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2017
11.27

エンレン 後日談

相変わらず遅くてすみません。
しかもなんだか置きにいったような内容。
はい。終わらせたかったんです。





ひと月早い寒波が襲来し女子達の膝出しが辛くなった頃、道明寺ホールディングスの経理課に欠員補充の女性社員が移動してきた。




「ここであったんですよね~」

まだ何も置いてないデスクに腰かけた彼女は、呼ばれたように椅子を回転させ向きを変えた。

「そ。なんかまだ今だに信じられないけどね。」

そう応えた女性の隣にいる数人(女)も、当時のその場面にトリップする。

「御曹司の彼女だって知ってたんですか?」 
「いいえ、知らなかったわ。そういう…自慢する子じゃなかったしね。」
「そうなんですか。でも本音は言いたかったんじゃないかなぁ… だってあの道明寺司と付き合っているんですよ。私だったら黙ってられませんよ~」
「ま、ね。その気持ちは分かるわ。でも牧野ちゃんて彼氏がいるそぶりすらなくて… だから騙されたのよね。」
「騙すって、牧野ちゃんは騙す気なんてないわよ。てゆーかさ牧野ちゃんじゃなくても言えなくない? 言ったところで信じてもらえないでしょ?」
「確かに。」
「でも牧野ちゃんは英徳だったっては言ってたわよ。」
「それは確かに言ってたけど、セレブではなく庶民だって言ってたじゃない。本当にそんな感じだったし、全く疑いもしなかったわ。」
「それって庶民って言ってたけど本当はセレブだって事ですか?」
「んーそれがね、庶民なのは本当らしいの。だけど英徳学園で御曹司に出会ってお付き合いし始めたそうよ。それでうちにも入社したみたい。」
「詳しいですね。」
「あの後色んな情報が飛び交ったからね。牧野ちゃんの同期や人事の知り合いとかにみんな聞きまくっていたのよ。それで分かったんだけど、どうやら牧野ちゃん入社試験受けずに入ったらしいのよね。すごく(仕事)出来る子だから分からなかったけど…」
「えー、それってコネ入社って事ですか?」
「私は試験は受けたって聞いてるわよ。同期の子と試験の話してるの聞いた事あるし。」
「へ?ってどっちなんですか?」
「多分、試験しなくてもいいけど受けたんじゃないかな?そういう筋は通す子だったから。」
「うん。常識ある子だったね。コネ入社のモンスター達とは違ってたし。」

うんうんとつくしの元先輩達はつくしの代わりに移動してきた後輩につくしがどういった人だったかを話し盛り上がっていた。

「常識かぁ、やっぱ常識なきゃ駄目ですよね。人となりを見て司様はその子を見初めたって事なら、私も精進していればきっと見初められる…はず!」

「うお!玉の輿宣言?!見初められるって誰によ?」
「誰って、別の御曹司ですよ。うちにいる御曹司は司様だけじゃないでしょ。うちに修行に来ている御曹司が他にも沢山いるじゃないですか。そりゃF4クラスなんて高望みしすぎかもしれないけれど、夢見る位はバチが当たらないですし、このデスクに座れるんですからあやかれると思うんです。」

!!!!!

「あー、そうだよ。なんで気づかなかったのー 私が先にデスク取っておけば良かったー」
「え… デスク一つで変わるかな?」
「夢見るのって大事よ。女性ホルモンだって違ってくると思う。…失敗したー」
「ねぇ私のデスク、なかなか好立地よ。エアコンの直撃もないの。」
「もう冬だし、近くにヒーターないじゃん。それより私のデスクはコピー機の近くだから便利よ。」
「だからパシられるのよねー。それに比べて私のデスクの方は…」

ぎゃあぎゃあとデスクを取り合う女子社員達を男性社員は呆れ顔で眺めていた。

「先輩方、何を言われようがデスクを代わる気はありません。私はそのために移動願いを出し、激戦を勝ち抜いたんです。譲りませんよー」

だがピシャリと先輩達を制する玉の輿後輩。いくら新人社員でないとはいえ、ここの部署に移動してきた初日に先輩方に大きな口を叩く事は、半ば冗談めいていたとしても先輩方の表情を雲らせてしまう。

