甘さとスッぱさと ... イベリス 25
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イベリス 25
2017-07-20-Thu
つくしの腰はいまだ司にガッチリロックされ、2人は密着したまま最上階を進んでいた。


今日初めて道明寺ホールディングス社屋に足を踏み入れたつくしはただでさえ周囲の視線が気になる。


だか見ている事は見られている事でもあり、つくしはこちらを見ている人の位置や仕草で大体の力関係を見て取った。



「社員が多いね。このフロアにいるって事は重役と秘書なんだよね。」

「ああ、あとはSPだな。だが他の社員が全く来ないという訳じゃねーぞ。」

「あ、そうだね。」


密着している2人は大きな声を発する事なく耳元で会話している。

つくしにとってそれは業務を行っている社員達への配慮なのだが、司にとってはそうではない。愛しい女との密着に酔いしれ愉しんでいた。





「副社長。」


そんな2人に後ろから声がかかり、2人は振り向いた。


「野村常務。」


声をかけたのは齢60ほどの初老の男性。だが、ここにいるだけあって齢の割に若々しく見えた。


「珍しいですね。副社長が女性とご一緒とは。どなたなのですか?」

「あ、私は、、」

「俺の恋人だ。」


とたんにザワッとどよめきが走る。

先ほどまでちらっと見てはいたが手を止めなかった社員まで、手を止めてしまった。


野村常務も口を閉じられずに驚いている。が、我に返り口を開いた。


「こ、恋人ですか。では今日は社内の見学という事でしょうか、、」


しかし野村常務は何かに気付き目線を細め語気を強めた。


「お嬢様、副社長とご一緒に居たいのは分かりますが感心しませんね。お忙しい方ですよ。」


キラリと睨まれつくしはハッとするが、間髪置かずに司が口を挟む。


「感心しないのはお前の方だ。勝手に解釈するな。」

「は?」

「こいつは俺がここに連れて来た。ここにこいつが来たのはこいつの提案じゃねぇ。」

「そ、そうでしたか。しかし副社長、社に恋人を連れてくるのはどうかと、、」

「やむ負えんから仕方ない。」

「し、仕方ないとは、、」

「俺が忙しいと言ったのはお前じゃねぇのか?毎日毎日殺す気があるとしか思えねーほど仕事を詰めやがってよ。俺は恋人に会う時間すらままならねーんだよ。だったらこいつを側に置いて癒してもらうほかねーだろ。」

