甘さとスッぱさと ... カカオ80%口説かれた。
プロフィール

lemmmon

Author:lemmmon
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

<< カカオ79%泣いた。 main カカオ82%疲れる。 >>
カカオ80%口説かれた。
2017-02-21-Tue
カシャン


緩んだ口元からスプーンが床に落ちたのを機につくしは事態を飲み込んだ。

落ちたスプーンを司に見えないように足を動かし、手に持っていたプリンを後ろ手に隠した。


「今は休憩中です。見苦しい所を見せてしまい申し訳ありませんでした。副社長どうされたんですか?」


自然な笑みがつくしから消え、司は気落ちし、自分を分析する。そして先程の秘書の言葉を受け入れる事にした。


「ああ。お前を探していた。話があってな。」

「お話、ですか?」

「ああ。俺はお前が適任だと思うあるポストについて話をしたいと思ってな。今、時間はあるか?」

「あ、はい。それじゃあ、場所を変えましょうか?」

「そうだな。ゆっくり話したい。」

「では執務室に参ります。」

「執務室だとまずい。近くに座る所はなかったか?そこのベンチでも構わないが。」

「え?ポストの話ですよね。会議室など外に漏れない所が宜しいのでは?」

「そうだな。それもそうだ。・・・すまん。」

「いいえ。」


何やら焦っている様子の司。ポストという事は業務の事についてだろうが、普段の司とは全く違う態度につくしも訝しく思ってしまう。


「このまま話していいか?」

「はい。」


姿勢を正し、改めてつくしに聞いてきた司。つくしは、背中に隠したプリンの存在を忘れ答えてしまう。


「うちの会長は分かるか?」

「はい。道明寺忍氏。副社長のお父様です。」

「では社長は?」

「道明寺楓氏。副社長のお母様です。」

「そうだ。つまりうちの会社は同族経営だ。日本では財閥が解体されたのに、よくこの規模を保っていると我ながら感心するぜ。」

「は、、い。」

「お前は同族経営についてどう思う?」

「え?どう、ですか?」


クイっと顎で答えろと促される。


つくしは考えるため片手を口元に持ってこようとし、プリンの存在を思い出した。

早くコレを何とかしたい。そう思ったつくしは司の質問の意図など考えられず、思ったまま口に出してしまう。


「時代に合わないと思います。同族経営での弊害が表出される事例もありますし、現状を維持するのであれば、それなりに攻める事も必要かと。改革と捉えると大袈裟に聞こえるかもしれませんが、何もせずに現状維持出来るほど甘くない世相だと思います。」

