甘さとスッぱさと ... イベリス 15
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イベリス 15
2017-07-05-Wed
男が自分に向けた笑顔があまりにも優しいから、つくしは俯いてしまった。


ドキ、ドキと動揺しているのが分かる。


男の人に笑顔を向けられるのは久しぶりだった。

ただでさえ整った顔なのに、その笑顔は反則だと思わざるを得なかった。


「どうかしたのか?」


声をかけられ、つくしは顔を上げる。

見上げた男の顔は心配そうだった。

先ほどのタマの気遣いを思い出す。

タマは自分の境遇を理解してくれていた。

そんなタマが命令を聞いていたのは、この男の命令だからだ。

命令を聞くのは雇用条件とかそんな理由からかもしれない。

だけど、




つくしは警戒し過ぎる事が無礼な態度に思えてきた。


ひょっとしたら、この男もそんなに悪い人ではないのかもしれない。



「何でもありません。あ、あの手を離してもらえますか?」


つくしの手はまだ男に握られたままだった。


「じゃあ、向こうに行こうぜ。」


男は手を離さず、手を引いて行った。


窓際を離れ歩いていると寝室のドアが目に入る。

つくしは身を硬くした。

瞬きをして、冷静になろうと自分に言い聞かす。


その緊張は手にも伝わっていた。

男のつくしを見る目が寂しさを表していたが、つくしには伝わらない。


男はソファに回り込んだ。

優雅な手つきで、つくしをエスコートする。

座るように促され、つくしは硬さの取れない表情を向けてしまった。


「そんなに警戒するな。無理強いはしないと言っただろう。」

「あ、ご、ごめんなさい。」


自分でも警戒し過ぎだと思っていたつくしは顔を真っ赤にして、恥じた。


そんなつくしを見て男はクスリと笑い、また座るよう促し2人でソファに腰かけた。


「これからの事、俺がお前を連れて帰った理由だがよ、」

「はい。」

「お前には俺の帰りを出迎えて欲しいんだ。さっきのように。」

「は、い。」

「そして話相手になってくれ。他愛もない話でいいんだ。」

「話、あいて、、」

「ああ、何でもいい。今日何やってたとかでも。そうだタマに聞いたんだが、何かやってたそうじゃねぇか。何やってたんだ?」


優しく話しかける男につくしは今朝の男の様子を思い出した。確かあの時も自分に気を使っていると思ったんだと。


「クリーニングをしてました。」

「クリーニング?掃除って事か?」

「いいえ。洗濯のクリーニングです。タマさんに働かせて欲しいと言ったら、クリーニングの使用人が病休中で人手が足りないからって、それで、、」

「働いてたのか?なっ、お前は俺の女だぞ。」


男の発言に驚くつくし。

俺の女の意味を考えあぐねていた。


戸惑いを見せるつくしに男は手を口に当て、不味いという表情を浮かべた。



黙り合う二人。


つくしが男をちらりと見ると、頭を掻き考えている。バツが悪そうにしているように見えた。


「あの、働きたいと言って働かせてもらったので不満とかはないです。それにあたしにとってはそれはおもてなしになりましたよ。すっごく楽しかったです。」

「楽しかった?」

「はい。体を動かして働くのが好きなので、久々に体を動かせてとっても気持ち良かったです。」


つくしが笑顔になった事で、男は仕方ないなとばかりにため息をついた。


「そっか。」

「はい。明日もお手伝いさせてもらうんです。」

「はあ?明日もだと?」

「はい。だって一日中この部屋にいても何もする事はないですし、クリーニングするのはとっても気持ち良いんですよ。綺麗になったシーツをたたむ作業は二人一組でやるんですけど、綺麗にたためたらガッツポーズものです。」

