甘さとスッぱさと ... イベリス 19
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イベリス 19
2017-07-11-Tue
朝シャワーを浴びて、スーツに着替える。

これまでは淡々とこなしていた事だが、


今朝は見ているだけで飽きない女が側にいる。


見ているだけでも飽きないが、

ちょっかいを出すと期待以上の反応を見せるため、俺はついつい調子に乗ってしまった。


シャワーから出て見れば、洗顔の真っ最中らしくバシャバシャとゆすいでいる。

顔を上げた瞬間をスマホで撮れば、

驚いて振り返り、それも激写。

そして怒り、また激写。


スマホを奪おうと詰め寄るも、濡れるだろと言っただけで急停止するように両腕を突っ張って固まり、俺はまたまた激写。

笑いが止まらねー俺に、

上目遣いで睨むつくし。

ぼたぼた水が垂れて服が濡れていくのも堪らねぇとまたスマホを向ける俺に、つくしは背を向けた。

だから映ったつくしは背中だったけど、これも俺にはニヤける写真でしかない。

背中を撮ったと思った写真には鏡に映るつくしの表情が、、

頬を膨らませながらも笑ってやがる。

それは俺の撮影を阻止した事への笑いかもしれねぇな。



そんなつくしを置いて仕事になんざ行く気になれねぇが、無表情の秘書はそんなの知ったこっちゃねぇと激しくドアを叩きやがる。

いや、この叩き方は棺桶に片足突っ込んでる妖怪ババアの方だな。



ドアを閉めるとつくしの叫び声が聞こえて来た。


キスをしただけでこの反応、、


俺は笑いが止まらず、タマや使用人の前で大声で笑っていた。




驚く使用人の中にひとり安心したような顏のタマ。

そんなタマの見送りを受け俺はリムジンに乗り込んだ。






「司様。花沢社長から訪問の打診がありました。」

「類の親父から?」

「はい。」

「どう言った件だ?」

「牧野つくしさんの事でしょう。」



秘書は無表情のまま、資料を出してきた。

そこにはつくしの経歴が記されていて、つくしは類の会社の社員だった。

そして立浪のジジイとの契約書も添えられていた。

かなりの機密文書なんだろう。

使われている紙がコピー不可の物と思われた。コピーすれば全面的にぼかされる紙を使用している。



今時こんな契約書が存在している事にただ驚かされ、

そしてこの存在があいつを不安にさせている事だと知り、俺はイラついた。



「最優先させろ。今日中にケリをつける。」

「そう苛立たなくても花沢社長は分かってらっしゃると思います。」

「・・どういう事だ?」

「この手を使われたのは主に立浪会長の世代です。花沢社長からの提案には思えません。」

「その理由は?」

「この手がよく使われていた頃はまだインターネットなど無い時代ですから。噂は所詮耳から広がる範囲。しかし、現代は違います。どんなに徹底したところで漏れるものです。立浪会長のご世代はそれを理解出来ない。その時代を知っているからでしょう。」

「ふん。なら知らしめたらいいじゃねーか。」

「それは花沢社長のご意見を聞いてからにして下さい。」

「案外同じ穴のムジナかもしれねーぜ?」

「表に出されるのは牧野様ですよ。」



痛いところを突かれて舌打ちする俺に秘書は無表情に言葉を続ける。


「午前中はNYからの報告がありますので、それからになります。」

「チッ。報告なんざ後回しで構わねーよ。」

「社内での印象も悪くなりますが、、、牧野様が。」



睨む俺に秘書は一瞬頬を緩め、到着を知らせる。

忠実な犬だがよ、

こういう時にやり返すんだよこいつは。


俺は遊ばれた事で、邸を出る時とは打って変わって苛立ちを隠せずにリムジンを降りた。





***


花沢物産に到着した俺は社長室へと向かう。

そして類の親子関係について思い返してみる。

類の方も俺んとこと同様に良くは無いはずだ。

成人して弱い大人を見てきた分、今の類の親父を見てもガキの頃のような怖さは感じないはずだ。

だが引っかかる。


今、類は国内にはいねぇ。


ひょっとしてつくしは類と何か関係があったのかと思わざるを得なかった。


それで類から遠ざけたのか?

