甘さとスッぱさと ... 花街に護られてー桜・恋・歌 6ー
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花街に護られてー桜・恋・歌 6ー
2017-04-02-Sun
江戸時代を背景にお話を書いてます。
時代的な言葉や名称などは詳しくないので現代風に置き換えてます。
それでも明らかに違うようにはしてません。
細かい矛盾点などあるかと思いますが、目を瞑ってお付き合い下さい。
ダメなら進まないでね。










あの後俺はスコンと落ちちまって、洗い場からつくしが戻ったことも気付かず明方まで意識をなくした様に寝ちまった。

そんでも明方起きた時はしっかり立ってたからつくしに鎮めてもらおうとするも、脚で防御された上にジト目で睨まれたので渋々離れたからか、


なんかスッキリしねーんだよ。


そりゃ気持ち良かったぜ。

つくしに翻弄される事があんなに凄えなんて想像すら出来なかったからな。

でもよ、俺様が主導しなかった事がそうなのかなんか引っかかるんだよ。

アレはアレで良かった。だが、いつもの俺様でなけりゃあこうなるって事を学んだってとこだな。



「すごく乱れちゃったね。」


俺の鬢を触ってつくしが言う。


「あ? ああ、まあな。邸に帰ったら髪結いを呼ぶさ。」


俺の後ろ姿は乱れまくって豪商らしくない。着物は直したつもりだが、髪の乱れのせいかビシッとはなんねぇ。

だがここから帰るんだ。その乱れがその余韻だと思うと悪くもねぇ。



一方のつくしはと言うと俺様が我儘を聞いてやったせいか機嫌が良く、大門への見送りも当たり前の様に付いてくるどころか、腕まで組んでやがる。それほど嬉しいのかとつくしの珍しい反応に俺は気を取られてしまう。



「綺麗だねぇ。」


ボソッと呟くつくしを見る。その視線は桜へと向かっていた。


「赤い桜が見たいだっけか?」

「ん?ああ昨日の話ね。」

「何だ?反応悪ぃな。昨日の意気込みはどーしたんだよ。」

「どーしたって、へへ、、昨日のアレは何とか司を言いくるめて翻弄したかったから出たんだもん。だからもういっかなって。」

「何だよ。じゃあ難題は無しってか?」

「んん?それってカゴヤの続きを考えてる?難題を解決出来るってヤツ。」

「そうだ。難題とは言えおめぇからの我儘は聞いてやりてぇからな。赤い桜が見てぇなら探してやるよ。

それとも赤い桜ってのは作り話なんか?」

「あははカゴヤだから?確かにかぐや姫の難題って思いっきり作ってるよね。突っ込まずにはいられないもん。

でもさ、あたしの言った赤い桜は本当だよ。この桜を植えた職人達が話していたんだもの。なんでも上様の献上品で南方から来た桜なんだって。」

「へぇ、植木屋の噂からなんか。それじゃあ本当にあるって事なんだな。

赤い桜か、、」


司が思案する様子を見たつくしはまた桜の方へと視線を向け、その桜の花をじっと見つめた。


「でもさ司、桜はやっぱりこの色が良いよ。」

「あ、、色?」

「うん。桜はやっぱりこの白い花びらの中に薄い桃色があって、あたしはずっとこの桜を見ているからさ、その赤い桜を司が本当に探して来ても、何か違うなって思う気がするんだよね。」

