甘さとスッぱさと ... birthday song sideつくし part3
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birthday song sideつくし part3
2018-02-05-Mon
エントランスに数人の使用人が集まり、その中につくしとつつじの姿もあった。


クリスマスも近いため、エントランスには大きなツリーが飾られてあり、つつじはツリーを見上げながら、サンタさんちゃんと来てくれるかなぁ?と話していた。



『ご到着されました。』

とアナウンスの声が響き、使用人と共につくしはつつじの手を引いてエントランスの外に出た。



横一列に並んでいると、タマもやってきて、リムジンが横付けされる。



ガチャッ


「つくしちゃん! つつじちゃん! お久しぶりね。」


長身の美女がリムジンを降り、にこやかに笑って二人に声をかけた。

つくしはあれっと肩透かしを感じたが、美女が抱いている幼子を見て納得する。



「椿様、豪(ごう)様、お帰りなさいませ。豪様、大きくなられましたね。」

「ええ。でもまだまだ赤ちゃんなのよ。歩けるくせに抱っこばかり言ってくるの。」

「今だけですよ。ねだられるのは。」

「それもそうね。」



椿に抱かれている男の子は母親を見ていたが、そのうち大人の中にいる子どもを見つけ、つつじをじっと見ると、つつじの方も手を降り笑顔で応えた。



「気になる? いとこのつつじお姉ちゃんよ。」


いとこと言われても2才児には分からないし、5才になったつつじもいとこという言葉を理解していなかった。


ただ、小さい者同士お互い様気になるようで、どちらともなくにこにこと笑っていた。



「で、椿様わざわざ帰国したのはどういったご用件なんですか?」

「あら。勿論それはつつじちゃんのピアノレッスンの事でよ。」

「…どなたか良い講師を知りませんかと聞きましたが、ひょっとして…」



嫌な予感とばかりにタマが言葉を濁すと、椿はに~っこりと微笑み返した。



「ええ、私が教えようと思って。つつじちゃん、ビシバシ鍛えるわよ~」




口をあんぐりとするつくしを他所に、椿はつつじの手を取り、早速はじめましょうと邸の中に進んで行く。


なぜこうなったとタマを向けば、タマはつくしがピアノ講師は一流ではなく幼児に辛抱強く向き合ってくれる人が良いと希望した事から、そんな人物を探すも以前椿や司に付けられた講師はその道のプロであったため、他を当たらねばならない。だが調べる時間がないため椿なら知っているのではないかと聞いてみたそうだ。



「調べる時間がない?」

「あー まぁ、なくもないんだけどねぇ…」

「タマさん、何か隠してません?」

「あんたも鋭くなったね。母親になったからかい?」

「タマさんっ!!」

「はぁ… なんて事はないよ。坊っちゃんがレッスンの成果を見たいというから、ビデオに送ると約束したんだ。」

「成果って、いつです? まさか… 来週とか言いませんよね?」


タマが渋い顔をし、つくしは図星だと判断する。


「はぁ? 1週間で上手くなるはずないじゃないですか? 何考えてんのあいつ!」

「つくし、いくらなんでも1週間で上達する訳ないじゃないか。」

「じゃあ、なんで1週間なんですか? あいつ嫌がらせのつもりなんじゃ!」

「……」

「…すいません。言い過ぎました。」



タマが黙って苦い顔をした事でつくしが謝り、タマはほっと胸を撫で下ろした。


当初司がNYに弾きに連れてこいと言った時、電話口で司の真意が読めなかったタマも同じように思ったからだった。



「つつじちゃん、パパにピアノを弾いているところをビデオに撮って送るらしいわよ。たくさん練習しなきゃいけないわね。」

「ビデオって?」

「動く映像よ。テレビなんかで流れているでしょ。」

「どーがの事?」

「あら、動画なら分かるのね。」



くすくす笑う椿につられてつつじも笑っていた。


が、その側でキョトンとする豪を見てつくしははっとする。



「おっ、お姉さん! つつじのレッスン中豪君はどうするんですか?」

「ん? 豪? もちろん一緒にいるわよ。私が側にいなきゃ、この子すごく泣き喚くから。」

「え… 豪君がいてレッスンできます、か?」

「そりゃ私ひとりでは無理よ。だからつくしちゃんも手伝うの。」

「へっ?」




楽しそうな椿を眺めながらタマは主導権を取られた事に、不安を隠せなかった。







「うん。ここでレッスンした方がいいわね。練習の成果を動画に撮るなら、向こうの部屋より表情も明るく映せるはずよ。」



はじめは椿もレッスンした部屋に通されたのだが、部屋の暗さに気づき試しにスマホで撮ってみると、カーテンを閉じても開けても上手く表情を映す事はできないし、またピアノの位置と部屋の大きさから、全体像を映す事も難しかった。


というのもつくしのスマホは後に3つほど新しい型が出ているもので、カメラ機能が良くなかったのだ。(送信用のビデオは別にあるのだが、つくしも録画するだろうと椿が提案し、つくしもそれを頼んだため)


