甘さとスッぱさと ... 一歩進んで立ち止まる5
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一歩進んで立ち止まる5
2016-11-16-Wed
どんなに精神状態がボロボロでも、仕事はきちっとやる。

滋は入社1年目、秘書課の先輩に口すっぱく言われた言葉だ。

大河原興産の会長令嬢の滋は、会社での秘書課業務のほか会長についての会食や企業のパーティに参加することが多かった。

まだ20代前半の令嬢には若さを求めた縁談が数多く申し込まれ、滋はそのお見合いの意味合いを含む会食にうんざりしていた。

その頃の滋はつくしと司の影響を受け、自分も2人のような恋愛を望んでいた。

出会いに関してこだわりはないつもりだったが、司とのお見合いで上手くいかなかった経緯からお見合いに良い印象を持っていなかった。

なので会食では滋なりに考えて相手に失礼にならないようにお見合いの意思表示をしてきたのだが、滋の作戦はお見合い相手の顔を見ずその父親の方ばかりを見ていたので、相手もカチンとしたのだろう嫌味を言われることもあった。

そんなことがあった翌日は、不機嫌の表情を隠せず仕事を行っただけではなく、仕事も雑になり細かい失敗も多々あった。

これに当時のお局秘書は切れた。

自社の会長令嬢に臆することもなく、ダメなものはダメとキッパリ言った。

その切れように他の秘書課一同は、この人の進退は大丈夫なんだろうかとハラハラしていたのだが、

当の令嬢はその姿に誰かを見ていた。

切れた姿にあ然としていたかと思えば、

突然「はいっ。」と握り拳で頷き、

「すいませんでした。」と深々とお辞儀をしたのだ。

それからはそのお局秘書は滋に懐かれたのは言うまでもない。

そんな彼女の今は結婚・出産を経て別の課で働いていて、

彼女が産休に入る時の滋の激励は秘書課の伝説になっている。

銀縁メガネに髪を後ろにまとめと、彼女の格好をし、この秘書課は私に任せて下さいと声高らかに宣言したのだ。

ちなみにこの時秘書課に移動して一年足らずの秦野でさえ、滋には無理だと思っていた。

しかし、彼女がいなくなった後も積極的で真面目に働く滋にみんなが好感を持つ。

そして秘書課在籍が1番古くなった現在もそのポジションは変わらない。


秦野の指摘に動揺した滋をみんなが見守っていた。

滋は与えられた業務を淡々とこなしていた。

だがその表情には余裕があるようには思えず、滋の表情を見た社員は秘書課の他の社員に無言で問いかける。

その度に秘書課の社員は首を振り、そっとするように合図する。

ちなみに動揺させた秦野は同期の乃梨子からジト目で見られ、令子の分の業務はあんたがフォローしなさいよとの圧力によりこちらもいつもより多めの業務をこなしているのであった。

それから長谷川乃梨子は滋の後輩になる香川ともう1人の後輩小田にどちらかが滋に飲み会に参加するように命じる。

***


「令子さん、今日これから飲みに行きません?久々に秘書課で女子会しましょうよ。」

「小田ちゃん、、」

もう1人の後輩小田は香川とのジャンケンにパーで負けてしまった。小田は香川の1年先輩だ。パーで負けたことにしばらく固まってしまったのは余計なエピソードだ。

滋は小田の後ろをチラッと見る。そしたら秦野が目線だけ逸らしたのが分かった。

「んー、今日は遠慮するよ。疲れちゃったから早くお風呂入って寝ようと思う。」

「そうですか、、、疲れてるなら長風呂するのもいいですよね。令子さんちはお風呂大っきそう、、、」

そう言って小田は口を開けたまま、滋をじっと見ている。

「何?どうしたの?」

「令子さんちょっと待ってて下さい。」

パタパタパタ・・

そう言って小田は自分のデスクに行き、何かを持ってきた。

「これ。新商品なんですよ。なんと、イメージキャラクターが剣くんに変わっているんです!」

小田は得意そうにそれを見せた。

「タレントが変わっただけでしょ。新商品じゃないんじゃ、、」

「でも、前は渡辺エリナだったんですよ。それが剣くんに!やっぱり女子を癒せるのはイケメンですよね。メ○リズム分かってるっ。くぅー特別にこれ令子さんに差し上げます。」

