りなさいませ。」
「おう。出迎えがタマ1人で悪かったな。子分がいないと不安だろ。」
「何仰ってるんだか。そんなはずはありませんよ。さぁ、食事の準備は出来てます。こちらへどうぞ。」
そう言ってタマは岩元に頭を下げる。
案内されたのはタマの部屋だった。
「まぁ、くつろげる方が話しやすいと思ってな。邸の他の部屋は、堅苦しいだろうし。」
「和室は他にないのですか?」
「ねぇな。ここだけだ。」
そう言って盃を交わす3人。司はタマを下がらせた。大事な話があるから呼ぶまで来るなと念の押しようだ。
「どうだ。遠藤里花は見つかったか?」
「は?」
「道明寺の遠藤里花だよ。男ばかりだろ?」
ああと岩元は理解する。
「そうですね。主犯はやはり池谷派でした。それから社員の中にも池谷派と川口派が拮抗していることに疑問を感じているようでしたよ。」
「社員と話したのか?」
「偶然同級生がいました。話すのは高校受験以来でしたよ。」
何年ぶりだよと司は苦笑いだ。
「僕のことを知っていたので、隠すよりも打ち明けました。流石に道明寺に勤めるだけあって頭の回転は早いですから。まぁ、全部ではないですけど。それで社員の様子を大体知れましたね。」
「どうだった?」
「池谷派の噂の根付があると言うと納得してました。」
「噂?」
「社員履歴はどの社員でも見れる訳ではありません。どの社員がどの派閥かなど社員が知れたら仕事なんて出来ませんよ。だからあの社員履歴リストはそれを見れる人への対策です。」
「つまり俺を封じていた訳か。」
岩元は頷いた。
「チッ、小賢しいことしやがって。」
「それだけ池谷派はあまり力がないと言うことです。というか年々力を落としていっている。」
「確かにな。ジジイ達は引退していってるしな。」
「残った者はまさに藁をも掴む状況です。しかし、だからそれを暴露すれば良い訳でもありません。」
「そうだな。」
「それで川口派をどう取り込むかですが、、」
司は岩元を見た。一見睨んでいるようだが、睨んでいるのは自分ではないと岩元は分かっていた。
「パワーバランスを均等にしましょう。川口派は自分達が優勢だと理解している。だから川口派を崩すにはまず焦らさなければなりません。」
「つまり(俺が)池谷に付くってことか。」
また頷く岩元。
「それからですが、」
「何だ?」
「専務は牧野様と結婚するつもりなんですよね。」
とたんに顔を強張らせる司。
同意が返ってくるものとばかり思っていた岩元も驚く。
少しの沈黙が続いた後司が話し出した。
「いや、あいつとは別れるつもりだ。今のままではあいつは駒に使われちまう。このゴタゴタから外してやりてーんだ。」
「駒?」
そこで岩元は西田からつくしにかかる懸念を聞くことになる。上流階層の政略結婚のことは知っていたが、それが企業の営業戦略にも及んでいることは岩元の考えの及ばぬところであった。
「なるほど。牧野様を確かに外してあげなければなりませんね。」
つくしが司の弱点であることは岩元にも分かっていた。しかし司の態度にその弱点の大きさを知ることになる。
「どのように別れるおつもりですか?」
司は顔を上げず目線だけを返した。
「どのように?」
「今現在は牧野様は大学生ですよね。就職はどうなるのですか?それともしないのですか?」
「働きてぇとは言ってたな。」
司は別れることを受け入れてないようだった。それはつまり相手側もそうだ。
「ならば道明寺に入れては?」
「なんでだよ。」
司は顔を上げた。その顔は恐ろしく不機嫌な顔で、流石の岩元も一瞬たじろぐほどだった。しかし、
「道明寺に入って、専務の現状を見せるのです。きっと牧野様は身を引くと思います。」
岩元は過去の楓からの仕打ちに別れを決めた資料を読んでいた。
「それに専務の口から別れを言えるとは思えませんので。」
これには司も考えざるを得なかった。確かにつくしと別れることで司との関係を断ったことを知らしめたかったのだが、つくしとの別れ方までは頭に無かったのだ。
クソッと言い頭を掻く司。そんな司を横目に西田から岩元へと質問が飛ぶ。
「しかし牧野様が道明寺への入職を受けるかは疑問です。この現状を知らないと言うだけではなく、彼女は特別扱いを嫌います。司様と良い意味で距離を置こうと考える方です。」
そうだつくしの資料にはその事も書いてあった。物欲が無く、自立心が旺盛で、怖いもの知らずだと。
「それでは本社以外はどうですか?近場だと横浜に支社がありますよね。」
↓ランキングに参加してます。

にほんブログ村
まぁ、司もジレンマを感じながら事を進めていた訳です。
なんか飛ばしたいのですが、抜かすのもどうかと、、
っていうか、あまり執筆が進んでないんです。邪魔が入って〜
ちなみに子どもじゃないです。だからイライラするー
2次が書きたいのにー
- 関連記事
-
- 臭いモノに蓋を取り6
- 臭いモノに蓋を取り5
- 臭いモノに蓋を取り4
スポンサーサイト