甘さとスッぱさと ... 一歩進んで立ち止まる22
プロフィール

lemmmon

Author:lemmmon
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

<< 初サボりしちゃった。 main 一歩進んで立ち止まる21 >>
一歩進んで立ち止まる22
2016-12-04-Sun
大河原興産本社ビル5階

ここには大河原関連の事務所が入っており、滋の個人事務所もここに構えられていた。

日本武道館の理事に、マナースクールの講師をやってはいるがどちらも非常勤扱いなため滋には個人事務所が必要であった。
(どこかに属することは更なる緊張感を生むことになりかねないため避けた)


「もう大丈夫なんですか?」

「うん。心配かけたね。だいぶ落ち着いたよ。」

滋がそう声をかけ気を使っているのは元同僚の秦野だ。

秘書総合課に在籍していた秦野は大河原興産を退職し、今こちらの事務所にパートとして籍を置いている。

それは個人事務所の事務員を探していた滋にとっても、秦野自身の身を案ずる上でも都合が良かったからだ。


なぜなら、、

「でも見た目はまだ変わらないですね。もう6ヶ月になるんですよね。」

そう秦野は妊娠していた。つまりすでに入籍も済んでいて今は秦野ではないのだ。

「見た目は変わらないか?でも結構スカートはキツキツになっているし、それに胎動もあるぞ。」

「えっ、本当に?」

ガバッ

そう言っていきなりお腹にかじり付いた滋。お腹に耳を当て胎動を聞こうとしている。

「聞こえませんね。」

「・・・・・」

「ねぇ、はたの、、」

ゴンッ

「痛い。」

「当たり前だ!」

いきなり滋に抱きつかれ秦野は心臓の音がうるさいくらいにドキドキしていた。なので滋が顔を上げたとたんついゲンコツをお見舞いしてしまったのだ。

「あんた、私の心臓を止める気か?!心臓が止まったら赤ちゃんだって死んじゃうんだぞ!」

「す、すみません、、動いてるって言うから聞こえるかなって、、つい、、」

「動いているけど、聞こえるか!私が少し動きが分かる程度なんだぞ!それに、聞きたいからってすぐ抱きつくな!非常識だぞ!!パーソナルスペースの話は頭に残ってないのか?!」

秦野に怒鳴られてシュンとする滋。非常識と言う言葉が突き刺さってしまった。

滋が落ち込んでいることに秦野も気づき動悸が治るのを待ってから語りかける。

「いきなり抱きつくなんてしちゃダメだ。子どもが親にするならともかく、あんたは大人だろ?そんな愛情表現、、、」

言葉に詰まる秦野。滋はそのことを疑問に思う。

「どうかしましたか?」

「ん、、あんた親に抱きつく表現を恥ずかしいと思ったことあるか?」

「いえ、ないです。」

「じゃ、そのことを友達に変だと指摘されたことは?」

グッと滋は手に力が入る。

それを見て秦野は理解した。

「まぁ、あんたの立場じゃそうなるか。っていうか、子どものころからそんな環境だったんだね。知らないまま大人になってしまったってことか。」

「いけない、こと、、なんですね。」

「まぁ、そうだな。親しき人にも礼儀ありってね。パーソナルスペースの話と同じで、いきなり抱きつかれたら困惑されるぞ。、、、そして嫌われる。」

嫌われるという言葉にビクッとなる滋。

「誰にそうしてた?」

「誰って、、」

「親友か?」

秦野は滋の顔を覗き込み、溜息をつく。

「そうだったか。その親友はあんたの立場をちゃんと理解してはいたかな?あんたは言ってなさそうだし、話を聞く限りでは理解してなさそうだ。今度会ったら言うと良い。そして謝るんだな。驚かせてゴメンって。」

「はい。」

秦野が優しく諭してくれたことで滋も落ち着いてきた。そして自分の立場故の人間関係も、、もしかしたら今まで良い人間関係が築けなかったのはこんな理由があったからかもしれない。

「秦野さんありがとうございます。」

「秦野じゃないけどな。」

「あっ、そうですね。立石さん。」

そう秦野はあの立石と結婚していたのだ。しかも授かり婚。

滋のお婿候補として厳選した立石だったが、初デートでまさかの朝帰り。しかも部屋を取っていたという念の入れ様に秦野は人選失敗の責任を感じていた。

なので、滋が秘書課を退職したのは自分の所為でもあるのではと考えていたところ、エレベーターで立石と2人きりになる機会があり、立石に文句を投げつけた。

いきなり噛み付かれた立石は流石に腹を立てたが、自分の行動に反省もしていたので素直に謝った。しかし立石自身にもそう行動する理由があり、それを知らずに文句を言うのはどうかと逆に秦野を攻め立て、2人はじっくり話をすることになる。

