甘さとスッぱさと ... 素肌にシャツを着て49
プロフィール

lemmmon

Author:lemmmon
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

<< 素肌にシャツを着て50 main 素肌にシャツを着て48 >>
素肌にシャツを着て49
2016-09-21-Wed
一週間後、つくしは店舗の掃除に勤しんでいた。

司の記事を目にしてから動揺したのが仕事に影響したのだ。

つくしはシャツを作るときミシンを使っている。特別な仕様になっている訳ではないが、機械というものは使い手の心を反映するのか、それ以来ミシンの調子が悪いのだ。作業中何度も止まる手に、同僚から今はやらないほうが良いと言われ、やる事をなくしたつくしはひたすら店舗の窓を磨きまくっている。

掃除というのは不思議なもので、汚れが落ちて綺麗になってくると、自分の心の汚れも落ちていく気がした。(いや、あたしの心は汚れてる訳じゃない。でも澱んではいたかも。)

身体を動かし汗をかいたが、つくしの心は穏やかだった。

「ふうーこんなもんかな?」

つくしは綺麗になった窓を見回すと、腕を伸ばしくぅーと満足気な顔で息をつく。

プルルルル・・

つくしは着信に気づく。

掃除をするため着替えた時に手に取った携帯をポケットに入れたままにしていたため、この時仕事中には珍しく携帯を持っていたのだ。

「はい。あーことみ久しぶりだね。」

電話は横浜支社秘書課で一緒だったことみだった。ことみはつくしが退職した後連絡を取ってなかったが、数年後街で再会した。その時ことみも道明寺を退職しカフェでアルバイトをしていたため、つくしも疎遠にする必要もないだろうと連絡を取り合ったのだ。

「うん。つくし元気?電話つながって良かった。」

「あはは仕事中だからね。今はたまたまポケットに持ってたんだ。」

「そっか。ねぇ、急なんだけど今夜会えないかな?今日くらいしかあたし時間取れなくて。」

「今日、うーん大丈夫だよ。何かあった?」

ミシンの、いや自分の不調はすぐには改善しないだろう。ならば仕事を早めに上がって、調子が上がれば取り返せばいいとつくしは考えた。

「うん。まぁね、会って話すよ。じゃ、駅前のファミレスで待ち合わせない?19時じゃ早いかな?」

「大丈夫。」

「ん、じゃ後でね。」

つくしはことみとの電話を切り、また伸びをした。

たまには仕事の手を休めることも必要だな。確かキツく締めたハンドルは動きが悪いけど、緩くというかあそび?を保たせて締めるとハンドルも動きに柔軟になるんだっけ?いつか聞いたセミナーの言葉を思い出す。

今日はことみとガールズトークで盛り上がろうとつくしの心は晴れてきた。

***


掃除の片付けをしていると、周りが何やらバタバタとしている。

「どうしたんですか?」

「あっつくしちゃん。ええちょっとね。」

?つくしは疑問に思いながらその場の状況を確認した。

オーナーの菜々子が、チーフの桜庭に指示をしている。何かあったようだ。

「じゃあ悪いけどお店をお願いね。今日1日は私バタバタするだろうから、連絡も取れないと思うわ。だから店も早めに閉めてちょうだい。」

そう言うと菜々子は焦るように出て行った。

「オーナーの娘さんがね。警察に補導されたらしいの。」

「えっ?!そうなんですか?」

「思春期だから難しい年頃でね。オーナーも気にしていたわ。仕事で家をあけるでしょ。父親と母親も家にいないとなると子どもは寂しいわよね。」

両親が仕事で家にいない子ども。つくしはそんな子どもを知っていた。人一倍寂しがりやで、愛情に飢えていた。とても不器用で愛情の欲し方を知らずにいたため他人だけじゃなく自分も傷つけていた。

つくしは穏やかになりかけた心が揺れるのを感じた。

どうしても司のことが頭に浮かぶ。

忘れるつもりはなかった。

想い続けることは自分らしくあり続けると思った。

再会しなければ穏やかでいられたのに。

手が届かなければこんなに切なくなることもない。

忘れた方がいいのか。

つくしはそう思えてならなかった。



↓ランキングに参加してます。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

第三章動かないミシン cm(0) tb(0)
Comment
 

Trackback
この記事のトラックバックURL
http://lemmmon.blog.fc2.com/tb.php/58-69b524ad
| |