甘さとスッぱさと ... スッピン56
プロフィール

lemmmon

Author:lemmmon
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

<< スッピン57 main スッピン55 >>
スッピン56
2017-05-18-Thu
「副社長お疲れ様でした。」


最後の書類を確認して西田が司を労った。

当の司は目頭に指先を押し付け疲労色を滲ませている。


「明日の午前中に出国になりますので、本日はお休みになって下さい。」

「ああ。ふ、こんな時間に帰るのも久しぶりだな。」

「今日でしたらゆっくり休めるでしょう。」

「・・何かある言い方だな。まだ何かさせようってのか?」

「今夜は万菱グループの創立パーティがございます。」

「ああ、そうだったな。だが特に今取引はないだろう。疲れを押して出席するほどかよ。」

「ですが道明寺としてどなたも出席しない訳にはいきません。」

「・・誰を行かすつもりだ?」

「適任者です。先週のパーティで知り合った川喜田様からお誘いを受けたようで、こちらから頼む前に申し出て下さいました。」


司の顔は極悪非道になっていた。表情の変化だけで、この場を10人中9人は逃げ出すなと西田は思ったくらいに。


「誰が許可した?」

「どなたも許可はしてません。我々は奥様の指示に従ったまでです。」

「岩元はどうした?」


怒気を強めて司が詰め寄る。

が、西田もその事は想定内のため微動だにしない。


「岩元も奥様の指示で準備を整えてます。通常より警護の数を増やしてと指示されたそうです。」

「SPをか?」

「ええ、堂々と向かわれるそうですよ。」


つくし自ら敢えて目立つ事を選択した事に司は昨夜のつくしとの会話を思い出す。


「大河原様と三条様もご一緒なさるようです。」


司は溜息を漏らした。面白くないという表情をしたままだったが、容認したようだ。


「あいつらが一緒だからといって安心出来るかよ。」

「ですが川喜田様の店に皆集まっているようです。女性達で何か相談されているのかもしれません。」

「ケッ。パーティの対策ってか?」

「そうではなくてパーティの衣装などです。川喜田様の店はアパレルショップですよ。単にパーティへの参加を大河原様達に頼んだのであれば店に行く必要はありません。まぁ川喜田様に協力する意図だけかもしれませんが。」

「ああ、、」


先週のパーティでの様子を思い出した司。確かに川喜田瞳はつくしへの態度が他と違っていた。つくしがテーラー故に気にかけたのも分かる。

だが、同時に会場にいた桜子が瞳の意図を疑っていた。その場ではどんな態度で来られても対応するだけだと豪語したものの、自分同様につくしに対して尽くす桜子の危機管理は無視出来ない。

