甘さとスッぱさと ... イベリス 26.5
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イベリス 26.5
2017-07-24-Mon
花沢物産の社員だったあたしは使われる側の人間だった。


器用貧乏だと言われてた。

それなりに収入を得ているのにまた貧乏呼ばわりされるなんてと変えられない境遇を嘆いていた。


蛙の子はやっぱり蛙。


どうがんばってもあたしはやっぱり貧乏で茶色やグレーに落ち着き、赤や黄色といった色鮮やかになる事なんて無理なんだって思ってた。


そんなあたしに司は白い服を着せた。

毎日。

いつしか制服の様な気持ちだけだったけど、色を意識してからは違った。


白はどちらにも捉えられると。


貧乏でも豊かでもどちらの色にもなる。

初期色だから?


そして色と言えばこのネームプレート。

婚約者という凄い役職もそうだけど、ネームプレートって普通白地よね。

道明寺では他もそうなのかと思ったけど、他は違う。他の社員は普通に白地のネームプレートをしてる。

そりゃ、司みたいにネームプレートを付けない人もいるけれど、、
(最上階フロアの重役の何人かはネームプレートを付けていなかった。)


司があたしに用意したネームプレートは黒地にゴールドの文字。

だから白い服には余計目立つ。


なぜ黒なの?

その答えは司の態度で確信される。


司はあたしをとても大切に扱うの。

過保護と束縛という言葉が当てはまるくらい。

だけどその目はとても甘くて、

熱くて、

僅かに残っていた警戒の塊を溶かしていった。


執務室でのキスも麻痺していく。


一心同体だと言われて魂が揺さぶられた。


司の唇には引力があるのかもしれない。

自然に瞼が閉じるのも、

身を委ねてしまうのも、

もうあたしの身体はそういうものだと刷り込まれてしまった。


司に跳ね飛ばされないように必死にしがみ付く。

だってそうしなきゃ、後退りするか床に押し倒されるもの。

そのくらい激しく司はあたしを求める。

それが堪らない。


司の背中に回した手を大きくて広げる。

広げた指に力を入れて掴まろうとする。

だけどそれじゃあ滑り落ちてしまう。

だからギュッと握ってしまった。

司のために作られたスーツを。

幾らするのかなんて分からない。

でもきっと高いに決まっている。

そんなスーツに皺を作る事に躊躇していたあたし。

だけど、離れたくなかった。

このキスをもっともっと感じたかった。


頭が痺れる。

あたしはこの男が好きだ。

もうこの男無しでは生きていけない危険水域に来てしまっている。


簡単に点かなかったあたしの炎を灯す芯は今完全に燃えている。

消えないで。

消さないで。

ううん。消させやしない。

誰にも、、、




つくしは握っていた手を緩めた。


「どうした?やっと握ったのによ。離すなんて寂しいじゃねーか。」


甘く甘く誘う司。


でもね、それじゃあ消えてしまうんだよ?



「議事録作らなきゃ。」

「もうかよ。凄えやる気だな。」


つくしは司の頬を指でなぞった。

触れるか触れないかの小さな力で。

司が目を細め、瞼が振動している。


つくしは司の唇に触れた。

そして唇をなぞって、軽く押し潰す。



「議事録作り終えたら、またしても良い?」

「作り終えたら?褒美みてーに言うんだな。」

「そう考えちゃ駄目?」

「いや、、むしろ歓迎だ。」



熱い熱い司の視線。

あたしの視線もそれにちゃんと絡まってる?

こんなあたし知らなかった。

司が変えたあたし。

白をまとい輝いている。




司の横のデスクに腰掛けつくしは、司を見上げてにっと笑ってPCを叩き始めた。

キーボードに吸い付くその動きはまるで鍵盤楽器を奏でているよう。

手先だけが滑らかに動き腕や肩に力がこもらない。

そしてつくしの目線はPCの画面の前で焦点を合わせたり、揺らしたりしていた。

記憶のみで議事録を作成しているのであろう。

つくしもまた司同様会議の前には配布資料に目を通していた。

しかし司との違いはそれを作成した側の目線を知っていると言う事。

そのためスライドを用いた発表の満足度を図る事が出来た。

つくしが受け取った内容を記して行く。

それを司に見てもらい、司の受け取りと照らし合わせて行く。

つくしがだけ受け取って、司が受け取らなかったものは排除するつもりだったつくし。

だが司はつくしから受け取ったものは自分も受け取れたものと捉えることにした。

自分達は一心同体だからと。





こうして会議の数時間後には最初の副社長議事録が完成し、その日のうちに各部署へと通達されて行った。







一方で会議での失態をなんとかしなくてはと考えた某部署のエース社員。

会議の後素早く部屋を後にし、恋人の元へと急いだ。

会議にはひとりで参加していたため部署の方はどうとでもなると考えていた。

だが恋人は別だ。

出世するために選んだ重役の娘。時間をかけて口説きようやく結婚出来そうだと思った矢先だった。

というのも彼女の父親は自分との付き合いに難色を示していた。もっと出世してからだなが口癖でヨイショしても中々クビを縦に振らない。同類だと気付くのにそう時間はかからなく、気付いてからはさらに踏み台にしてやると一層意識した。