「ええ?!だって小田ちゃんの剣くんのでしょ。良いの?」

「特別ですよ。令子さん元気ないから、これで癒されちゃって下さい。」

ささ椅子に持たれてーと小田はちょっと強引だ。

おまけに頼みもしないのに肩も揉み始める。下がっている時って肩に溜まりやすいですよねーと至れりつくせりだ。

滋は泣きそうになっていた。

秘書課のみんなの優しさに。

明日は復活するからと思わずにはいられなかった。

***


会社からの帰り道、滋はドラックストアに寄っていた。

小田から貰ったアイマスクが思いの外気に入ってしまい、購入することにしたのだ。

突然の滋の提案にSPは難色を示したが、滋の落ち込みようを察し受け入れた。

1人でドラックストアに入るなど滋はほとんどない経験だ。

しかし、何故か行こうと思ってしまった。

店に入り、店内を見回す。

床近くに商品が置いてあることに驚くが、値段やもってけドロボーの売り文句になんとなく納得する。

ー売れないから店側はヤケになっているのね。在庫を抱えると損するし。(←社会に出て先輩や同僚からの知識は得ていた)

中に進むと、色鮮やかに陳列されている商品が目に入る。どれもシャンプーやリンスのヘアケア商品であった。

滋は自分で購入したことが無いからこんなものかと思っていたのだが、他の客からドラックストアって種類が豊富で選びきれないよねと聞こえ、そうなのかと納得する。

そしてそんな客の話し声についつい耳を傾けてしまった。それは好奇心だった。

このシャンプーは誰々が使っているとか、誰々はこのシャンプーで彼氏をゲットしたとか聞こえてきた。

そして、拳くん逢いたかったわ~の声。待ち合わせ?と思ったらその人はシャンプーを手に取った。疑問に思い陳列棚を見るとイケメンの小さなポスターが貼られている。

滋は小田のことを思い出して温かくなった。

ーうん。やっぱり今の私には二次元の相手の方がいいな。明日小田ちゃんともっと話したいな。

そう思い目当てのアイマスクを探す。

しかしドラックストアに慣れてない滋はアイマスクを探せない。

店内をウロウロする姿に店員から声をかけられ、ようやく商品にありつけた。

そしてレジで並ぶ中、1人の女性が目に入る。

振り返った姿から別人であったことが分かるが、そこでまた秦野の言葉を思い出してしまった。

『親友に避けられてそのダメージをまだ持ち続けているんでしょう。』

そうだ。

引きずっている。

つくしと司が別れてもうすぐ6年、、

つくしには毎年会っているけど、嘘をつき続けている。

嘘のせいで女子会でも肝心なことが聞けない。

司をずっと好きでい続けると言ったつくし。

でも司は結婚したよ。

つくしはずっとこのままでいるの?

きっと笑ってないよね。

いや、6年経てば笑えるようになってるか。違う司の結婚からだと4年だ。笑えてるかな?


私はまだ頼りないかな?

滋は手元のアイマスクをギュッと握った。

邸に帰れば、使用人がエステもしてくれる。こんなアイマスクなんて必要ないだろう。

でもつくしならきっとこういうのを使っているはず。

私も秘書の仕事をして、みんなにいろんなことを教わった。

今度会える時は嘘のことを言おう。

言えばつくしはびっくりするだろうけど、

きっと分かってくれる。

そう、、、だよね?

滋はなかなか決心がつかなかった。



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【余談】
「すいません乃梨子さん。令子さん飲み会に行かないそうです。」
「そうね。でもあんたはベストを尽くしたわよ。令子ちゃんも明日は元気になっていると思うわ。」
「そうだと良いんですが、、やっぱり令子さんの笑顔ってパワーがありますよね。」
「そりゃ良い肥料を与えられ、管理も充分に行えば優良な作物は育つのよ。」
「なぜ例えが野菜なんだ?」
「あら私は果物のつもりだったけど。」
「温室育ちって意味ですね。」
「真っ直ぐ育つ果物って何よ?」
「あっ令子さんは真っ直ぐ。確かに素直ですよね~」
「バナナ、、」
「曲がってるし、温室じゃないよ。」
「苺かな。」
「私はアスパラのイメージ。」
「それって白いほうですよね。確か白だと日に当てないで作るんですよね。」
「どっちでもいいわ。」
連想に負けた乃梨子は少しひねくれるように吐き捨てていった。



だから何だという会話。
スミマセンm(_ _)m
滋が好かれているよと伝えたかったんです。
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