甘さとスッぱさと ... 臭いモノに蓋を取り25【完】
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臭いモノに蓋を取り25【完】
2016-11-11-Fri
良い意味で期待を裏切らないことは何と小気味良いのだろう。

目の前に座っているつくしは先ほどから何度となく表情を変えている。

驚いたり、

感心したり、

疑問に思ったり、

笑ったり、

そのコロコロ変わる表情こそが彼女の魅力なのだなと岩元は納得していた。


「ちょっと重いってば!」

「あ?体重はかけてないだろうが。」

「片腕だけでもあんたは重いのよ。いい加減着替えてきたら?いつまでスーツでいるのよ。どうせ明日もそのスーツ着るんでしょ。だったら、早くクリーニングに出さなきゃ間に合わないわよ。」

「チッ。じゃあおめぇも来い。」

「ここ自分んちよね。ひとりで部屋まで行けないの?」

「・・・すぐに戻るからな。」

そう言って司はドカドカと部屋を出て行った。


それを見送ってつくしは岩元に話しかける。

「岩元さんは司を怖くないんですか?そんなに普通にしているのは西田さんくらいだと思っていたので、びっくりです。」

「そうですね。副社長を怖いとは思わないです。副社長自身僕を受け入れているのもありますが、僕は結構人の本質を見ることが出来るので、不機嫌の中でも本気の苛立ちは分かりますよ。」

「すごい。司が紹介するからそれなりの理由があるとは思っていたけど、じゃあ司は岩元さんのことをかなり信頼してるんですね。」

「そうでしたら光栄です。」


「・・・ありがとうございます。」

「何にですか?」

「司の力になってくれていたことにです。あたしは何の力にもなれませんでした。」

じっと見つめられ、軽く頭を下げられただけなのだが、

つくしからは本当に感謝の気持ちが伝わって来た。

「副社長の力ですか?物理的なものでなければ目には見えませんよね。それに副社長はごくわずかな者にしか自らをさらけ出しません。ですからつくし様の言う副社長の力になるモノは、副社長にしか分からないと言っていいでしょう。副社長の1番側にいる方こそがその力なのではないですか?」

「・・・今は側にいますが、側にいたかったです。辛かった時に支えられなくてあたしは甘やかされることに意地になりそうで、、」

「・・側にいることが良い結果になるとは必ずしも言えませんよ。確かに辛かったでしょうね。でもだからこそ奮起したのだと思います。今、貴女を甘やかすことは彼の望みです。彼にとっての褒美ですね。側にいれなかったことを悔やむのではなく、貴女も耐えたことだと労ってはいかがでしょうか。」

