甘さとスッぱさと ... 花街に護られてー桜・恋・歌 2ー
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花街に護られてー桜・恋・歌 2ー
2017-03-29-Wed
江戸時代を背景にお話を書いてます。
時代的な言葉や名称などは詳しくないので現代風に置き換えてます。
それでも明らかに違うようにはしてません。
細かい矛盾点などあるかと思いますが、目を瞑ってお付き合い下さい。
ダメなら進まないでね。









後朝の別れ。


夜明けと共に起こされた遊女達が客を見送ろうと見世先に集まってくる。

ようやく勤めを終えた女達は眠い目をこすりながら最後の芝居をうって出るのだが、


司が見世に来たこんな朝は芝居をしていられる訳もなく、、



「おい、何してやがる。門のとこまで送らねぇか。」

「もー眠いんだよー あたしはあんたみたいに体力は無いんだからぁ。」

「しょうがねぇな。」


そう言ってつくしを担ごうとする司。


「ち、ちょっと待て。何すんのよ。」

「あ、後朝っていやぁ門のとこで別れんのが本気の相手じゃねぇか。俺とお前の関係で見世先での別れなんざ、おめぇの気持ちが冷めた事になるって噂されんだろ? だから門のとこまで行くぞ。」

「何よその勝手な解釈は!別に見世先で別れたからって冷めた関係とは限らないでしょーが。」

「それに俺はおめぇと長くいてぇんだ。帰ったらまた十日は来れねぇ。門までの距離だって大事じゃねぇか。」

「だったら、ちったぁ手を抜きなさいよね。何回ヤったと思ってんのよ。」

「何回だぁ?数えてねぇよ。ヤりたいだけヤって何が悪い。おめぇだってあんあん鳴いてたじゃねぇか。」

「あんあん言うのが遊女の仕事なのよ。つーか、途中からは疲れて言ってなかったでしょーがぁー」

「おう。おめぇ、俺を置いて先に寝やがったな。交わったままなのにぐーすか寝やがって、俺様を放置するのはおめぇくれーだぞ。」

「もう早く帰りやがれー」

「それがてめぇの男に対して言う言葉か!おいこら、まさか他に男が出来たんじゃねーだろーな。」

「出来るかー」



見世先でぎゃあぎゃあわめく二人に帰ろうとする他の客も呆気に取られ、中には笑って遊女の見送りを聞いてない者すらいる。



「朝からうるさいね。外でやっておくれ!!」



女将から喝を入れられた二人は、見世を出て大門へと向かう。

その間もぎゃあぎゃあと言い争っている。



「はぁ~、、まったくあの子達ったら、、」

「仲が良いのは分かりますがね。」

「うるさくってたまんないよ。」

「営業妨害だわ。」

「ま、二人ともまだ子どもなんだしょうがないさ。」



ふぁあと眠い目をこすりながら遊女達は二階へと戻って行く。

見世の衆は朝の準備をする者と、また寝る者に分かれ伊吹屋の一日が始まるのであった。





大門でもごちゃごちゃ文句ばかり言うつくしと分かれた司の機嫌は良くなかった。

が、それでも考えている事はつくしの事らしく用心棒達からしたら機嫌の悪いうちには入らない。


「なんであいつは機嫌が悪いんだ?月のモンが来たなら分かるが、そうじゃねぇしよ、、」


なぜ悪いかと言えば、つくしが言った通りなんだろう。

が、そんな事を言えば司の拳が飛んでくる。いや、拳じゃなく蹴りかもしれない。どっちにしろ意識を飛ばされる行為だ。用心棒達は正直では勤まらないと理解していた。


「朝ですし、腹が減っていたんじゃないですか?」

「腹?・・それだ。あいつは食い意地張ってるからな。・・そういや、手土産も持って行こうと思ったのも忘れちまってるな。」

「手土産は良いですね。」

「・・上野まではやっぱり何があるか分からねぇ。とすると、桜か、、よし。」

「何ですか?」

「今度行く時は手土産だ。おめぇらも俺が忘れそうだったら、言ってくれ。」



そう言って納得顔の司は邸への帰り道をズンズン歩いて行くのだった。





***

それから数日後、


