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スッピン11
2016-12-20-Tue
その部屋に居たのは道明寺楓だった。

全く心構えをしていなかったつくしは驚きのあまり固まってしまう。

「どうぞお掛けになって。」

楓の声掛けにも目を瞬くつくし。

そんな中、

「僕も失礼します。」

岩元がつくしより先に腰掛けてしまった。

「相変わらずね。貴方も。」

「恐れ入ります。」

「褒めてないわ。」

「そうでしょうか?」

岩元は楓と話している。

会話だけを聞いていると火花が出ている風にも捉えられるが、2人の表情は穏やかだ。

「奥様もお掛けになって下さい。」

岩元にも再度促され、つくしもソファに腰掛けた。

「なんか岩元さん、謎ですね。」

「謎ですか?」

「はい。おか、、しゃ、社長と、何というか、、西田さんもそんな風に話さないですよね。」

言葉が上手く纏まらないつくし。

まだパニックっているらしい。

「ふふ、貴女の言いたいことは分かるわ。でもそうね。確かに西田は私とこんな風には話さない。彼とこうして話をするのは、彼と出会った時のタイミングかもしれないわね。」

え???とつくしは反応する。

まだ良く分かってなくて当然だ。

「彼、岩元を司がNYに連れてきたのは知っていたけれど、秘書の1人で少し毛並みが違うくらいにしか思って無かったのよ。

でも司が結婚すると言いだした。そのことにも驚いたけれど、その影に彼の存在が見えてきた時興味が湧いたの。

そして会ってみたら、彼は私をボス扱いしなかったの。凄く新鮮だったわ。」

楓をボス扱いしないなどあり得ないとつくしは思った。

その言葉に驚きつくしは岩元を見る。

「別に社長を蔑ろにした訳ではありません。僕のボスは副社長ですし、そこはブレては僕のモチベーションにも影響しますからね。

それに社長に対してそんな態度を取れたのは僕のキャリアあってのことでしょう。」

キャリア?と声は出ないがつくしは疑問に思っているようだ。

相変わらず素直な方だと岩元はつくしの好感を再確認する。

「僕が以前芸能事務所に居たことは話しましたよね。そこでは重鎮と呼ばれる方々と仕事をさせていただきましたから、目上の方には慣れていたのですよ。」

つくしは芸能界の重鎮というと誰?とパニックを引きずっていたから具体的な名前は出てこなかった。

しかし何となく言っていることは分かる。

そして楓と岩元が敵対していないことも、、、

もしかして、岩元は司と楓を取り持ってもいるのだろうか?

そんな事を考え、顔を上げたつくし。

そんなつくしを楓は見ていた。

「あ、あの、、お久しぶりです。えっと、、ん!先日、司さんと入籍しました。」

そして立ち上がり一礼する。

「ご挨拶が遅くなってすみませんでした。」




頭を下げたまま顔を上げないつくし。

5分ほどその状態だっただろうか?

何の反応もないことにつくしは恐る恐る顔を上げると、楓はやれやれという顔をしていた。

それで岩元の顔を見ると頷いている。

つまりもう承知していることだろうか?

