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スッピン60【完】
2017-06-01-Thu
NY pm9:14




司は帰路に向かうリムジンの中にだった。

顔を上げ電気シェーバーを顎にあてる。ジージーという音が静かな車内に響いた。

カチッとシェーバーの電源を切り、左手で顎をなぞる。

いくら美麗な男といえども夜になれば髭くらい伸びる。だがその無精髭もそんな男になれば周りの女性達にはプラスに働くものだが、そう思わない女性も少なからずいて、その1人が彼にとっては厄介だった。



ガチャ

夫婦の部屋に入ると、ソファに深く腰掛けている妻の後ろ姿が見え、夫の帰宅に気付いた妻はゆっくりと振り返る。


「おかえり。」


この微笑みのために司は自分の我を今夜も抑えるのであった。

いつものようにネクタイを解いてもらい髭をチェックされる。時々剃り残しがあるが、顎の下なら大抵は許してくれるのでつくしは目を閉じてくれる。


チュッ、クチュ、、


舌を絡ませたキスを交わすと司はつくしにシャワーを浴びるよう突き出される。

11月末のNY、しかも日中は空調の効いたオフィスにいたのだから大して汗などかいてないが、つくしに行けと言われれば行くしかない司なのであった。

そうしなければつくしが身体を重ねてくれないから。

NYに戻ってからつくしは風邪でも引いたかのように毎日ダルそうだった。微熱は無いようだが、火照りはあるようで体調は良く見えない。

だが本人はその理由に納得いっているらしく、微笑んではお腹を優しくさすっている。

そう、つくしは妊娠していた。

本人が絶対していると宣言した通り妊娠症状をあらわし、アレコレ司に要求しているのだ。


それが、キスの前の髭剃りやセックスの前のシャワーだ。

司は髭については理解を示していた。短い髭は濃厚なキスの邪魔になる。キスで蕩けさせたと思ったつくしの顔がこの上ないブサイクになっていた時は、凶器をかざしてキスするなと激怒された。

