甘さとスッぱさと ... 花街に護られてー灯台まだ暗しー
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花街に護られてー灯台まだ暗しー
2017-01-31-Tue
江戸時代を背景にお話を書いてます。
時代的な言葉や名称などは詳しくないので現代風に置き換えてます。
それでも明らかに違うようにはしてません。
細かい矛盾点などあるかと思いますが、目を瞑ってお付き合い下さい。
ダメなら進まないでね。










昼間の遊郭。

参勤交代で江戸にやって来た藩勤めの男達が冷やかし半分で張見世を覗くくらいで、遊女達ものんびりと構えていた。


そんな中若い男が二人の男を従えて伊吹屋の暖簾をくぐった。


「おや、あんたはこないだの。」

「今日はこいつらを遊ばせようと思って連れて来た。」


そう言って割腹の良い男二人を顎でしゃくる。

体は大きいがまだ年端もいかない少年だろう。その顔には幼さが残っていた。


「そうですか。では気に入った娘を選んでくんなまし。」


そう言って男二人は見世の女将に張見世の遊女を指名した。


「で、あんさんはどの娘にしますか?」

「俺はいい。こいつらが終わるのを待つ。夜もあるんだ。そう長くは遊べねぇだろ?」

「どこで待つつもりで?」

「こいつらの部屋の前でいいさ。」

「え、、坊ちゃんそれじゃあ聞こえますよ。」


坊ちゃんの答えに焦る大の男達。しかしその坊ちゃんはしれっとしていた。


「だから何だよ。俺に外で待てってか?お前ら俺の用心棒だろ?だったらお前らの側に居ねぇと困るのはお前らだろーが。それとも何か聞かれちゃ困るのかよ。女の扱い知らねぇって。」

「そんな事はありませんぜ。」

「ふん。別にお前らのブツを見たいと思っちゃいねぇよ。灯台下暗しっつーじゃねーか。ここまで俺を狙いに来る奴はいねぇだろ。裏をかいてるだけだ。お前らの声も聞いちゃいねーよ。」


