甘さとスッぱさと ... スッピン44
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スッピン44
2017-04-15-Sat
某県郊外にある大型スーパー。

ここは全国展開しているスーパーではなく、この近隣で十数店舗展開しているスーパーだった。

そのため地産も多く野菜などの生鮮食品の値段は驚くほど安かった。

そんな値段など当たり前の客の中で、目をキラキラさせて興奮を隠せずにいる赤ちゃん連れの女性がいた。


「姉ちゃん、さっきから色んな野菜を手にしてるけど何か作るつもりなの?」

「ん?そうだねぇ、、作りたくなるね。」

「決まってないみたいな言い方だね。作るつもりはないの?」

「なくもないよ。ただ、こうやって買い物とか久しぶりだからさ。なんか思いふけちゃって。」


その返事に彼女の弟と思われる男性も口を閉ざしてしまう。

それは以前では当たり前だったこの状況が今の姉にとって非日常であるからだ。


「そっか、でもそんなにぼーっとしてると、、」


ガツン

「いっ、、た。」

「ぶつかるって言いたかったんだけど、遅かったね。」

「いたたたた、、」


呆れる弟。だが姉のそんな変わってないところを見て顔を緩んでしまう。


「京君は大丈夫?」

「ハッ、そうだ。大丈夫かな?」


姉が慌てたように抱っこ紐の中を覗き込むが、


「ぐーすか寝てる。」

「くくく、流石姉ちゃんの子どもだね。そんくらいじゃビクともしないって?」

「あたしだけじゃないわ。父親に似たのよ。」

「義兄さん似ねぇ、、見た目はそうだけど中身は姉ちゃんじゃない?」

「・・よく言われるけど、あんたまで言うとは思わなかったわ。」

「くくくくく。」



そんな二人をチラリと見る若い女性。一見主婦のように見えるが商品を吟味するのではなく周囲を気にしている。

そのためその女性を見た店員のひとりは最近増えてる万引き被害から店長がバスターを依頼したと勘違いしていた。



「そういえば姉ちゃん、京君の離乳食は持って来ているの?」

「うん?あー京のね。うん、持って来ているけど、どうしたの?」

「なんか母ちゃんが張り切ってたからさ。京君にご飯あげるって。俺んとこはこれから生まれるし、、」


そう弟の進にも今年の暮れに第一子が出産予定なのだ。


「そうだったね。順調なの?」

「うん。けっこう腹も大きくなって重そうだよ。」

「あはは、分かる。凄いよね。」

「妊娠体験とかしたよ。妊婦になるって大変だな。」

「進やったの?えらいじゃない。」

「義兄さんは?」

「んーやるだろうから黙ってた。」

「は、やるだろうから?」

「あのね、心配性なの。極端な。」


それは妊婦体験をする事でさらに心配性に拍車がかかり、落ち着いた妊婦生活を送れないと危惧したからだった。


「極端って、、まぁ、分からなくもないか。変わってないんだね。」

「そうね。でも、変わっているところもあるわよ。ドキッとさせられるし。」

「・・へぇ。姉ちゃんが惚気ると思わなかった。」


その言葉に姉は目を激しく瞬きした。


「へ?・・惚気?、ち、違うわよ。そっちのドキじゃないわ。そっちじゃないのよ。」

「そっちじゃないって、そっちだろ?」

「こっちもあるわよ。なんか会ってない間にすごく大人になってたから、悔しいって言うか、、そう。置いてかれたみたいな?そっちよ。」

「置いてかれたって、男と女の違いがあるんだ。一緒じゃないだろ。」

「何よそれ。男女平等に違反するわよ。」

「違反って、、」

「うるさい。もう、この話は終わり。」


顔を真っ赤にして姉はズンズン進んで行く。

呆れた弟だったが、姉がひとり動いた事で一部の周りが騒がしくなり、弟は客のひとりと目が合った。

それに我に返った弟は姉の元に駆け寄る。


「姉ちゃん待って、先に行くなよ。またぶつかるぜ。」


すると姉は振り返り、弟に向かってあかんべーをした。





***

「はい。京くん、ごはんですよ~」


にこにこ顔の祖母が小さな瓶を左手に、右手に持ったスプーンを息子の口に向けている。

その様子につくしはじめ進、そして進の妻三佳子もぽかーんとしていた。

当の京はというとごはんを向けられたのだから素直に口にし、もぐもぐと食べている。


「か、母さん、京君の離乳食ってコレ?」

「そうよ。だってママ普段作んないもの。買った方が確実じゃない。それに京くんこんなに美味しそうに食べてるじゃな~い。」


確かに京はパクパク食べている。だが考えてみれば当然だ。8ヶ月の乳児なのだ。シェフが作った離乳食であろうが、味付けはほとんどなく作らねばならない。


しばし、その様子を見守る牧野一家。

祖父はなぜ子ども達が微妙な空気なのか分からなかった。


「まぁ、普通はこうだよね。優紀だって使ってた。」

「そうなんですか?」

「うん。手作りして冷凍保存もしているけど、保存が無くなった時とか、あと外出先とかで使うって言ってた。」