だがその玉の輿後輩の更なる発言に、先輩方だけではなく耳だけを傾けていた男性社員も思わず振り向き目を飛び出すほど驚かされた。



※※※



~♪

重厚なモダンアートの空間に不似合いなぬいぐるみが回り、オルゴールが流れ出す。
美女と野獣であろうぬいぐるみはタイマーセットされ時間を知らせるとともにメロディにのせて踊るようにくるくる回っている。

つくしはそのメロディを聞き顔を上げた。

「飯の時間か。腹ごしらえしようぜ。」
「うん。」

無言で睨んでいた書類から目を離し、司は弁当箱を取り出すつくしを見守っていた。



突然の司の襲来からひと月、つくしはNYの司の執務室で働いていた。

あの日つくしにしては珍しく頭がお花畑だったため、はじめこそ本当に睡眠を貪った二人だったが、その後はひたすらイチャイチャイチャイチャ… 気づけばあんあんはあはあとスイートのベッドを渡り歩いていた。といってもひとつのベッドを体液で(ちょろっと)汚してシーツをしわくちゃにしては、シャワーし別のベッドにと司が単に使い分けただけなのだが…

そして日をまたぎ、頭のお花畑が草原に戻るつくし。司と初体験した事は後悔してないが、オフィスを離れた事をどう対処すれば良いのかと途方に暮れていた。

そんな時、司が急遽NYに戻るからお前も来いと半ば強引につくしを渡米させる。普段なら納得できないと抵抗するつくしであったが少々パニックになってた事も手伝い素直に付いてきてしまったのであった。

そしてNYについてからは道明寺家の邸ではなく司所有のペントハウスに住まわされ(留守にする日中に食料や日常品の補充で邸の使用人が入る事もあるが基本的に家事はつくしがこなす)、

仕事は司の側で秘書室の雑用(雑用とはいえ手際よくやらねば終わらない量)を与えられ、

端から見れば会社勤めのOLと見えなくもなかった。そしてお昼はつくしの手作り弁当を二人で食べる。場所や物は高級品に囲まれているのに庶民らしい行動を取ってる事につくしの感覚はあやふやになっていった。


だがこんな生活も昨夜のデートで終わりが告げられた。某有名タワー最上階にあるレストランのNYの夜景が180度見渡せるVIPルームでプロポーズされたのだ。

つくしにしてみればなんて事ない日だったのだが、司はその日は二人が初めてキスした日だと言う。ファーストキスは静のパーティーでの事故だと思っていたつくしが違うと言うと、それは事故で同意がないからカウントしてない。桜子に嵌められトーマスから助けだした時きちんと同意の上でキスした、この日がファーストキスだと司は主張した。

そんな日に満面の笑みでプロポーズされた事にまたもやお花畑襲来してしまったつくしは照れながらもプロポーズを了承してしまい、そのままあんあんはあはあといつも以上にイチャイチャしたのであった。


そして翌朝、草原に戻ったつくしは事の重大さを理解する。


結婚する事、

それは道明寺性になる事で邸に入るという事だ。
二人だけのお気楽な同棲生活という訳にはいかない。
邸に入り女主人として邸を取りまとめないとならないのだろうか?
いや、それともそれは執事に任せるのか?
ていうか、魔女とはどうなるの?
結婚すれば嫁姑関係になり、今でこそ何も言ってこないがそもそも認めてくれているのかさえ分からない。
最悪、というか普通は同居になるのだろうか?
同居となってもくそ広い邸で顔を合わす事もないだろうし、そもそも魔女はまだ現役だ。
て、いつまで現役でいるんだろう?
ひょっとしてこの機会に引退とか考えてる?
いくら司ががんばっていて例え優秀だとしても世間的にはまだ若造、魔女に引退されては困るはず。


