甘さとスッぱさと ... イベリス 13
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イベリス 13
2017-07-02-Sun
「風俗の人達と同じ理由です。」


名乗らない理由を聞き、風俗という言葉が出てきて老婆は驚いた。


「風俗、、あんたは風俗で働いているのかい?」

「違います!」


動揺のまま答えた事が、老婆にとんでもない勘違いされた事でつくしは声を荒げてしまった。


「どう違うんだい。風俗の人、、

まさかあんたは主人がそんな風にあんたを扱うと思っているのかい?」


まさかという表情で老婆はつくしに問いかけた。


「はい。
だって、そういう出会いでしたから。」

「そういう出会い?
それじゃあ、あんたは主人とそんな関係になったのかい?」


老婆の問いかけにつくしは頷いて答えた。


「それで主人はあんたに何て言っているんだい?」

「側に置くつもりだと。だからその関係を、、相手をさせられるんだと思います。」


老婆は驚きのあまりすぐには口を閉ざせず、つくしは気まずさから顔を背けてしまった。

黙ってしまったつくしと老婆。

しかし気を取り直した老婆はつくしの表情を見てある事に気付いた。

つくしはこの関係を好んでない。
イヤイヤな様にも見えるが、渋々という様にも見える。
この感じに老婆は気付いた。


「あんたはそれで良いのかい?」


それを確かめるため声をかける。

するとつくしも老婆の声色から意図を読み取った。


「後悔が無いと言ったら嘘になります。
でも、一度引き受けたからにはやり遂げようと思っています。」


つくしの目は真っ直ぐ老婆を捕らえ、老婆はその目を気に入った。

しかし、


つくしはヘロヘロと崩れてうずくまってしまった。


「どうしたんだい?」

「お、お腹空いて、、」


さっきまでの強い目がふにゃっと力を抜け、老婆も笑った。


「食事と着替えどっち先が良いかい?」

「食事を、、昨夜も結局あまり食べてないんで、、」

「軽めが良いね。お腹に優しい物を持ってこよう。」

「ありがとうございます。」



パタン


老婆が部屋を出て行くと、つくしはフラフラとソファに腰かけ、ボーッとしていた。

そして老婆に名前を言ってしまった事を悔やんでいた。


「はぁ、、前途多難だ、、」


つくしはソファに体育座りして脚に顔を埋めた。


「挫けそう、、」


口から弱音が出てくるが、その時老婆が戻って来た。

ガラガラとワゴンを引く老婆の姿を見て、つくしはハッとして立ち上がる。


「すいません。あたしがやります。」

「何言ってんだい。主人の客人にさせるもんか。それに腹が空き過ぎてヘロヘロになってたじゃないか。さぁさ、座りな。」

「はい。すいません。」


シュンとなりながらも目の前に並べられる食事につくしは目を輝かせてしまった。

食事はつくしの好きな卵粥。だが、食べてみるとレトルトとは違う味わいにつくしの表情はみるみる緩んでいった。


美味しそうに食べるつくしの様子は老婆の疑念も薄れさせていく。



「主人が帰ってくるまでどうするつもりだい?」

「あ、何時ごろ帰って来ますか?はやく帰れるか分からないと言ってましたが、、」

「いつもは大体10時ごろだね。」

「そうですか、、何しよう、、」


つくしの呟きに老婆はすぐ反応した。


「エステでもするかい?」

「エステ?おばあさんがしてくれるんですか?」


老婆はつくしを再びギロッと睨んだ。

つくしは老婆の迫力に少し押された。


「年寄り扱いしないでくれと言っただろう。あたしの事はタマと呼んでくれ。」

「あっ、はい。」

「あたしがしやしないよ。道明寺御用達のエステシャンを呼ぶのさ。」

「えっ呼ぶ?!そこまでしてもらう必要ないです。」

「でも主人と身体を重ねるんだろ?」

「うっ、そ、そうですが、、」


老婆は顔を赤らめるつくしを見て確信したが聞き続けた。


「エステを受けたいと思わないのかい?」

「特には、、変ですか?」

「普通は身体を磨きたいと思うだろ。」

「磨きたい?垢すりの事ですか?そう言えば最近してないかも。スーパー銭湯にも行ってないな。」

「・・・・・」


黙っていた老婆だったが、くくくと笑い出した。


「それじゃ、あんたは何がしたいんだい?」

「え?」

「帰ってくるまで暇なんだろう。何かやると良いさ。」


つくしはその言葉に老婆をじっと見て、そして考えた。

顔を上げたつくしは決意を秘めた目をしていた。


「働きたいです。」

「働きたい?」

「ダメ、ですか?あたし働くのが好きなんですが、ずっと家に篭ってたんです。大学の時には清掃のバイトをしていた事もあります。何かやらせてもらえないでしょうか?」

「バイトをしていた、、」

「はい。あまり、、というか裕福ではなかったので、、でも体を動かすのが好きなので苦ではなかったです。」

「ふむ、そうかい。そんなもてなしはした事ないけど、あんたがしたいって言うならさせない訳にはいかないね。さて、何をさせようか、、」





***


「坊ちゃん、お帰りなさいませ。」

「おう。おいタマあいつはどうだった?」


リムジンを降りて口を開くのは良くある事ではない。


「本人の希望を叶えもてなしました。それで多少お疲れでしょうが、満足そうでしたよ。」

「そうか。じゃ機嫌が良いって事だな。でかしたタマ。」


ここまで上機嫌なのも、、


老婆は予想以上の主人の反応に目を丸め口角の皺に力が入った。


「坊ちゃんはあの女性をどうするおつもりですか?」

「どうする?分からねぇか?」


そんな風にニヤっと笑う主人を見るのも何年ぶりか、

老婆は期待せずにいられなかった。


「坊ちゃんがここまで関心を持った女性はいませんからね。関心ではなくその先をお持ちになられている事を期待してしまいます。」

「そりゃ、期待していいぞタマ。」


自信満々な主人の態度に老婆の目もキラリと光る。


「なかなか手強そうですよ。はて、坊ちゃんの経験値で上手くいきますかね。」

「経験値?そんなの必要ねぇよ。俺が狙ったんだ。絶対に手に入れる。」

「強引はやめて下さいね。あと手荒なのも。彼女のペースも尊重してあげて下さい。」

「・・気に入ったみたいだな。」


老婆が一瞬驚いた後の主人の顔は20年ぶりに見る笑顔だった。


「お部屋でお待ちですよ。早くしないと眠ってしまうかも。」

「おっと、そりゃヤベェ。昨日も寝ちまったんだよ。」



駆け出した主人の背中を見送る。

30過ぎた主人に坊ちゃんと呼ぶのをやめようかと思っていた。


「それはもう少し後にするかねぇ、、」


「ま、でも待って1年かね。」





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明日は投稿をお休みします。日曜はちょっと執筆がしにくいです。

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