そう言ってその坊ちゃんは男達の後を付き二階へと上がって行った。

男達はそれぞれ選んだ遊女の部屋へと入る。

そして坊ちゃんはその部屋の近く廊下の隅に腰を落ち着けた。


そんな坊ちゃんの姿を見つけ声をかける。


「あれ、あんたまた来たの?」

「よう。まぁな。」

「そっか。紫陽姐さんに会わせに連れて来てくれたんだ。」

「今日は樹助じゃねぇよ。」

「へ?そうなの?」

「ああ。用心棒はあいつだけじゃないからな。あいつだけ贔屓にしたら他の奴らが不満に思うだろ。」

「そ、、うだね。それは考えつかなかった。」


それはこの坊ちゃんも考えつかなかった事だ。本当は樹助を連れて来るつもりだったのだが、当の樹助に指摘され別の用心棒達を連れて来たのだ。

そうしなければ樹助はここには来れなくなっていただろう。


「おめぇもここにいろよ。」

「は?何であたしが?」

「姐さんの仕事を見るんじゃねぇの?」

「そうだけど。あたしの姐さんは紫陽姐さんで、今張見世にいるのよ。」

「この部屋にいるのは桔梗って女だったな。」

「桔梗姐さんの禿(かむろ)はあやかだね。部屋の中にいるんじゃないかな?」


すると襖が少し開いて、中からあやかが顔を出してきた。


「つくし声が大きいよ。あたしが居づらくなっちゃうじゃないか。」


それを聞き口を押さえるつくし。
頭をぶんぶん振り、謝っている。


「あやかごめん。」

「もう良いよ。でも声は押さえてね。つくし、その人の相手してやってよ。姐さんの客の連れみたいだからさ。」

「えーー」

「そう言う事だ。相手しろ。」

「何であんたが威張って言うのよ。」


声を押さえながらも頬を膨らませ坊ちゃんを睨むつくし。

お人好しのつくしは結局坊ちゃんの相手をするのだった。

とは言えまだ禿のつくし、水揚げもまだ先なので相手と言っても話相手だ。


「あんたは買わないの?」

「知らねえ女なんかと肌を合わせられるかよ。」

「は?何それ。あんた潔癖なの?」

「てっぺき?何だそりゃ。俺は司だ。てっぺきって名前じゃねーよ。」

「名前なんて聞いてないよ、、でもそういや名前聞いてなかったね。司って言うんだ。格好良いじゃん。」

「おめぇはつくしだろ。草の名前かよ。」

「ムッ。悪かったわね。あたしは気に入ってんだから良いでしょ。」


ついつくしをからかってしまう司だったが、別につくしが嫌いな訳ではなかった。

むしろつくしの事を気に入っていたのだ。

言った事に素直に反応するつくし。

怒らせてしまう事が多かったが、そんな怒った顔も司は見たいと思っていた。





***


その数日後の夜。


とある反物屋の番頭が若い男を連れて伊吹屋を訪れた。

その男はその反物屋の跡取り息子だった。

女遊びを覚える為に来たであろう事は見え見えだった。

その跡取り息子が指名したのはつくしの姐さんである紫陽。

女を抱いた事もない身体だけ大人の男。

はじめは遊女の手ほどきを聞いてはいたが、女の身体を知ってタガが外れた。

紫陽の言葉に耳を貸さず、ケモノの様にただ腰を打ち付ける。

紫陽は白々しい喘ぎ声すらする気にもなれず、苛立ちを抱えたまま男が果てるのを待った。

つくしも腹を立てていた。だが腹は立つけれど何も言えない。

これまでも腹立たしい客はいた。

それを思い出し、拳を震わせながら唇を噛み締め耐えていた。




**

そしてまた司が別の用心棒を連れて伊吹屋にやって来た。


前の様に廊下の隅に腰を据える司。


そんな司の姿を見つけつくしは側にやって来た。


「よう。珍しいな、おめぇからなんてよ。」

「あんたに聞きたくてね。」

そう言ってなぜ見てるだけなのかつくしは聞いた。
先日の反物屋の息子の話を出して、
同じ位のあんたも同じ様にするはずだと言った。


「あんたみたいな背格好だったわ。あんただってもう元服したんでしょ?」

「してねぇよ。俺はまだ12だ。」

「へ?へーーー???」


思わず大きな声で驚くつくし。
司に声がでかいと顔を顰められまた口を押さえる。


「嘘でしょう。」

「何で嘘なんだよ。まぁもうすぐ13にはなるけどよ。」

「信じらんない、、、でも、それでもさ女を抱こうとは思わないの?」

「思わねぇ事もねぇよ、、」

「それじゃあ、、」


つくしは言葉を続けられなかった。

それは司が真っ直ぐ自分を見ていたからだった。



ドクン、、



急に跳ね上がる鼓動につくしは戸惑った。



そんな中司の用心棒のいる部屋から遊女の悲鳴が聞こえた。


「なに?」


戸惑うつくし。落ち着かない鼓動に怯えさえ見せてしまう。

そんなつくしを見て、司は立ち上がり襖を一気に開けた。



驚く中の用心棒。

相手の遊女とその禿は顔を歪ませていた。



「おめぇ、女遊びをするのに礼儀も知らねえのか?」


まだ子どもなはずの司から出る恫喝の様な声に用心棒は冷や汗をかく。


「ぼ、坊ちゃん、、どうしたんですか?」

「どうしたじゃねぇよ。俺の金だからっていい気になってんじゃねぇのか?女の扱いも知らねえ奴連れて来るなんざ、俺の面に泥を塗るのもいいとこだぜ。」

「す、すみません。ちっと、お痛が過ぎちまったみてぇで。坊ちゃんの顔に泥を塗るつもりなんざちっともねぇです。へぇ。」


へこへこと司に頭を下げる用心棒。

司に雇われている身なので強く出れないのだろうが、それにしては怯えも見せている。


すると、



ドゴッ


司が用心棒の肩を蹴り後ろへ投げ倒した。


「帰るぞ。」

「・・へい。」


肩を押さえて立ち上がる用心棒。

部屋の遊女も禿も廊下のつくしも呆然としていた。


部屋を出て行く時、司はつくしの頭をポンと叩き悪かったなと小さく呟く。



つくしは司の背中を見て、静まらない鼓動の正体に気付いた。


司の騒動に騒つく見世の中。


女将に頭を下げる司を見て、つくしは司を反物屋の跡取り息子と同じに考えた事を悔いた。


つくしが顔を上げると、暖簾が揺れていて司の姿はなかった。


すぐに部屋に入り、通りを見渡す。



窓に手をかけたつくしが見たのは、こちらを見上げる司の姿だった。


司の口元がかすかに動き、

振り向いて行ってしまった。




その場にぺたんと座り込むつくし。


しばらく動けなかった。


頭に過ぎるのは姐さんの言葉。


『男に本気になっちゃいけないよ。』


それは自分の身を案じて教えてくれた姐さんの言葉。


「これは恋じゃない、、、きっと、そうに決まってる。」


そう呟いた途端に滲んだ視界。


袖で涙を拭いたが、中々涙は止まってくれなかった。






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司Birthdayにはちと違うかなーと思いつつも、少女漫画を意識して書いてみました。

つくしBirthdayに書いた話の前の事になります。出会ってすぐくらいかな。

すぐに恋の炎が点火するつくしじゃないよね。

これは司が投げた火がちょっとだけ燃えたくらいでしょうか。

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