甘さとスッぱさと ... 花街に護られてー恋仲試練2ー
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花街に護られてー恋仲試練2ー
2018-01-12-Fri

江戸時代を背景にお話を書いてます。時代的な言葉や名称などは詳しくないので現代風に置き換えてます。それでも明らかに違うようにはしてません。細かい矛盾点などあるかと思いますが、目を瞑ってお付き合い下さい。 ダメなら進まないでね。






カコン


「えっと、ぶち猫!」


カコン


「はい駄目~ ぶち猫はもうありません。ざんねーん。」

「えっ、ぶち無くなったの…」



お題に答えながらの羽子板で、つくしの答えは当てはまらなかった。


つくしの顔に墨でバッテンが付けられる。


つくしは三つ目のバッテンで、つくしの負けが決まってしまった。



遡る事三日前、正月の茶屋詣でで各見世の新造達による羽子板遊びが始まった。


友人の新造が体調不良という事もあって、裏方であるつくしが羽子板遊びに参戦したのだが、お題は茶屋に飾られている置物であった。


つくしたち伊吹屋も世話になっているこの茶屋の主人は犬や猫が好きで、それらの置物を数多く置いていた。


それを答えての羽子板遊びだったのだが、裏方として茶屋から足が遠ざかっていたつくしは置物が入れ替わっていた事など知る由もなく、つくしには不利なお題であった。


正月ともあって、新造達の姿は晴れやかな振り袖姿であった。


昨年まではつくしもそうであったのだが、今年は司に身請けされてはじめて迎える正月とあって、つくしは裏方新造として派手さを抑えた訪問着で来ていた。


そんなつくしを見て勝った里美屋の新造達はくすくす笑っていた。


晴れ着を着ている伊吹屋の新造達も負けて顔にバッテンを書かれているが、そこは遊女の情けか小さなものであった。


そうつくしのバッテンだけが大きく書かれており、書いた遊女は身請けされた身なんだからこれくらいいいでしょうと、笑ってない目で言ってきたため、つくしも大人しく書かれていたのだった。



その場にいる遊女達の視線が暖かいものでない事はつくしにもすぐ理解でき、姐さん達も首を降って我慢しろと合図した。


もちろん姐さん達はじめつくしの友人の新造も腸は煮えくりかえっていた。


しかし、一見和やかに見える宴会に口を挟む事も出来ずにいたのだった。


そして羽子板遊びで伊吹屋は同じ中見世の里美屋に負け、お手付きをするように言い渡される。



姐さん達はその場にいる面々の表情を観察して、誰がこのように首謀しているのか探ったがこの時は判らないでいた。






「絶対、里美屋の誰かが仕組んだに違いないよ。…はっくしゅっ。」

「なずな、大丈夫? ほらお茶飲んで身体暖ためて。」

「…ぐず。平気。正月詣で行かなかったからちょっと休めたし。稼げないと借金も減らないもの気合いで治さなきゃ。」

「そうそう。風邪なんて引いてる場合じゃなかったわよ。もー悔しいー! あたしだったらもっと答えられたのにー」

「ごめんね役に立たなくて。それどころかお手付きで無粋者を引き受けなきゃいけなくなって、あたしも格子前に座るよ。」

「「「えっ?」」」



つくしの発言に新造仲間は驚いた。

そもそもつくしは身請けされているのだから、そんな事は必要ないのだ。



「何言ってるのつくし。あんたが座ったら道明寺の坊っちゃんが怒りまくるに決まってるでしょ。どれだけあんたに大金注ぎ込んでいるのか分からないんじゃあるまいし。」

「でも、無粋者が来るんでしょ。みんなが大変な目に合うじゃん。あたし黙ってられないよ。」

「黙ってられなくても、黙ってな! 寝込んで行かなかったあたし達も悪いし、負けたのはつくしだけじゃないじゃん。」

「そうそう。それに無粋者を引き受けたのは一日だけでしょ。なんとかなるって。」

「そう? 本当に大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫。無粋者だろーが手のひらで転がしてちょいちょいちょいーっとやってやるからさ。」