「だな。」


ニッと笑った司を見て、つくしは何を口走ったかと焦ってしまった。


「全くだぜ。他の旧財閥だって、同族経営を辞めているところも多い。うちもそうするべきだ。なぁ?」

「えっ、あっ、はい。」

「くっ、なんだよ。お前から言ったんじゃねぇのか?」

「そ、そうなんですけど。」


つくしの尻込みする言葉に司はもっと本音を言って欲しいと思った。ヒートアップするくらいの言論を交わしたい。つくしならば出来ると司は思っていた。

その時ちらっと司の後ろを気にするつくしの反応を見た。そこで司はその一因に気付く。


「場所が悪いか。じゃ、質問を変えるぜ。改革をするには何が必要だと思う?」

「え、改革ですか?」

「おう。」

「・・計画と、人材ですか?」

「それからタイミングだな。」

「は、、い。」

「俺はこの改革を進める上での人材を集めている。お前が適任だと思うポストもその一つだ。」

「・・・・」

「何だ?乗り気じゃねえのか?」

「あ、乗り気というか、、具体的な事が何も分からないので良く分からないと言いますか。」

「濁しているからな。分からなくて当然だ。」

「は、、あ。」

「濁す理由があるんだ。分かるか?」

「それは、はい。分かります。」


ニッと笑う司。その目は捕食者になっていた。


「んじゃ、俺につくか考えてくれ。つくと覚悟決めたら具体的な事を話してやる。」





そう言って、司は給湯室を後にした。



ひとり取り残されたつくしは、手から力が抜けプリンを落としてしまう。

「あ、、」

しゃがんで溢れたプリンを片付けようとする。

ペーパータオルを使えば良いものをそのまま手で拾い、汚れた手を持て余しながらそこをなんとか片付けた。

そして、手を洗おうと流水に手をかざしたままぼうっとしてしまう。


今までも司の経営手腕は認めているつもりだった。

だが、実際にあんな風に口説かれると営業はひとたまりもないなと実感させられる。

そして、司の本当の魅力に触れつくしはモテるはずだと思いながらも、それが評価されてない事に気付いた。

185cmの高身長だとか、絶世の顔立ちだとか、魅惑のバリトンボイスとか、世の女性は彼のそんな見た目ばかりで寄ってくる。

つくしにはそんな見た目が邪魔に思えた。

見た目よりももっと存在価値のある司の魅力。

それをみんなに分かって貰いたい。

つくしは自然とそう思えるようになっていった。


キュッ

パッ、パッ、



ペーパータオルを手を拭きながら考える。

自分に適しているというポストについて。

一体それは何だろうと。



そして気付く。

司は女性社員を毛嫌いしているのかと思っていたのは間違いだったと。

少なくとも低評価はしていない。

だから、改革をする上でのポストに自分を推薦して来た。

それが何かは分からないが、改革をするということは道を誤れば共倒れになるという事だ。


もしかして、そのための捨て石ではと悪い考えも頭に浮かぶ。

だが、自分の勤める上司がこんな風に考えている人物だとつくしは思いたくなかった。


今自分は人生の岐路に立たされているとつくしは思った。

高校受験や大学受験、そして就職活動。進路については色々考えて来た。たくさん迷ってたくさん考えた。

そして決めた就職先。受かった時は嬉しかった。働いて初めて気付く就職した後の事も、一度は考えた。仕事が辛いからじゃなく、それは家族を持つという事。

女性は子どもを授かれば、必ず仕事に中断を余儀なくされる。それをどのタイミングにするかを考えた。

だが、彼氏という存在を疎ましく思っていた事もあり家族を持つという選択をいつの間にか消していた自分。

それで仕事へのスキルアップを磨き続けて来た。良い話があれば他社への引き抜きもあるかもしれないと考えて。


今、動くべきなのだろうか?


受付課主任として一定の成果は出している。司の話に乗れば、恐らく他社への道はもう無い。

司の話し方からも改革の話はトップシークレットだ。もしかしたら秘書すら知らないかもしれない。


そう考えるとつくしはぞくぞくした。


評価されたい。純粋に良い仕事がしたいつくしは司に選ばれた事に嬉しさが増していった。

頭の片隅にはまだ上手い話ではと疑いもあるが、失敗を恐れては前に進めないと相反する気持ちに揺さぶられる。

だが、それは他社からの声だってそうなのだ。どんなに上手い話でもそれを言う人を知らなければ疑って当たり前。躊躇してしまう。


つくしはさっき目の前で口説かれた。

その人物の事は自分は良くは知らない。だが、接した。対面してどういう人物かは肌で感じたはずだ。


つくしは心に決めた。





***


「副社長、お帰りなさいませ。」

「おう。上手くいったぜ。」


そう言って機嫌良く執務室の椅子に腰掛ける司。


「仕事の話で攻めたら逃げずに向き合いやがった。」

「それは良かったですね。デートまで漕ぎ着けられましたか?」

「それはあいつ次第だな。俺の改革について来いと言ったから、その返事をしてからだ。」

「改革?何を考えているんですか?」

「別に何も?ただ、あいつが俺の側にいる事だけだ。」

「何かポストを用意するんですか?飾りのポストだとしたら離れて行きますよ。」

「飾りじゃねぇよ。ちゃんと働くさ。あいつはそういう奴だ。」

「貴方のお考えが読めません。」

「しょうがねぇなぁ、、ちっと耳貸せ。」


ゴニョゴニョと秘書に耳打ちする司。

司の企みを聞き驚きを隠せない秘書。


「そんなアプローチをするとは、、」

「くっ、くっ、上手く考えただろ?」

「確かに適任ではありますが、、」

「書類を作成するぞ。契約書だな。まず、それにサインをさせる。それから、、」


ニヤリと口角を上げる司。

その顔はチェックメイトを打つ前の表情に見えた。



「婚姻届だな。」







↓ランキングに参加してます。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村



関連記事
スポンサーサイト
バレンタインデー cm(2) tb(0)
Comment
 

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
Trackback
この記事のトラックバックURL
http://lemmmon.blog.fc2.com/tb.php/262-0c01d401
| |