「まぁ、、確かにな。赤い桜って、見慣れてない分、形は桜でも別の花に思えちまうかもしれねぇな。」

「うん、だから桜探しはしなくて良いよ。司が叶えてやりたいって気持ちだけで充分。ありがとっ。」


にっこりと笑うつくし。

そんなつくしを見た司もつられて笑ってしまう。



が、


「けどよ、誰も見た事ない桜ってはやっぱ興味がないか?」

「へ?」


大門の手前に来た時、司がまたその話を持ち出す。

つくしはまた?となりがらも、司の性格を考えるとこりゃ探す気を変えないんだなと半ば諦めた気になった。



「誰も見た司がない、、と言っても、、いや、あたしが言ったんだけど、、」

「思いつかねぇってか?まあ、だからこそ誰も見た事ねぇと思うんだがな。」

「う、ん、、」


そしてまた二人で桜を見つめる。

つくしはとりあえず何か言ってしまえば、司もそれを探して、無ければないで諦めるだろうと思ってしまった。


「花がもっと大きいとか?」

「花が?」

「うん。あ、でも大き過ぎると桜から離れちゃうか。」

「まぁ、些細な違いでは分からねぇしな。」

「んー、、それじゃあ数が多いとか?」

「数?」

「うん。花の数がもっと増えるとかね。
あ、それだと迫力も出そうだよね。すかすかの木だと、花見をする気もなくなるし。」

「そうだな。花見は満開の花を見るのが良い。もっと沢山の花を付ける桜か、、案外あるかもしれねぇな。」

「そう?」

「おう。桜に限った事じゃねぇけどよ。植木屋ってーのは色々品種改良っての?やってんだぜ。」

「へぇー、、それは知らなかった。」

「まぁ、俺はあんまり興味がねぇけどよ。俺の母親が花とか好きでよ、牡丹とか椿とか植えてるんだよ。つーか、椿って姉ちゃんの名前でもあるんだがな。」

「姉ちゃん?司のお姉さんって椿って名前なの?」

「おう。」


つくしは司に姉がいる事は知っていた。幼い頃は両親共に商いに忙しく姉が自分の相手をしてくれたと会話の中であったからだ。


「はぁ、、綺麗な花の名前を付けてもらっているんだ。本人もすごく綺麗なんだろうなぁ、、」


確か姉とは顔立ちも似ていると聞いた事もある。


「雑草のあたしとは違いすぎるなぁ、、」


ボソッと落胆したような声色に気付き、司はつくしを見た。


「違いなんてそうねぇよ。雑草も花も同じ植物じゃねぇか。それに、どっちも俺に対して遠慮なんてねぇしな。俺を殴るのも蹴るのもおめーらだけなんだぜ。」


呆れた顔から一転、すごく優しい顔付きに戻る司。

そんな司につくしは頬を赤らめてしまう。

この真っ直ぐな司の態度に意地っ張りなつくしは分かっちゃいるけど、反論してしまうのだ。


「なんか司ってお姉さんっ子なんだね。お姉さんの話をするからそんな顔になるんでしょ。」

「は、、姉貴?・・おめぇ何言ってんだよ。」

「ほ、ほらとっくに大門だよ。あたしも帰って仕事しなきゃ。」

「おい、つくし。」

「じゃ、またね。気を付けて帰ってよー」


司の背中を大門の方へぐいぐいと押すつくし。

背中越しに見たつくしの顔は真っ赤になっていた。


ふぅとため息をついて司は大門の外へと足を踏み出す。

するとつくしはカクッと躓いたかと思いきや、グイッと引っ張られ力強い腕に抱きしめられた。


「んじゃ、また来るからよ。身体には気を付けろよ。」


ギュっと力を入れられ、優しい感情が流れ込んで来る。

力が弱まり、上を見上げるとこれ以上ない甘い顔が自分を見ていた。


が、


「暖かくなったからって腹出して寝るんじゃねーぞ。」


カチン


「するか!」


とたんに背中の毛が逆立った猫の様に声を荒げるつくし。

司はというとクックックと笑っている。


「もう早く帰りやがれーー」




風が吹き桜の花びらが舞う中つくしの雄叫びが大門で響くのだった。







それから一年後。



吉原の中通り、千本桜がずらっと並ぶ中桜と思われる鉢植えを運ぶ一行が。


それらを目撃した人々はその桜と通りに咲く桜とを見比べ、あれはなんて桜かと口々にする。


その一行は伊吹屋の裏口へと入って行った。




「どうよ。花が多い桜を見つけてきたぜ。」

「・・なん、で?」