「そうそう。色んなごはんがあったわよ~だからいっぱい買っといたから。」

「いっぱい?」


ほらあれよと指さした方には買い物袋が。うさぎのキャラクターがプリントされた子ども専門の店で買い物したらしい。

つくしは袋の膨らみに嫌な予感がした。


「えっと、ママ?あたし達あさって帰るんだけど、、」

「分かってるわよ。だから持って帰りなさいよ。ちゃんと値引き品じゃないのを買ったわよ。賞味期限はまだ先でしょ。」

「賞味期限はそうだけどさ、、」


つくしが懸念したのは邸の使用人達だ。特にシェフ。普段は世田谷の邸にいないつくし達のため今回の帰国で特に張り切っている。普段は主人なき留守を守るシェフ。急な帰国などがあるため常駐しているのだが、確かな腕がありながらの飼い殺し状態につくしも胸を痛めていた。


「どーすりゃいいの、、」


いつものひとり言も今回はっきり自分の耳にも届く。


はーーーと、長いため息をつき振り返ると微妙な表情の弟夫婦をよそに楽しそうな母の姿が。

つくしはそれを見てこれも親孝行かなと思えてきた。

確かにシェフは張り切っているが、何も京だけの料理を作る訳ではない。

それに冷静になった事で、賞味期限が先なのだから日本にいる間に食べる必要もないと気付いた。


袋を持って母に声をかける。

「ママ、コレありがと。」

「どーいたしまして~」


微妙な表情の弟夫婦だったが、姉のつくしが納得した表情をした事でようやく安堵出来た。

そしてそれを見た父も目の前の料理に手を付ける。豪華なお重の数々にいつ手を付けて良いかとモゾモゾしていたのだ。


「父さん、がっつきすぎだよ。誰も取ったりしないよ。」

「わ、分かってるよ。がっついてるつもりは、ない、、んだけど。」

「あまり食べ急ぐとむせますよ。」

「はぐっ、うっ、、ぐっ、、」

「父さんほら言わんこっちゃない。」

「お茶飲んで下さい。」

「パパ何やってんのよ~」


そんな風に牧野家の食卓は賑やかに進んでいき、食器を片付けるつくしと進、三佳子をよそに食後のお茶で父や母は和んでいた。

ちなみに京は空になったマグをテーブルにぶつけて遊んでいて、それを両親は注意するのだが、全く注意になってなかった。


「ねぇ、つくし明日は何するの?」

「へ、明日?」

「うん。明日、どこか行かない?」

「どこって、遠出はしたくないし、、」


それはこの近辺を警護しているだろうSP達に気を使っての事。ゆっくりしろと見送られたが、やはりそこはつくし完全に割り切れない。


「俺さ、ヤマ○電器に行きたいな。国道沿いにあるだろ?」

「あったけど、何買うのよ。」

「アレ。」


と、進の指さしたのは冷蔵庫。


「アレさ、二人だからってリサイクルショップで買ったでしょ。容量は二人分で良いかもしれないけど消費電気量が激しくないかな?」

「そう?電気料金は変わらないけど、、」

「気付いてないだけだよ。それに、最近の冷蔵庫は消費電気量だけじゃなく機能も色々付いてて凄いんだよ。」

「機能って?」

「鮮度を長く保てるとかさ。あと空気のカーテンとかで、開け閉めしても冷気が逃げないんだよ。」

「進詳しいな。」


父も前のめりで話に割り込んでくる。


「家電量販店好きだからさ。よく行くんだ。」

「定番のデートコースです。」

「ほほ~う。」


父の目じりが下がり鼻の下が伸びている。息子の恋話に何反応してるんだかとつくしは呆れた。


「それでさ姉ちゃん、一緒に出して買わない?俺も中々父ちゃん達に会えないし。」

「うん、良いよ。」

「冷蔵庫以外は駄目なの?」

「・・ママ?」


声の方を見ると瞳をランランさせた母の姿が。

一体何を欲しがっているのだろう、、


「ほら、あれあるじゃない。綺麗なお姉さん好きですかって。」

「美顔器ですか?」

「そう、それ!顔にシューってかけるやつ。」

「・・・・・」

「い、良いですね。美容は大切ですよね。」

「つくしだって使ってるでしょ?」

「・・・・・」


使っているどころか、それ以上の事を毎日されている。

つくしは返す言葉がなかった。


「と、とりあえず行ってみようよ。そんな事もあろうとステーションワゴンを借りてきたんだ。」

「まぁ、売ってないかもしれないしね。」

「いえ、お義姉さん確実にあると思います。」

「楽しみね~」

「あ~ゔ~」

「京くんも楽しみ?そうよね~」

「ああっ。」


どうなる事やらとつくしは思うのだが、これも親孝行だ。どーにかなるだろうと、半ばヤケだった。





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帰省あるあるを書いてみました。
二次ではいろんなシチュエーションがあるけど、こんなのは無いなと書いてて思いました。それとも私が知らないだけかな?

あと進の奥さん、披露宴で出したと思いきや出してなかった。なので考えてみました。さすがに弟の妻だけじゃ、寂しいもんね。
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