しかし、類にそんな女がいたとは思えねぇ。

パリ行きになっても飄々としてたし、向こうで落ち合っても普通に俺に会いに来ていた。

類も俺に隠していたのか?



確かにあいつは俺に取られた物をずっと根に持っていた。

自分の物を俺に取られると思っていたと考えれば不思議ではない。



だが、、


「もう遅い。俺も気に入っちまったからな。類、残して行くお前が悪ぃ。」



俺は類の部屋を一瞥して社長室へと入って行った。







***


その頃道明寺邸のランドリールームでは、


つくしがランドリーの使用人に嘘を付いていた。


「いえ、あたしはつかさの、、つかさ様の隣の部屋を借りてるんです。」

「白田様は司様の事を司様と呼んでらっしゃるんですか?」

「は!い、いえ、、あの、司さんと呼んでます。」

「ですよね。」


そう答えて使用人はシーツの山を見る。


「ど、どうかしましたか?」


つくしはドギマギして聞いてみた。
嫌な予感しかしなかったからだ。


「いえ、白田様が使われたならこのシーツの中に紛れているのかと。」

「こっ、このシーツですか?」

「はい。邸では多くの部屋があり、使わなくてもシーツは定期的に洗います。ですが、使われてないため洗うといっても簡単に洗濯するんですよ。」

「そ、そうですね。その方が理にかなってます。」

「それでも回収する際には目視で汚れがないか点検するんですよ。もちろん汚れてなくても使われれば洗濯します。そしてそれは分けられるのですが、」

「ですが?」

「それが見当たりません。」


ヒイッっとつくしは飛び跳ねた。

突然のつくしの行動に使用人も驚く。


「な、なんでもありません。驚かしてすみませんでした。」

「は、はぁ、、」


つくしの行動に使用人の何人かは気付いたようだったが、笑いを堪えて平然としていた。堪えきれない者もいたが、いっぱいいっぱいなつくしには気付かれていなかった。


「ちょっと部屋担当の使用人に確認してきます。」

「へ?かっかか確認?!」

「はい。分からないままではこの量を全て洗う事になりますから。」

「あ、あう、ああ、、」


使用人がスマホを手に取り内線をかけようとタップしようとした。

その時、


「ち、ちょっと待って下さい!」


つくしが使用人の手を握りしめ必死な顔で訴えて来た。


「白田様、どうされたんですか?」

「ごめんなさい。嘘です。あたしは司さんの部屋を使いました。隣の部屋を使ったって言うのは嘘、、なんです。」

「あ、そう、、でしたか。でも何故嘘を?」

「何故って、、その、、変な事を勘ぐられるかなと思いまして、、その、、あたしはソファで横になったんですよ。でも、男女が同じ部屋でしたら、そう思いますよね。」

「そうですね。何故別の部屋を使わなかったのですか?」

「ああ、それは、、あ!話をしているうちに眠ってしまったからなんです。眠気に負けてしまいました。」

「そうなんですか。」

「はは、はい。」


なんとか誤魔化せたと思いたいつくしだったが、流石にそんな雰囲気には思えない。


「あの、それで、、その司さんのシーツはあたしが洗って良いでしょうか?」

「え?アレですか?」

「はい。是非!」


それでも食い下がったのは全てはあのシーツのせい。

司の物だと教えられたとたんにシーツに染みがあると言われたのだ。



「すいませんが、ああいう染み抜きには技術が要りますので専従の者にさせさせて下さい。」

「そ、そう、、ですね。はは、こちらこそすみませんでした。」



染みといってもたいして大きくもない染み。


つくしが騒がなければ、気付いた者は限られただろうにそこにいる全員に知られてしまった。


それにランドリーを任される使用人は限られているが、同じ邸で働く者同士の交流はある。

今朝の司の機嫌の良さは目撃してない使用人にも知られていた。


つまりそれは、つくしが白田と名乗る司の恋人だという事が周知されているという事だ。


もちろん知らぬはつくし本人のみ。



その本人はこれからどうしたら良いのかと頭を抱えていた。


全員に見られている事にも気付かずに。



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