甘さとスッぱさと ... 花街に護られてー恋仲試練4ー
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花街に護られてー恋仲試練4ー
2018-01-14-Sun
江戸時代を背景にお話を書いてます。時代的な言葉や名称などは詳しくないので現代風に置き換えてます。それでも明らかに違うようにはしてません。細かい矛盾点などあるかと思いますが、目を瞑ってお付き合い下さい。 ダメなら進まないでね。

今日は説明ばっかりでつまらないかもー
( ´-ω-)ゴメンネ




司が引手茶屋に赴く算段を取っていた頃、大見世の海老妻楼や中見世の里美屋でも茶屋の若旦那を怪しむ動きがあった。


大見世の遊女を呼んだ客が、中見世の遊女に流れたのだ。


それも一度ならず二度も。


一度でもありえない事態なのに二度までもあって、大見世の遊女達はその策士がいるはずだと探り茶屋の若旦那を疑っていた。




遊郭においては大見世では格子の前に遊女を座らせる張見世は行わない。全て引手茶屋を通して客を取る仕組みだ。


馴染みの客になれば見世に直接出向く事も出来るが、初見であれば茶屋にて宴会を開き、女将や遣り手への披露を経て遊女を呼ぶ事が出来る。


そして遊女と顔を合わせるのだが、初見では本当に顔見せだけだ。


二回目にして口をきき(挨拶したら返事がくる)、三回目にして遊女に気に入られればようやく馴染みとなり見世へと案内されるのだ。


その三回とも客は宴会を行い散財をしなければならなく(だからまず女将や遣り手が懐を見定める)、大見世の遊女が茶屋に呼ばれる事はその客の懐事情も知らしめる事になる。


そんな初見の客が茶屋に大見世の遊女を呼んだ。


しかし宴会はなぜかしらけてしまい、客は困った顔で遊女に降られてしまう。


大見世の遊女は気高く客より遊女が立場は上であったため、初見では客に笑う事も愛想を振り撒く事はない。


だがこれは初見での事。遊女は客を気に入るか見極めており、客がどんなに口説こうとも、初見の客が降られる事は当たり前なのだが、その客は早々に大見世の遊女を諦め他の見世の遊女を茶屋に求めてきたのだ。


いくらその宴会がしらけてしまったとはいえ、客の方も上客ならば茶屋から遊郭の遊び方を指南されるはず。なのに初見ですぐに遊女を諦めるなどこれまであった事はなかった。


_とすれば誰かの口利きがと考える。




そしてその客が流れた先があの里美屋だった。


里美屋からしても悪い話ではない。


大見世の遊女を茶屋に呼べるほどの客だ。そんな客が馴染みになってくれれば見世としても儲かる。


しかし大見世の手前、いくら客が決めた事とはいえ、同じ茶屋を介する見世としては素直に喜べなかった。


そしてその奇妙な偶然はまだ続き、


その大見世を諦めた客二人は、里美屋のひとりの遊女の客となったのだ。



その遊女は里美屋の太夫ではなかった。

(厳密には大見世の最上位の遊女を太夫というだろうけど、単純に見世の最上位としてます)


だが部屋持ちの遊女で、人気は太夫にも負けてなかった。


名は鈴虫。


だが彼女は鳴かない虫と人気だった。


というのも鈴虫は水揚げ時から情交が苦痛ではなく、また感じにくい体質であった事から彼女の客は鈴虫を鳴かそうと躍起になり、見世の遊女もその話をするものだからいつしか人気となっていた。



当然その事は鈴虫の耳にも入ってくる。


だが最初に茶屋に呼ばれた時はそんな曰く付きな事情があろうとは知る由もなく、馴染みになってしまった後では断る術もない。


とまどう鈴虫に里美屋の遊女達も困惑するばかり。


そしてまた鈴虫が茶屋に呼ばれれば、同じような曰く付きの客で、なぜまたこんな客を宛てるのかと茶屋や見世の女将に文句も言いたくなるが、一度出向いてしまえばなす術もなく馴染みにならざるを得なかった。



そんな場に居合わせたのが茶屋の若旦那である。茶屋の主人は大見世の太夫の宴会の対応で不在だった。


大見世の太夫の宴会が茶屋の別の部屋で行われている時に、大見世の遊女を呼べる客が訪れたからこんな事も出来たのだろう。茶屋での宴会は大見世から連れてくる新造や禿だけではなく、太鼓持ちの芸者なども宴会を盛り上げるために呼ばれるのだが、その声が聞こえる別の部屋での宴会だった事からしらけてしまったとも考えられた。だがそれでもその宴会を盛り上げるのが若旦那の役目なのだが…