いつもの様に昼見世の準備をする午後、つくしは見世前を掃いていた。


ザッザッザッと箒を動かすも、掃く側から舞い降りてくる桜の花びら。

砂埃よりかはマシだろうけど、こうも降り注がれては嫌になる。

そんな風に思えてつくしが頬を膨らませていると、見世から離れたところ、桜ではない木の陰に男が立ちつくしに向かって手招きをしている。


その男が誰だか知っているつくしは、周りをキョロキョロしてさささーっとその男に近づいた。


「何ですか?」

「悪いね。コレを届けてくれるかい?」

「・・分かりました。」

「それじゃ、宜しくな。」



そう言って人を避けるように、建物の間に消えて行く男。


その男は姐さんの間夫だった。隅田川で船頭をしている男は、吉原に見物に来ては遊女達を見る事しか出来なかった。

そんな中格子の中に座る姐さんを見つけ、恋に落ちた。

そしてただ見ているだけの通いを続け、いつしかその視線は姐さんに届いた。

はじめは面白がった姐さん。客にならず見ているだけの男など、借金を返す役にも立たない。ただ揶揄っていたそうだ。

そんな中男がぴたっと見世に来るのを止め、、姐さんは気落ちした。

だけどその後男は見世の暖簾をくぐった。きちんと金を持参しての来店だった。

だが、その時姐さんは他の客を相手していてその男は姐さんを買う事が出来なかった。

それで男は姐さんの新造と過ごしたのだけれど、男は消灯を待たずに帰ってしまった。

新造の手前泣く事も出来なかったよと呟いた顔をつくしは今も憶えている。

本気になる前で良かったと聞かされていたのは新造になるまでだった。


つくしが身請けされた後、つくしには実は見世の外で待ち伏せをされていて密かに逢瀬していると教えられた。


なぜ自分にだけこっそり教えるのかつくしははじめ分からなかった。

もちろん友人の新造達に言ってはいけない事は分かっている。だからはじめは知らせないでいて欲しいとさえ思った。

だが、紫陽からあんたは恋をして良いんだよと聞かされた時、それが理由かと思えた。


遊女が恋をするには条件がある。

恋が邪魔にならない時、

恋が希望である時、


そして、


遊女を終えた時。



つくしは自分の恋が応援されていると感じた。


それ故、つくしは恋する事に少し解放的になる。


恋する事に恋していると言った方が正しいのかもしれない。


それは自分と司との関係。


司を好きな事に迷いはない。

司は真っ直ぐ自分を見ては、堂々と愛を語る。


だが、遊郭に来て身体の関係が強い自分達は本当の恋人同士なのかと疑わずにいられなかった。

身体の関係での契約をしている妾との違いを、つくしは拭えずにいた。

*妾という職業(本当のではない)が成り立っていたようです。妻ではないが養ってもらい、夜の相手をする。大体遊女上がりの人が金持ちのオッサンと契約していたみたい。性に奔放な時代とは言え凄すぎ。



だからつくしは他人の恋を羨ましく思う様になっていた。



ざぁっと強い風が吹き、桜吹雪がつくしに降りかかる。

風が止んだ後ひらひら舞う花びらに、つくしは崇徳院の歌を口ずさんだ。


「瀬にはやみ 岩にせかるる 滝川の、、」


上野近くで探していたと言う事は上野にある寛永寺の境内の花見で出逢った二人なのだろう。

桜が満開に咲く中出逢った二人。

運命と感じる事も理解出来る。



そしてつくしは手元にある手紙を見て思いを馳せた。


「われても先に あはむとぞ思う。」


こんな恋ならば良いのに、、


つくしはそう思ってしまった。





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恋に恋するつくしさん。十五なんだよね。
遊女ではなくなったけど、そんな友人達に囲まれそんな想いを抱えてると。
隣の芝生は青い。かー、若いなぁ~
それでこそ十代!
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