司は以前、楓はもう反対などしてないと言っていた。むしろ自分達の結婚に安堵しているとも。

しかしつくしにはにわかに信じられることではなく、今のこの状況でも何かのドッキリかと思ってしまう。

「あ、あの、、今日はお仕事はお休みなんですか?」

まだドキドキしているつくしだが、少し様子が見えてきた。

楓は紺のワンピースを着ていて、ビジネスという装いではない。

「ええ。違うわ。というか、私は最近ビジネスに口出ししてないのよ。」

「へ?」

「ふふ、貴女のその顔!面白いわねぇ、、」

「へっ?あ、すいません。」

「あまり奥様を揶揄われると副社長がごねますよ。」

岩元も話に普通に加わる。

「想定内よ。あの子は昔っからそうだから。それでこそあの子って感じね。」

楓は何だか楽しそうだ。

しかしだからと言ってつくしが気楽になれるはずもない。



「社長から奥様にお会いしたいと申されたのですから、話を進めていただかないと。

奥様からお話はできかねないと思います。」

そう岩元は助け船を出す。

「そうね。つくしさん。以前は司のことで貴女にいろいろ苦痛を与えてしまったわね。

貴女に対して失礼な行為と認識してますが、当時の私にはあれが最良の判断。なので謝ることは出来ないわ。

それが道明寺楓としての在り方だったの。

私も完璧ではないけれど、信念に基づいて行動してきたつもりです。

謝罪をしないことを受け止めていただけるかしら?」

「・・・はい。」

ごめんと言えない立場。たとえそれが過去のことでもそうせざるを得ないことは今のつくしにも理解できた。

それは司にも言えることだ。

昔のやりたい放題だった過去。

それを認めてしまうことは、道明寺で築いた司の努力を破壊してしまう。

そうなると道明寺自体の崩壊にも繋がりかねない。


「結婚のことは反対してないのですか?」

「してないわ。というより出来ないの。

・・・私の事情でね。」

その言葉につくしはハッとなる。

「本心はどうなんですか?」

「本心?それを聞いて貴女達は結婚を辞めるのかしら?」

「いえ。辞めるつもりはありません。」

「そう。私も本心を言うつもりもありません。」

つくしは楓を見た。

幼い時はあんなに大きく強い人に見えたが、今は違う。

曲げることをしない人。

それは強さでもあり、弱さでもある。

「ではあたし達夫婦に、何か求めてますか?」

「何か?」

「はい。例えば孫とか、、」

「そうね。孫の顔は見たいわ。子どもと違って育てる義務はないし。」

そう言ってフッと笑う。

その笑い方が自嘲しているようだった。

「では子どもが出来たら報告します。」

「そうしてちょうだい。」


色々思うところはあったが、つくしは敢えて細かく話を進めなかった。

子どもを世嗣ぎとも言わなかった。

それで良い気がしたのだ。

道明寺のしがらみを楓自身が望んでない。そう感じたからだ。


***



それからつくしは楓が用意した服に着替えた。

上品な服には違いないが、この服を選んだ意図が分からなかった。

「社長この服は、、」

「これはメープルの3代前のユニフォームよ。メイド服様から現在のホテル様へと変わる中で、私が取り組んだ改革の一つでもあるわ。

他のホテルに先駆けを許したけれど、メープルにもメープルという形を作りたかった。」

「何故、、これを?」

「さぁ?何でかしら?・・・ただ、貴女変装をしているんですってね。それでかしら?」

理由になっているようななってないような、、

でも悪意や拒絶は感じられない。

これを着ることで何か感じるかもしれないし、何も感じないのかも、、

この時つくしは楓の意図をやはり分からなかったが、とりあえず着て過ごすことにした。

「ありがとうございます。」

お礼を口にするつくし。

そしてふとあることを思いついた。

「折角この服を着せていただいたので、メープルの仕事をさせていただけませんか?」

「メープルの?貴女ホテル業の経験はあるの?」

「ありません。清掃員ならあります。」

「その服は接客担当の服よ。客室用ではないわ。」

すると岩元がチラッと楓を見た。それにつくしは気付いていない。

「でも、そうね。貴女に清掃員をさせるつもりで渡した訳ではないし、メープルの接客をその目で確かめるといいわ。

それから仕事をするかしないか決めなさい。メープルの仕事はその場の研修で出来るものではない。

社会見学をさせてあげましょう。」

社会見学という言葉に棘を感じたつくし。

でも言われたことは最もだ。

おまけに考えてみれば、突然させろというのも失礼であった。

「ありがとうございます。見学させていただきます。」

“社会”をつけなかったのはつくしのささやかな抵抗。全く経験のない職種に踏み込むとはいえ、常識をわきまえてはいるつもりだ。

それから楓は電話で指示をすると、先程のケイトさんが部屋にやってきた。

あっと反応するつくしをよそに、楓はケイトに指示を出す。

そしてつくしはケイトと共に出て行った。


つくし達が部屋を出た後、岩元は立ち上がり楓に一礼する。

「それでは僕もお役ご免致します。」

「つくしさんに私と会うことは伝えなかったのね。」

「はい。その方が最良と判断しました。」

楓は岩元を見た。それで彼の最良の内容を理解する。

「副社長は奥様のためにブランドを立ち上げるようです。」

突然岩元から出た司の動向。その内容に楓は反応する。

「出産・子育てと奥様は忙しくなると思いますが、テーラーとしての経験をこれからも活かして欲しいという考えからのようです。」

「へぇ、、本当にあの子は彼女のこととなったら考えるのね。」

「何でも奥様の作られたシャツを着て以来他の物は着れなくなったとか。着たら痒くなるそうです。」

「ふふ。馬鹿ねぇ、、」

「奥様があのユニフォームを着用したことで、そちらにも興味を持つかもしれませんね。」

「どうかしら?」

苦笑していた楓の口元が下がる。

「奥様が希望されたら副社長も頷くしかないですよ。奥様第一な方ですから。」

「そう。」

「では失礼します。」

楓は岩元が出て行くのを見なかった。

ゆっくりお茶を飲んでいた。

「私の出番はなさそうね。」




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う~ん楓さんを寂しがらせてしまった。
岩元さん良いよね。西田さんはスーパー秘書だけど道明寺畑しか知らないから楓さんにもああいう風には出来ないと思う。
でも難しい大人にはあんなアシスト必要だよねー

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