あえて役目を果たさなかった若旦那に茶屋の主人も疑いの目を向けられてくる。


だが若旦那自身はのらりくらりとその疑いをかわしているようで、主人もはっきりと叱る事が出来ない。


遊女達の不満は募る一方だった。




そしてそんな遊女達の愚痴は伊吹屋の姐さん達の耳にも入る。



「そんな事が起きてたの… 確かに茶屋の様子が変だと思ったけど…」

「なぜわざわざ(海老妻の)高木太夫は紺野さんに言ってきたの?」


紺野さんとは伊吹屋の太夫。この見世の最上位の遊女だ。湯屋への帰り道呼び止められたという。


「おそらく正月の事があったからだと思うわ。“あれ”も若旦那が口にしたから面白がって乗せられてしまったって口惜しく言ってたもの。」


“あれ”とは羽子板遊びのお手付きだ。


「何考えてるのあの男?! うちも海老妻も里美屋も怒らせて、茶屋の人間だとは到底思えないわ。」

「鈴虫に恨みでもあるのかしら? 実は振られているとか?」

「茶屋の男のくせに遊女に手出してんの?!」


茶屋の男とはつまり遊女で生業を立てている訳だから、遊女に手を出してはならない立場にある。贔屓を作る事でいざこざにもなってしまうし、何よりそれが吉原の掟であった。


「案外そうかもね。鈴虫は人気があるし、若旦那が惚れててもおかしくはない。」

「鈴虫の方はどうなんだろ?」

「冷めた女だからねぇ… 情夫(いろ)がいるなんて思えないけど。」

「男と女が惚れ合うのは微妙なさじ加減だよ。どんな奴らだっておかしくはないさ。続くかどうかは別だろうけど…」


そうだねぇと紺野はじめ野菊、甘柿、紫陽は口を揃えた。



「坊っちゃん、茶屋に行こうとしてたよね。」


野菊が呟く。


「えっ? 坊っちゃんって、つくしのかい? 何しに茶屋に行くのさ。」


紺野が野菊を問い詰める。


「正月の“あれ”ですよ。お手付きが三日も続いたもんだから、つくし自分も格子に座るって言ってたじゃないですか。坊っちゃんかなり腹を立てたみたい。」


紺野は驚いたが、納得もした。そして紺野の中で線が繋がった。司も若旦那の企みに含まれていると確信したのである。


「若旦那、坊っちゃんを手本にしたかもしれない。」


紺野の言葉に三人は驚く。


「な… 坊っちゃんを手本? どういう事なんです?」

「多分、若旦那は鈴虫を欲しいんじゃないかな。でも立場上身請けは出来ない。だから何か、何かを企んだ。」

「何かって?」

「そこまでは分からないけど。」


紺野にも確証は無かった。でも女の勘というか、見世の太夫である自負から周りの状況を判断する勘の鋭さには自信があった。


「坊っちゃんを刺激したのは、誤算だと思うんだけどね。」

「誤算?」

「余計な事だと思う。もし鈴虫を手に入れようとするならね。でも若旦那が坊っちゃんを意識しているなら、妬みになっていそうだ。」

「不細工だから?」


若旦那は美男子ではない。特段不細工でもないが、司と比べたらそう思われても仕方ない。


「不細工じゃないんじゃない。だって若旦那の母親って、元海老妻の遊女よ。身請けされちゃってもういないけれど。」

「そういや、そうでしたね。」

「えっ! あたし知らなかった。」


話が脱線するのはよくある事だ。甘柿が若旦那の事情に喰いつくのを紺野は苦笑いした。



「まぁ、それをもっと知りたければうちの女将に聞く事にだね。教えたら金をはらうかと言われるかもしれないけど。」


遊女達は儲けを女将に借金の返済として渡していた。客からおもねりを貰ったり、茶屋に呼ばれる場合など女将を通さない儲けもあったからだ。



うへ…と野菊は渋い顔になり、紺野は笑って自分の部屋へと戻って行った。


坊っちゃんがどう出るのかと考えながら。







そして、道明寺邸には遠く越中(今の富山)からの客人が司と対面していた。



「叔父貴も久しぶりだな。しばらくはいるんだろ?」

「おう、半月ほどな。司も見ないうちにでかくなったな。月代(さかやき)も様になってるじゃねぇか。元服したのはいつだ?」

「去年だ。そろそろ一年になる。」

「まだ一年か? もう二三年経ってるみたいだぞ。」


司は久々に会った父親の従兄弟と話をしていた。その叔父は越中で薬の問屋をしていて父親ほどではないが懐は潤っていた。


「なぁ、叔父貴。頼みがあるんだ。夜俺に付き合ってくれねーか?」

「お前が俺に頼み事か? びっくりさせんなよ。」

「そりゃ、無理かもしれねーな。」

「へぇ… どこに付き合うんだ?」


司は叔父と顔を見合わせ、ニヤリと笑った。


「吉原。」

「遊郭か? お前、そんなとこに出向くようになったのか?」

「まぁな。馴染みの見世もある。」

「本当かよ。こりゃ、驚いた。あんなに女嫌いだったお前が… よっぽど良い女を見つけたんだな。で? 親父に止められてるのか?」

「いや。」


くっと笑った司に叔父は虚をつかれた。


「親父は何も言わねぇよ。ちゃんと役目は果たしてるからな。」

「ふぅん。なら、俺をあてがう理由はなんなんだ?」

「茶屋に行きてぇからだ。」

「茶屋に? なんでだ? あっお前、別の茶屋にでも行きたいのか?」

「別の茶屋っていうか、俺最初から茶屋には行ってねーんだよ。」


はあ?!と口を捻る叔父に司はとにかく付き合えとため口をたたきながら、約束を取り付けた。





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何とか間に合ったー
4日も続いた。それだけなのに嬉しい。
(ノ_<。)

誤字脱字は見逃してねん。
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