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甘さとスッぱさと ... birthday song sideつくし part2
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birthday song sideつくし part2
2018-02-03-Sat
父親がリストラされ、自分もバイトをして家計の手伝いをと英徳を中退する意志をタマに伝えていたため、タマはつくしを匿う理由に、それなら両親と離れるが邸で再び使用人として働き仕送りをすれば良いとつくしと両親を説得し、その日のうちに世田谷の邸に連れ帰っていた。


なので次の日からつくしは使用人として働くつもりだったのだが、まずは健康診断だと就労するための義務だといい、都内のクリニックに連れて行かれる。


早朝のクリニックはまだ診察者を入れてなくてフロアはガランとしていたため、つくしは落ち着かなかったが、それも妊娠の事実を告げられるまでだった。


クリニックに滞在したのはせいぜい30分。


一通りの検査を受け、つくしはタマとリムジンの中で医師から告知をされた。


医師がリムジンを出ていったのも気づかずつくしは気づいたら世田谷の邸に戻っていた。


そしてタマから降りるように促され、つくしは使用人の仕事を指示される。


それは単純な作業で体力を使う事はないが、その量はけっこう多く黙々とこなさなければ終わらなかった。


タマに発破をかけられ作業を開始する。


作業を続け、冷静になってくるつくし。


作業の手を止め、お腹に手を当てた。



まだ平たいそのお腹が内側から動く事はない。


いつから動くようになるのか分からなかったが、動く未来を待ち遠しく感じていた。





司がNYに行ってしまった邸は主一家が不在のため、使用人の数も少なくなっていた。


とはいえ広大な洋館は客室だけでもホテル並みの数となるため、少ないといっても二桁の人数は必要で、実際その時邸に従事していた使用人はつくしを含め二十数人はいた。


皆がつくしの存在を受け入れていた。


つくしが司を変えた人物という事を目の当たりにしていたからだ。


使用人として働く事を皆に告げたタマは、本人を目の前にしてるにも関わらず妊娠の事もさらっと口にする。


慌てふためくつくしだったが、皆からわっと祝福されぼろぼろと泣き崩れた。


妊娠は病気ではない。だが無理は厳禁だ。


つくしは使用人となったが、重労働をさせられる事はなかった。




そして皆に見守られながら、9月の晴れた日に女の子を出産する。




産科の病院に入院するのではなく、邸に産婆を呼んでの出産だった。


その産婆は現役を退いていたため、つくしが産気つく前から邸に滞在し、見守っていた。


全てはつくしと娘を守るためだった。


司が記憶の戻らない以上、二人を護られるのはタマひとり。邸の中ならば外部に漏れる事は防げると考えての事だった。


(引退した産婆さんはタマが探して連れて来た)



初めてのお産に、初めての子育て。


だがつくしに不安はなかった。


入れ替わり立ち替わり声をかけてくる皆に温かく見守られていたからだった。


晴れた日には少々寒くても広大な庭で日向ぼっこを、


雪が降れば、庭師が張り切って大きな雪だるまを作り、親子を喜ばせた。


伝え歩き出来るようになれば、長い廊下を必死になり歩き回る。(疲れただろうとつくしが抱き上げれば、もっと歩くと泣き出しそのまま眠りこけた)



※一方でつくしの両親は出産後に告げられ邸にて孫と初対面するも、つつじは司の子でもある事からさっさと生活を安定させろとタマに凄まれ、年に数回邸での面会に我慢させられた



普通の育児休暇は1年だが、何もしないのはつくしの性分ではなかったため、つつじがひとりで座れるようになった頃からつつじを背中に背負って仕事もし始めた。(本当は首がしっかりした頃から始めたかったが、それはタマに止められた)



