甘さとスッぱさと ... 一歩進んで立ち止まる16
プロフィール

lemmmon

Author:lemmmon
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

<< 一歩進んで立ち止まる17 main 一歩進んで立ち止まる15 >>
一歩進んで立ち止まる16
2016-11-28-Mon
母親と対面するに当たってどこで対面するかを白鳥に相談した。

邸にするか、それとも自分のマンションか、それとも父親と話した時のようにレストランにするかいろいろ考えたのだが、

「シンプルに家が1番じゃない?あまりごちゃごちゃ考えて場所を整えると何か考えてると思われるわよ。何せ相手は幾つ年の差があると思ってるの?いくら自分の母親だからといっても人生の先輩よ。真正面から向かって行きなさい。それが貴女らしくて良いと思うわ。」

そう白鳥に言われ、滋は電話もせずに邸へと向かった。

***


PM2:20

自分の生まれ育った実家なのになぜか訪問するような緊張感に苛まれる。

「おかえりさないせ。お嬢様。」

執事やメイド達に出迎えられる。

「ただいま。お母さまはいるかしら?」

「奥様でしたらお出かけです。上河原温泉の女将とお約束と聞いてます。夕方頃には戻られると思います。」

「そっか。じゃあ、私は部屋で休んでいるね。」

部屋まで歩きながら、母親の不在にほっとする。

しかし上河原温泉の女将?一体何の繋がりだろう。上河原温泉なんてどこにあるの?