「つ、つかさ、あのね、、」

「何だ?」

「あたしここで働くんじゃないの?」

「そうだぜ。お前は今日から道明寺ホールディングスの社員になる。」

「癒しって、何の仕事なの?あたし秘書とか事務だとか思ってたよ。」

「秘書は足りてる。それに秘書なんかやったらお前他の奴と絡む事になるじゃねーか。俺以外の奴とは話すのも見るのも禁止だ。」

「はい?」


司のトンデモ要求につくしだけじゃなく野村常務も目を丸くする。


「じゃ、あたしは何をやるの?癒しってまさか、、」


つくしの物言いに司もニヤリと返す。


「それはお前次第だ。お前からの癒しなら俺が拒む事はねーよ。」

「な、な、なっ、、」

「副社長!他の社員の前でなんて事を。副社長自ら風紀を乱す事はお辞めになって下さい。」

「風紀?くっくっ、、野村、お前俺らが何をやると思ってんだよ。」

「な、何とって、、」


言葉に詰まる野村常務に司は顎をしゃくって視線を誘導する。

そこには司の第一秘書西田が立っていた。


「あいつが俺を殺そうと仕事をどんどん持ってくるんだよ。恋人を連れ込んでナニが出来ると思うのか?」

「では、彼女は、、」

「くっ、単純に俺の部屋で雑用をさせるだけだ。デートの時間も取れねぇからな。側に置くだけととりあえず交渉したんだよ。」

「し、しかしそれでも社内の風紀が乱れますぞ。」

「じゃあ、俺の仕事お前がやれよ。」


野村常務が息を飲んだ。


「そこまで言うなら俺の仕事をお前が引き受けろ。言っとくが失敗を俺のせいにするなよ。」


司はつくしをまた強く引き寄せた。

つくしと顔を見合わせて柔らかく笑う。


「西田とは業務の向上を見越して話をしている。こいつと付き合って俺はこいつの事が気になって仕方ねーんだよ。それ自体が業務にとっては邪魔だ。だが、こいつと出会ってしまった以上元には戻れねぇ。ならば俺とこいつが一心同体になるしかねーだろ。違うか?」

「しかし、それは他の社員にも言える事でございます。皆大切な存在を残して働いております。」

「俺の重責は社員と変わらねぇってか。」

「そ、それは、、」


再び野村常務が声をかけ詰まらせると今度は西田が声をかけて来た。


「違う尺度のものを同じ物差しで測る事は良い事とは思えません。」

「西田室長。」

「副社長の業務はプライベートをかなり侵食して行われます。ならばその配慮があってもよろしいのでは?」

「しかし、」

「野村。」



司の低い声に野村常務はハッとなる。


「風紀、風紀って言うけどよ。お前別の事心配してねぇか?」


野村常務の顔が一瞬青ざめた。


「俺が誰と付き合うかは俺が決める。他の奴の指図は受けねぇ。」

「腹黒い娘かもしれませんよ?」

「俺はそこまで見る目がねぇと言いてぇのか?」

「いえ、では失礼します。」



野村常務は振り返り立ち去って行った。

振り返る時歯を噛み締めていたのはつくしにも見えていた。


眉を下げるつくしの上で司と西田が合図を交わす。



「常務であってもな、まだ物足りねぇらしい。」

「物足りない?」

「ああ、その上の地位って事だ。あいつはおそらく常務止まりだ。もうすぐ定年だしな。だから引き継ぐつもりだったんだろう。」

「引き継ぐ?」

「自分の娘にな。」



つくしはハッとした。

それであんなにムキになって自分を煙たがっていたのかと。

この事で初日から敵が多い事を知り、つくしのモチベーションが下がっていた。




司に抱えられながら引きずられるように執務室へと入って行くつくし。


そんなつくしを見ていた方も執務室のドアが閉まったと同時に評価の声を出していく。

はたしてそれが良いものか悪いものかは、この時点では性別により大きく分かれていた。





「どちらが宜しいですか?」


西田が差し出した物につくしは目が点になる。


「どちらがって、、これは何かのジョークですか?」

「あ、ジョークな訳ないだろ。俺は大真面目だ。」

「大真面目でコレなの?」


つくしが驚くのも無理はない。

西田が提示してきたのはIDを兼ねたネームプレートだ。

そのネームプレートには片方を副社長執務室助手と書かれてあり、もう片方には副社長婚約者と書かれていた。


「てゆーか婚約してないし。」

「今すれば良い。」

「出来るか!」

「出来る。俺が宣言すれば良いだけの問題だ。」

「宣言って、あんたの両親の了解が必要でしょ。」

「報告すりゃ良い。つうか、報告しなくても知ってると思うけどな。」

「は!知って、、る?」

「だろ?」


西田を向く司。

つくしも驚愕の目で西田を見た。


「牧野様をお邸に連れてきた段階で報告は行ってるかと。そして今のところ何も言ってきておりません。まぁ司様が女性を連れて来たという事実だけで、身元がしっかりしてれば反対はしないでしょう。」