仕事中そんな事をぐるぐる考えているつくしだったが、だだ漏れしてしまう癖によって考えは司に全て筒抜けになっていた。


「ババアはまだ引退しねえよ。お前の言う通りまだ引退しちまったら困るしな。」
「ほっ?」
「それに認めてるから何も言ってこねぇんだ。大体思っててもババアが認めますなんて言ってくる訳ねぇだろ。」
「へぇ…(意外に分かってんのね)」
「邸をまとめる事もいずれやってもらいてぇが、はじめからさせるつもりはねぇ。それにお前は何でも自分でやりたがるから執事の仕事を取らねぇほうが良いと思ってる。…俺より邸になるのが見えてるからな。」
「ふぅ~ん…(確かに任せられたらこいつを放っとくかも)」
「(ピキッ…)放っとくだと? てめぇこの俺様を放っとくとかほざくんじゃねーよ。」
「ひぇっ。」
「ちっ。んな後の事よりまずは結婚式だろーが。ウェディングドレスとか披露宴の進行とか具体的な希望とか無ぇのかよ?」
「は?」


つくしの返事がは行になっている事は二人の温度差から気づくはずもなく、つくしはさらに重苦しい現実を叩きつけられた。


「そんな顔すんじゃねーよ。」
「だって披露宴って、あんたが行くパーティーの面々を呼ぶんでしょ。90%知らない人達に上部だけで祝ってもらうのもなぁ…」
「そりゃ仕方ねぇ。俺だって出来る事なら呼びたくないさ。」
「ごめんこんな顔して。呼ばなきゃいけない事は分かってるよ。」
「おう。だからよ、少しでもお前の望む事は叶えてやりてぇんだ。何か希望はないか? 披露宴でこんな事してほしいとかよ。」
「うーん…披露宴でねぇ…」

といって考えるもつくしの頭にある披露宴は庶民のものだけだ。司との披露宴はむしろパーティーに近いのだろう。そうするとして欲しい内容など思い付かない。

「そうだ。招待客なんだけどさ、」
「おう。」
「あたしの方って親族や友人だけになるのかな?」
「俺みたいな仕事関係はいないだろ?」
「そうなんだけど、前の職場の人って呼べるのかなぁって。あたし挨拶もなしにこっちに来ちゃったからな。」

あの日本当に身体ひとつでNYに来たつくし。
デスクに置いてあったスマホも後日届けられたのだった。


「会っておきたいか?」
「うん。あんたからしたら部下になるだろうけど、あたしにしたらお世話になった先輩方だしご挨拶しときたいな。いい?」
「構わねぇぞ。」
「ありがと。でもこっちでやるんだよね。来てくれるかな?」
「断る訳ねぇよ。考えるまでもねぇ。」
「そっか、上司の披露宴になるし断れないか。て、それ以前に招待したら迷惑かなぁ?」
「………」




※※※



神妙な面持ちで受話器を戻した課長に近くにいる社員が声をかけた。


「課長、どうかなさったんですか?」
「………」
「…課長?」
「…挨拶がしたいそうだ。」
「挨拶、ですか? どなたなんですか?」
「………」
「課長?」


その時ひとりの社員が声を発した。

現総務課にて一番下に立場する玉の輿後輩だった。


「ひょっとして、私の前任の方?」


しーんとなるフロア、ごくりと誰かの喉をならす音が聞こえてくるようだった。
全員が課長の言葉を待っていた。




「そうだ。」

「「「「「きゃーーーーーーーーー」」」」」



※※※


司は動きを止め、手を伸ばしスマホを手に取った。


「仕事?」
「いや。」


くっくっと笑いながらスマホを放り投げる司。
壊れたらまた買えば良いと考える男のスマホにカバーなどなく、元の場所近くに戻ったスマホはカタンと音を立てた。


「前の上司披露宴に来るそうだ。」
「前って?」

「経理にいた時の上司だよ。大体俺に上司がいるかよ。」
「…社長も、副社長もいるじゃん。あんた専務なんだから。」
「そりゃ、形式上だ。」


そりゃあんたはそうだろうと突っ込みどころ満開だが、そんな気力は今のつくしにはない。

「そっか。」
「なんかそっけないな。本当は挨拶なんてどうでも良かったのか?」
「そんな事ないわ。今は考えないだけ。」
「なら、なんでそんな顔してんだ? 気持ち良くねぇんか?」

