甘さとスッぱさと ... 花街に護られてー甘い話には裏がある中編ー
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花街に護られてー甘い話には裏がある中編ー
2017-02-14-Tue
江戸時代を背景にお話を書いてます。
時代的な言葉や名称などは詳しくないので現代風に置き換えてます。
それでも明らかに違うようにはしてません。
細かい矛盾点などあるかと思いますが、目を瞑ってお付き合い下さい。
ダメなら進まないでね。









それから約十日後の早朝、

まだ遊女達が二度寝の夢の中にいる頃、白田屋の使いが伊吹屋にやって来た。

沢山の羊羹の包みを持って。

この日ばかりは白田屋の旦那も客としてではなく、商人として見世を訪れた。


「やあ、注文の羊羹持って来たよ。これだけの注文が入るとは、世間話もしてみるもんだなぁ。」

「あはは、は。」


その受け取りに対応したつくしには耳の痛い話だ。


「もう一つ欲を言えば、私にも手紙が欲しかった。」

「手紙?あーー」

遊女が出した手紙の事だとつくしは思った。紫陽は白田様に義理立てするかとも思ったが、やはりあの人に送ったのだろう。


「でも、白田様の羊羹ですよね。売った物を貰っても嬉しいものですか?」

「そう言われるとそうなんだが、、この話の事で細見屋がうちの店に来てね。」

「へ?細見って、あの細見?」

*吉原細見:遊郭内で売られている出版物。吉原の案内書で、各見世の遊女の名だったり評判が記されてあった。


「あの細見さ。どうもこの話それなりに噂になっているみたいでね、その手紙が来たと自慢している輩もいるみたいだよ。」


予想以上の騒ぎになっている事につくしが呆然としていると、白田が周りを気にしながら小声で話かけてきた。


「で、あっちの方は上手くいっているのか?」

「(ギクッ)何の事ですか?」

「ふぉっ、ふぉっ、顔に出ているぞつくし。まぁ、お主に譲ったんだからどう使おうがお主の勝手よ。道明寺の坊と励むが良い。」

「大きなお世話です。」


真っ赤になってぷんぷん怒っているつくし。だがその表情は怒りよりも恥じらいが強かった。





昼前になり遊女達も起きて来た。食堂で朝食を取る間に、つくしは羊羹を持っていくよう伝えた。

その包みを見ては、歓喜の声をあげる姐さん達。客には勿体無いとか自分のにしたいとかつくしを見ては話かけてくれた。

紫陽はこれで上玉を釣るよと言った。紫陽なりの気遣いからだろうが、つくしは惚れた樹助にはあげないのかと少し気を落とした。





昼見世になり客がどんどん入ってきた。

客の入りもだが、客層がいつもと違う。

どうやら昼は本気の客(というか間夫)を呼んでいるらしい。

回し部屋も屏風を立ててはいるが、自分は使わないからと座敷を使わせてくれる姐さんもいた。

普段禿や新造には恋をするな男を信用するなと言っている姐さん達の粋な心遣いに、涙目になる遊女もいたが、そこは勤めを知る者。さあ行きなと目配せして二階を一目見る姿はそれ以上の言葉はいらないという態度だった。



吉原では年に数件、駆け落ちして大門を抜けようと企てる者がいた。

それは借金を踏み倒して行く行為。追ってはどこまでも追いかけるし、捕まれば男は殺され、女は拷問された。

遊郭に生きる者ならば知らぬはずはないのに、毎年必ず駆け落ちする者は出て来た。


しかしここ伊吹屋ではなぜかこの数年駆け落ちする遊女がいなかった。勤め中に病で亡くす者もいなければ、年季を明けて堂々と大門を通る者も多く、遊郭の中で伊吹屋は異質であった。


