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類は友を未来を呼ぶ
2017-03-30-Thu
スッピンの番外編になります。
今日誕生日の類のお話です。






俺の目の前には見えない鏡がある。

そんな鏡に映るのは、誰も信じず、身体を強張らせ、声にならない唸り声を上げ、殺気だった目を向ける大きな影。




今俺はとある場所に来ている。


きっかけは司と牧野の結婚式。

夫婦になる二人に距離を取れと言われ、それを受け入れた。


そんな中、気付けば自分も変化していた。



最初に気付いたのは自分の置かれた位置。

仕事は不可なくこなしていると思っていた。

いつもの様に企画書に目を通し、不可を付けようとする。不可にした理由はリスクしかないように思えたからだ。

しかし、その企画書の発案者に目を向けた時そのサインの手が止まった。


牧原進一


似通った名前だった。

牧野の弟、進を連想させた。

それで、その企画書をまた読む事にした。

リスクしか目に止まらなかった。それなのになぜこの男はこの企画を立てた?

再び読む事でこの男の着眼点がなんとなく分かってきた。

確かにリスクは大きい。だが、どんな企画にもリスクは生じる。

そう考えた時、自分が対策されてないかと思う様になった。

チェスの様に社員を動かしていた。

だが、社員は駒ではない。知恵がある。意思がある。企画を通す上で、それが通る様に動いてはないだろうかと。

調べてみる必死など無かった。

俺はパターン化され、攻略されていた。


愕然とした。


これが、開いてしまった司との差なのかと思わずにはいられなかった。

不可と書こうとしたペンを書き変えた。

この企画が成功するかしないかは分からない。

だが、どちらでも良かった。

失敗に終わればそれは俺自身と変わらないと思ったからだ。


そんな理由を秘書に聞かれ答えた。

秘書はこの企画に可を付けた事を聞いてきたからだ。

俺の中で何かが変わったと気付いたのだろう。


だから俺も思っていた事を口にした。

今まで思っていても黙っていた事をだ。


「お前達は親父の犬なんだろう?」


驚いた顔をする秘書の男。

その反応から自分の思い違いは見て取れた。

そして告げられた言葉は、


「社長が万能でない事くらい社員は存知上げてますよ。」


自分の父親への以外な評価だった。

自分と父親との関係も態度から知られていた。そしてその上での親父への評価。

ビジネスでは手腕を発揮した父親。

しかし人が作り上げた会社は箱という性質を持つが、それを構築するのもまた人。

繁栄するには成長と維持、そして育成があった。

社員はそんな父親を見ては育成面は宜しくないと判断したらしい。

父親が育成した人物。

それが俺だ。


俺の闇を見て社員は花沢物産の未来を予測していた。

このまま一族経営を続けるのかと。



「そんな社長の犬ですか?我々はそこまで無能ではありません。」


返す言葉は無かった。



そして、剥がれていった自分を包む殻。


目から鱗とは言うが、まさにそんな鱗の様なレンズが俺の目から離された。


邸に戻った俺は、形だけの妻を探した。


今なら顔が見えるはずと思ったからだ。


妻は俺の顔を見て驚いたが、すぐに納得した様だった。まるでそのきっかけを知っていたかの様に。

俺はと言うと妻の出で立ちに顔をしかませる。

外出から戻って来たのだろうが、全身をコートで隠している。

その隠している事は俺の想像範疇には無かった。


そして連れて行かれたのがこのシェルター。


妻は保護犬の活動をしていた。

ひとり娘として育った妻。その妻は両親のいない寂しさを他で埋めるべく、愛犬を飼った。

そしてその愛犬の死。

突然死だった。

そしてその死について疑問を抱いた。

幼犬ではないが、寿命はまだ先のはずだった。

その愛犬の死はその犬種にはありがちな病ではあったが、そこで知ってしまったペット産業の闇。

命を物として扱う現状に妻は嘆き、いつしか行動を取るようになる。

だが、令嬢という身分故トラブルにも見舞われる事も。それに両親、特に父親からの同意も得られなかった。

それで結婚という蓑に隠れて保護活動を続けていたと言う。


「友人はあなたと結婚して羨ましがったり、愛されてない事に見下したりもしているけど、私はそう思われても全然平気。

・・・救いたい仔達がいるから。」


そして、俺が見た犬達は皆同じ目をしていた。


ここのシェルターは身勝手な理由で捨てられ傷付いた犬が殆どだった。

少しずつ人への不信感を拭っている場所であった。

そうして傷が癒え、家庭犬へと踏み出せる犬は仮宿(ボランティア)の家へと向かう。仮の家で本当に可愛がってくれる里親を待つのだ。


そして先ほど処分場から救い出した犬がやって来た。

俺はその犬を見て目を疑った。

まるでモップの様なその外見。

汚れたという表現では表わせないその姿に、傷付けられたという現状を実感する。


そして俺の前を出て、その犬に触れる妻。

その顔は美しかった。

なんて優しい顔なんだろう。

俺は妻がその犬を綺麗にしていくのを見ていた。