「ガッツポーズってよ、、」

「だって組む方と息を合わせないといけないんですよ。あたしは初めての割にけっこう出来てたし、センスあると言ってくれたもの。」

「センスって、スポーツじゃねぇんだからよ。」

「でも技という意味では一緒でしょ。呆れないでよ。褒められて嬉しいんだから。」


つくしがぷぅと頬を膨らまし拗ねてみると、男はまた破顔して笑った。


「悪い。もう呆れねぇよ。」

「こんな話で良いんですか?」


つくしは男に聞いてみた。驚いたり呆れたり、忙しい男はが好む話には思えなかったからだ。


「ああ。そんなんでいい。」


男の顔が優しかったから、つくしは意を決して聞いてみた。


「セックスはしなくて良いの?」

「したければ相手になるぞ。」


男はおどけて答えた。


「し、したい訳じゃないわ。でも、そのつもりで連れて来たと思ったから。」

「まぁ俺も男だからその欲求はあるが、セックスは不都合を生む時もあるからな。」

「不都合?」

「ガキだよ。」

「あっ、、」


納得せざるを得ない理由を聞かされ、つくしは口に手を当てた。


「一時の快楽のために出来たなんざ生まれるガキにもいい迷惑でしかないだろ。欲求なら風呂場ででも吐き出しゃ済む話だ。女の中に出すにはリスクが高すぎる。」

「リスク、、」

「俺にもそうだが、お前にだってそうだろ。いや、むしろお前の方が高いよな。」

「そうですが、あなたには、どんなリスク、、あっ、訴えられるとかですか?あたしはしませんよ。そういう契約ですから。」

「契約?」

「あ、いえ、、なんでもありません。」


男はじっとつくしを見て、つくしもその視線に気付いていた。


そのうち、男はジャケットを脱ぎ出した。


「あ、片しますよ。」


さっと立ち上がりジャケットを取ろうとする。

男も身体を捻り背中を向けた。


「ネクタイも片付けます。」

「サンキュ。」


つくしはソファを回り込みクローゼットのある部屋に向かう。朝、男が出入りしていたからそこだと分かっていた。


そんなつくしを男は目で追っており、戻ってきたつくしに話しかけた。


「良いな。こういうの。」

「こういうの?」

「お前が俺を世話する事さ。帰ってきたって癒される。」

「あ、、そ、そうですか?でもここには使用人さん達いっぱいいるじゃないですか。」

「使用人にやってもらいたいんじゃねーんだよ。」

「どうして?」

「誰でも良い訳じゃねぇ。俺を癒せるのは限られた人間だけだ。」


男が向ける視線の強さにつくしはまた動揺した。


ソファから男が立ち上がる。


ゆっくりと、つくしから目を離さずに近づいて来た。


手を伸ばさずとも触れられる距離を取られる。


お互い目を合わせていて、離す事が出来なかった。


男に右手を取られ、つくしはビクッとする。


一瞬取られた手を見るが、すぐに視線を戻した。

男の強い視線に連れ戻されたように。


ゆっくりと男がつくしの右手を持ち上げた。


つくしはスローモーションを見ているかのようだった。


男がつくしの指先にキスをした。


その瞬間、つくしは目を閉じてしまう。


無意識に出るため息。身体の奥から熱が湧き出てくるのが分かるが、ドキドキとした動揺はつくしを混乱させていた。


「俺に惚れろ。」

「へ?」


熱がこもった声が耳に届き、つくしは言葉の意味を理解するのに時間がかかってしまった。


「惚れろ?」

「ああ、俺に惚れろ。俺はお前を惚れさすためにここに連れて来た。」


つくしは驚いた。驚きのあまり口を開けてしまうほどに。


そして男はニヤリと笑う。




急に身体が引っ張られつくしの目の前から男が消えた。


後頭部を抑えられ動けない。


けれど、そうされなくてもつくしは動けなかった。


熱が唇から伝わってきたからだ。

角度を変えられて、脚から力が抜けてくる。

でも崩れる事は無かった。

その代わり男の熱が腹部からも伝わってきた。

固いものが当たっている。


つくしは男のシャツをぎゅっと握り返した。






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昨日は不思議な夏を書いてました。イチャコラなのにオコチャマな話を。

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