「労うですか?」

「ええ、だってつくし様も相当お辛かったかと見えますから。」

涙ぐむつくし。

頬に一筋の光をもたらす。

「ありがと、、」
人差し指でその涙を拭って言葉を続けようとした時

カツカツカツカツ

バンッ

「つ、司、、」

勢い良く司が部屋に戻って来た。

「副社長なぜ走って来られたんですか?」

コントのようなタイミングだなと岩元は思ってしまった。

「あ?てめぇこそ人の女泣かせてんじゃねーぞ。」

やはりそう来たか、、

「僕がつくし様を蔑んだと仰りたいのですか?ではつくし様の秘書は務まりませんね。つくし様お力になれず申し訳ありません。」

「お、おいっ。勝手に進めるな!」

一転焦る司。

「あんただって勝手に解釈したでしょうが!入ってくるのが早いのよ。走って来なきゃ誤解だってしなかったわよ。」

「走ってねぇよ。ちっと急いだだけだ。」

「肩で息してますよ。」

「してねぇ!」

じーっとつくしと岩元に見られ司は分が悪いと思ってきた。考えてみればこの2人は自分に取ってかなりの懐刀だ。敵うわけがない。

「クソッ。ああ走ったよ。認めりゃいいんだろうが!」

そう言ってつくしの横にドカッと腰かける。

「やはり秘書を務めることになるようです。副社長に嫌気をさしたのならお力になります。」

「その時はお世話になります。」

「おい!何言ってやがる。」

司は慌てるが、2人がにやにやしていることに気づき苦笑いになり、つくしを抱き寄せる。

「ちょっと!離れてよ。」

「嫌だね。放したらおめぇはまた逃げるからな。」

「逃げないわよ。ってゆーか人前では止めてってば。」

「僕は気になりませんよ。」

「おっ!だよな。」

「岩元さんっ!」

「つくし様のお力になりますから、あまりに嫌がるようなら合図を下さい。」

「助けて下さい。」

テンポの良い突っ込みにつくしもつい合わせてしまう。

「了解です。副社長、例の企画をお話しても宜しいですか?」

「ちょっと待て!」

「例の企画?何の事?」

「分かった。ちっと離れりゃ良いんだな。」

「企画って?何企んでるの?」

「何でもねぇ。おめぇは当日まで知らねぇままで良いんだ。」

「はぁ?何それ!白状しなさい。・・司ぁ!」


***



つくしはそれこそあんぐりとしていた。

まさにそんな顔つきだ。

結構口大きいんだなと岩元は思ってしまうほどに。

司は隠すつもりでいたが、岩元は話した方が良いとつくしに例の企画のことを話した。


「な、、はぁ?そんなとこで披露宴をするんですか?てか余興?プロに頼むんですよね、いったいいくらかかるんですか?」

「場所代だけですと500万でした。」

「場所代だけ?え?でもトータルは、、」

「トータルですと、」

「わーーー待って、待って下さい。いいっ、言わなくていいです。」

焦ったようにつくしが岩元を止めるように大きく手を振る。

「・・その方が宜しいと僕も思います。」

つくしは司と岩元の顔を交互に見て、信じられないと言わんばかりの表情だ。

「僕も最初に聞いた時は無茶苦茶だと思いましたよ。」

「ですよね。」

「でも、筋は通っていると思いました。」

「何故(なにゆえ)に?」

つくしは興奮のあまり言葉遣いがおかしくなっている。

「つくし様は、道明寺夫人がどう見られるかお分かりですか?」

「え、は、はい。」

「先ほど僕は転職したと言いましたが、道明寺の前は芸能事務所に居たのですよ。」

「え?芸能事務所?」

「はい。女優とかタレントのマネジメントをしてました。なので有名になるとどう変化するかをずっと見て来ました。」

「・・・・・」

つくしは岩元の話を聞かずにはいられなかった。道明寺夫人となることを知っていると言いはしたが、実のところ良く分かっていなかった。

岩元は有名になることは一見そう思わないが、凄いストレスを抱えることだと言う。そのストレスを柔らげるためにもオンとオフを分けることは必要だと。オンは道明寺夫人で、オフは今の自分。ありのままの自分だ。

「ありのままのあたしですか?」

「そうです。今のつくし様のままです。」

「でも、今のあたしのままだと司が悪く言われてしまいます。英才教育をしていないのでテーブルマナーも、ピアノだって出来ません。」

「俺も出来ねぇよ。」

「令嬢として育ってないと言いたいのですか?でも、ニュースで見てませんか?令嬢が故に発言したことで混乱が生じてしまったことを。」

「それはナッ○リターンですか?」

「それはその一つです。」

「一つ?」

「ニュースにならないものも多いんだよ。我儘に育った娘に手を噛まれる親とかな。」

つくしは今までの自分の劣等感は何だったのかと信じられない気持ちだった。

「要は常識的な行動をするかしないかです。令嬢か庶民かは関係ありません。どちらであっても非常識的なことを行えば直ぐに社会的制裁がかけられます。」

「今はネットの時代です。以前のような認識のままだと令嬢というのは逆に不利かもしれません。」

「つくし、大丈夫か?」

「大丈夫じゃない。」

つくしはいっぱいいっぱいだ。

「それじゃ、あたしらしくって、、違うか。あたしらしくってことは今のままでいいってことですね。じゃ、道明寺夫人ってどうすれば良いんですか?」

岩元はニコッとして言った。

「スポットライトに当たるんですよ。」

「ほえ?」

そしてタレントに例えて岩元は説明した。化粧ではなく顔にペイントして常に同じ衣装を着けているタレントを、普段着の状態で見分けつけられますか?と言って、ビフォーアフターの写真を見せられる。

「え?同じ人?」

つくしの反応は素直で岩元は温かくなる。
もちろんつくしにこんなペイントするつもりはない。だが普段のつくしには思えぬようにベールを被せ道明寺夫人のつくしを演出すると言うのだ。


「つくし様、今まで劣等感を覆そうとかなり努力をして来ましたよね。その劣等感で腐ったことはありませんか?」

「腐った、、ですか?」

確かに大学の時は、司に相応しくなろうとやっきになって勉強してきた。そりゃ授業料が勿体無いと言う気持ちもあったけど。

「正直に答えて下さい。」

「・・そりゃありますよ。司の舌打ちを良くないと思ってたのに、あたしの方が悪い言葉を吐いたこともある。」

思ってたのかよと司は小さく突っ込む。

「それが普通です。悪い感情に晒されているのですからね。」

自分の中の膿を指摘された気がした。

「臭い物に蓋をすると言う諺がありますよね。」

「え、ええ。都合の悪い事には目を背ける、という、意味ですよね。」

「都合は悪くありませんが、この腐った気持ちどうしましょう。蓋をしますか?」

「蓋ですか?」

どうですと岩元はおどける。

少し考えつくしはキッと顔を上げ答える。

「いえ、蓋はぶっ壊します。」

「ぶっ壊すですか?」

ギャハハと司は受けている。

「流石、暴力女!それでこそつくしだぜ。」

「蓋なんてするもんですか!臭いなら風に晒して、臭くなくすわよ!」

いつの間にか、つくしは立ち上がり仁王立ちになっている。

「それではそうしましょう。風に晒されて。臭い匂いは消してしまいましょう。」

「それでも消えなきゃ、かけるって手もあるしな。」

「かける?」

「ファブ○ーズだったろ?臭い女どもに香水だと言ってかけたの。あれ本当に効いたよな。」

それはつくしも滋から聞いていて知ってはいた。

それを話す司の顔を見てつくしはあの頃持ってた小さな棘が消えた気がした。

「それも蓋を取らなきゃ使えないわね。」

香水の瓶なんでしょとつくしもおどける。


そこには笑顔の3人がいた。

これから無茶苦茶なことをやろうとしている夫。

でもそこに自分への最大級な愛を感じた。

やってやろうじゃない。

つくしはそう言って親指を立てた。

それを見て司は両手で人差し指を突き立てる。

間髪入れずつくしは肘鉄を司の頭頂部にお見舞いする。

そして言い合う2人。

岩元も声を上げて笑ってしまった。





臭いモノに蓋を取り【完】


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タイトルに無理やり終わらせてみた。
お後は宜しいでしょうか?
あとがきあります。
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