そんな中行なわれた羊羹営業。同じ鼓楼を持つ見世の亭主はその異質が変化するのではないかと見る目もあった。



そんな目が変化を目撃したのは夜の帳が降り、鼓楼が妖しく色付いて来た時。

伊吹屋の格子に見覚えない女が座っていた。

まだ若く遊女に成り立てなのは見て取れたが、その女がいるせいか格子の中の雰囲気が違った。

笑っているのだ。

格子の中では外を気にせず楽しそうにお喋りする遊女達。その女も冬の寒い中肩を寄せ合いしりとりしてはしゃいでいた。

そんな中格子に何か飲み物が振る舞われる。温かい湯気に遊女達は歓声の声をあげ、それを口にした。

その飲み物で頬を染めていく遊女達。

とりわけ中でもその女は目を引いた。


外から格子を見定めする男達は、その女に興味を抱く。

そしてその女を買おうと見世の衆に詰め寄り、騒ぎになった。



見世の衆はその女は遊女ではないと言うのだ。


当然納得のいかない客の男。遊女でない者を何故格子に座らせるのかと息荒く詰め寄った。


その騒ぎに格子の中も落ちつかなくなる。

その女も自分を買う客が現れた事に戸惑っていた。



そんな中偶然通りがかったのは岡っ引きの旦那だった。

客の言い分を当然とし、見世に上げるよう仲裁する。

しかし見世の衆もその女は身請けされた身なので客の相手は出来ないと説明するが、岡っ引きの旦那は格子に座らせる事は遊女と言うことだと頑として客の肩を持った。



そんな声を聞きつけ、格子の中からも女達の荒げる声が聞こえて来る。

岡っ引きの旦那にいつからこの見世の遣り手になったのかとか、騒ぎを大きくしているのはお前だとか奉行相手にも怯まない。


そんな女達の反撃に岡っ引きの旦那も目を丸くするが、女に言い包められては恥だとばかりに更に強気な態度に出た。


格子の中では、その渦中の女は笑い顔から一転怯え泣きそうな顔になっている。

遊女の一人は自分の着物でその女を隠そうとし、もう一人は前に座り人の目に入れないようにした。


格子の中と外、見世の衆と岡っ引きで睨み合いが続く。



その膠着を破ったのは、、



「何の騒ぎだ?」

「あ、坊ちゃん。よ、ようやく来てくれましたな。」

「坊ちゃん?」


安堵の表情の見世の衆に、怪訝な顔をする岡っ引きの旦那。

そして対する坊ちゃんの顔は、坊ちゃんと呼ばれるには不釣り合いな表情だった。


「ここが奉行所に見えるたぁ、随分目が悪い旦那だな。同心が居ないからって、好き勝手やってんじゃねぇよ。」

「あ?何言ってやがる。おめぇこそ誰なんだ。」

「俺か?俺は道明寺司だ。」

「道明寺って、あの道明寺か?」

「どの道明寺か知らねぇが、岡っ引きの分際で俺に楯突くんじゃねぇよ。」

「あ?ちょっとでかいから、、」


そう言いかけて岡っ引きは司の後ろにいる用心棒に気付いた。

その数は前回を上回る12名。

目付きの悪い屈強な男達を従え、流石の岡っ引きも分が悪いと思ったらしい。


「ちっ、そう言う事か。自分の女を囲っているなら吉原の慣わしをちったぁ勉強しとけっつんだよ。」


そう投げつけて立ち去ろうとする岡っ引き。

だが、その瞬間司の目につくしの泣き顔が飛び込んで来た。


「待ちやがれ。」

「あ?」


バキッ


「くっ、て、てめぇ、、」


バキッ、バキッ、ボコッ、、


司に滅多撃ちされる岡っ引き。その一方的な殴られように周りの野次馬達も顔を青ざめる。

流石にまずいと思ったのか用心棒の一人が司に声をかけるが、返ってきたのは拳だった。


すでに岡っ引きの顔は赤く腫れ上がっている。最初に声を荒げた客の男はさっさと逃げて行ってしまった。



「だめーーーー」


つくしの声でようやく拳を止めた司。

その顔に飛び散った血を拭い、大きく息を吐いて振り向いた。


「泣き止んだか?」

「泣かせたのはあんただ!」

「こいつだろ?」

「違う!」

「チッ、こいつの肩を持つのか?」

「持つ訳ないでしょ。もうっ、早く入って来てよ。」



はあはあと息を荒げるつくしを見て、司は岡っ引きを放り投げた。


「始末しろ。」


そう用心棒に言い放ち、見世の中に入る司。

岡っ引きは用心棒に担がれ、近くの医者の処へと連れて行かれた。




司が見世に入るとつくしがばたばたと走ってやって来て、司に思いっきり抱きついた。

ひっくひっく泣くつくしを抱きしめ司は遅れて悪かったと謝る。

司が謝った事を揶揄うつくしだったが、その身体は震えていた。



見世の衆に案内され二階の座敷に案内される二人。

つくしは泣きながら司に羊羹を渡した。


「はい、これー」

「おう。・・・おめぇも食べるか?」

「ひっく、良いの?」

「おう。一緒に食おうぜ。」

「うん。」


ようやく笑ったつくしに司も安堵する。

そして、二人で羊羹を頬張り(実際は殆どつくしが食した)、


まだ火の見守りが歩かぬうちから、布団へと倒れこんだ。


他の部屋から声が聞こえる内は、交わりも淡白な物。つくしの声は司にしか届かなかった。


しかし壺に伸ばす手が三度目を過ぎた頃から、徐々につくしは声を抑えられなくなる。


羊羹片手に恋愛を愉しんでいた遊女と客も、その雰囲気に飲み込まれその日伊吹屋は子の刻を待たずして、提灯の灯りが消される事になった。




その一方、客を取らない遊女達は続け様に交わる二人を気にかけていた。


「つくし、洗いに行かなくて平気かな?」

「うん。流石に行かないと孕んでしまうよね。」

「坊ちゃん孕ませたら連れて帰るのかな?」



そんな心配をよそに司はまた壺へと手を伸ばす。


そう、壺はそのために用意された物だった。





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岡っ引きは同心の手下みたいな者?正式な役人では無いらしい。そして隠密行動をする為に町人や商人になり潜めていたんだって。十手も持ってなかったことも、、でも同心にちゃんと忠義を立てる奴ばかりじゃないよね。この話に出て来た岡っ引きはそんな奴にしてみました。
つかつくのイチャコラを盛り立てるため体を張りましたよー
因みに同心にこんな事したらいくら豪商の一人息子とは言え只じゃおかなかっただろうね。武士が何より地位が高いから。
それともなんとかしたかな?

さて、バレンタインデー当日ですね。
後編を今日中にはアップしたいと思います。
目指せ18:00
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