甘さとスッぱさと ... 花街に護られてー口は災いの元ー
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花街に護られてー口は災いの元ー
2017-06-05-Mon
江戸時代を背景にお話を書いてます。
時代的な言葉や名称などは詳しくないので現代風に置き換えてます。
それでも明らかに違うようにはしてません。
細かい矛盾点などあるかと思いますが、目を瞑ってお付き合い下さい。
ダメなら進まないでね。









ある日の夜明け前

後朝の別れで伊吹屋の玄関は客と見送りの遊女でごった返していた。


この日桃駒の妹分である新造の甘柿も、姐さんの代わりに相手した客の見送りのために玄関に降りて来ていた。

甘柿が見送った客はまだ年若くなかなかの面立ちであったため、ちらりと様子を伺っている姐さん達は甘柿に役得したねとほくそ笑んでいた。

だが、当の甘柿は客が玄関を跨いだ後に顔を歪ませぺっぺっと舌を出す。


「あ、甘柿おはよう。」

「つくし姐さん。」

「あはは、姐さんってもう言わなくていいよ。あたしは裏方だから。」

「そうですけど、つい癖で。」

「甘柿、気に入らない客でも他の客の前にではやめようね。」


こそっとつくしに耳打ちされ、甘柿も口を手で覆う。


「おい、つくし行くぞ。早くしろ。」


右手で顎を触りながら左手は右袖の中に入れていた司は眼つき鋭く二人を睨み
、甘柿は怖気つく。


「分かってるわよ。そんなに焦らさないでってば。」


つくしはサッと草履を履いて司の方へと駆け寄る。

司はそんなつくしの肩に腕を巻きつけ、ちらりとまた甘柿をひと睨みした。



玄関先で思わず固まってしまった甘柿は、ボソリと呟く。

「道明寺様もやっぱりそうのかな?」



***


「そんな理由?」


昼見世が終わり、自室で客からの手紙を読んでいた姐さんの一人が声を荒げる。


「どうしたんだい?」

「どうしたもこうしたもないよ。腹立つっちゃありゃしない。ここ数日もやもやしてたあたしの時間を返しておくれよ、もう!」


かなり腹を立てている遊女の手紙を覗き見れば、その相手は最近見世に顔を出さないお得意様からだった。


「歯痛で来れないって、そんな事あるのかい?」

「そりゃ痛さによるんじゃないのかな?歯医者に抜いてもらうと書いてあるよ。我慢出来ない痛みじゃなかったら、抜きはしないだろ。」

「そうだけどさぁ、、歯医者って結構ぼったくられるって言うじゃないか。これじゃ今度いつ来てくれるんだか、、ありがたい客なんだけどねぇ。ついてないよ。」

現代のように歯医者で歯を削る事など出来ない江戸時代、歯医者の仕事はもっぱら虫歯でどうしようもない歯を抜く事だったらしい。そして、そんな歯医者に通えるのは大名や豪商など金持ちだけだったそうだ。


「そういや、今度その歯医者が茶屋に来るって。常連の客が連れて来るらしいって紫陽が言ってたよ。」


今更歯医者に会ったところで何も変わらんとブツブツ言う姐さんを尻目に、話を聞いていた甘柿が口を開いた。


「私もその座敷に連れて行って欲しいです。」




***



はっはっはっは、、


男の大きな笑い声が部屋に響き、茶屋での宴会は賑やかだった。


「確かにな。俺に通う奴らはそりゃ、相当の痛みだぜ。女の尻なんて突いてられねぇよ。」


歯医者のくせに下品な物言いだが、遊女達の表情は歪んでなくしゃべりの上手い男だと思っていた。


「また甘柿もなんで客の歯痛を気にするのさ。」


この宴会に呼ばれた遊女紫陽が連れて来た新造の甘柿に問いかける。


「歯痛の人っで、八つ当たりするんです。私はまだ水揚げ前だから添い寝だけなんだけど、こないだの客、歯痛を言い訳にしてべたべた触ってきて、おまけに口吸いまでしてきたの。」

