甘さとスッぱさと ... 一歩進んで立ち止まる10
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一歩進んで立ち止まる10
2016-11-22-Tue
PM11:45

滋はマンションのリビングで窓枠に座りビールを飲んでいた。

この間の女子会で桜子が持ち込んだものだ。ビールといってもノンアルコールのビールであった。

「にが、、」

一口二口と口をつけたところで缶を下げ苦さを愚痴る。

「ビールって美味しくないなぁ、、桜子何でこんなもの持ってきたのよ。」

そう愚痴るものの桜子の事だつくしが好きだからという理由なんだろうと滋は思っていた。


滋は先ほどまでの父親との会話が頭から離れなかった。

***


「プレッシャー?・・縛られるって、、」

滋の問いかけは小さい。

「お前が考えるプレッシャーとは何だ?」

「え?」

「大河原家に生まれたことでお前は他人とどう違っていると思っているんだ?」

滋は口をつぐみ、少しずつ考えを述べた。

「交友、、関係が広いようで狭くなるわ。誰でも信じられる訳ではなくなる。私に近づく人は親しい関係というよりも利害を求める人が多くなる。」

「そうだな。それは大河原興産の影響力のせいだ。・・他は?」

「他?」

「そうだ。お前は大河原興産(の経営)をやりたいと言ったな。それについてはどう思う?」

「どうって、、女だから舐められるでしょうね。あと、私変わっているから。」

そう言って俯く滋。自分の価値を見出せない不満からか強く出れない。

「変わっているというのは関係ない。それから女というのもだ。それは本当の意味でのプレッシャーにはならないものだ。」

「え?どういうこと?」

滋は自分の考えを否定され戸惑った。

「一族の者が跡を継ぐことに関しては以前と認識が変わっている。私が会社を継いだ時はそれが当たり前だった。しかし今はコネという言葉が悪い印象を持たれている。一族だからということは能力があって当たり前、なければすぐに叩かれる。」

ゴクと滋は唾を飲み込んだ。

「分かるか?」

「え、ええ。」

「プレッシャーのことだぞ。」

「だから、、能力がなければ、、お前のせいだと言われるってことでしょ。」

「そうだ。(株主)総会でな。」

滋は狼狽えた。

株主総会。

大河原興産の株主総会は毎年ホテルオー○ラの鳳凰の間で開かれる。株主の数もさることながらその面々だ。ほとんどが企業の役員クラス。投資目的というよりもその繋がりでビジネスをしている企業ばかりだ。

そんな総会で自分の無能さを取り上げられたら、、

滋は考えただけでぞっとした。

顔色が青くなった滋を見て父は悲しい顔をした。父は滋を責めるつもりはなかったのだ。そこには会社での苦労を押し付けるのではなく(父の考える)娘の幸せを願っていた。

しかしここまで話した以上、きちんと言わなくてはと思った。娘は親の思い通りには進まない。滋も自分が考える道と違う方を向いているのだろう。

「女というのが関係ないのはそういうことだ。実績を残せば誰も文句は言うまい。しかし残せなければ風当たりは酷いぞ。さっきは能力があって当たり前と言ったが、それは実績を残して当たり前だ。つまり株主はそれ以上を望んでいるんだ。」

泣きそうになる滋。けれど唇を噛み締め涙を堪えていた。

ようやく理解した自分の立ち位置。

父が用意した居場所が父なりの優しさだとも分かった。


「司君のことを調べろと言ったな。」

滋は弱く頷いた。佐々岡からだろうが気にならなかった。

「司君もまたこのプレッシャーに立ち向かっている。彼女と別れたのもそういった理由からかもしれん。」

「理由って、、」

「護りたい者がいるということは、自分を強くするが、逆に弱みを持つということにもなる。」

「弱み、、」

滋は桜子の言った内容が理解できた。

ー司はつくしを傷つけられることを恐れたんだ。だから別れた。

愛しているのに。


滋は肩を震わせ俯いていた。向かいに座る父には頬を伝うモノが見えた。必死でこえを出さないようにしている様に父は声をかける。

「司君の調査をさせよう。彼のやろうしとていることを知ればお前の道も見えるかもしれん。」

コクンと滋は頷いた。

***


滋は自分はお嬢様から脱却したいと思っていたのだが、実際はぬるま湯に浸かりお嬢様という立場に甘えていたことを知った。

そんな滋のことを父親はありのまま見守っていた。

虎が我が子を崖から突き落とす様な厳しさを与えるでもなく、常に子どもの前に立ち嵐に吹き飛ばされぬよう盾となっていたのだ。

だが、優しさは時に人を傷つける。

滋はそのことを良く知っていた。

厳しい愛情がなければ人は成長しない。自分を追い詰める認識の無い者にとっては尚更だ。

滋はそのことをようやく知った。


ぐび

ぐびぐび

ビールを飲むペースが上がっていく。

苦さが今の自分の心情のような気がした。

「何も知らないお嬢様。」

今までの自分だ。

『気づくことがまずは第一歩よ。』

『気づいたなら出来るさ。』

秘書課の先輩の言葉

「なら知ってはじめて行動できるということね。」

嘆いたって何も変わらない。歳を重ねた分だけ違う自分もいる。

「このままお嬢様の枠にはまり続けてなんかいるもんか。雑草の親友も雑草よ。そうよねつくし。」



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想像で書いてみたんですが、本当はどうなんですかね?
でも株主総会で不祥事が見つかった時とか株主が経営陣を責めたりしてましたよね。あながち間違ってない?
滋に雑草パワーって違うとは思うけど、そうありたいって気持ちは分かってくれますでしょうか?
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