甘さとスッぱさと ... 花街に護られてー噂をすれば影ー
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花街に護られてー噂をすれば影ー
2017-06-11-Sun
江戸時代を背景にお話を書いてます。
時代的な言葉や名称などは詳しくないので現代風に置き換えてます。
それでも明らかに違うようにはしてません。
細かい矛盾点などあるかと思いますが、目を瞑ってお付き合い下さい。
ダメなら進まないでね。









夜見世で賑わう伊吹屋。

時刻はまだ戌の刻(午後8時)、各部屋では客が遊女と酒やつまみで変愛話を咲かせていた。

そこへスッと障子が開き中から、つくしが出てくる。

何気ない表情を浮かべているが、からくり人形のような歩き方をしている。


「つくし下にか?だったら回し部屋へのお膳が幾つか重なってる。戻りながら持って行ってくれないか?」

「分かりました。洗ったら行きます。」


ニコリと笑ってつくしは快諾した。

両手にお膳を持った男衆はつくしと離れたところでボソリと呟く。


「まだこんな時間なのに跨られてつくしも大変だ。」

男衆は振り返り、階段を降りるつくしを見た。

「くくく。姉さん達はもうちょっと優雅に歩くぜ。ま、つくしや痩せてるからしゃあねぇ、うおっと!」

ちょこちょこ歩くつくしが可笑しくて男衆は柱にぶつかりそうになってしまった。




***

「遅かったな。また手伝えって言われ、、俺のか?」


スッと障子を閉めたつくしの手にはお膳があった。


「あたしも食べるよ。」


置いたお膳には麦飯とお麩の卵とじのおかずに漬物、そしてひと組の箸が乗っていた。


「箸、一つじゃねぇか。」

「うん。交互に使えばいいじゃない。その方が洗い物も減るし。」


お茶碗を持ったつくしは、卵とじを一口、口に運んだ。


「うん、美味しい。へへ、お手伝いするとさ、こういうのにもありつけるんだよ。」


そしてまた卵とじを一口分箸に取ると、司の方へと箸を向ける。

司は抵抗なくそのおかずを食べて咀嚼する。


「洗い物ねぇ。素直に食わせてやるって言やあいいじゃねぇか。」

「何よ、素直って。食べさすくらいの奉仕なんてここじゃ普通よ。うちに来てまで自分で食べろとは言わないわよ。そこまで野暮じゃありません。」


いーと頬に力を入れ口を横開きにしたつくしだったが、おかずに続けて麦飯も司へと差し出す。


「普通ねぇ。客全部にゃしねぇだろうに。」


咀嚼しながら漬物をヒョイと口に入れる。


「でもあたしの相手はあんたしかいないんだもん。やる事ないと落ち着かないのよ。」

「やる事、、遊女じゃねぇだろおめぇは。」

「そうだけど、、ここにいてあんたの相手するなら遊女とする事同じじゃない。そりゃ毎晩は来ないけど、ずっと跨られてりゃ身体が持たないわよ。」

「俺はんな事ねぇぜ?」


司はニヤリと口角を上げるが、つくしはじとっと重い瞼を返した。


「あたしも手紙書こうかな、、」

「あ、何だって?」

「何でもなーい。」

「ムッ。手紙書くとか言ってたじゃねーか。」

「聞こえてるんじゃん。」

「誰に書くんだよ。」


ギリギリと額に青筋を立てながら、つくしを睨む司。

ふと、つくしが視線を落とせばおかしなところが盛り上がっている。


「誰って、、」


そう言ってつくしは司の顔をじっと見る。


「あご髭付けてる人かな。」

「は?」

「あ・ご・ひ・げ、付けてる人よ。それしか教えらんなーい。」

「はあ?!てめぇ、俺がいながら他所に男作ったのか?」

「作ってなんかないわよ。忙しくてそんな暇ないもん。伊吹屋は閑古鳥も鳴く暇なんて無いんですぅー」

「ああ?だが、遊女が書くっつったら客への恋文じゃねーか。俺にはあご髭はねぇ。どこのどいつに恋文を書くんだよ。」

「あたしは遊女じゃないんでしょ。」