母親の繋がりを全て知っている訳ではないので滋はあまり気に留めてはなかった。



それから2時間ほど経ち母親が帰宅する。

部屋で休んでいた滋はどう切り出そうかと悩み、パソコンで検索しながらもいつしかネットニュースなどを見ていた。

コンコン

「はい。・・・ママ!」

「おかえりなさい、滋さん。帰ってたのね。私に用があるの?」

帰宅した母は執事から滋が母の滞在を聞かれたことを聞き、そのまま滋の部屋までやって来たのだ。

「う、うん。そうなの。マ、、お母さまともちゃんとお話してないなって思って。」

じっと滋の目をみる母親。

滋は見透かされているようでビクビクしていた。

「呼び方を変えるのを苦労しているわね。」

「え?」

「私に気付いたときは“ママ”で、さっきは言い直して“お母さま”だったわ。」

「あ、、お父さまに指摘されたから。」

母の顔が優しくなった。

「そのことは聞いたわ。八つ当たりされて災難だったわね。」

「うん、そうだね。」

父から聞いていたことは想定内だ。だから言われても今の滋には耳が痛いだけだった。

「それで何?私に話って。」

滋は母の顔を見た。

白鳥の言葉が頭を過る。

ー真正面から向かって行きなさい。それが貴女らしくて良いと思うわ。

「お母さま、、お母さまは孫が欲しい?」

滋の直球に母も流石に驚いたようだ。

しばし絶句した後、ゆっくり話し始めた。

「そうね。欲しいかと聞かれたら欲しいわ。滋さんそういう相手がいるの?」

「いいえ、そういう相手はいません。相手を、、探そうとしたけど、自分自身がぶれてしまって、、今は相手を探す気にもなれないの。」

また母は滋をじっと見た。

滋は真っ直ぐ母を見ていた。

「それならば貴女には今素敵なご縁が無いという事ね。焦る事は無いわ。貴女が縁を結びたいと思える人に会ったら自然と結ばれるでしょう。」

「いつになるか分からないわよ。」

「気長に待つわ。」

母は穏やかに笑った。

その様子を見て滋はあのことについても相談してみようと思った。

「お母さま、あのね、、」

***


身振り手振りで感情露わに話す滋の事を母は頷きながら聞いていた。

その姿はまさしく子を想う母親だった。

滋の母多津子は戦後生まれのお嬢様育ちながら、長女として3人兄弟の真ん中であったため、上からも下からも言われる事に慣れていた。

そのため、嫁いだ先でも夫の言い分を否定する事なく華麗に手綱を引いてきた。

子どもは滋に兄弟をと頑張ったが、出来なかった。

そのため夫が滋と言う名を付けたことに、もっと反論していればという気持ちもあった。

滋が大河原家の令嬢として苦悩していることも知っていた。

しかし夫から見守ろうと言われ、それも一つの方法と受け入れた。

しかし母として葛藤がなかった訳ではない。

ー娘には幸せになって欲しい。

当たり前のことのように、滋の母多津子もそのことだけを考えていた。

「そう。貴女は誰かの盾を用いるんじゃなく、自分の盾を持ちたいのね。」

「盾?」

「誰かと結婚してその人の名声は使おうってことよ。」

「そんなの嫌!」

ぶんぶんと顔を振って拒否の態度を示す娘。もう30すぎなのにこの幼さ。母の前だからだとしたら嬉しいことだ。

「それじゃあどうしたいの?」

うっという表情をする滋。

その顔で答えたようなものだ。

「具体的なモノはないの?」

「思いつかなくて、、それでママに聞きにきたの。」

いつの間にかまた“ママ”に戻っている滋。母の頬も綻ぶ。

「大河原家の令嬢だからこそ出来ることってないかしら?その政略結婚以外で、、仕事としてよ。ママなら何か知らない?」

「大河原家の令嬢って、滋さん貴女お婿さんを取るつもりなの?」

「え?そんなことは、、まぁそれでも良いかなっては思う。」

「どっちなの?」

「どっちでも、、かな。その時々に合わせる感じ。だって嫁ごうがパパが黙ってなさそうなんだもの。だったら婿でも良いかなって。」

「お父さまが?」

そこで滋は父の過保護を母に話す。

母は自分には見守ろうと言っておきながら、実際には手出ししていた父に呆れていた。

と、同時に手綱を引ききれてなかったことに腹が立った。

ー会社のことまでは私は関与できないものね。それじゃあ、滋はいつまでも子どものままのはずだわ。

30過ぎた大人子どもの親って、流石に恥ずかしいと思わないのかしら?

「しょうがないお父さまね。」

「うん。でも、私を愛してくれているし、私がしっかりすれば良いことだしね。」

母は滋の言葉にハッとする。

ーいつの間にこんな子になったのかしら?令嬢としての葛藤も、父親の過保護もこの子には必要な事だったという事なの?

いえ、葛藤はともかく過保護は必要ないわ。ただでさえ裕福な子どもは我儘に育ちやすい。滋がそんな子でなかったから良かっただけで、そうだったら私達はモンスターチャイルドを養い続けなければならない。

母にもまた同年代の友人がいる。企業のレベルは違えど同じ様に経営者の夫に嫁いだ友人からは、裕福が故の失敗談も良く耳にしていた。

それに実は自分の妹も我儘なお嬢様だった。

3歳年下の妹は大河原からの縁談にその釣書を読んで一度は乗り気になるものの、夫の写真を見て嫌だと言い始めた。

夫は笑ってなかったのだ。

おまけに同時でもイケメンの部類になかったせいか、夫はわざとそんな写真を使ったのだが妹は気付いていなかった。

結局夫は自分とお見合いしそのまま結婚となった。

そんな妹はその後に来た縁談も釣書よりも写真うつりを重視したためなかなか良縁が結べず、何度か断り続けた後やっと釣書を見るべきと気付いたのだが、その時に一番良い縁談が自分の夫であった。

その時には自分と結婚していたにも関わらず、父親に姉と離婚させて自分(妹)と結婚させて欲しいと言ってきた。

これには妹に甘い顔をしていた父も激怒したらしく相当怒られたようだが、本人は分かってないらしく、それから父の決めた相手と半強制的に結婚させられた。

そんな妹は良い妻になれる訳もなく、父親は結婚相手の家に何度も頭を下げることになり、結局離婚。

出戻りの後からは父の態度も一変したため、妹は早々に相手を見つけ再婚したのだが、また数年で離婚。実はこの離婚妹の浮気が原因だった。

多額の慰謝料を請求された父は妹に結婚を禁じた。それから妹は優雅な独身貴族を送っているつもりだったらしいが(実は父にかなり金銭面で管理されていた)、父の死後跡を継いだ兄から絶縁状を叩きつけられ、今は確か中国の富豪の愛人になっているらしい。

当然大河原もこの絶縁状にサインをしていた。

つまり、母多津子は滋が真っ当に育ってくれていて安心しているのだ。

しかし、自分の道を中々決めきれない娘にやはり過保護のせいかと責任も感じていた。

「大河原家の令嬢として生きるならば、先ずは顔を知ってもらわなければね。」

「え、私顔知られてないかな?」

「最近はどこかのパーティに行った?」

「最近は、、行ってない。」

「それに顔を覚えてもらおうと意識を持って参加なんてしたことがないでしょう。」

「・・・・はい。ないです。」

母は何から何まで滋の世話を焼いてはダメだと分かっていた。

自分の足で歩みたいならば、道も自分で見つけなければならない。

「今度のパーティは大河原家の令嬢の滋ですと、胸を張って行って来なさい。貴女の表情を見て、相手は態度を変えてくるわ。もちろん良い意味でよ。それから自分で縁を見つけて来なさい。貴女を必要とする人がいるはずよ。そう信じるの。」

↓ランキングに参加してます。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村



*上河原温泉:架空の温泉地です。
滋の母親の名前は原作でも出てないよね。マイナーキャラだものね。随分酷い妹を登場させてしまいました。これくらいの反面教師がいないと実感しないかなと思いまして。早くもドリーム入ったかlemmmon?!
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

一歩進んで立ち止まる cm(1) tb(0)
Comment
 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
Trackback
この記事のトラックバックURL
http://lemmmon.blog.fc2.com/tb.php/165-6957acec
| |