甘さとスッぱさと ... 花街に護られてー恋仲になるまで7ー
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花街に護られてー恋仲になるまで7ー
2017-02-05-Sun
江戸時代を背景にお話を書いてます。
時代的な言葉や名称などは詳しくないので現代風に置き換えてます。
それでも明らかに違うようにはしてません。
細かい矛盾点などあるかと思いますが、目を瞑ってお付き合い下さい。
ダメなら進まないでね。









「え、、、司が?」

「そう。さっき茶屋を通ったらさ、隅田屋の遊女が話していて、だからあたし聞いたんだ本当に道明寺の坊ちゃんかって。」

「・・・・それ、で?」

「そうだって言うの。若い男で大男で、目つきが鋭くて、でも凄く顔が整っているって、、それって道明寺の坊ちゃんでしょ。」


つくしは答えられなかった。それが司だろと聞かれて容姿が一致したとしても、それはつくしの望んだ結果ではなかったからだ。


しかし、俯いていた顔を上げつくしは真っ直ぐ前を見た。その顔はどこか諦めがあった。


「そうだね。そうかもしれないね。」

「そうかもって、、つくし良いの?」

「あたしは買われた身だもの。文句言える筋合いはないわ。返金に来るかもしれないし、来ないかも、、だし、、もしかしたら、どこかへ売られるかもね。」

「つくしぃ、、」


つくしよりも話を持って来たあざみの方が泣きそうだ。

それを見てつくしはふふと微笑む。


「あたし掃除が残ってるから。あざみも見世の準備があるでしょ。さぁ、行きなよ。」

「つくし、本当に良いの?」

「それがあたし達の宿命じゃない。しょうがないよ。」




そんなつくしの様子を二階で見ていた。


「あの糞餓鬼、、」


ギリギリと悔しそうに歯ぎしりする紫陽。他の姐さん達も集まり、男に翻弄される妹を憂いていた。






***

次の日の夜、


ある男が伊吹屋を訪れた。


「紺野太夫を。」


その男は太夫を指名した。

しかし見世の最高位、太夫を指名するのはそれなりに金を積まなければならない。

その日、太夫は別の客太夫の馴染みの客を相手していた。

そのためいくら金を積もうが一見の客を相手にする訳はなく、その客は太夫の新造を相手にしていた。
*桜子ではない。まだ桜子が見世に来る前の話。


しかしその客なぜか機嫌が良い。

太夫を希望していながら相手されていないのに。

新造相手に賑やかに会話し、座敷遊びなど楽しんだようだ。そして同衾は出来ぬものの新造と共に朝まで過ごし、朝後の別れでは新造の手を摩り別れを惜しんだようだ。

その客の様子に違和感を感じる者もいた。

しかし太夫を希望したのだから段階を踏むのは当然。違和感を感じながらもその段階を楽しんでいるのだと納得した。


そして日を置いてまたその男はやって来たが、その日も太夫は別の馴染み客を相手していたためその男は新造と過ごした。朝後の別れまで前回と同じ様な態度に流石の新造も疑問に思った。


そしてこの日もその男は太夫の新造を相手していた。

しかし程なくして太夫が部屋へやって来る。その男は太夫の登場に一瞬顔を曇らせた。

が、直ぐに気を取り直し太夫を迎えた。

その後は特段変わった事もなく、太夫は同衾に同意した。

その男と肌を重ねていく太夫。

違和感だらけの同衾だった。

普段は男を翻弄する立場なのだが、この男にはそれが通じない。女に通じているのは確かだろう。だがそれにしては気がなさ過ぎる。まるで、意せずして交わっているようだ。

たまらず太夫は男に聞いた。何の目的があるのかと。

するとその男は自分の名を語った。

それは本名ではない。ここ遊郭で通じる名前だ。


「舟男って確か隅田屋の、、」


太夫が知っていた事に男は眉根を下げる。

そして目まぐるしく頭を回転させる太夫。それで一つの答えを導き出した。


「道明寺の坊ちゃんだね。それしか考えられない。何故だい?何故あんたがあたしを抱くように坊ちゃんは仕向けたんだい?」


その疑問に答える男。どうやら太夫との同衾は男にとってそれ程楽しくは無いらしい。

訳はこうだ。司からはじめての女の手管を教えろと言われた男。理由を聞けば惚れた女を怖がらせずに抱きたいからだと言う。随分と純情な様だが態度は全く違っていた。

それに見た目の華やかな男。いくら惚れた相手とは言え手管など知らなくても女は釣れるだろうと言うも、自分の惚れた女はそんな女じゃないと。中身の無い女と一緒にするなと言う。

随分な惚れようだが、そんな見た目の男に手管を教えて自分の縄張りを荒らされたんじゃ堪らないと考えた男は賭けに出た。

自分の縄張りである見世でこれから水揚げをする。その様子を見せ手管を教えよう。しかしそれを見て反応してはいけない。もし反応するならば陰間の相手になって貰うぞと。知り合いの陰間に借りがありちょうど良かったと男はタカをくくった。