「は、何でって、おめぇが出したんだろーが。」

「出した?あたしが?」

「おう。難題を出しただろ。花を多くつけて迫力ある桜が見てぇってな。」

「難題?そんなの言ったっけ?」

「言ったじゃねーか。去年。」

「きょねんーー」


おうとドヤ顔の司に、つくしは頭を捻って記憶を手繰り寄せる。

百面相のつくしをよそに、見世の遊女や男衆達が集まっては、凄い桜だと声を揃えた。


「花も多いけど、葉が少ないね。桜にあるあの葉って赤いじゃない。無くていいと思ってたんだけど、無くせるモンなんだね。」

「コレ何て桜なんだい?」

「へい。吉野桜と言います。」

「吉野って、あの有名な吉野?へぇ~、あんな遠くから運んで来たんだー」


それを聞いてたらたら汗をかく植木屋の男。


「そうじゃねぇよ。おいオヤジ、ちゃんと名前の由来語っとかねーと後で酷え目にあうぜ。」

「へ、へぇ。」

「由来?吉野から持ってきたんじゃないの?」

「どーゆう事?」

「・・・・・」


そこにいる全員の視線を集める植木屋。



「思い出したあーーー」


だが、つくしの叫び声にそこにいた全員がビクつく。


「あんた、去年って、去年って、かぐや姫の難題の事?あたしがあんたに言った難題。赤い桜から変わったやつー」

「うるせぇなぁ、、耳元で叫ぶんじゃねーよつくし。」


耳に指を入れ顔を歪める司。


「あ、、ご、ごめん。」


しゅんとするつくし。さらに皆んなの視線を集めている事に気付き、あわあわと挙動不振になってしまう。


「つくし、かぐや姫って?」


その言葉にボッと赤くなるつくし。みんなの顔がにやにやしていった事に、何で自分の口はいつも余計な事を言うのかと恨めしく思ったのは後の祭りだ。


そして、つくしを揶揄しながらも話は桜へと戻って行く。


「なぁんだ、吉野にあやかったって事か。」

「吉野に行った事ないから分かんなかった。でも、あやかりたくなるのは分かるけど、そしたら吉野の桜と誤解されてしまわない?旦那達はどこでこの桜を作ったのさ。」

「へぇ、染井村です。」

「どこにあるの?」

「豊島の方のですか?こっから上野を過ぎたとこにありますよね。」

「おっ、ご存知なんですかい?」

「ええ、染井稲荷を通った事があるんですよ。そういや、挿し木の桜が多いなと思ったのを思い出しました。あれが旦那達の桜だったかもしれませんね。」


見世の男衆のひとりが染井村の事を語り、植木屋の旦那も顔を綻ばせていく。


「だったら染井桜で良いのに。桜を染めるって、語呂も良いよねぇ。」

「うんうん。」

「そ、そうでやすか?」


満更でもなさそうな植木屋の旦那。


この見事な桜が後々のソメイヨシノとして関東から全国に広まって行ったのは明治に入っての事。

江戸中期のこの時代ではまだ改良の段階でこの桜を知っている人も疎らだった。

そんな中縁あって伊吹屋にやって来たソメイヨシノ。

今の段階ではまだ小さな苗木だが、
(見事に咲き誇った桜から選定された枝を持って来た)

5年ほど経ちまだ若木にも関わらず花を多く咲かせた事により、裏庭から表へと移し変えられさらに5年が経つ頃には見事な大木へと成長した。


この頃にはもう見世にはつくしの姿はない。

しかし桜が咲き始めると今頃どうしているかと皆が口々に揃えるようになる。

つくしがいた頃に禿だった娘も立派な遊女へと成長していた。

遊女ではなかったがつくしの様に良い男を捕まえようと優しさと野心を持ち女を磨くのだった。





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*桜の開花宣言でソメイヨシノの由来もニュースで聞きました。そんな話題を取り入れつつ、私の身近な桜も。南国で桜と言えば寒緋桜なんですよ。しかも1月末ごろに満開。んで真っピンクな花を付けるんですが、残念なのがその散り方。花びらでなく花ごとボトッて落ちるんです。なので東京でソメイヨシノの花吹雪を見た時は感動したなぁ、、なので私は寒緋桜よりソメイヨシノ。まぁ隣の芝生は青いってのが強いかもだけど。
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