モップ状に固まった毛を、バリカンやハサミを使って刈っていく。かなりの重労働だ。

妻はその間も声をかけ、怖がらせないように優しく作業する。


そしてその犬は綺麗になった。

毛を刈られ裸のような身体は痩せ細っていた。

が、その顔は笑っている様だった。

俺は犬に表情がある事を初めて知りまた衝撃を受ける。



そんな俺に、妻は見て欲しい仔がいると言ってきた。


それがこの犬だ。


檻の奥、じっと座りながらもこちらを睨んでいた。

隙間を見せた口からは歯が覗き、威嚇している事は間違いない。



「この仔ね、真っ白な犬なのよ。でも、洗う事も出来ないの。この仔が触らせてくれないから。」


俺はこの犬から目が離せなかった。


「・・怒らないで聞いてね。この仔あなたに似ていると思っているの。」

「・・・怒らないさ。・・俺もそう思うから。」

「そう。・・ねぇ、あなたこの仔の心を開いてくれない? この仔ね、とっても賢いの。だから同情心はすぐ見抜くわ。だから、あなたならその心を溶かしてくれると、私は思うの。」




そうして、俺は時間を見つけてはこのシェルターに来ている。

何度も来ているせいで、犬の匂いにも慣れた。慣れるものだと知った。

妻はここに来て座っていれば良いと言った。

そんな方法が良いと思わなかったが、通って行くうちに分かって来た。


向き合わねばならないからだ。


こいつは誰も信じちゃいない。それだけの事を受けてきたんだ。

その気持ちは自分が良く理解出来た。

だから、俺は自分が理解出来る人間だと知らせるためその場に居続けた。

犬のいる檻の柵に持たれ背を向ける。

目が合えば戦闘状態になるからだ。

俺はこいつと戦うために来た訳じゃあない。


そうして自分の存在を少しずつ受け入れてくれるのを待った。


通い始めてひと月、


距離が近くなったのに気付いた。


徐々に、徐々にだが近づいて来ている。


いつの間にか唸り声も聞こえなくなった。



そして、、


クゥン


いつもの様に柵に持たれ腰掛けた俺のすぐ側で鳴くこいつ。

大きな身体で、しっぽを振っている。

顔を見ると、笑っていた。


「くくっ、、なんだか牧野みたいな顔だな。」


ハッハッ、、


話しかけられ嬉しそうなこいつ。

柵から手を伸ばすと、舐めてきた。



「やっと仲良くなれるな。・・しかし臭いよお前。身体洗おうぜ。」



離れたところにいる妻も笑っていた。


そして俺はこいつの身体を洗ってやった。

暴れるかと思いきや、全然大人しく洗わせてくれる。


「賢い仔だから。」


妻のドヤ顔も悪い気はしなかった。


洗ってとりあえずは綺麗になった。

だが、毛に黄ばみが残り真っ白とは言えない。


そして乾かすのも一苦労だった。


何せこいつは大型犬だ。

この犬種は秋田犬と言うらしい。


何度も水飛沫を浴び、俺の服も散々な汚れようだった。


だが爽快だった。

俺は笑っていた。

こいつの笑顔が俺を笑わせた。

そんな事出来るのはただ一人だと思っていた。



「こいつってばっかり呼ばないでよね。ねぇ~花子。」

「その名前、合ってないよ。」

「そう?でも秋田犬よ。女の子だし、可愛いと思うけどな~」

「名前を変えたら駄目なの?」

「それは、飼い主が決まれば構わないわ。新しい犬生が始まるんだもの。名前も新しくなるわよ。」


そう言われ俺はこいつを見つめる。


「じゃあ、俺がこいつを飼うよ。」


妻は分かっているように頷いた。


「なんて名前にするの?」

「そうだな、、」


ハッハッと、しっぽをぶんぶん振るこいつ。

その姿は親友に見えなくもなかった。

だが、女の子か。


「ミク。未来と書いてミクだ。宜しくな、ミク。」







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素肌~・スッピンでは、殻に閉じこもさせてしまった類。それは私が二次小説で受けた類の印象からかもしれません。

原作の類はそうでないけど、二次での類は私は正直好きではありません。

多くのつかつくでも、友人なの?ライバルなの?それともタダのお邪魔虫???な立ち位置ですね。

私的には原作後、大学卒業就職し、つかつくとは距離を置いて見守ってる方がカッコいい類だと思ってます。そして司にも負けぬ大人の男になっていて欲しい。

でも、私にはあまり想い入れの薄いキャラクターだったことから(というかつくつかが強いんです)、良く考えず持っていた印象のまま登場させてしまいました。

なので素肌シリーズの類を読んでびっくりされた方もいるでしょう。

ビー玉王子さまをあの扱い?!とね。

でもね、学生の印象は変わるし、ずっと王子さま扱いも男性見方としてはどうなんだろうと、変に現実思考のlemmmonは思ってしまった訳です。


そんな類に笑顔を取り戻して欲しくてこのお話を考えました。

類を笑顔にさせるのは欲深い人間では駄目だなと思った訳です。


無垢な愛情こそが類には必要かなと。

みなさんはどう思いますか?
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