甘さとスッぱさと ... 一歩進んで立ち止まる6
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一歩進んで立ち止まる6
2016-11-17-Thu
大河原興産本社のエントランス前

一台の高級車が横付けされた。

運転手に後部座席のドアを開けてもらい、出て来たのはここ大河原興産会長令嬢の滋であった。

「いってらっしゃいませお嬢様。」

「はい。いってきます。」

カツカツカツ

滋は背筋をピンと伸ばし、令嬢の気質そのままにエントランスへと向かっていく。

以前はショートカットだった髪も今はミディアムに切り揃え、軽くウェーブがかかっている。

整った顔であるだけでなく、生まれながらのお嬢様が持つ優雅さを見せつけていた。

滋の登場に社内は少しの騒めきの後、静かになる。

エレベーターホールには先着の社員が何人かいて、その中には例の海外事業部の女子社員もいた。

しかし、彼女達がそうであることは滋の知るところではなかった。噂は知っていたが、噂を流した張本人の顔を確かめることはしなかったからだ。

自然と滋のために場所が開けられ、そのことにも彼女達は不満げだった。

ふと滋が彼女達の方を見た。

「それ、、」

「はっ、はい?」

「クス。それジュラムだよね。私も香り好きなんだ。」

「え?」

「違った?あなたシャンプーはジュラムを使っているのかと思ったけど。」

「あ、はい。、、そうです。」

「やっぱり?」

良かった当たってたぁと滋は満面の笑みで返す。滋の笑顔に海外事業部の女子社員は毒を出すことも出来ない。

「おはようございます!」

「おはよ。令子ちん。」

その時秘書課の小田と秦野がやって来た。

「おはようございます。2人とも昨日はごめんね。」

「いいええ。令子さん元気になられて良かったです。」

「さ、エレベーター来たよ。」

そう言って秘書課3人はエレベーターに乗り込む。

隣のエレベーターも到着したため、海外事業部の女子はそちらに乗るようだ。

秦野がチラッと彼女達を睨む。

彼女達の1人が秦野の視線に気づき、青ざめた。

***


「ええ~あれからドラックストアに行って買って来たんですかぁ?」

「うん。なんか勢いでね。」

「初めてのおつかい?」

「違います!」

滋は頰を膨らます。だがすぐに笑顔に変わる。

「でもそれに近いかな。1人で行ったし。」

「SPは?」

「店の中まで付いて来ましたよ。でも離れててくれた。」

「令子さんには冒険だったんじゃありません?」

「うん。楽しかった。他のお客さんの会話が面白くってついつい聞き耳立てちゃった。」

「確かに面白いよな。」

「小田ちゃんみたく、拳くん逢いたかった~ってシャンプー買った人とかいたよ。」

「あ、それでさっきジュラムのこと知ってたんですね。」

「うん、香りのテスターがあったから。シャンプーにテスターって普通なの?」

「ある訳ないよ。」

「ジュラムはそれが売りですから。普通はないですよ。」

「へーそうなんだー」

そんなおしゃべりをしながら秘書課に到着する。


「おはよ。楽しそうね。」

「おはようございます乃梨子さん。令子さんったら昨日1人でドラックストアに行ったそうですよ。」

「へぇ~初めてのおつかい?」

乃梨子がそう言ったことで、3人はプッと笑ってしまう。当の乃梨子は何がおかしいのか分からず不満げだ。

***


「わぁお。豪華ぁ~」

お昼の時間になり、秘書課一台はみんなでランチを取ることにした。ゆっくり話したいからと今日は○○○膳のお弁当を取ることにした。

和食のお店のお弁当でなかなかの値段だが、外にランチに行くには話す時間が限られてしまう。

それに飲み会に行くと酒が入り感情的になることも。飲み会に行ったものと考えてお高め弁当を取ることにしたのだ。

「それで取れたかさぶたに薬は塗れたの?」

「かさぶた?」

「乃梨子例えを使わずに聞きなよ。」

「あら。オブラートに包んだのよ。ダイレクトに言ったから昨日のあなたみたいになるんじゃない。」

そう言われ秦野は苦虫を噛んだような顔になる。

滋は2人のやり取りを見て温かくなった。

「薬は塗ってないです。まだ晒されたままかな。」

「どうして?」

「んー何で、ですかね。」

「効く薬が分からないからじゃないですか?」

もぐもぐと食べながら小田が話に入ってくる。

「なるほど。」

うんうんと滋以外は納得した顔だ。

「じゃさ、まずは膿を出さなきゃね。」

あんたも例えに乗ってるじゃないと乃梨子は秦野を睨む。

「膿ですか。それってダメージですよね、、」

「話したくないですか?」

香川が聞いてくる。心配している声のトーンだ。

「ううん。そんなことないよ。」


そう言って滋はつくしとの関係をみんなに話す。秦野や乃梨子は大体知っていたが、小田や香川は秘書課に来てまだ浅く知らないようだった。

「なんだか片思いみたいですね。」

「片思い?」

「そう。令子さんその親友に恋しちゃっているみたいです。」

「そう、、かな。」

「うーん、その親友のNo. 1ポジションにいたいのは分かる。」

「No. 1ですか?」

「だって他の友達にも嫉妬したんでしょ。」

桜子のことだ。

「そうですね。なぜ自分じゃないのって思いました。」

「理由は分かっているの?」

「はい。なんとなく。」

ーそれは私が頼りないから。滋は心の中で答えた。


「当たってなかったりして。」

滋の顔を見て乃梨子が悪戯っぽく言う。

「え?」

「うん。それっぽい。」

小田が乃梨子に同調する。

「当たってないって、、自分のことは分かるよ。」

少し痛ましげに滋は話すが、

「灯台元暗しって言うじゃないですか?」

「それ合ってる?」

「え?だって自分の足元は見えないってことですよね。」