「身元って、、」

「ん?そりゃ、お前花沢社長のお墨付きって事よ。」

「な、社長のお墨付き?な、なんで?」

「あの命令のまま出したくないからだろ。命令を打ち消すには逆に褒めるって事だ。」

「そ、それってあたしが正しく評価されてないって事にならない?」

「ふん。それは花沢の事情だ。巻き込まれたお前が花沢に対してそこまでこだわる事かよ。それよりお前はもうこちらの人間だ。評価が欲しけりゃここで残せば良い。」

「評価って、あたし助手でしょ。」

「婚約者だ。」

「婚約者って仕事の役職があるか!」

「おう、あるぜ。俺が作ったからあるんだよ。」

「副社長。」

「あ?」



ドサッ


司のデスクに置かれたのは夥しく積まれた書類。

まるでコントの様な量だとつくしは思った。



「てめぇ、、」

「これからやれば19時には上がるかと。牧野様の初日ですし、お2人でお食事などなさってこれたらどうでしょうか?」

「あ、いえ、あたしは別に、、」


そう言ったつくしを西田が睨んだ。


「いっ!」


目をパチクリすると西田の顔は無表情だ。
さっき睨まれたよねと自問するつくし。



「くそっ、やってやろうじゃねーか。おいつくしお前も手伝え。」

「て、手伝う?な、何をするのよ。」

「とりあえず給水係だ。俺が喉が渇いたらドリンクを口元に持ってこい。」

「・・ボクサーみたいなイメージで良いのかな?じゃ、ストローを用意すれば良いの?」

「いや、口移しだ。」


至極真面目に答えた司につくしは口をあんぐり開ける。

そんなつくしに司は自分の唇を指でトントンと叩き要求する。


ピキッ



ダンッ



つくしは右腕をデスクに打ち付け、垂直から角度30度で睨みつけた。


「早くやれ。」

「おう。そんなに見つめられたらやるしかねーな。」

「は・や・く・や・れ!」

「飯何食いに行くか決めとけよ。好きなの食わせてやるからな。」

「19時に終わらなかったら先に帰るからね。」

「ああ、分かってる。つくし。」

「何よ。」

「ネームを付けろ。婚約者の方だ。」


ぐぬぬぬぬとつくしは反応するが、

西田は他に人はいないのだから付けようがいまいが何ら変わらない事を、


あえて教えなかった。



「早くやれ!」

「やってるだろ。だからお前も早く付けろ。」



それは司の機嫌がこれまでにないくらい最高に良かったからだ。

ぷりぷり怒るつくしの横で、司の視線はきちんと書類に向かっていた。

書類をめくり時折西田を見る司。

早く出て行けとばかりに顎を上げ、敏腕秘書を追い出した。


2人きりになるために。





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つくしちゃん秘書じゃなかった。
さて、どうしよう。

ポチはやっぱり嬉しいな。
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Comment
 

こんばんは

久しぶりコメかな。
すごく、面白いです(^^)
常務さんの嫌味タラタラが逆に笑えますね。
さよならーって感じですね。
これからも楽しみにしてますね(*^^*)

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一斉コメント返信!

みなさん、コメントありがとうございます。

イベリスもとうとう25話まで来まして、作者飽きてきていますが、なんとか納得いくゴールまでは突っ走りたいと思ってます。



じゅんこさん。
本当お久しぶりですね。
コメントありがとうございます。
常務を常連と見間違えてしまい、はて私の常連さんって誰だろうとかかなりボケてしまいました。
あの常連は雑魚キャラなのでもうサイナラです。
でないと長くなる、、、
でもまた別のキャラは出てくるかもよ?



eriさん。
はじめまして。コメントありがとうございます。
ほほ、命令口調に萌えですか?
嬉しいです〜
ちょっと突拍子もなかったかなと思ってたので、意外とそうでもない?と安心しました。
つくしちゃん、どうなりますかねぇ?
てかどうしようですね。


以下拍手コメ

HNさん。
あはは、プレッシャー大丈夫ですよ。私けっこう図太いですから。逆にこんなコメくれた方がやる気が出て嬉しいです。
イベリス最初と随分雰囲気が変わりましたね。
今はシリアスムードは下がってますものね。
でも〜、、、
(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎ウシシシシ。


蘭丸さん。
あら、ちょうどLINEでお返事が。そっちに行くねー

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