甘さとスッぱさと ... カカオ85%甘い誘惑
プロフィール

lemmmon

Author:lemmmon
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

<< カカオ82%疲れる。 main カカオ97.5%知~らない。 >>
カカオ85%甘い誘惑
2017-02-18-Sat
秘書がノックする前、一瞬躊躇した。

司が目線で問うと、秘書は納得いかない顔で否定する。


コンコン、、

カチャ。


「あ、よろしくお願いします。」


そう言って女が立ち上がった。乱れたスカートを直すふりしてアピールしながら。

司は先ほどの秘書の態度を理解した。


「掛けてくれ。来てくれて申し訳ないが時間があまり無い。本題に入ろう。」

「はい。」


司が椅子に腰掛ける。中島海はその優美な姿に見惚れていた。


「座ってくれ。」


司に再度促され、慌てて腰掛ける海。


「道明寺司だ。今日は何の用だ?」

「あっ、、はい。えっと、んん。今日は弊社の自慢のチョコレートをぜひ道明寺さんに食べて頂きたく参りました。」

「チョコレートをですか?」

「はい。もうすぐバレンタインなので、道明寺さんの率直な感想が聞きたくて。」


司は率直な感想という言葉に鼻で笑ってしまう。甘い物など食べれた物ではない。おまけにバレンタインにはこれ見よがしに会社にも邸にもチョコレートが送られてくる。それは迷惑な程。そんな物の広告塔になれとは、随分厚かましい女だと思った。

しかし予想出来なかった訳でもない。アポを取る際に社名は名乗ったのだから。

つくしの顔を立ててやろうと思えば、その広告塔も一時の気まぐれで受けても良いなだが、、


「食するだけで良いのですか?」

「ええ。あ、写真もよろしいですか?」


司の視線で気付いた海。慌てて付け足すように言った。


「構わない。」


そう言って、出されたチョコレートを一口食べる。


「甘くないな。」

「ええ!そうなんです。」


得意顔で声を高くする海。グイッと身を乗り出して話し始める。


「これはカカオ85%のチョコレートなんです。ビターよりももっとビターで、道明寺さんのように甘い物が苦手な方にも最適なんですよ。」

「なるほどな。」


顔を引く司。

それを見て海も少し落ち着こうと姿勢を正す。


「しかし、バレンタインには甘いチョコが定番ではないのか?俺は苦手だが、マーケットにはそのターゲットは少ないだろう。」

「そうでもないです。甘いのが苦手な方以外もターゲットにしてます。」

「どう言う事だ?」

「足りない分は愛で補ってとコピーを付けるつもりです。」

「ふっ、考えたな。」


クククと笑う司。ビジネスとして単純に一本取られた感心からだった。

そして補う愛としてつくしの顔を思い浮かべた。確かにこう言うチョコレートならば食べれない事も無い。補うとなれば口移しというのもありだなと。


つくしを想う柔らかい表情にカメラのシャッターが切られる。

その音でハッとなる司。


「済まないがそろそろ時間だ。これ以上は申し訳ない。」

「そうなんですか。ん、分かりました。」


伏せ目で甘えたように言ってくる海。

それは司にどう思われているかなどと到底想像出来ぬからなのだろう。


「では失礼する。」


バタン。



司が部屋を出て秘書に声をかける。


「お前の勘通りだな。まぁ、ビジネスには中々筋があるが気に食わねぇ。」

「はい。本当に牧野主任と親密かというのも怪しく感じました。」

「唯の知り合いだろうな。牧野を利用したか。余計気に入らねぇ。・・あの女を調べろ。」

「交友関係中心にですか?」

「そうだな。牧野との関係は必須だ。それと俺の写真の影響もな。釘刺しといた方が良いかもな。何に使うかを報告させろ。大手のメーカーの存在をチラつかせとけ。」

「承知しました。」

「あの手の奴は図に乗るぞ。出方によっちゃ、首を絞められかねん。・・・フッ、この俺がこんなザマになるとはな。」


それは惚れた弱みに付け込まれた結果だからだ。

向こうがそこまで理解して行動しているとは限らないが、この隙を突かれたのは確かだ。

つくしの顔を立てるつもりが逆に進んでいる気がした。それもそのはず、つくしならばそんな事頼むだろうかと疑問に感じたからだ。あの真っ直ぐ立ち向かっていく女がコネを利用しようなどと。


溜息をつく司に秘書は声をかける。

「何をお考えかは存じませんが、攻めてこそ副社長だと思います。」


その言葉にニヤリと笑う司。

「そうだな。その通りだ。何を守ってんだが知らねぇが、俺らしくねぇな。」


秘書が見た司の顔は一瞬で切り替わった。


「攻めか。つまり狩ってこそ俺って事だな。・・・覚悟しろよ。」


捕食者の顔をした司を見て秘書は、新たな種が蒔かれた事を知る。

牧野つくしの保身という心配の種だ。

司には指示されなかったが、つくしの調査も必要だと感じた。

秘書目線になるがこの二人が上手くいってくれなくては、副社長業務の停滞を招く予感がしたからだ。






***


チン♪

上行きのエレベーターを待っていたつくしの前で、下行きのエレベーターが開いた。

そこに乗っていたのは見たくもない女。

しかし、その女は興奮しているのか同行者を残しエレベーターを降りてしまった。


「つくしちゃん、聞いてよ。」

「中島さん、何?って、連れの人良いの?」

「ん、もう。海って言ってってばぁ。
それより、道明寺司に会ったのよ。アポをお願いしたら受けてくれたの。もう超カッコ良かったぁー」

「そうですか。良かったね。」


ザワザワと周りが騒がしくなる。道明寺司などと声を大きく出したからだ。


「これでバレンタインは売り上げアップよ。やったわー私。」

「売り上げって、本当に副社長を広告に使うの?もうあまり時間無いじゃない。」

「そんな事は無いわ。今はネットの時代だもの、うちのホームページにアップするだけでも変わると思うのよ。SNSでも広がると思うしね。」

「ふぅーん。」

「こうしちゃいられない。急がなきゃ。じゃまたね、つくしちゃん。」

「さよおなら。」


もう早く早く~とエレベーターのボタンを押して下行きを待つ海。

相手をしたくないつくしも早く来いよと思うが、先に上行きが来たため無言で乗り込む。

つくしの乗ったエレベーターが動いてもなお、ボタンに話しかける海。今いる階ならば階段の方が早い事にも気付いてないようだ。

上昇するエレベーターの中、つくしはこれでやっと鬱陶しいのが居なくなったと安堵する。


新たな猛者が牙を剥き出した事を知る由も無く。





↓ランキングに参加してます。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト
バレンタインデー cm(3) tb(0)
Comment
 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
Trackback
この記事のトラックバックURL
http://lemmmon.blog.fc2.com/tb.php/260-7d43fa53
| |