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2018
02.08

birthday song sideつくし part4

クリスマスにあたしの誕生日。



…お姉さんの独壇場だった。



欧米ではクリスマスは家族で過ごすものですよねと聞けば、なんと旦那さんを日本に呼び寄せた。(豪君パパが来て嬉しそうだったなー 旦那さんも苦手な付き合いから逃げられて良かったなんて言ってたけど、本当に良いんだろうか?)



それからただでさえ大きい邸のクリスマスツリーはさらに飾り付けがバージョンアップしたらしく、しかも大きくなってないかと目の錯覚を疑ったら、本当に大きくなっていた。(つつじのレッスンの合間に変えたらしい)


ツリーの下にあるプレゼントは庶民の常識ではありえない数で、(全部飾りで中は空っぽであって欲しかったけどちゃんと中身が入っていた)その全部をプレゼントするのかと思えば、そこから好きなだけ選ぶらしい。(そこはほっとするところだったけど、意外だったからつい驚いてしまった)


で、余ったやつはどうなるの?ってぽかーんとしてたら、児童養護施設に寄付するらしい。(毎年しているだって。流石金持ち)



そしてパーティーが始まったんだけど、なんとマジシャンが邸に来た!(マジシャンって個人で呼ぶか普通?!)


大人の女性なんだろうけど、可愛いらしい人で最初はマジシャンだとは思わなかった。お姉さんの友達かなと… アイドルみたいな友達もいるなんてお姉さんも交遊関係広いなーなんて、凄い勘違い。ひとりだけ恥ずかしさで悶えてたわ…



まぁマジックが始まって、マジシャンだったのかと気づくあたしをよそに、つつじも豪君も子どもらしい反応で、わーきゃーと大騒ぎだったから気づいてはないだろうけど… (この際子ども達に気づかなければヨシとしよう)




そしてあたしの誕生日はというと、当然の如くプレゼント攻撃アーンドファッションショー。(心構えはしてたつもりだったけど出来てなかった)


しかもつつじの手前、喜ばざるを得なかった。




そりゃあね、そりゃあ本音を言えば嬉しいわよ。


うん。娘とお揃いコーデなんて、娘親になった楽しみの一つじゃない?


でもさ、それが何でメイド服なの???



「わぁ♡ ママと同じスカートだ~」

「うふふ。つつじちゃん良く似合ってるわ。ママと一緒にお仕事頑張っているって聞いてたから、お洋服も同じにしたいと思っているだろうってね。」

「つばきおばちゃますごーい!」



_確かに凄い。



基本はあたしも来ているメイド服なのに、子どもに合わせてアレンジされててぱっと見ただけではメイド服には思えない。


しかも、



「ピアノの動画を撮る時は、この服を着るといいわ。コサージュを付ければ発表会用に早変わりよ。」



これには何も言えなくなってしまった。


つつじの服を質素にしている訳じゃない。


邸にはどんな客が来ても対応できる物品が揃っているため、新たに購入しなくてもそれらから使わせてもらっていた。


けれど幼稚園や保育園に行ってないつつじは、服装への興味は薄く、毎朝つくしが用意する服を素直に着ていた。


もちろん3才ごろからつくしも聞いてはみたものの、つつじの反応は鈍く、可愛い格好をしてみたいという要求すらなかった。



_要求はしなくても、そう思っていたのかもしれない。



娘の願いに気づく事ができず、つくしは駄目な母親だと自分を責めた。




「つくしちゃん、どうかしたの?」

「…つつじ、あんな格好したかったんですね。あたし気づいてやれませんでした。」

「そうね。じゃ、つくしちゃんも着替えましょうか?」

「へっ?」



重い口で話すあたしをよそに、お姉さんの暴走は続き、気づけばあたし達親子のファッションショーが始まっていた。


だーっと衣装を吊るした衣類掛けが入って来たと思えば、ショップの人が控えてて、お姉さんはどんどんとあたしやつつじに服を合わせていく。


もう何着着たんだって分からないくらい服を着て、つつじも疲れきって、お姉さんひとりが満足していた。(お姉さんの旦那さんは呆れていた)