「何よそれちょいちょいちょいーって。」

「ちょいちょいちょいーよ! 分かれ!」



おどけてみせるなずな達につくしも笑ってしまう。




だがこの時はそれで安心したものの、無粋者の襲撃が三日と続くにつれ、つくしの表情は暗くなり、格子前に座らせてくれとまた口にするようになった。


当然女将も姐さん達もそんな事を許すはずもなく、つくしはひとり思い悩んでいた。




それを三日目にしてようやく司が知る事になる。



四つ引けの刻(午前0時)になり、牛男に代わり見世の入口で睨みを効かせていた司が二階に上がってきた。



司の待つ部屋の襖が開けられた。


つくしが中に入ると、司は窓に肘をかけ外を向いていた。



「寒くない?」

「…それ(布団)持ってこっちに来い。」


つくしは掛け布団を持って司に掛けようと広げて近づいた。


司はそれをぐいっと引っ張り、つくしを布団でくるみ抱き締めた。



「へっ? つ、司が被るんじゃないの?」

「つくし、お前格子前に座るって言ったそうだな。」

「あ…」


つくしを抱く力を強くする司。


つくしはうつむき縮こまる。



「お前が負けて責任を感じるのは分かるがよ。なんで俺の女なのに他の野郎に抱かれようとお前から言うんだよ。俺が何も言わねぇと思ったのか?」

「…だって、みんな一日に何人も相手させられて、本当だったらあたしだってしなきゃならないのに…」

「それでもお前は俺が身請けしたんだ。する必要なんてねぇ。お前が相手するって事は他の野郎が俺の金を使う事にもなるんだぜ。俺はお前だから親父に借金したんだ。俺の苦労を安請け合いしてんじゃねーよ!」



震えながら話す司に泣いていたつくしは何も言えなかった。


しばらくそのまま無言でいた二人だったが、司は手を緩めつくしの頭を撫で出した。


そして布団から顔を出したつくしは真っ赤な顔で、司は思わず「ぷっ。」っと笑ってしまった。



「ははははは、すげー顔だぞお前。天狗の面みてぇ。」

「だって…ぐず。顔上げられなかったんだもん。ううう~」

「ははは、あー腹いてぇ。はー、もう格子に座るって言うなよ。」


泣き笑いから一転優しい顔で司がつくしの頬を撫でた。


つくしはぼろぼろ泣きながら頷き、布団をよけて司に抱きつく。


司は首に巻き付けたつくしの腕を軽くよけ、頬と頬が付けながらつくしを抱きしめた。



「ここにいてもお前が苦労するんだな。悪い、分かってやれなくて。」

「ううん。いーよ、そんな事言わないで。」

「けどこうなった。やっぱ、分かんねー事だらけでガキだな俺は。」

「そ、そんな事は… だって司お家の仕事もやって、るんでしょ。」

「やってっけどよ… そういう事じゃねーんだよ。」

「そういう事じゃないって?」



つくしは司から離れ司の顔を覗き込んだ。


司は真剣な顔でつくしを見つめ、その表情につくしはドキッとさせられた。



「つくし、俺にはうっとおしいほど俺に取り込もうとする奴らばかり近寄ってくる。だが、俺はそんな奴らを相手になどしねぇ。」


つくしは頷いた。


「だが奴らは諦めねぇ。近づいてくる者同士でやりあったりとよ、あの手この手で近づいてくる。」


またつくしは頷いた。


「だが近づけない奴らもいる。」


つくしはハッとした。


「そいつらはどうするか分かるか?」


つくしは言葉を濁すように呟いた。


「どうするって…」



司はつくしの両肩を掴み、つくしの目を真っ直ぐ見た。



「今回お前がこうなったのは、俺のせいでもある。俺に近づけないから奴らはお前に当たった。それでお前は我慢した。我慢して泣き出した。俺はお前に泣かれて我慢ならねぇ。お前を泣かせた奴をやり返してぇ。」

「えっ、だ、駄目だよ。そんな、そんな事したら司が悪く言われちゃうよ。そりゃあたしが泣き虫だからいけないんだけど、羽子板で負けたのはあたしのせいだし、そもそもあたしがでしゃばったりしなきゃ…」

「そうじゃねぇ!」

「えっ?」

「お前がでしゃばるとか関係ねぇんだよ。今回のは俺がガキだから足元見られたんだ。俺がもっと目を光らせてりゃ、お前は泣く事はなかった。俺は足元見られた奴にやられたんだ。やり返さなきゃ怒り収まらねぇ!」


司の怒りにつくしは戸惑った。つくしは司が言わんとする事をまだ理解していなかった。


「収まらないって、じゃどうするの?」

「それはまだ決まってねぇ。だが、このまま大人しく見過ごす事もしねぇ。」

「あ、あんまり無茶しないでね。怪我とかしたら嫌だよ。」

「怪我? つくしお前俺が怪我でもすると思ってんのか?」

「だって、司喧嘩しそうなんだもん。」

「はっ! しねぇよ。喧嘩で済みゃ楽だけどよ。そんな相手じゃあねぇ。」

「ほぇ? そんな相手?」


首を傾げるつくし。


泣き面でどんなに不細工でもその様子が司には可愛く見えた。


ぽんぽんとつくしの頭を優しく叩く。



「お前も泣き虫をどうにかしろよ。いくら遊女じゃねぇっつっても、そこは見習わないとな。」

「う、うん。」

「じゃ寝ようぜ。流石に寒ぃわ。」

「しないの?」

「寒くて立たねぇよ。眠いし。」



「そっか。」と灯りを消して布団にくるまる二人。つくしは暖を与えようと司に引っ付いた。



当然、





「ねぇ、当たってるよ?」

「るせ。とにかく寝ろ!」

「いいのー?」

「いいんだよ!」




布団の中もぞもぞとする司がつくしには可笑しく、そしてとても愛おしかった。




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(。・´д`・。)
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