「は、口吸い?あんたそれ桃駒にちゃんと言ったかい?」

「え、いえ、そのまだです。その客そこそこ男前だったから役得したねって言われて。」

「はぁ?!面の事で遠慮なんてしてるんじゃないよ。そんな客桃駒だって迷惑だ。帰ったらちゃんと桃駒に言うんだよ。」


紫陽が甘柿に説教しているとその歯医者の男が機嫌良く話に割り込む。


「くくく、面の事でって、遊女に言わせりゃ面の良し悪しなんざてぇした事じゃないってか?」

「そりゃそーでしょ旦那。男前連れて良い気分なのは明るい時だけじゃないか。暗くなったら見えないし、男前だろうとされて嫌なものは嫌。」

「くくっ、なるほどな。」

「・・それでつくし姐さんも大丈夫かなと思って。」


ボソリと呟く甘柿に紫陽が振り向く。


「つくし?甘柿あんた何見たんだい?」


自分の妹分のつくしの事を言われ紫陽もキラリと目を光らせる。

それに甘柿はうっとたじろいだが、言葉を続けた。


「最近、道明寺様口のあたりをよく触ってるんです。それで歯痛じゃないかなと、、」

「そうだったかい?」

「それにすごく機嫌が悪いんです。つくし姐さんと話すだけでも睨まれるし、つくし姐さんもなんだか嫌がっているように思えて、、、だから。」


必死で話す甘柿に紫陽は冷静を取り戻す。


「なんだ、そんな事か。」

「え?なんだって、、紫陽姐さん心配じゃないんですか?」

「全然。あの二人の事は放っときなよ。」

「で、でも、でもですよ。道明寺様歯痛があるって事は口の方も、物凄く臭うんじゃないかと思うんです。」

「はぁ?」


突然訳のわからない事を言う甘柿に紫陽は呆れるが、歯医者の男がその話に乗り、歯医者に通う患者の話をしだした。

それは歯抜きの現場の壮絶な現状。
大の大人を二、三人がかりで取り押さえ痛みを訴える歯を抜くのだ。もちろん患者は歯の痛みも抜かれる痛みもあって大暴れするわ、そんな歯を持つんだから口の中は相当な匂いだとか、歯医者の男は面白可笑しく新造達に言い聞かせた。

間に受ける新造達を他所に、紫陽ひとりは男が話を盛っていい気になっていると気付いていたけれど、、


「だからだ、今からでも遅くねぇ。そのつくしって姐さんに道明寺の坊ちゃんの口の匂いをなんとかしたけりゃ歯磨きさせる事よ。」

「歯磨き、歯磨きってあれでですか?」


江戸時代にも歯磨きはあり、房楊枝(ふさようじ)というもので、柳や杉、竹などで作られた12~18cmほどの棒の先をたたいてつぶし、ブラシ状にしたものだった。


「あれ、痛いよね。歯茎から血が出ちゃう。」

「うん。姐さんの客も房楊枝を買ったけど痛くて使い続けられないって言ってた。」

「くくっ。だがそんくれーしないと匂いは溜まる一方だ。道明寺の坊ちゃんなら旨えモンばっか食ってるだろうしな。」

「いい物食べてる方が臭わないような気がするけど、、」

「それじゃあ、割に合わねぇよ。男前で金持ちで、口も臭くねぇ。そんな男を独り占めしてるのはお前達だって面白くないだろう?」

「そう考えれば、そうかな。つくし姐さんちょっと羨ましいし。」

「えっ、そんな事ないよ。」

「甘柿、あんた良い子ぶってる。そりゃつくし姐さんもそれなりに大変だろうけど、そのくらいの我慢はさせても罰にはならないんじゃない?」

「で、でもっ。つくし姐さんが道明寺さんを嫌がったらあたし達だけじゃなく姐さん達も用心棒の客がいなくなる事になるんだよ。」

「まぁ、、」

「そしたらつくし姐さん我慢すると思うんだ。姐さん、そんな人だから。」


語尾を弱くし泣きそうになる甘柿。他の新造も罰が悪そうにしていた。

紫陽はふぅとため息を漏らし、甘柿に声をかける。


「あんた達いい加減におし。ここがどこだか分かってて話をしてるのかい?座敷で辛気臭い話して客にとっちゃ迷惑だ。」


紫陽に怒られシュンとする新造達を見て、歯医者の男も苦笑いになる。


「くく、本当にお前達の見世は遊廓らしくねぇな。ギスギスしてなくて俺を取合わねぇ。」

「それはお客さんが好みじゃないからかもしれませんよ?」

「言ってくれるなあんたも。客の機嫌を上げたかと思えば容赦なく下げる。手強そうだぜ。」

「まぁ、弱くはないね。」


ニコッと歯医者の男に微笑む紫陽。
そして新造達の方へ振り向き言い放つ。


「つくしの事は心配無用だよ。あの子はあたしの妹分だ。道明寺の坊ちゃんが何かやらかせばあたしが鉄槌を下す。
甘柿、坊ちゃんに睨まれたくらいで機嫌が悪いと思うなんて、あんたもまだまだだ。もっと男を見る目を養いな!」