「意味はそうだけど、あんたが言いたいことは自分のことは案外見えないって言いたいんじゃないの?」

「そうです。」

少し考えて小田は秦野の指摘を受け入れるが、指差すなと小田は秦野にチョップされる。

「私、自分のこと見えてないですか?」

「見える時もあれば、見えない時もある。それが普通じゃん?今は見えてないと思う。だってダメージ喰らったんだからね。」

「客観的に自分を見るって結構高度ですよね。それにどんなに客観視しようとしても所詮自分自身のことだから都合の良い解釈が入る。」

香川の言葉にみんなが反応する。

「意外だ。」

「うん。香川ちゃんが言うとは思わなかった。」

「何でですか、、って私もそう思います。これには理由があるんですよ。」

「理由って?」

「母に言われたばかりなんです。おんなじセリフ。」


どうやら香川はある店でスカートに一目惚れしたらしい。でも自分には少し幼く感じたため上着でバランスを取ろうと何軒も回って納得のいくカットソーを購入したのだが、それを見た母からまたその組み合わせ?と言われ自分は似たような組み合わせを何着も持っていることに気づいたらしい。

「記憶喪失なんじゃない?」

「違います!ちゃんと憶えてます。憶えてました!」

「じゃなんでそうなったの?」

「多分、、雑誌で見たコーディネートが凄く記憶に残っているんだと思います。そのコーディネートを初めてした時にイケてるって思って、、それが固定しちゃったのかなぁ、、」

「あぁー上手くいくと確かに記憶に残るよね。それが変えていったつもりでも戻っていたってこと?」

「多分そうだと。気づいた時超恥ずかったです。そんで、本当にイケてたのかさえ疑問に思っちゃって、、」

あぁーとみんなが同調するなか滋は自分に当てはめて考えるていた。


ーそれじゃあ私が頼りないからつくしは私を避けてるんじゃないってこと?でも桜子は頼られているよね。私とつくしの間を取り持ってくれたし、、じゃあ何でつくしは避けているの?


「令子ちゃん大丈夫?」

滋はハッとなった。

「分からなくなり、、ました。」

「何で避けられてるか、が?」

コクンと頷く滋。お弁当の箸は止まったままですっかり冷めてしまった。


乃梨子は秦野と目で合図する。

秦野は乃梨子に言うように促す。自分で言うと傷に塩を塗り込むかもと気兼ねしているのだ。


「令子ちゃんは距離の取り方を知らないからしょうがないわよ。」

「距離?」

「パーソナルスペースって聞いたことない?」

ふるふると首を振る滋。

それを見て乃梨子は苦笑いする。


「パーソナルスペースってのは、その人が安心する他人との距離よ。親しければ親しいほど距離は縮まるけど、人によって距離は違うわ。合ってないパーソナルスペースを取られると人は不快になる。パニックになることもあるかもね。・・・令子ちゃんはデート初日に立石さんに近づかれすぎちゃったから、気づかぬうちにパニックになって身体を許しちゃったんじゃない?」

滋はショックを受けていた。


ーそれじゃあ、立石さんを邪魔って思うのもパーソナルスペースのせい?


ドクン


ーつくしも私にそう思った?


ドクン、ドクン、、



滋は泣いてしまった。


その涙はみんなには想定内だったため、驚
きはしたけど慌てなかった。

乃梨子がハンカチを差し出す。

滋はそれを受け取ろうとした時、

秦野が滋にお弁当をよこせと言う。

「手に持ってたら泣けないでしょ。」


うぅー、うっ、うっ、、

ポンポン、、


ハンカチを当てて泣く滋に、慰める乃梨子。

「気づくことがまずは一歩よ。」

「気づけば直せるさ。」

うーん旨っと秦野はもぐもぐ滋のお弁当を食べている。


その食べ方がつくしを思わせ、つくしの優しさが思い出される。


『滋さん、、滋さん、、、滋っ!』


ーああ、つくしは優しいから言えなかったんだ。

そしてそれはきっと拒否ではない。

私は避けられているんじゃなくて、つくしは1人で我慢しているんだ。

あの子は私と違って頼ることをしないから、、

頼りたいと思ってない子に私は頼ってよとひとりよがりな思いを押し付けたのね。

つくしゴメンね。

司との事をずっと見てきたのに、私は自分の事でいっぱいになってつくしのことを考えてなかった。

滋はつくしの痛みがようやく理解できた気がした。




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つくしにすぐ抱きつく滋。
あれ、つくしは我慢しているけど絶対嫌だと思う。
優しさから言わずに黙っているけど、小さな我慢も積もれば爆発するよね。
限界を超えなくてもタイミングで爆発するかも。司との別れがそのタイミングと考えました。
T4の友情は長く続いて欲しいから、その辺を教えるために生まれた大河原興産秘書課一同。
私的にgood jobです。←自己満。
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コメントありがとうございます☆

パーソナルスペースについて反応があり嬉しいです。
(*'▽'*)

つくしと出会ったことで滋の周りも変化し、いつまでもお嬢様のままではないはずとの思いがありました。
抱きつくのもね、このお話では滋アラサーなんですよ。
いくらなんでもやらないでしょと頭を捻りました。

そして花男ではもう1人、つくしに対してパーソナルスペースを無視する人いますよね。
あの人についても書きたいとは思ってますが、余力がないのが現状。

他の2次さんのなかではいつまでもそれで真っ赤になるつくしですが、それされたら私は鉄拳食らわしてると思います。

思う、、けどそれはつかつくさんでも同意されないかなぁ?

lemmmon
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