スマホを新しくすれば解決できる事だったが、椿はそれを薦める事はしなかった。



そこで大広間に来たのだ。



ゆっくり入ってくる椿やつくしを置いて、つつじはピアノの方へ駆け出して行く。



「わっ、つつじ待って。勝手に開けたら危ないわよ!」


鍵盤を開こうとするつつじを見て、鍵盤蓋が閉じて手を挟まないかと心配するつくし。だが鍵盤は鍵が掛かっていて開かなかった。



「つつじちゃん、これは重いから手を挟んでしまったら大変よ。覚えておいてね。」

「うんっ。」


優しく話しかける椿に、つくしも安心して見守る事にすると、



「じゃつくしちゃんは、側に座って。」

「え? あ、あたしですか?」

「ええそう。ほら早く。」



なぜかつくしもレッスンする事になる。


いや、レッスンというよりお手本というようなものだろう。ピアノを弾くのも初めてなつつじには、いきなり上達するやり方ではなく、ピアノを楽しんでもらおうと椿は考えたのだ。


そのためつくしに鍵盤を叩いてもらったのだ。大好きな母親が音を出す事でつつじは自分も早く叩きたい。やりたくて仕方ないとうずうずすると椿は思った。



だが、



ダーン!



「つ、つつじ。もっと、優しく叩こう?」



ダーン、ダーン!



つくしは普通に叩いたはずの鍵盤を、つつじは思いっきり叩いて音を響かせた。


予想外の展開に椿は唖然とする。


そして見守っていたタマも目を丸くしていたのだが、意外な事に豪もだーん、だーんと腕を回して楽しみ出した。



そして椿はピンときた。


側に控えていた使用人を目配せで呼び、手でビデオを回すため持ってこいと指示を出す。


タマも何をするつもりなのかと分からないでいた。



「ねぇ、つつじちゃん。つつじちゃんは何の歌を知ってるかしら?」

「つつじが知ってるお歌?」

「ええ。」

「んー あっ!じんぐるべる歌えるよ。」

「そうね。クリスマスが近いものね。お母様と一緒に歌っているのね。」

「うん。ママといっぱい歌ってるよ。」

「それじゃあ、歌ってみましょう。みんなで手拍子するから、ね。」

「うん。ママも一緒に!」

「えっ、ああ、良いわよ。」



そして手拍子に合わせてジングルベルを歌う。が、幼児の歌う歌は元気いっぱいで少々音程は外れていく。



「すっごく上手ね。それじゃあ、今度は手拍子の代わりにつつじちゃんがピアノを弾いてジングルベルを歌いましょう。」

「つつじが弾くの?」

「そう。歌に合わせて弾いてみて。上手に弾けなくても楽しくやってみましょう。」

「うん!」



せーので弾きだすつつじ。それに合わせて皆も歌うのだが、相変わらずつつじの鍵盤裁きは豪快で、全く歌に合っていなかった。



そんな中ビデオを取りに行った使用人が戻ってくる。



「うーん、中々上手よー 本当に初めてだとは思えないわ。」

「ほんとう?!」

「ええ、本当よ。」

「えへへへへ~」

「それじゃあ、今度は歌なしで弾いてみて。」

「お歌歌わないの?」

「つつじちゃんは歌っていいわよ。小さく歌いながら弾いてみましょう。うんと楽しく弾くのが上手に弾けるコツよ。」

「うん、やってみる。」



そうして演奏したつつじのジングルベルは、当然ながらジングルベルに聞こえなかった。


だがつつじはとても真剣に鍵盤に向き合っていた。


つくしは例え上手くできなくても、こんなにやる気を見せた娘に感無量で涙を堪えるのに必死だった。


とはいえ、隠し通せるはずもなくつつじにまたママ泣いてる~と慰められるのだった。






そして椿はタマにビデオを渡すのだった。



「この動画を最初に送ってね。」

「しかし、送るのは次の火曜日です。毎週火曜日に送信すると約束しましたから。」

「じゃ来週の火曜日にそれを送って。」

「まだ数日ありますよ。もっと練習してからでも…」

「ふふ、何もスタートを上げる必要はないんじゃない?」

「スタートを上げる?」

「マイナスからのスタートの方が、きっと上達ぶりに驚くと思うの。司がどう思ってつつじちゃんの援助を言い出したのかは分からない。でも、つつじちゃんのがんばりは司の刺激になると思うの。」

「それで記憶を?」

「それは分からないわ。それで記憶を取り戻すかもしれないし取り戻せないかもしれない。でもね、つつじちゃんのがんばりを見てつくしちゃんは感動していた。親なら当然よね。だから司も動かされると思ったの。NYでひとり戦ってる司をね。動かされて欲しいのが、願いでもあるのだけど。」



タマはビデオを握りしめ頷いた。


この動画が光を失った司の一筋の光になってくれる事を願って。





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なんだかsideタマっぽくなってきた。方向修正せねばならないなぁ。
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