子どもを背負いながら働く使用人。


主一家の留守だからこそ可能だったのであろう。



歩けるようになれば手押し車のおもちゃを押しながらつくしの後を追いかけた。

そのうち掃除機のおもちゃ(どっから見つけてきたんだ…)を与えられ、「つーちゃんお掃除じょうず~」と皆におだてられ、つつじはつくしの仕事を邪魔する事はなかった。



邸内でどこに行くにも二人は一緒。



そんなある日、つくしはピアノの調律師の案内を任された。


といっても道明寺家のピアノをずっと見てきた調律師だったため、使用人として立ち会ったに過ぎない。


数台ものグランドピアノがある事に乾いた笑いをこぼすつくしだったが、ピアノを初めて見るつつじは眼を輝かせていた。



そして大広間にやって来た。



パーティーも久しく開かれてはなかったが、そこに置いてあるピアノは輝きを放ち、調律師が音を確認したとたん、つくしの脳裏にパーティーでの様子が想い浮かんだ。



壇上から指名され、逃げる事も出来ず恥だけをかいた苦い記憶。


あの時ピアノを弾く事が出来たら、鼻をあかす事が出来たのに…


そんな想いに更けていると、つつじまでもがそんな目に合わされないだろうかと不安になった。


いくら司の娘とはいえ、司が記憶を取り戻さなければその存在は無きに等しい。無下にされる事だって充分に考えられた。



「つ、つつじ。ピアノ、弾いてみたいね。」

「うん。ひちたい。」

「少し触ってみますか?」

「ありがとうございます。」



つくしに抱えられ、つつじの小さな指が鍵盤を押すと、良く響く綺麗な音が鳴った。


つつじの顔がぱあっと花開く。



「あっ、つつじ、待って! そんなに乗り出したら危ない。」



つつじはつくしの腕から落ちそうになる。



「あぶにゃい。おっこちるとこよらった。」

「そうだよー くす。でもピアノ良い音だね。」

「うん。もっとひちたい。」

「でもつつじにはまだ大きいなぁ~ もっと大きくなってからだね。」

「大きくって? 何しゃいから?」

「うーん、そうねぇ…」

「幼児ピアノは3才くらいからありますよ。」

「つー、もうしゅぐさんしゃい!」

「ははは…」



習わないかと話したくせに、習わせるとなると月謝などを考えねばならないとつくしは気づく。



「3才は早いなぁ。5才なら良いわよ。」

「え~ さんしゃいじゃらめなのお?」



楓のいうように女の子はおしゃまなのか、口も饒舌だった。



「すぐにやーめたって言うかもしれないじゃない? 最近つつじ、買ったばかりのおもちゃもすぐにぽいするでしょ?」



買ったのはつくしではない。祖母の楓からだったのだが、沢山与えられるおもちゃはつつじの興味をひとつに長続きさせなかった。



「らめないもん。」

「でも5才にならないとさせません。」

「うー ママのいぢわる~」



ほっぺを膨らますが、聞き分けの良いつつじはそれ以上は我が儘を言わず、ピアノの調律に夢中になった。








_それから2年半




「え? 援助するって…」


司がつつじに援助をしたいとタマが言ってきた。



「何か感じたのかもしれないねぇ。」

「何かって? つつじと会わせたんじゃないんですか?」

「あたしは会わせちゃいないよ。隠れて覗いてたあの娘を坊っちゃんが見つけたのさ。」

「…見つけた。」



それからタマは最初しらばっくれたが、司の方がそうだとばかりに話してきたと言う。



「えっ? つつじ風邪引いたんですか?」

「あ、ああ。3日ほどですぐに治ったけどね。」

「聞いてませんよ?」

「そうだったかい? 言ったつもりだったけどねぇ…」



余計な心配をかけまいとするところは相変わらずだと、つくしは文句を取り下げた。どっちみち口でタマに勝てるとは思えない。


それでタマはつつじにパパが何かしてあげると言ってると伝えた。


つつじは司がパパだという事は知っていて、でもパパの方はつつじを知らないとも理解していた。


まだ5才であったため、その疑問には深く考えずにいられた。記憶喪失になっている事を理由に説明したからだった。


記憶がないからつつじの事を言ってもパパは分からない。分からないから頭が痛くなる。でも記憶が戻ればパパは頭も痛くなくなり、つつじと遊んでくれると説明したのだった。



「何かしてあげるって? パパ頭は痛くないの?」

「うーん、そうみたい。でもまだ痛くはなるかも…」

「ふーん。」

「何か、やってみたい事はないのかい?」

「え? 習い事させるんですか?」

「援助したいというからそうなんだろう。片親だと誤解しているみたいだし。」



それは自分(母親)の姿が見えなかったからだろうとつくしは思い、顔を曇らせた。



「つつじ、ピアノやりたい。」

「「えっ?!」」



むんっと拳を作りやる気を見せたつつじにつくしとタマは顔を見合わす。



「な、なんでピアノ?」

「ママ5才になったらやっていいって言ったでしょ?」

「い、言ったっけ?」

「むー ピアノのおじさんが来たときに言ったよー」



それで調律師との事を思い出す。2年前の事をつつじは覚えていたのか、それともずっと思っていたのか…



「決まりだね。」

「タマさん。」

「やりたいだけ、やらせりゃ良いさ。スポンサーからは多めにぶんどってやるよ。」

「ちょっ、タマさん。」

「それでも少ないくらいだ。むしろ後でもっと請求しなかったと文句言われるに決まってる。」

「……」



悲壮感なくやる気を見せているつつじと、

記憶を取り戻す未来を願うタマを見て、つくしの心は揺れていた。




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おもちゃの掃除機は使用人のひとりがネットで見つけ、それを他の使用人が悔しがるという妄想であります。私も私もと買ってこようとするのをつくしが制するのもね。
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