「同じ事すると言った口はこれじゃねーのか?」

「ぷひゃっ。」


司はつくしの頬を摘んで口を尖らせた。


「あにしゅんのよ。はにゃせ。」

「誰だか話したら離してやる。」

「ちゅかまれれ、ろーやっれはなしゅのろ。」

「・・・・・・確かにそうだな。」


司はつくしの頬の手を離した。

その間を置かずつくしはかかかーっと麦飯をかっ食らい、おかずもばくばく食い出す。


「おいっ、ひとりで食ってんじゃねーよ。」

「もぐもぐ、うるしゃいころ言う奴に食わせてたまるか。」

「なんだ!!」


反論しようと口を開けた司につくしはおかずを放り込む。


「黙って食え!せっかく作ったのに冷めちゃうでしょ。」


むうっとするつくしに口を閉ざされ、睨んだまま固まってた司だったが、ゆっくり咀嚼し出した。


ゴクッ

「浮気じゃないんだな。」

「当たり前でしょ。裏方だって手紙は書くのよ。男衆はしないけど、女将さんのお手伝いでやる事あるの。」

「こき使われてるってか。あのババアてめぇは楽してるってか?」

「楽してたら、みんなこき使われてないわよ。あんたも商いしてるから分かるでしょ。」

「・・まぁな。」


つくしの言葉に何やら思案めいた司だったが、その言葉を返す事はしなかった。


それから食事を済ませ、

二人で煎茶をすすり、

障子の近くにお膳が寄せられる中、

布団の中、

つくしが鼻の下に生えかけた司の髭をからかっては、仕返しだとつくしの着物の中に手を入れる司。


そして亥の刻過ぎた時に再び階段を降りたつくしが見張りの男衆と目配せをした後、

二人は火の番の拍子木が鳴らされる前には寝てしまった。

周りの部屋から遊女達の仕事の声もなんのその、二人抱き合い夢の中だった。





その夜から数日後。


振袖新造になりたての甘柿から褒められ、つくしが鼻を高くしていると、

背後から低くおどろおどろしい声が聞こえて来た。


「逃げよう。」


ダダダと駆け出すがあっけなく司に捕まり肩に担がれ、二階の階段近くの部屋へと押し込まれる。

まだ夜見世前で部屋の主人が不在だったとはいえ、姐さんの部屋である事は間違いない。

部屋を振り返り、起きようとしたつくしに司が跨がられた。


「まさかおめぇがそんな事してるたぁなあ、、何人と口吸いしたんだ?え?つくし全部吐きやがれ。」


顔を歪めながら笑われている事に、つくしは狂う寸前の怒りなのだと理解するが、


「言わない。言う気なんてないわ。あんたに身請けされる前の事なのよ。今さら言われてもどうしようもないわよ。」

「何だと、、」


司の目が血走り、つくしはマズイと思っていると、


ダンッ


つくしの顔の横に激しく音を立て手をつく司。

二人は顔を近づけ睨み合う。


が、


ゴンッ


顔を近づけた司につくしは頭突きをかました。

勢いをつけたため痛みで泪を浮かべるが、睨んだままつくしは司の襟元を握りしめた。


「あんたはここが本当にどこだか分かっちゃいないわ。」


感情はむき出しのままながらも声を抑えて司に話しかけるつくし。

司は驚きながらもつくしが声を抑えた事に気を取られる。


「どこって、遊郭だろうが。」

「そうよ、遊郭よ。女の戦場なの。ここでは上位に君臨するために熾烈な女の争いが繰り広げられてるの。」


司はハッとさせられる。


「言わないのは、あたしにだって意地があるのよ。身請けされて確かに遊女ではないわ。だけどね、ここにいる以上女としての基準は遊女なのよ。」


司は真顔になり黙って聞いていた。


「あんたにイカされるのは、しょうがないと思う。あたしの知られたくないところまで探り当てられちゃったんだもの。

でもね、遊女にとってイカされるのは恥なの。男を喜ばせて手玉に取る商売なんだから。だから、あたしはこの見世で裏方だろうが遊女としては出来そこないなの。