それから2人が大人の関係になったのは言いたいことを包み隠さず言い合えたからかもしれない。1年ほど付き合った時に秦野は妊娠する。それで結婚へと至ったのだ。


秦野はチラッと後ろを見る。

それに吊られて滋も後ろを振り返ると、そこには滋の秘書佐々岡がいた。

「げっ。佐々岡さん、、いつから?」

「滋様が立石さんに説教されているところからでしょうか。滋様の立場に立石さんが気づいたのも私を見たからかもしれませんね。」

「その通りです。佐々岡さんが悲しげな顔をしていたので、滋さんの所為じゃないなと気づいたんです。」

「もう、声かけて下さいよー、、恥ずかしい。」

「かけませんよ。大事な話です。こういうことは貴女に進言する方など今までいなかったでしょう。せっかくの機会を台無しにするほど私は機械的ではないですよ。」

パチパチパチ

秦野もとい立石は手を叩き賛同の意を示した。

「立石さん飲み物をお願いできますか?」

チラッと佐々岡が立石に視線で合図を送る。

立石もそれに合意し、席を立った。

「久しぶりに炭酸が飲みたくないですか?妊婦だからか好みが変わってしまったんですよね。コンビニまで行ってきますね。」



パタン

立石がドアを閉めたのを合図に佐々岡は表情を変えた。

「例の人物を調べました。確かに道明寺ホールディングスの秘書課に在籍しています。」

「そうなんだ。じゃ、悪戯とかではないんだね。」

「はい、それは無いと思います。道明寺が日本武道館の使用を考えていると思って良いでしょう。」

うんうんと滋は頷く。

「ですが、他の会場にも問い合わせをしているようです。何を企画しているかまでは知りませんが、時期が未定なんでしょうね。それとこの岩元という人物ちょっと変わった経歴の持ち主でした。」

「変わったって?」

「彼は10年程前に道明寺に転職してきたらしいです。その前はパワープロダクションにいたようです。」

「パワー?、、どこその会社?」

「芸能事務所です。1番の大手です。」

「へ?芸能事務所?なんでそんなとこから???」

「おそらくですが、引き抜きでしょうね。それも司様自らの。」

「司が?なんでそう思うの?」

「司様は去年離婚してますよね。随分アッサリと決着したのに違和感を感じてました。普通、司様と結婚したならばそうそう離婚には同意しないと思ってましたから。

それにゴシップもされてもいましたが、どこか都合良くも思えたものです。

芸能事務所のキャリアを持つ者が脇を固めていれば、その辺りのコントロールも可能かと。」

「なんで?なぜコントロールできるのよ?」

「今も昔も芸能人に恋愛は御法度だと思います。特に熱愛をスクープされると事務所に別れさせられるというのは聞いたことがありませんか?つまりその管理のプロではないかと。」

滋は桜子の言葉を思い出した。

『道明寺さんは離婚する前提で結婚していると思います。』

その理由がカチッとはまる。

黙って考えていた滋に佐々岡が声をかける。

滋はそれに何でもないと答えた。

「それじゃあ、その岩元って秘書と会えないかな?何を企画しているのか知りたい。企画の内容では武道館の使用を私からも言えると思う。」

「分かりました。アポイントを取ります。秘書だけでよろしいですか?」

「・・・まずは秘書とだけ会うよ。私の思い違いだったら、その岩元さんにも迷惑がかかりそう。それに今回違っていても、私諦めないから。」

佐々岡ははっきりと言葉にしない滋だったが、腹は立たなかった。言葉に出さないことが滋なりの対処なのだろう。

何でも思ったことを口に出してしまっていたお嬢様はもうそこにいなかった。

滋の変わりように佐々岡は心の中でほくそ笑んだ。

ー立派になられましたね。滋お嬢様。

「では、秘書にだけアポイントを取ります。お待ち下さい。」




↓ランキングに参加してます。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


第1話で出てきた立石さん、滋の相手にしようかなとも思ったけど止めました。この抱きつくエピソードが書きたくて。滋さんに世話やきすぎる秦野っち。滋さんそのうち立石さんにやきもちやかれるかもねー
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

一歩進んで立ち止まる cm(2) tb(0)
Comment
 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
Trackback
この記事のトラックバックURL
http://lemmmon.blog.fc2.com/tb.php/171-ec078586
| |