「なるほどね。でも反応しなかったって事か。ふふあの坊ちゃん相変わらずなんだねぇ。」

「相変わらず?」

「ふふ。坊ちゃんが惚れたのはうちの新造さ。新造会いたさに用心棒を連れてきてね。遊女が誘っても、用心棒との同衾を見ても反応すらしない。ひたすら惚れた新造ばかり見ていたよ。」

「はあ、、そんな筋金入りだったのか。こりゃ賭けに負ける筈だぜ。」

「それでうちに来たのかい?」

「ああ。賭けに負けたから自分の見世の太夫をイカせろとな。何回通おうが金は出してやると。ふぅ、、あんたがこんなにすんなり同衾を許すのだから参ったよ。」

「道理であたしの新造相手で機嫌が良い訳だ。クス、坊ちゃんにしてやられたね。まぁ、それはあたし達もおんなじか、、、」


謎の男の正体を知り納得するも面白くはない太夫。

だが、どこか爽快だった。

それは司が司だったからだ。

つくしに惚れ、水揚げだろうが他の男の手垢を付けたらぶっ殺すと女将を脅した。身請けを許さず格子に座らせたら客を脅すとも。

隅田屋に通っていると耳にした時は司を軽蔑した。がっかりしたという言葉では足りなかったのだ。

しかしどうだろう。

確かに隅田屋には通っていた。だが通っていた理由はやはりつくしだった。

つくしを怖がらせずに抱きたいなど、可愛い過ぎて笑いすら出てしまう。


くすくすと笑いだした太夫に男はやれやれと心は既に家路に向かっている。



「さてと、あの坊ちゃんの嫌がらせも充分に味わったし俺の役目はあと一つだ。」


そう言って帰る支度を始めた男。

客が帰るならばそれを見送るのは遊女の勤め。太夫ともなれば座敷で別れる事もあるが、男の言葉に引っかかり玄関口まで降りて来た。


こんな時間に太夫が降りて来たこと。しかと客の見送りとは張見世にいた遊女達も驚く。


太夫も張見世の遊女達の耳がこちらに向いている事は気付いていた。


「あと一つとは何です?随分勿体ぶるのね。・・・それとも場所もあるのかしら?」

「くくく、流石太夫だな。頭の回転は流石だが、それすら坊ちゃんの想定内らしいぜ。」


坊ちゃんという言葉をに騒つく遊女達。


「それは聞き捨てならないわね。でも聞かない訳にはいかないわ。何なの?」


張りの中の遊女の反応を面白がる男。にやにやしながら太夫の方へ向き直る。


「次の月が終わったら水揚げに来るそうだ。うんと着飾って待ってろだそうだぜ。」

「着飾る?」

「だってその新造、遊女になると言われて育ったんだろ?水揚げもそれに合わせねぇとな。・・・俺に言われて気付いたらしいぜ。くくく、、本当に純情坊ちゃんだ。目ん玉ひん剥いて悔しがってたぜ。」

「・・見てみたかったわ。」

「それじゃあな。自分の見世に帰るわ。」



男が帰った後、太夫を取り囲む遊女達。

とりわけ紫陽は真相を知りたがっていた。


「紺野さん、あの男の言ってた坊ちゃんって、、」

「あんたの新造を買った坊ちゃんよ。」

「それじゃああの男は、、」

「通称舟男。隅田屋の常連で、水揚げ通ね。どうも道明寺の坊ちゃんはあの男に水揚げの心得を聞きに行ってたようよ。」

「水揚げの、、」

「忙しくなるわね、紫陽。」

「え?」

「次の月はもうすぐでしょ。着飾ってろだそうよ。」


その言葉を受け紫陽はホッと胸を撫で下ろす。


「そうだね。めいいっぱい着飾らせなきゃね。」


周りにいた遊女達も手伝うよと声をかける。


久方ぶりに笑い声の響く伊吹屋。



「ああもう。時間がないじゃないか。あの娘に用意した着物も売っちまったよ。残っているかねぇ、、」






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遊女としても真面目なつくし。自分の宿命を憂いながらも受け止めようとしてます。
なので水揚げも誰でもやっちゃえーとはなりません。

司は伊吹屋には行かずとも見守りはさせていたため、隅田屋の出入りが知れている事も把握していてムカついた舟男に伝言させたってね。舟男は初娘好みだからそりゃあ一石二鳥だったでしょうね。

この坊ちゃんまだ15だよ。ちょっと出来過ぎだなー
でもうまくまとめたいし、、
目を瞑ろーー
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本日2回目の更新、ありがとうございます。
つかさくんのつくしへの思いやりにキュンキュンしています。
明日もたのしみにしています
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