甘さとスッぱさと ... 素肌にシャツを着て52
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素肌にシャツを着て52
2016-09-23-Fri
ことみが渡英した頃、つくしはオーナーの菜々子のことが気になっていた。

菜々子には中1になるひとり娘がいる。

先日、補導されたと話に聞いていたがあれからどうなったんだろう。

つくしは噂好きという訳ではない。むしろ嫌いな方だ。なのに今は気になってしょうがなかった。

というのも、あれから菜々子の様子が暗いのだ。何か思い悩んでいるようで、やはり娘のことがあるのだろう。

自分が慕っているだけではなく、この仕事にありつけたのは菜々子の存在が大きい。
つくしは何かチカラになれないかと思っていた。

「オーナー。」

「ん。何?つくしちゃん。」

「お元気が無いようですが、大丈夫ですか?」

菜々子は一瞬驚き、そして微笑んだ。

「大丈夫よ。とは言っても顔にでちゃっているかしら。ふぅ。ダメねぇ私。」

「そんな!そんなつもりじゃありません。」

分かってるわと微笑む菜々子。とは言えやはり気力は薄い。

「娘さんのことですよね。私、オーナーのチカラになりたいんです。仕事では全然微力ですが、その・・」

「ありがとう。そうね、女どうし。分かることもあるかな?」

「はい!」

そう言って菜々子はつくしに娘のことを話し出した。娘は今私立の女子中学に通っているが、本来の志望校ではなかったのだ。有名な進学校に進みたかったのだが、小学生の時につけた家庭教師が合わなかったのか勉強を挫折してしまった。それ故かその頃から親に反発するようにもなり、家庭教師を替えてみたもののダメだった。仕方なしに今の中学に通い出したのだが、そこで仲の良い友達が出来た。しかし先日その子が関西へ転校して行ったらしい。

「じゃあ、その子がいなくなって寂しいんですね。」

「そうね。」

「ー?何かあるんですか?」

その子の話になったとたん菜々子の表情は硬くなった。

「その子とね、万引きをしてたみたいなの。」

「え?」

「それで今回は補導されたんだけど、どうやら初めてじゃないらしいわ。」

***


つくしは、仕事部屋を掃除していた。

何か思い悩むときはミシンに向かうのではなく、掃除をするようになっていた。

窓枠に浅く腰掛け、雑巾を持ったまま息をつく。

菜々子と話していてチカラになるどころかただ話を聞くことしか出来なかった。

つくしにはそんな友人はいなかった。

正義感の塊だった小中高。

話を聞くと万引きは物欲が目的では無いらしい。欲しいとは思わなくても万引きをする。店員に見つからずに行なうというスリルを味わうためらしく、つまりゲーム感覚でやっていたようなのだ。

そんな考えつくしには無かった。

全く違う人間の事など理解出来ない。

菜々子の娘は何故そんなバカな真似をしたのだろう?

親としての菜々子は知らなくても、オーナーとしての気質は知っている。親の心子知らずなんて言うけど、それにしたってだ。
ただ仲の良かった友人に影響されたからだろうか?

何が彼女をそんな風にさせたのか?つくしは気になってしょうがなかった。

オーナーの顔と親の顔。

同じ人間でも違うものなのか。

そうなんだろうと思いつつ、つくしはある親子のことが頭に浮かんだ。

あの親子は特殊な環境にいるからこそだと思っていたのだが、菜々子と娘のことを聞くと環境は言い訳のような気がしてきた。
家族と仕事。

仕事を選ばざるをえないことは分かる。誰かがやらなくてはならない。だけど、だから自分を自分の家族を犠牲にすることは良いとは思えない。苦しい思いをする。自分も家族も。それで仕事が上手くいくはずなんてない。

だから、司と楓は苦しんでいるんだ。

あの会社の内部の歪みは、正にそこが原因なんだろうと思えてならなかった。

つくしは天井を見た。

司は闘っている。

そうだ自分は闘えとメッセージを残した。

司は気づいているはずだ。

ことみの話では前進しているらしい。

ー不倫なんてしない。ー

ことみに言った言葉に嘘は無い。

だけど・・・

闘っている司の背中を思い浮かべつくしは、司と会うことになれば自分がどうするべきなのか考えていた。



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それでも物分り良すぎと思われちゃうかな?
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