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臭いモノに蓋を取り13
2016-10-30-Sun
それは突然だった。

道明寺ホールディングスNY本社の人間でも知る人は限られていたため、社内での動揺は大きかった。

司の結婚から2年、池谷派の陰で静かにしていた川口派のグループがプロジェクトを発表する。

突然、社内で始まった記者発表に皆驚くが、プロジェクトの内容を考えるとこの記者発表は当然だ。資金の桁もプロジェクトの大きさを物語っており、失敗は許されない。それはつまりトップがゴーサインを出したことを意味する。

発表ではこのプロジェクトの責任者が司であることも語られた。そして、まだ準備段階と前置きをしながらも、もう一つのプロジェクトが進行していることも発表された。こちらは十数企業合同のプロジェクトでもちろん道明寺が中心となっている。準備段階とはいえ、もう動き始めているようなものだ。

当然この話は池谷常務の耳にも届く。池谷にしてみれば寝耳に水だったのだろう。秘書や側近にわめき散らし、司に会って説明させろと息巻いた。

しかし司は捕まらない。何故ならばこれは司の作戦なのだ。池谷の息の根を止める壮大な罠だ。怒りまくった池谷はメープルNYへ乗り込む。そこには梢が居た。何故梢がそこに居るのかも考えもしれぬのだろう。真っ赤な顔で今にも心臓が止まりそうな身体の震えを見せ池谷は梢に対面した。

梢は拳に力を入れ、この奇劇をやり過ごした。浴びせられる罵倒は気持ちの良いものでは無かったが、心構えは出来ていた。そして、裏で聞いている自分の母親と母親をなだめる佐倉の存在を知らぬ池谷に今までのお返しとばかりに蔑む視線を送る。だが興奮した老いぼれはそれにすら気づかない。梢は気づかぬことへの苛立ちはあるものの、それを怒りから卑下へと変えて行く。

馬鹿にする相手に頭を下げることでも、屈辱に感じないことに梢は、池谷にはもう会うことはないなと確信した。

池谷が出て行き佐倉を振り切り池谷を追いかけようとする母親を見て、梢は母の想いを知る。母は自分が蔑まれていることに悔しくないのかと問いただした。そして貴女は何もやましいことなどない。胸を張って生きなさいと声をかけられる。

母の愛情を知った梢はこの奇劇のカラクリを話したくなるが、佐倉からダメだよとの視線を受け心の中で母に謝った。お母さん悲しませてごめんね。でもありがとうと。

それから怒りの収まらない梢の母は、父親に池谷の無礼を洗いざらい話した。そして母自身も感じていた池谷への不満。父親は池谷の二面性に気づいてはいたが妻と娘に対する侮辱発言を機に池谷を切り捨てることを決心する。

池谷がこのことを宮守社長から聞かされるのは、司も捕まらず、プロジェクトも進み、経済新聞にも掲載され、社内の川口派の勢いをどうにも出来ないと受け入れかけた時だったため、そのショックは大きかったようだ。

それ以降池谷派閥では互いに疑心暗鬼となり、池谷の影響力は影を落として行く。

そして池谷の知り得ぬ所で別の展開もあった。梢は自らの口で父親に池谷を切ったことへの感謝を述べたのだ。梢から語られることに父親は驚いた。

自分は司の駒になるべく結婚したこと、結婚当初はそれに耐えきれなかったのだが、秘書が自分の大学の同級生だったこと、そして遊園地の役員をして割り切れるようになったこと。梢は今でも司と離婚の意思があることを父に伝えた。しかしそれは今ではないとも。

父親にはそれとなく秘書の佐倉がどういう存在か匂わせた。そしてその佐倉を連れてきたのが司だという事実。

宮守社長は司の意図をようやく知り、その力量に脱帽する。そしてそんな中で自分を駒と言いながらも良い顔をする娘にも。娘の晴れやかな表情を見た父は司への協力を梢に伝える。

これで池谷に後ろ楯は無くなった。

後は池谷が息絶えるのを待つだけとなる。



そして1年後、司は道明寺ホールディングスの副社長となった。



その僅かひと月後、池谷は健康診断で病が発見される。

池谷が入院したことにより、残っていた池谷派の面々も次々と道明寺を去っていく。

とはいえ、別に退職勧告をした訳ではない。甘い汁を吸うしか能のないやつばかりだったので、居づらくなっただけなのだろう。

老いぼれは正しく引退せざるを得ない状況で、その金魚のフンのような若手は他所の企業へと移るしかなかった。

退職者が一時期に集中することで道明寺内は慌ただしさが目立つようになる。だが、残った社員の顔は晴れやかだった。

皆知っていたのだ。

ようやく派閥問題が解決したことを。

そしてそれが司の手腕によることも。




それからまた1年が過ぎようとした時、司は再会する。

彼がこの世で1番大切にしていて、

1番愛している女に、

会いたくて、
会いたくて、
会いたくて、

司は彼女だけを欲していた。

姿も、
笑顔も、
声も、
匂いも、

全てが司を惹きつけて止まない。

「牧野、、」

だが、まだ掴めない。

まだ道明寺を手中に収めている訳ではない。

問題の一つを解決しただけだ。

チェックメイトはまだ先だ。

なのに見てしまった。

その存在を。

司は湧き出す衝動を止められなかった。

それは独占欲。

かつては信じて手から離した。

きっとつくしは自分の愛情を忘れはしない。

自分以上の愛情などつくしは受け付けるはずがないと、そう信じて。

だが、会えなかったこの5年の渇きが司を苦しめる。

抱きしめたい。
キスしたい。
愛されたいと。


プルルルルル

「岩元。」

「何でしょうか?」

「牧野を見た。このまま大人しく黙ってらんねー何とかあいつと接触出来ねぇか?」

「まだ早急ですよ。」

「分かってる。」

「梢様が、」

「岩元!」

「・・はい。」

「不倫に見せないように接触する方法を考えてくれ。あいつが、文句も言えないように。頼むわ。」

切れた電話を耳から離し、岩元離し息を吐く。

「しょうがありませんね。まぁ、不測の事態もあります。会ってしまえば、抑えることなどできないのでしょう。」

そう言って、苦笑いする。つくしと会ったパーティにつくしが来ることは想定してなかったのだ。秘書は司からの命令で会う準備が出来るまで、接触を避けるべく神経を尖らせていた。しかし5年が経ちやや気が抜けた事は否めない。

「会うべきして会ったのかもしれませんね。確か牧野様は猛獣使いと呼ばれていたそうですね。ならば牧野様にも道具を渡す必要があります。なにせあの猛獣はその手をずっと待ってたようですから。」



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そして素肌に〜の3話にと繋がります。

巻けるか私?

それからショートストーリーを考えたのですが、ちょっと今のキャパでは難しいです。

早く本編に戻りたいー
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