甘さとスッぱさと ... 臭いモノに蓋を取り18
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臭いモノに蓋を取り18
2016-11-04-Fri
パタン

司の執務室を出たところで岩元は西田に話しかけた。

「大丈夫ですか?」

「・・・」

西田の顔はいつもの無表情鉄仮面だが怒りが感じられた。

「僕がやはり行きましょうか?」

「・・・いえ、大丈夫です。」

そう言ってフッと笑う西田。だがすぐにまた無表情に戻る。しかし、その一瞬でさえ岩元には驚きだった。

「ゲートインの闘牛といった感じでしょうか?まぁ、ああいう要求がとうとう出てきたということなんでしょうね。」

「とうとう?」

「司様と牧野様の報告書は目を通されてますよね。特にお二人の出会った頃のです。司様は牧野様に執着されてました。それはもうストーカー以上に。そんな司様はお付き合いされてからも独占欲に嫉妬心の塊でして、そりゃあもう目を瞑りたくなるものでした。牧野様のあの懐の大きさがなければ、牧野様は壊れていたかもしれません。」

「壊れて、、?」

「司様のストーカー並みの愛情は、拒否すれば本当のストーカーになっていたという事ですよ。なにせ、口説き文句が地獄の果てまで追いかけるですからね。あの財力で追いかけられて逃げられる人は居ません。逃げられないと分かれば、最悪の結果も考えられるでしょう。」

岩元はゾッとしてしまった。確かに先程の司の要求は凄かった。あそこまでの束縛は異常である。

というのも、司はTSUGeのオーナーにつくしの顧客の条件を出してきたのだ。

オーダースーツをさせるに伴い、顧客を選り好みしている身分ではないだろうが、司は65歳以上と年齢制限をしたのだ。

しかも既婚者で愛妻家。つまりつくしに手を出しそうな男は許さんとばかりの反応だ。

おまけに採寸時の状況にもケチを付けてきた。自分の時はつくしとの2人きりを譲らなかったくせに、他の客には必ず他のスタッフを立ち会わせろと言うのだ。

そしてつくしの服装も来ているベストをもっと厚手にして、身体のラインが分からないようにしろと言いたい放題だ。

「離婚したばかりで帰国できないというのも、そういった要求に繋がったと思いますが、、それでもずっと不満に思っていたのでしょうね。」

「ああ、そうですね。確かにしばらく帰国しない方が騒がれずに済みます。」

「おまけに、オーダースーツを経験させるということはそれだけ更に待たなければなりません。会社や離婚といった問題が解決しているのにこの足踏みは、相当イライラしてますよ。」

「つまり目の前に人参があるのに食べられない、状況ということですか?」

「この場合は赤い布でしょうね。気性を考えると人参なんて生易しいものではないですよ。」

西田の言い草に岩元も思わず目を丸くする。

「随分な言われようですね。」

「それが司様です。というか、そう思えなければ彼の部下は務まりませんよ。そして貴方にもそう言うところが垣間見えますが?」

岩元はプッと笑ってしまった。確かに自分も司に対してそう接することが多い。

「なんでしょうね。結局は彼のとんでもない要求を応えてしまうのですが、そう思うことで帳消しにしてしまうんですよね。代償のようなものでしょうか?」

「そうでしょうね。司様もそれを望んでいるのでしょう。金だけで動く部下は、金が切れた時に簡単に裏切るでしょうし、まぁ現実問題司様が金で切られることはないので、金ではなく司様に耐えられなくて裏切るという構図になりますかね。とにかく信頼している人間にはそう思われても構わないと思っていると思います。」