なんでこうなったのか分からないのかと司に呆れるつくし。だがそんなとこも司らしくて「それもない。」とそっけなく答えた。

後先考えず。


「ふむ。ちとのんびりやり過ぎたか。今はまったりって気分じゃねぇんだな。悪ぃ。気づかなくてよ。」
「え?ちが…」


つくしがヤバいと思うも後の祭り。
腰を合わせていた婚約者は俺様思考で下半身を暴走させた。

そう二人は寝室で真っ最中だったのだ。
初体験をしたのがつい先日という現実はあるものの、NYで同棲してからやらない日はないほどで、つくしにとって司との情事は当たり前になっていたのだった。


「ひゃう。」
「お。一気に締まったぞ。堪らねぇ…」

なんとか止めようとするつくし。

「ちょ、ちょっとあんたっ… ああん。」

だが身体が反応してしまい、逆に俺様を煽ってしまう。

「気持ち良いだろ。俺もすげー良い。」
「そうじゃ、あっあっあっ…」
「つくしっ、つくし、つくし…
うおーーーーーーーー」


ベッド上で猛々しく雄叫びを上げる司。
その瞬間に痺れが走ったつくしは不満だった。

それでも互いに高まり合った二人はそのままベッドへと沈む。

急な攻めや呼び止めにも応じない司に、顔を歪めるつくしだったが、のし掛かる暖かい重みに心のトゲもそのうちふやけて、頬ずりするように司の身体を抱き締めた。




自分の常識が通じない俺様な司だったが、結局いつもつくしは許してしまう。それは価値観は違えど二人が愛し合いお互いを思い合っているからだ。



先輩方に常識ある子と評価されていたつくし。
痛い行動も司ならば許せるが、当然他人にそうはしない。以前は甘く考え許してしまっていた事もあったが現在は完全無視で貫くと考えている。


特に敵意を向ける相手には。




※※※


「ねぇ牧野さんの披露宴、けっこうな人数呼ばれてるみたい。うちら同期も呼ばれてるらしいよ。」
「聞いた聞いた~ 私もその中に入ってて欲しいっ。でも私あんまり牧野さんと話した事ないのよね。」
「同期多いからね。私もないよ。」

「ちょっとあなたたち。」
「「えっ?」」


噂をしていた二人の前に仁王立ちするいかにも高飛車な女。

浅井百合子だった。
(こいつも同期入社)


「道明寺様の披露宴に庶民が行っても恥をかくだけよ。こういう場合は立場を理解して遠慮するもの。分かった?」
「はあ?」
「何あんた。」

「くすっ。教えてもらったのにそんな口の聞き方しか出来ないのね。ま、分かっていたけど。」
「………」

黙っている二人に機嫌良く髪をなびかせ立ち去る浅井。

二人は十分に離れてから口を開いた。


「何あいつ。」
「知らないけど、多分コネ組なんじゃない?」
「あいつも呼ばれるの?」
「ないと思う。てか呼ばれないで欲しい。」





その後も浅井は調子に乗った発言を繰り返した。
だがその発言にはつくしを下げる内容もあり、はじめこそ聞いていた面々もそのうち耳を傾けなくなる。

そして披露宴直前自分が呼ばれていない事に発狂する浅井だったのだが、それを咎める者はいない。

物を投げつけ喚きまくる浅井。とうとう警備員が投入された。警備員に引きずられるように退席させられる浅井。「辞めてやる」と喚きながら姿を消す浅井に全員のニヤニヤが収まらない。


その後歓声が聞こえたのは言うまでもなかった。






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とりあえずこれでエンレンは終わりです。
ショートストーリーにしたけど、連載でも良かった。そしたら副題付けなくて良かったしね。
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dot 2017.11.27 22:31 | 編集
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