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birthday song sideつくし part1
2018-02-02-Fri
つくしサイドも書かないとね。ネタ書ききれてないんだ
~♪
さて何話に納まるかな?
(ФωФ)







バタン



リネン籠を引いて廊下に出た。


長く連なる廊下を見て、孤独感に苛まれる。



今頃、つつじは何をしているのだろうか?


向こうの邸でも走り回ったりしてないかと心配になる。


向こうはこちらと違ってあの娘を知る使用人は少ない。


こちらから向こうに異動になった数人くらいで、いくらタマが一緒とはいえつくしは安心しきれないでいた。



今回タマに連れられつつじが渡米したのは、道明寺財閥の会長である司の父親に会うためだ。姉の椿にも2才になる息子がいるとは言え、向こうは外孫。海外では内外という概念は薄いらしいが、そこは日本人。嫁いだ先の跡取りの孫を何度も呼びつける事も気になるらしく、内孫になるつつじと会ってみたいと前々から打診されていた。


ちなみに司の母親には一足先に会ってはいる。


タマが味方になってもらおうと動いていたからだ。


正直その口ぶりから歓迎されているようには思えなかったが、



「貴方も女の子から産んだのね。女の方が早く成長して強くなるわ。きっと貴方を助けてくれるでしょう。」

「はい。」

「右の生え際が少し薄いのも椿と一緒。間違いなく司の娘(子)ね。」

「……」

「早いうちにタマが気づいて良かったわ。ここなら周りの目を気にせずに子育てを出来るでしょう。貴方の満足する両立は難しいかもしれないけれど、子ども第一に考える事ね。」

「あ、あの… なぜそう仰るんですか?」

「なぜ?」

「…認めてる訳ではないですよね。」



まだ乳児の娘を見てなぜ楓が認知とまではいかなくても許容している口ぶりなのか知りたかった。


交際事態を認めてなかった。


妊娠とて望んでいる訳がない。


楓にとって我が子は厄介者でしかないはずとつくしは思っていた。



「私が認めなかろうが、この子は生を与えられた。幼い子は大人が手を差しのべなければ生きてはいけないわ。だからそうするだけ。」

「……」

「それに貴方には一年の猶予を与えたわ。その間司は死んだ事にしてやるってね。」

「……」

「そしたら記憶喪失になった。きっと私が言ってはいけない言葉を発したからね。」

「え?」



楓はつくしを見る事なく語り始めた。

それには今までの司に対する後悔が色濃く出ていた。



「司が荒れているのは報告書で知っていたわ。でも読んだだけでその闇を知ろうとはしなかった。あの子がNYに来てその闇に触れて初めて知ったのよ。」



それは本質から目を背けていたという事だろう。


嫌な事を見ないようにするのは、人間の本能であるとも言える。それは身を守る術でもあるからだ。



「あの子は闇を背負っている。それでは誰にでも警戒されるし、弱い者は取り込まれるでしょう。そしてさらに大きな闇が迫ってきたら、司自身も取り込まれてしまうに違いない。」



道明寺財閥の経営者としての意見にも思えたがその表情は違っていた。


楓がつくしに見せたのは間違いなく母親としての愛。我が子を心配する母親の顔だった。



「闇に打ち勝つのは大きな光よ。だから司から貴方を奪うのは間違いだと気づいたの。」



そして楓は司ならする事をやってるだけと付け加えた。



「記憶が戻らないかもしれませんよ。」

「戻らなければずっと闇のまま、聞いてなかったの?」



嫌な口調は以前の楓のままだった。


だが変えられないのだろう。胸の内をさらし、同じ過ちを犯さないようにしているとはいえ、人はそう変わる事は出来ない。


それに変わってしまったら、それこそ狐につままれたようで信じる事は出来ない。



楓との話はそれだけだった。



でも楓は帰国するたびにつつじを気にかけ、教育の援助などを言ってきた。


だが使用人として置いておけるだけでも有難いと、つくしはつつじを幼稚園などには入れなかった。


近隣の保育園に預けようかと思っていたが、それにはセキュリティを理由に楓が難色を示し、結局つつじは邸の中だけで過ごす事になる。(つつじが側にいても働けるように配慮されたのと、他の使用人が保育を買って出たためいつしかそうなっていた)



そしてつくしの方も英徳学園を中退したにも関わらず、高卒は取るように言われ、使用人を続けるためにも大検を取得する。


そしてあったら便利だからと自動車運転の免許まで取らせてもらえた。(託児所付きの運転学校に通い、時には使用人がつつじを見てくれる事もあった)


これは邸に籠っているつくしには久しぶりに出る外界で、かなりリフレッシュする事ができ嬉しかった。




妊娠発覚から目まぐるしく過ごし、娘のつつじは5才になっていた。


司が記憶を失ってから6年が経とうとしている。


だが司の記憶が戻ったという知らせは一向に届かなかった。



体調の思わしくない司の父親の打診を断り続けていたつくしだったが、タマの強い勧めもあって今回つつじのNY行きを許した。


タマの言い訳は、生きているうちに孫を見せてやってくれというものだったが、ひょっとしたら司と接触させるのかもという予感もあった。


司の記憶を取り戻して欲しい。


タマの言動からはその想いが溢れていた。




つくしは司が記憶を取り戻したらどうなるんだろうとその変化を手放しでは喜べなかった。



記憶を失い、罵られ、他の女を見せつけられた。(とはいえ、海はすぐに疚しさを見抜かれ放り投げられたが)


あれだけ追いかけておいてあの態度。

いくら記憶が無いとはいえ腹は立つ。

すぐに記憶を戻せばタコ殴りにして許してやろうかとも思ったが、その内また父親がリストラされ引越を余儀なくされた。



そんな頃だ、タマが会いに来たのは。



司のNY行きを伝えてくれた。


そして雑談の中で(主に司の文句だったが)関係があった事を知られてしまう。


それでなんだろう。タマは引越になりバイトをしなければというあたしを説得し、邸の使用人をしろと強引に勧めてきた。というかアパートに行き両親を言いくるめていた。


あの時はまだ妊娠しているか分からない時期で、あたし自身何の自覚もなかった。


なのにタマはそれを見越してあたしを匿った。


なぜ分かったのかと聞くと、



「さあてね。坊っちゃんはあたしを妖怪呼ばわりするからね。本当にそんな力が付いちまったかもしれないね。」



タマの願いがはじめて見えた。


あれだけ司の文句を言っておきながらも、やっぱりタマは司の事を思いやっていた。


そして気づく。


自分が司の文句を口にしてない事を。



司に対して恨みなどはなかった。


忘れられてしまった事は悲しいが、出会い恋した事は悲しい事じゃない。


つつじが生まれたのも司と恋したからで、つつじの存在はつくしに大きな力を与えてくれる。生きてく上で一番大きな力を。


司が側にいない今、つくしの笑顔は全てつつじから与えられていた。



だがこの長い廊下を歩く時、ふっと司の孤独が見えてきて、つつじの存在を知らない司の不幸に気づかされていた。



司とつつじが会って、つつじが傷つくんじゃないかと思う。



でも頭の片隅にあの子が司を変えてくれたらと願うあたしがいた。







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