「へ?まだまだって、、」




***


「司の口?別に臭わないよ。」


翌日意を決してつくしに聞いてみる甘柿だが、つくしからはアッサリと否定された。


「で、でもよく口を触っているし、機嫌も悪そうだし、違うんですか?」

「ああ、あいつ人見知り激しいからあんな顔してるだけで、特別機嫌が悪い訳じゃないよ。で、口触ってる?んー、、あ!それはあれだよ、あれ。」

「あれ?」


クスクスと笑いを漏らすつくし。
甘柿の心配は全く必要のないものと勘づいていたが、愉快そうなつくしに耳打ちすると近寄られ、つい耳を傾ける。


「髭だよ。ひ・げ。あいつ、鼻の下には生えてきてるんだけど、口の下や顎には生えてきてないから気にしてるの。」

「そう言えばツルツルですね。生えるの遅いから気にしてるんですか?」

「いや、遅くはないんじゃないかな?だってあいつまだ15だよ。」

「えーーーー15?15って、15才?」

「そう。あの成りでね。」


クスクス笑うつくしに甘柿もようやく肩の荷が降りたらしく、へへっと笑ってしまった。


「でも、なんで甘柿そんな事が気になったの?」

「あ、それは、、」







「ああ口吸いか。されちゃうよね。どうしてもシたくて来てる客もいるからさ、あたし達相手に悪戯くらいはしなくちゃ気が治らないじゃないかな?」

「へ?じゃあ、つくし姐さんもされてたの?」


驚く甘柿につくしはケラケラ笑い、否定しない。


「あったり前じゃん。あたしだって身請けされる前は姐さんの新造だったんだよ。客と添い寝だって一度や二度じゃない。」

「そうなんだ。」

「だから口吸いされた時はさ、お土産を要求したりしてたよ。」

「お土産?」


それは嫌な客でも姐さんの客。次も見世に来てくれるように、つくしが考えた作戦だった。次も自分と添い寝の時、飴玉をくれたらもっと口吸いをさせてあげると誘ったのだ。飴玉を貰えるなら嫌な客の口吸いも我慢出来るとつくしは考えたのだった。


「なるほど~姐さん頭良い!」

「まっあねー」


へへんと得意気なつくしだったが、甘柿に褒められいい気になってたので近くに漂う暗雲に気付かずにいた。



「へぇ、随分と愉快な武勇伝を持ってるじょねぇかおめぇ、、」



ゴトッ、ガラガラン

司の声を耳にしてビクッとし、持っていた桶を落とすつくし。

そろ~っと振り返れば、この世のものとは思えぬほどの青筋を額に浮かべた司が仁王立ちしていた。


「つくし姐さん、あれは、、」

「あは、あははは、、」

「怒ってます?」

「・・・甘柿。」

「はい。」

「逃げよう。」

「えっ?」


ダッっと甘柿の返事も聞かずに飛び出すつくしだったが、あっけなく司に捕まり肩に担がれ部屋へと消えて行った。

甘柿が唖然としていると、それを見ていた姐さん達がわらわらと出て来ては話し始める。


「相変わらず仲が良いねぇ。」

「坊ちゃんの方がぞっこんだからね。」

「しかし、つくしそんな手を持ってたとは感心だね。」

「上手い手を独り占めするからああなるんだ。ありゃ、明日は立てないよ。」


クスクス笑う姐さん達を見て、甘柿はあれが二人の仲なんだとようやく納得する。


「甘柿。」


姐さんに声をかけられ、振り向く。


「男は面じゃないよ。それに、」

「それに?」

「嫌よ嫌よも好きなうちさ。つくしの場合は全部じゃないけどね。」


甘柿は茶屋で言った事を思い出す。

そして、つくしが物凄く照れ屋な事も。



「男を見る目か、、甘柿頑張ります。」





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江戸時代ではキスを接吻と言わなかったようです。口吸いと言ってたのと情交の時にするもので今と感覚がかなり違うとか。

そして原作では司がキスの場数を踏んでますが、こちらでは遊女のつくしの方が場数があったとしてみました。逆転の発想。駄目かな?

このお話は6月だし、6月と言えばデンタルフェアとかあったな~と思い、膨らませたお話です。

なのでつくしの妹分目線になるしで、なんかイチャイチャ度は少なめ。

私lemmmon久しぶりの花街なのでまだ調子が出ないようですが、なんかちゃんと燃焼した気にならないので近いうちにまたアップします。

宣戦予告だ。
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コメント返信です。

いつも返信が遅くてすみません。
そしてまとめてになります事もご了承下さい。

Re:な*さん。
コメントありがとうございます。
ふふふ司の口臭を臭くはしなせんよ〜
私も司loveな管理人なのでね。

Re:Fu***さん。
コメントありがとうございます。
次回作の前に何やら参加してます。
寄り道中です。
そうですね。総優のお話上げておきたいと思います。リクエストありがとうございました。

Re:チ***さん。
コメントありがとうございます。
ふふふようやく回って来ましたよ。
私らしく出来たか良ければまたコメント下さい。


以下拍手コメ
Re:コ**さん。
見てますコメありがとうございました。
また書きますので待ってて下さいね。

Re:H*さん。
今度はイチャイチャ度増やして行きますね。
コメントありがとうございました。


lemmmon
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