「ん~、まぁこれくらいにしときましょう。もうちょっとあってもいいけど、司が選ぶ分を残しとかなきゃひねくれるだろうしね。」

「はぁ、そうですね。」



気のない返事をしたあたしを、お姉さんはじっと見た。



「えっと、あ、うん。記憶が戻ればあいつもあれこれ選ぶでしょうね。」

「……」

「気長に待ってます。あたし。」



本当は待っている訳じゃない。どっちなのか分からないが正直なところ。


でもそんなあたしの答えにお姉さんは安心したかのようでにっこりと微笑み、あたしも安心した。






「司、思い出したそうよ。」



「えっ?」




言葉の意味を理解するのに時間がかかった気がする。


それくらい一瞬思考が停止した。




「そうよね、タマ。」

「ええ。奥様からも、坊っちゃんからも連絡がありました。おととい、動画を見て記憶が戻ったそうです。」

「お母様からも連絡があったの? お母様は何て?」



お姉さんとタマさんの声が遠くに感じる。



道明寺が記憶を取り戻した。



それってあたしを思い出したって事だよね?





「ママ。」


つつじがあたしの服をひっばり声をかけ、はっとする。



「な、何?」

「おばちゃまとタマさんが言ってるきおくって、パパのこと? パパ、頭いたいのなおったの?」



じっとあたしを見上げて答えを待つつつじ。


その真っ直ぐな瞳に、あたしは嘘をつけなかった。



「…うん。そうみたい。つつじのパパ、頭が痛くなくなったんだって。」

「ほんとう?」



嬉しそうに聞き返すつつじ。あたしは大きく頷いて肯定した。


_ちゃんと笑えていたかが心配だった。






そして部屋に戻ろうとするあたしにタマさんが声をかけた。



「つくし。」

「はい。」

「誕生日おめでとう。」

「…ありがとうございます。きょ…」



タマさんはあたしの言葉を続かせずに立ち去っていった。


不思議に思ったけど、つつじが眠そうにしていたからあたしは部屋へと急いだ。




添い寝をしながらくーくーと眠るつつじを見て、あたしは道明寺が思い出した事を考えていた。


つつじが娘だって気づいたのだろうか?


…気づくよね。あたしに似ているし。


で、あたしの事はどう思っているんだろうか?


悪いなとは思ってるかな?

それで、許してもらえるとか考えてるかな?

いや、俺様なあいつの事だからいつまでも怒ってんじゃねーよと言いそう。

それだったらすっごく腹立つ。

って、そういやタコ殴りして許してやろうとか思ってたんだった。利子が膨らんだ分タコ殴りでは全然足りないけど!



仰向きで空中に拳を突きだしたら、ベッドが揺れてしまった。


それでここじゃ駄目だとベッドを抜け出した。


隣のリビングを通り抜け、洗面所へと向かう。



大きな鏡の前でシャドーボクシングをした。


が、もどきだった。


随分へなちょこになっているなとガッカリ。猫パンチにしか見えなかった。



「6年経つんだもんね。6年も経てば角も丸くなるって事かな?」



シャドーボクシングをしてみても、気合いが乗らないのはそういう事なんだろう。


あたしは怒らなきゃならないと思っている。


でも、



怒りはない。




なのに、なぜこんな気持ちになるんだろう?



喜びではないのは分かる。どうすればいいのか分からないから。


なら悲しみ? いやいやそれも違う。だってその証拠に涙出てないし。人前ならともかく部屋でひとりなのに泣かないのはおかしいっしょ?



「はぁ… 誕生日なのにな。」


そこで気づいた。


「あいつ、あたしの誕生日は思い出して、ないとか?」



_いやいや、そんな訳はないだろう。



「じゃあ、何で…」



何で来ないの?


何も渡さないの?




じわっと目頭が熱くなった。


そこであたしは悲しいんだと理解した。



「思い出したのなら、会いにくるんじゃないのお?」



ボロボロと涙が溢れてくる。



「なんで会いに来ないのよ、あのばかあ…」



なんで、なんで、なんでと呟いていると、


ふと先程のタマの行動が頭に浮かんだ。




『誕生日おめでとう。』



あのタイミングで言われた事。


それだけ言って背を向けた事。




_タマの言葉じゃない?



つくしはそう思った。


そして理解した。


会いに来れないんじゃない。


会いに行けないんだと。



「まだ待てって言うの? 何よそれ…」



袖で涙をぬぐい、への字口になってしまう。


だがつくしは悲しみが少し軽くなった気がした。





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坊っちゃん編を越える事は確実です。
つくしの揺れる気持ち書くの難しい。
なのでなんとなーくで読んで下さい。
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dot 2018.02.08 16:31 | 編集
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