シャワーは自分では大した汗もかいてなく、理由が分からなかったがつくしには汗臭いらしい。妊婦故の過剰反応と言われればそれまでだ。


それにシャワーを浴びれはベッドで待っていて自分を拒まない。

つくしを抱けるのであれば、そのくらいの難癖など司には大した事ではなかった。



「あっ、、は、あぁ、」


顔を枕に突っ伏していたつくしが少し顔を浮かせ艶声を漏らす。

突き上げていた動きを止めると、つくしの身体は震えていた。


「イキそうだったか?悪りぃ。ちっと調子に乗っちまった。」

「ん、大丈夫。少しこうしてくれれば収まるから。」


司は後ろから繋がったまま、つくしの背中をさすっていた。

それはイキそうになったつくしが鎮まるのを待つためだ。

なぜかというと妊娠したつくしはイク事を嫌がった。

男の司には中々理解できなかったが、女はイク時子宮が収縮するようで、下腹部がきゅーっとなるらしい。これが、流産を連想させて不安になるそうなのだ。

京を妊娠中、何度もイカせるなと言ったつくしをイカせたら堰を切ったように号泣されてしまった。

あんたは赤ちゃんを流れさせてあたしに恨まれたいのと言われれば返す言葉は司になく、それ以来妊婦のつくしをイカせる事は出来なかった。


背中をさすりながら自身も耐える司だったが、繋がったままでも十分自身を締め付けるつくしに、司は耐えきれず不完全燃焼のまま中に吐き出す。



事が終わってベッドに抱き合い横になった。

ピロートークの間もつくしはクスクスと上機嫌だ。


「ホンットあんたって男は分かんないわ。ムッとしているくせに、満足してるなんて。」

「そりゃお前の我儘をきいてるからだ。イカずにセックスしたいっつー我儘は理解出来ねぇが、俺がイク事でお前は満足なんだろ?」

「そりゃ求められているからね。最後までしたいじゃない。」

「俺だってそうだぞ。」

「あんたも最後までシタでしょ。そうじゃなくてあたしが妊婦だからあんたはイカせないんでしょ。」

「?それが望みだろ。違うのか?」

「んー、まぁ京の時はそうだったけど、あれってあたしの考え過ぎだったみたいなんだよね。何せ初めての妊娠だったし、何をしても不安だったしね。」

「今は不安じゃねぇのか?」

「全くない訳じゃないよ。」

「・・・つまりイカせても良いのか?」

「・・イカせたい?」


バッっと身を翻して、司はつくしを見下ろした。

つくしは変わらずクスクス笑っている。


「・・たりめーだろ。男はいつだってテメーの女はイカせたいんだよ。」

「チンピラみたいな言葉使いだなぁ。興奮し過ぎだよ。」

「誰が興奮させてるんだよ。」

「あんたが勝手にしてるんでしょ。」


ベッド上で頬を緩ませ睨み合う二人。

だが再び重ね合うのに時間はかからなかった。





「あっ、あ、、あぁぁーん。」






***

翌朝


つくしは起きて司を送り出せれた。

背中の感触が離れたのに気付いての目覚めだった。

昨夜は司に久々羽目を外させたつもりだったけれど、

今朝スッキリと目覚められた事からすると、、、私に気を遣ったようだった。

つくしは自分でもそうなるかなと思ってただけに何だか悪い事をした気分だった。



NYに戻ってつくしの周囲は一変した。


つくし自身はそう変わっているつもりはないが、近くで見ている人には変わって見えた。

きっかけはスッピン宣言だった。

今後パーティ等の公式の場でもスッピンで参加すると使用人に宣言すると、皆一様に驚いたが誰一人反対する者は無く、そればかりか全員がつくしに恥をかかせないように張り切ったのだ。

美容部員は毎日スキンケアをしようと買って出るし、

食事も貧乏食ではないが、それに近いだろうヘルシーフードが出され、きっとセレブ病院の食事はこんな感じなんだろうとつくしは思っていた。

ドリンクも紅茶からkombuchaを勧められた。昆布茶かと思ったら日本で40年前に流行った紅茶キノコと言うものらしい。妊婦にもカフェインレスなので安心ですよと言われ、飲んでみたら微炭酸がクセになり今では毎日飲んでいる。

そして衣装についても、これまで司や岩元の意向を事務的にやっていたのに積極的に参加している。女性目線でスッピンに合うドレス選びといつの間にか使用人同士会議を開いてチームのような形になっていた。


それでそうした使用人達の苦労があってか、先日のパーティでは短い参加だったがスッピンデビューする事が出来た。

もちろんスッピンでいる事に棘のある視線を送る者もいたが、意外にもそれで近づいて来る者もいた。

そのひとりがアメリカの大企業(つくしは何の会社か知らない)の一人娘レイチェルだ。

レイチェルは13才のティーンネージャーだった。

金髪の少女だが、そばかすを気にしているのはつくしにも見て取れた。

レイチェルはどうして化粧をしないのか、そのシミは気にならないのか聞いて来た。

実はつくしにもそれなりの肌あれがあって、化粧をすれば完璧に消せるくらいの薄いものだから疑問に思ったのだろう。

つくしは肌呼吸が好きだからと答えた。

それは本来の理由ではないが、レイチェルに詳しく言う事でもないし、間違ってないと思えたからだ。

その答えにレイチェルは納得するものの、また疑問を投げた。旦那様はそれで良いって言ってるのと。

つくしは笑ってしまった。

その旦那様は隣にいて、太々しい態度でつくしの腰を抱いていたからだ。

ちらっと司を見てレイチェルに答える。

美は自分が持ってるから私には求めてないんだと。

凄い自信よねとおどけるつくしにレイチェルは2人の仲の良さを感じ、笑顔になった。

それからつくしは司を皮肉るつもりで、桜子の話をした。

彼女は女より綺麗な男は許せない。
男は女を綺麗な華として扱わなければならないのに、女より綺麗って事は女を馬鹿にしているのと同じだと。
でも私の夫には女性が寄って来る。
だからそんなに綺麗ではないはずなのに、なぜ美を持ってるって自信を持てるのかしらと。