岩元は頷いた。司が信頼できる部下を数人しか置かない現状も理解できるからだ。そしてそこに自分がいるという高揚感。金以上の価値を得ている喜びを感じていた。

***


「分かりました。善処していきます。」

TSUGeのオーナー菜々子は、ようやく切ることができた電話に肩を震わせていた。

「どうしたんですか?」

「ふふふふふ。もう、ふふ可愛くって、、ふふふ、ふふ、、」

中々笑いの収まらない菜々子に不審がるTSUGeスタッフ。ここには主任の桜庭と広沢、そし緒方がいた。

「珍しいっすね。オーナーがここまで笑うって。」

「超気になる。」

広沢と緒方が菜々子の言葉を待っていた。どうやら楽しい話を期待しているらしい。

「はあー久しぶりに笑っちゃった。」

「何があったんですか?」

「ん、岩元さん、いえ、道明寺さんの秘書さんからのお電話だったの。」

西田さんと言っていたわと菜々子は笑い泣きで出た涙を拭いながら話した。

「とうとう名乗りましたか!」

「ええ、もう隠す必要はないんですって。あちらの問題は解決したものね。」

「それで何を言われたんすか?」

菜々子の笑った原因が知りたくて広沢が続きを促す。

「ええ、一つはスタッフを紹介してくれたわ。鈴木佳乃さんと言って、先日までクロ○二に居たそうよ。」

「クロ○二?!超大手アパレルじゃないっすか?」

「ええ、そこで営業をしていてかなり優秀な人材らしいわ。」

「よく、うちに来てくれますね~」

「本当に来ますか?」

「ええ、来てくれるそうよ。というのもあちらを辞めたがっていたみたい。お子さんが1人いて、2人目も考えているのだけど仕事の責任を任せられたりとなかなか子育てとの両立が難しかったみたい。」

「そうなんすか?」

「あそこってブラック企業って噂あらましたよね。残業、残業だと子どもも可哀想ですよ。」

「お前子ども居た?」

緒方に広沢が聞く。

「俺には居ませんよ。姉貴の子どもです。義兄さんがサラリーマンですげぇ帰り遅いんですよ。それで姉貴はいつも子どもと遊べない父親が可哀想だと言ってたんです。義兄は子煩悩な人なので、いつも帰って子どもの寝顔しか見れなくて寂しそうだと言ってました。」

「シングルマザーなんすかその人?」

「どうかしら?そこまでは聞いてないわ。でも、普通子どもは母親の方に甘えるから仕事をしていると確かに寂しいわよね。」

なるほどと佳乃の話に納得する面々。

しかし、それが菜々子の笑いではないのは明らかだ。

「それで何を笑っていたのですか?」

***


「ぎゃはははは、、」

「すっげぇ、そこまで言いますか?」

腹を抱えて笑う広沢と緒方。桜庭ですら笑っている。

「防弾チョッキって、それセクハラ対策になってないっすよ。」

そう本当はベストを厚くしろではなく、防弾チョッキがいいんじゃないかと司は言っていたのだ。西田はそれをそのまま伝え、それくらい司が心配していることを伝えたのだ。

「せめてダウンじゃないっすか?」

「いや、それでもおかしいから、、」

「流石につくしちゃんでも変だと気づいちゃうわよ。」

しかし司の異常なほどの心配症は、ちゃんとTSUGeスタッフに伝わったようだ。

「新人テーラーなんだから顧客を選んでる身分じゃないですよね。どうやって納得させましょう?」

桜庭は涙目になりながらも、司の要求を応えるようだ。

「そうね。つくしちゃんなら誰でもやりますって言うわよね65歳以上の愛妻家か、、藤岡様でも当てはまらないわ。」

確か藤岡は58歳だと菜々子は言う。

「とりあえず愛妻家はクリアですよ。そうでなきゃオーダースーツ自体叶いませんし。」

「そうね。それに今すぐオーダースーツっていうのも無理があるわね。キッカケがなくては始められないし、、鈴木さんが来るまではダメかしら?他にアイディアはない?」

「それじゃ道明寺さんからのオーダーシャツをしまくるってのは?オーダーシャツもそれとなく他を止めといて、それで納得しないっすかね。」

「つまり牧野に他の客を付けないってことか?」

「まぁ、牧野のオーダーシャツはそこまで店の売り上げを占めてる訳じゃないし、道明寺さんほどの方ならオーダーが増えても痛くも痒くもないだろうし、それで満足するかもな。」

「つくしちゃんにバレないようにしなきゃね。ちょっと騙すようで気が重いけど、、」

「それで道明寺さんが納得するなら、結果牧野も満足じゃないっすか?あの2人本当にお互いしか見えてませんからねー」

「そうね。」

ふふと菜々子は笑う。

司が来店した時の様子は皆が耳をダンボにして、伺っていたのだ。

そしていつもと違うつくしの様子も。

いつもはケラケラ笑うつくしが切なそうな顔でいたこと、それがいつの間にか笑うようになっていたものの司が帰った後はまた切なそうな顔になることも。

「まぁ、愚痴くらいは聞いてやりましょうよ。って、俺ひとり身なんだけどなー」


ハハハと笑う声をつくしは自分の作業部屋の中から聞いていた。

「?楽しそう。何かあったのかな?」



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防弾チョッキのとこ、もっとお馬鹿にしようかなとも思ったんですよ。つくしに触ると電気ショックみたいな仕掛けのベストとか、でもそうすると切れ者ビジネスマンにはなりませんよね。
つくしLOVEなお馬鹿司可愛いんだけどな~
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