だから言いたくないのよ。今だってあんたが騒いだからみんなが聞き耳立ててる!あたしがあんたにまた手玉に取られるだろうと、笑い者にするためにね。」


司は身体を起こして、つくしの身体も起こそうと手を取った。

そして胡座をかき、つくしに向かい合う。


「それじゃあ作り話か?」


司も抑えた声で話しかける。


「それを思いついたのは本当。やってみたのもね。でも二度目があっての方法よ。一度目から飴を持ってくる客なんていないでしょ。」

「まぁな。」

「それに姐さんは用心深いって言うか、馴染みの客が重ならないように、手紙をまめに送っていた。だから、二度もあたしに当たった客なんてほとんどいないの。姐さんが格子に座ればあたしが入る必要なんてないでしょ。」

「ふぅん。なら、さっきの話はお前の強がりかよ。」

「そんな言い方するな。」

「どっちだ?」


頬を膨らませ不満顔になるつくし。

司はその顔を見てはホッとしていた。


「俺以外とやるなよ。」

「するか。しようとも思わないわよ。・・・こんな事されてもね。」


司はつくしをギュッと抱きしめた。


「もうビビらせるなよ。マジで、そいつを殺めようかと思ったぜ。」

「これくらいで殺めるな。あんたが島流しになったらあたしはまた売られるのよ?」

「・・分かってるよ。」






***

「随分とまた派手に喧嘩したもんだね。あんた達は。」


紫陽に呆れられ、つくしは返す言葉がない。

あの後姐さんの部屋を乗っ取ったまま、いつも通りに後朝まで居座った司。

つくしは司を送り届けてからの朝食でその姐さんにぐちぐちといびられてしまった。


「でもさ、つくし二度目の客が全くいなかった訳じゃなかったわよね。」


ドキン

つくしは心臓が早鐘のようり鳴り響くのを必死で隠した。


「いや、そうでしたっけ?」

「そうよ。あの、、何とか藩の御庭番だかの兄さんがあんたに通いに来てたじゃない。」

「何とか藩、、あっ!あの人。」

「確か、三度目にあたしの部屋に上げたのよ。そしたらあんたの水揚げがいつになるか聞いてきて、それじゃあまた江戸に来る時には客を取っているんだなと言ってたわよ。確か。」

「へ?客を取ったら?」

「なかなかの上客ぽかったし、あんたの常連になればなと思ってたのよね。ま、今となっちゃ無理な話だけど。」

「そ、そうですね。」

「坊ちゃんには黙ってたげようか?」

「へ、黙って?ははは、はい。言わないで下さい姐さん。あいつは殺めるから誰だと息巻いてたんで、知られれば生き別れになっちゃいます。」

「へぇ、、そいつは物騒な殺し文句だ。まさに殺し文句だね。」


ケラケラ笑って紫陽は他人事のように高笑いする。

その後ろでつくしはキョロキョロと司が今の話を聞いていなかったか、不審な動きをしていた。






その頃、江戸近くの宿場町では、

嵐を巻き起こす男が江戸へと足を踏み入れようとしていた。





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嵐なんて起こしていいんだろうか?
しょぼい嵐になりそうな予感です。
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コメント返信です。

一日待ってみました。
もっと来るかなと。はい、スミマセンm(_ _)mデジタ。


Re:さ****さん。
私のつたないキュン♡にも反応してくれてありがとうございます。
嵐は、、考えてますが、リレーが終わってからかなぁ?
しばしお待ち下さい。


Re:チ***さん。
二巡目まさに、明日ですよ。
がんばりまーす(*^▽^*)/



以外、拍手の非公開コメです。
Re:**さん。
大丈夫。私もハラハラすぎは好みません。逆に嬉しい意見ですよ。ホクホクホク(=^x^=)
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