そんな父親は先日副社長の連れてきた女に難癖をつけただけでなく、会議でイビキをかくという失態まで犯していた。

こんなチャンスは二度とない。

父親に取り込むなら今だ。
イビキくらいでポジションを落とす事はないだろうし、弱っているこの機会を逃す事はないと思っていた。

そんな中での災難。

まさかその副社長が自分にも牙を向けてくるとは思わなかった。

だがここまで地面を固めてきた努力を無駄にする事は出来る訳がない。

今までも乗り切ってきたからこの事だってかわせるはずと自称エース社員はタカをくくっていた。



しかし、


「私、好きな人が出来たの。だからあなたとこれ以上付き合えないわ。別れましょ。」

「はっ、何言って、、」

「じゃあね。」


彼女を部署から連れ出そうと手を引いたところで一方的に告げられ、彼女はUターンして戻って行った。

戻られたのは部署のデスク。

見える位置だが、入れない。

しばらく呆然とした自称エースだったが、入口に突っ立っているのを指摘されスゴスゴと退散して行った。


そんな彼をチラリと見た元彼女、野村沙知はデスクの下でスマホを操作し友人にLINEを送信した。

というのも野村沙知は父である野村常務に呆れ返っていて、重役の側近である社員には常に頭を下げていたのだ。
そのため彼女の協力者もそこそこいて、自称エースの正体はとっくに知っていたし、さっきの会議での事もほぼリアルタイムで報告を受けていた。


ブーブー


LINEの通知を手元で確認してニッコリ笑う。


「まったく、、結婚してから暴露されればクソ親父も一緒に葬れると思ったのに、、ま、バツが付かなくて良かったと捉えようかしら。」


カタカタとキーボードを鳴らしながら小さく呟く。


野村沙知は超現実思考で動く女であった。


「やっぱり結婚は恋愛でしちゃ駄目ね。結婚は友人関係でしなくちゃ。」


カタカタカタ、、


「恋愛は擬似的なものが一番。その方が楽しくいられるしー、よっと。」


カタカタカタ、、ポン。


「うん。邪魔が入ったけど、いっちょ上がり。」


沙知はデスク上のカレンダーを手に持ってニッコリと微笑んだ。


「うふふ。ドームまであと2週間ね。はぁ、そう考えたら(別れたの)良いタイミングだわ。クソ親父のミスにつけ込んで早く式上げようとか。で、挙句にこの日に式場に見学に行こうとかばっかじゃない。行く訳ねーっつーの。チケット争奪戦どんなに大変だったと思ってんのよ。」


沙知がぶちぶち文句を呟いていると、


「野村さーん。コレあなたが出したのー?」


「あ、はーい。そうです。今取りに行きまーす。」



声をかけられパタパタパタと複合機に書類を取りに行く沙知。



「すいません。」

「良いのよ。それより、、」


書類を口に当て先輩社員がヒソヒソモードを作る。


「あの人切っちゃって良いの?他の子も狙ってたのよ。」

「ああ、、良いんです。それにもう少ししたらその訳も分かりますよ。」

「その訳?」


沙知は肩をすぼめておどけてみせた。


「あいつ全然有望株じゃないんです。私の父目当てだし。どうせ切るつもりだったから、それが早まっただけ。」

「あらま。常務の娘も大変ね。」

「代わってもらえます?」

「よしとくわ。」


苦笑いしヒラヒラと手を振って先輩に追い払われた沙知。



その様子を周りの女子社員達も伺っていてヒソヒソと情報交換が始まる。
ここ道明寺ホールディングスにお馬鹿な女子などいない。
他人を利用して成り上がろうとする輩など居られなくなるのだ。
あの自称エースはそれでもそれなりに上手くやって来た。が、それもこれまで。
どんな成敗が待っているのかとほくそ笑む者達も中にはいた。

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リクエストに答えて書きました。
色々と突っ込んで下さい。名前とか誰のチケットとかね。

さて、しばらくイベリスをお休みします。
もう一つのお話を終わらせなければ。
m(__)m
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Re:

ありゃ。
童顔さんの期待には応えられなかった内容だったみたいですね。
あははは。
まぁ難逃れではありますが、野村常務の娘はつくし反対派ではないんですよ。
そっちのギャフン話が欲しかったんですね。
さらっと書いてしまったから、怒りがくすぶってしまいましたか。
でもま、この後の展開でも他に出て来ますからね。
どいつかはまだ黙ってますが。
て、予告しといて出せなかった事もありなので、期待しないでいて下さいな、

(*^ω^*)

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Re: わー、、、

ゆきうさぎさん、ありがとうございます。
仕事しながらなので1日1話しか書けないんですよ。
別の話を書きたいので、それが落ち着けばまたイベリスに戻ってきますね。

(⌒▽⌒)ノ

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