甘さとスッぱさと ... 素肌にシャツを着て45
プロフィール

lemmmon

Author:lemmmon
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

<< 素肌にシャツを着て46 main すみません >>
素肌にシャツを着て45
2016-09-19-Mon
テーラーつくしに戻る前にもう1話挿みます。旅立ち編です。





年度末になりどの企業も残業する社員が増える中、ここ道明寺ホールディングス本社も例外ではなかった。

2月3月と、浮つくイベントに多少の色めきこそあれ、大企業の社員達は忙しく動き回っていた。

そうでなくても会社内の空気は重い。

常に張り詰めており、社外の訪問者はその重苦しい空気にプレッシャーを感じる。

高層階にある司の執務室からは、肩を強張らせる者、冷や汗をかく者など緊張感を抱えた者たちが出てくる。

この部屋の主の機嫌は最悪だった。

彼の秘書はその理由を知っているので多くを語らない。

執務室を訪れる社員を労う言葉こそ無いが気の毒だと思っていた。

だが一番気の毒なのはこの部屋の主だ。

彼は一番大切な者を自分から切り離した。身を引き裂く想いだろう。泣くことも叫ぶことも出来ず、会社という大きな怪物を睨みつけて闘っている。

コンコン

「入れ。」

司の執務室に40代半ばの男が入ってきた。

司の表情は険しく、目は座っている。不用意な発言などすれば何を言われるか分からない。

「専務、例の人選を致しました。」

司はその男から受け取った書類をパラパラとめくる。

そして、その男を鋭い目つきで見返す。

「で、この印は何だ?」

「専務にこの男を落として貰いたいと思ってます。」

「こいつは川口派だろ。俺に寝返るのか?」

「池谷派だろうが、川口派だろうが、専務と直接話せば必ず落ちます。どちらの一派もリーダーとしてのカリスマ性は専務の足元にも及びません。専務と接触したという事実を隠せば、なお風向きはこちらに向かうかと。」

司は座ってる椅子の向きを変え、ニヤリと口角を上げる。

パサッ

持っていた書類をデスクに放り投げる。

「分かった。では準備しろ。」

はいと答え、その男は執務室を出て行った。

秘書はその様子を見て、口を開く。

「この人選は私どもでは出来ません。」

「だな。だが、奴は心理学を専攻してた訳じゃねーってよ。何となく読めるんだと。」

「それであの業界を生きてきたという訳ですか。確かに芸能界も闇の部分は根深そうです。」

「奴にとっちゃ、池谷のジジイは可愛いもんかもしれねーな。」

クックッと笑う上司は、目が笑ってない。
まるで獲物を狙う肉食獣の非道さを思わせる。

彼から人間らしさを奪い取った代償は大きく降りかかるだろう。

この会社を淀ませる闇。それを取り払う眩しい光が射すのはいったい何時になるのか、長い闘いは始まったばかりだ。

***


横浜の郊外、

2階建てアパートの一室につくしはいた。

引っ越し作業がひと段落し、部屋の窓から外を眺めていた。

荷物はバック一つに収まり、作業といっても掃除をしただけだ。

まだ何も無い部屋。

つくしは必要な物を考えていた。

冷蔵庫は必要。洗濯機も。でも、一人暮らしだし脱水だけで良くない?お風呂の時に洗えばいいし、何より汗汚れだけでしょ。それに最近の洗剤って汚れ落とす能力凄いから浸けておくだけで良さそう。昨今の洗剤事情なんて、環境問題と関係あるなんて思ったけど、あのセミナー受けて良かったぁ。あ、でも今どき2層式なんてあるかなぁ?

と、庶民いや貧乏生活が始まることを穏やかな気持ちで迎えていた。

「とりあえず布団は買いに行こ。まだ3月だもん。夜は冷えるよね。」

とたんに悲しい顔になる。

自分のベッドにあいつが潜り込むことはもうないんだ。

暖かかったなぁ。あいつ体温が高いから。

あの温もりは他の誰かでは代われない。

というかあの温もり以外いらない。

「大好きだよ道明寺。ずっと、私の心にはあんたがいる。だからあたしはあたしらしくいられる。」

つくしは首元から、ネックレスベッドを手に取る。

指で転がし、想いをかみしめる。

瞬きしたら、涙がこぼれた。

「愛してる、司。」

***


この日、道明寺ホールディングス本社のエレベーター作業が行われていた。

定期点検なので気にする者は誰もいなかった。

そんな中の1基が動き出す。

司はこのエレベーターの中にいた。

おもむろに携帯を取り出し画面を見る。
そこには、クローゼットの中なのだろうかネクタイがあり、そして『闘え』と落書きされた写真が写っていた。

ある階で止まり司は携帯を閉じる。

その階は会議室の多い階で、会議の無いこの時間帯このエレベーターが止まるエリアは人の気配が少ない。SPを引き連れる司と秘書の数人だけだ。

ある会議室の前で足を止める。

中には人がいるようだ。

司はニヤリと笑った。

その眼は獲物を狙って鋭く光っていた。



↓ランキングに参加してます。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村


次の更新からテーラーつくしに戻ります。
お話のストックが少なくなっているので、1日2話更新から1話に戻すかも。でもなるべく2話更新がんばります。なにせ長くなりそうで・・・
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

第ニ章言いたくなければ言わないで② cm(0) tb(0)
Comment
 

Trackback
この記事のトラックバックURL
http://lemmmon.blog.fc2.com/tb.php/54-dc395902
| |