すると司は、女としてのプライドの無い奴らだから俺に群がるんだろと答えた。

つくしはそんなつもりは無かったんだが、つい周りを見渡せば目をそらす女性達ばかり。

機嫌が良くなった司を尻目にレイチェルに向き合ったつくしは、大事なのは外見じゃない。ありのままの自分を受け入れてくれるかだと。そばかすが気になるなら隠せば良いし、気にならないなら隠す必要もない。それにそのそばかすがキュートだと言ってくれる人だってきっといると答えた。


それからつくしはパーティで会うたびレイチェルに懐かれる事になるのだが、意外な事に司はそれを気にしなかった。

それはレイチェル以上に厄介な集団につくしが気に入られていたからだった。

化粧品も取り扱う大手ブランドのCEOや、
体型がつくしの様に華奢で小柄なハリウッド女優、
下着ブランドのスーパーモデルなど、

実はゲイ(女性の同性愛者)も多く、つくしのスッピンは好まれていた。

なので司はこれ以上自分達に近寄るなとその集団の威嚇に忙しく、まだティーンネージャーのレイチェルは睨みの対象にならずにいたのである。





コンコン


使用人がお茶を持って来た。
いつものkombuchaだ。
一人分ではない。つくしの飲む物を欲しがり、飲むようになった京の分もある。

蓋つきのガラス瓶で飲むところも真似された。

まだ1才にならないのに、ガラス瓶を持つ手はしっかりしている。

kombuchaをゴクゴク飲んで、にぱっと笑う京。

愛する男の顔した幼い我が子はなんて可愛いのだろう。


カチン☆


小さく乾杯してつくしも喉を潤す。



そして、京を抱っこしたまま脱衣所へとやって来た。そこはトイレも併設されていた。

洗面台の下にある扉を開ける。

そこから小さな箱を取り出しては、洗面台の上に中身を出した。

それはスティック状の物であった。


「ふふふ~、昨日の夕方が陽性だったから上手くいったわ。種ちゃーんもうすぐ卵ちゃんも出てくるからちゃんとくっ付くんですよ~」


そのスティックは排卵検査薬だった。
(排卵の二日前になかよくする方が妊娠の確率はぐっと上がる)
実家に帰った時に寄った大型スーパーのドラックストアに置いてあり、つくしには珍しく5本ほど買ってたのである。


実はつくし、NYに戻りすぐに生理が来ていた。

司が勘違いしている妊娠症状は疲れからくる不調で、そんな中の生理のため司にも気付かれる事は無かった。



「これで妊娠して本当の予定日を聞いたらどうなるかな?軽くキレそうよねあいつ。」


クスクスと笑ってしまう。


器用にスティック箱に戻しゴミ箱に放っては、京を左手で抱きながらこれまた器用に右手を洗う。


奥様らしくない行為だなと思いつつも、つくしに抱かれ機嫌の良い京を見ていると作法よりも大事よねと自分を納得させる。


「あたしらしいわ。こうでなきゃ。」


そう呟くつくしは美しかった。


夫婦の部屋の中、今つくしを見ているのは赤子の京だけだけれども、邸の皆がそれに気付いていた。



「うーん、肌呼吸してるわー。やっぱスッピンって最高ね。」







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コメント返信です

スッピンの完結に多くのコメントありがとうございました。

5件のコメントを頂きとっても嬉しかったです。
その割にはコメント返信遅いと思われるのですが、はい。遅いです。
でも、fc2のブログを持っている方にはメッセージを送らせていただいているので、全くしてない訳ではないですよ。

最後におくってくれたら○さんにだけ、メッセージが出来てないのでこの場で返信します。
ら○さん、コメントありがとうございます。
我が家のつくしの印象、ちゃんと届いてホッとしました。
これからもぼちぼちですが、お話を続けていこうと思ってますので、また良ければいらして下さいね。


lemmmon
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