あんな小娘にしてやられる事は無いと思うが、されでもしたらシャレにならない。自分のプライド云々の前に傷つくつくしの姿が目に浮かび司は眉根を寄せた。


「まだ開始まで時間があるな。それまで俺は仮眠する。時間になったら起こせ。」


そう言って席を立つ司。

執務室隣にある仮眠室へとツカツカ歩いて行った。





***

パーティ会場では華やかな男の帰国を知る者達がその男見たさにいつ姿を現わすのかと入口を気にしていた。

先週のパーティでは滞在時間が十数分だった。現れたと思ったら会場で紛れていた女を連れてすぐに出て行ってしまったのだ。

再婚した事も知られていた。その妻になった女を大層大事にしている事も聞こえていた。

多くの女狐達は男の態度からその女を排除するのは困難だと考えていた。むしろ、知恵をつけた分その邪魔な女を利用しようとさえ考えていた。



ザワッ


男の登場に会場内の参加者達がざわめき立つ。

だが、ざわめく前に女狐達の目にはその男の姿が捉えられていた。

そしてその男の隣が空いている事に気付いていたー



「これは道明寺副社長、ようこそいらっしゃいました。」

「社長、お招きいただきありがとうございます。」

「お一人ですか?奥様はー?」


会場を見回す司。鋭い視線は目当ての人物しか捉えない。


「先程まで友人と会うと言ってたので私の方が後になると思ったんですが、、」

「そうでしたか。では後ほどまたご挨拶させていただけますか?」

「いえ、妻が見えたらこちらからご挨拶に伺います。失態を見せてすみません。」


軽く頭を下げた司。それを見て満足そうにその場を後にする主催者の社長。

顔を上げた司が不機嫌だったのは見られてなさそうだ。


「どう言う事だ?」

「奥様は遅れていると報告がありました。」

ギロッと秘書を睨むが秘書の男はどこ吹く風だ。

「奥様がいらっしゃる前に挨拶が済んでいれば長居も無用ですので。」

「ふん。じゃあ、頭を下げさせたのはお前の計算か。」

「次回はあちらが下げるでしょう。」


猛獣を扱う手腕を持つ秘書の言葉にさすがの司も鼻笑いするしかなくなる。

向けられた目がビジネスと関係ない物ばかりという事に嫌気が指しながらも、秘書の言葉に納得せざるを得ない司は障害物を避けるべく進むのだった。





その頃大河原家のリムジンの中では滋と桜子が歳も忘れてキャッキャとはしゃいでいた。


「ふふふふふ、楽しいですわね。揃いのコーディネートが流行る理由が分かりますわ。」

「そうでしょお~ しかも今回はワンランク上でパ○ュームちゃんコーデなんだよー」

「・・・ふぅ。」

高揚する2人の側でつくしは脱力していた。


「つくし~、もっとテンション上げていこうよ~」

「・・滋さん、それは分かっているんだけど、、」

「本番前にテンション上げすぎたら、そうなりますよね。」

苦笑いの桜子、滋も分かっているから言葉ほど口調は強くない。


「・・テンションかぁ、あたし上がってた?」


少し呆けたような顔でつくしが顔を上げる。


「上がってましたよ。それはもう水を得た魚のように。」

「うんうん、つくし本当に凄かった。みるみるうちにドレスが変わっていくんだもん。3つの服が合体していって、世界に一つだけのコーデだよね~」


そう、パ○ュームのように少しずつ違うドレスなどショップには無いと判断したつくしは、3着のドレスに手を加え、さらに柄の強いドレスをアクセントとして付け加えたのだった。

道明寺家に嫁ぎNYに来てからつくしの衣装はショップに買いに行く事なく外商が邸に持って来ていた。しかしいくらブランド物と質は良くても華奢なつくしにはほとんどが手直しする必要があった。

テーラーをやっていたので直す事への抵抗はなかったが、その代わり直しの現状にどうしても目が行ってしまう。そもそものサイズの基準が西洋人であるため、つくしのような華奢でなくても東洋人ではウエストや肩周りなどが余ってしまうのだ。

さらには布地の状態、縫製のバランスなど衣装を合わせる際には目を向けてしまい、常々つくしは頭の中で縫製していたのである。

だからあの時パ○ューム風のドレスに直せると判断し、動いたのだった。

が、それでも時間はギリギリであったためある程度縫製は雑になっている。

だがそれも上手く隠しているため一見しては見抜ぬレベルだ。



「世界に、、ふふ。滋さん褒めすぎ。照れてしまいますよぉ。」

「おっ、じゃあもっと照れさせよう。よっ大統領!」

「滋さん、それでは逆効果ですよ。」

「そんな事ないよ桜子。大統領。うん、いいね道明寺夫人よりずっと良い。」

「・・ですね。」


呆れかけた桜子だったが、つくしの一言で口角を上げた。

そしてこれから向かうところで待ち受けている事に考えを巡らせた。


「立ち位置はどうしましょうか?真ん中は先輩で私と滋さんを左右どちらかにするか。」

「え、、あたしが真ん中?」

「私も真ん中が良いな~」


すでにあ○ちゃんになる気満々の滋は桜子の提案に異を唱える。


「先輩が端だと直ぐに道明寺さんに掻っ攫われてしまいますよ。折角この格好になったんです。少しでも3人で楽しみませんか?」

「そりゃ、そうだ。じゃ、つくしがあ○ちゃんね。私が、、んーのっ○?でもかし○かも良い~」

「どっちでも良いです。とりあえず私と滋さんで先輩を挟みましょう。アクセサリーもそんな風に付けたんですから。」


そう、イヤリングやネックレスも3人で交換して付けているのだ。大きなイヤリングを桜子と滋が左右に付けて、2種類の小さめのイヤリングは一つをつくしと桜子が、もう一つをつくしと滋で身につけている。

そしてネックレスはつくしが逆に大きな石をあしらったチョーカーで、桜子と滋は小さな石を連ねた物だった。


「そうだった。じゃあ、立ち位置もこのイヤリングと同じ位置にした方がバランス良いね。」

滋は右耳に下げている大きなイヤリングを触って答えた。


「そういう事です。」


滋と桜子のやり取りを見ていたつくしは思わずボソっと呟いてしまう。

「SPにはならないでよね。」


何年も出なかった癖なのだが、自然と出てしまった。

滋と桜子は振り返りつくしを見る。

「私は先輩の使用人ではなく後輩です。」

「そんな事出来る訳ないじゃん。」


手で口を押さえて笑いを堪えるつくしだったが、リムジンが会場に着いた事に気付いた。

つくしの視線に滋と桜子も気付く。


「ワクワクするね。」

「ええ、楽しみましょう。」

「あたしは20分は持ちたい。贅沢かなぁ?」

「私達次第ですわね。善処致します。」

「ぴったりくっついておこうよ。そうすれば司も離せないよ。」

「いやぁ、、どうかなぁ?」

「とにかくやってみるのみです。さ、行きましょう。」





↓ランキングに参加してます。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

相変わらずファッションの説明は下手っぴです。なんとな~くで理解して下さい。

ドレスのリメイクもそれなりに書いてますが、妄想話な・の・で、そこんとこ忘れずに。軽~く流して下さい。



関連記事
スポンサーサイト
スッピン cm(0) tb(0)
Comment
 

Trackback
この記事のトラックバックURL
http://lemmmon.blog.fc2.com/tb.php/312-622fbe7b
| |