甘さとスッぱさと ... 素肌にシャツを着て53
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素肌にシャツを着て53
2016-09-23-Fri
コンコン

「接客中にすみません。オーナーにお電話です。」

「分かったわ。・・○○様申し訳ありません。席を外させて頂きます。牧野さんあとは宜しくお願いします。」

「はい。」

***


つくしは客の○○をお見送りするところだった。

店舗内の事務室に近いところを通った時、菜々子の声が聞こえた。

その声に一瞬気を取られるが、客がいることを思い出し何事も無かった様に振る舞った。

***


「どうしたんですかオーナー?」

つくしが事務室に入ると、菜々子が片手を額に当て顔を青ざめている。

「つくしちゃん。・・ちょっとね。」

菜々子は相当動揺しているようだ。

「はぁ。ごめんなさい。また外に出るわ。主任を呼んできてくれるかしら?」

はいとつくしは桜庭主任を呼びに行った。

つくしが桜庭と事務室に戻ってくると、菜々子は携帯で話していた。

「だから行ってないのよあの子。学校から連絡があったの!」

桜庭はつくしを手で制し、ドアの前で待つように合図した。

しばらくして菜々子が電話を終えたようなので、桜庭はノックして部屋へ入る。

「オーナー何か御用ですか?」

「あぁ、桜庭さん。申し訳ないんだけど、私子どものことで出なきゃ行けなくなったの。お店のことお願いできるかしら?」

「大丈夫です。お任せ下さい。」

「ありがとう。」

そう言って菜々子は出て行った。

つくしはそんな菜々子の様子を見て、いたたまれなかった。

「君が気にしても何も解決しないよ。」

「主任・・そうなんですけど。」

ふぅと桜庭は息をはき、つくしに向かった。

「親子関係は当事者以外が口を挟むものじゃない。ことを悪くするだけだ。」

「そうでしょうか?」

「まぁ、そうだとも言い切れないが、、まずは当事者だけだ。娘の絵深ちゃんはとても素直な子だった。オーナーがちゃんとぶつかれば解決するよ。」

「娘さんを知っているんですね。」

「前オーナーの時から僕はいるからね。絵深ちゃんのことは生まれた時から知ってるよ。」

「前オーナーは急だったんですよね。」

「そう。心筋梗塞でね。前の日までとてもお元気だったんだ。」

それが今の状況と関係しているのかも、またつくしはあの親子のことを思い浮かべていた。

そんなつくしを見て桜庭はつくしの頭をポンポンと叩く。

「さ、店に戻ろう。業務をちゃんと行ってないとオーナーの気苦労が増えるだけだよ。」

「はい。」

***


仕事を終えつくしは家路へと向かっていた。

駅の近くまで来ると繁華街に入ってくる。

行き交う人や周りを見てみれば、大人だけじゃなく子どもの姿もある。とはいえ今はまだ7時前だ。今日は菜々子の不在のため早く店舗を閉めたのだった。

ここに絵深ちゃんもいるんだろうか?

菜々子の様子から娘の絵深は学校へは行ってないらしい。

不登校に気づかなかったから深夜徘徊をしている訳ではなさそうだが、思わずつくしは見た事もない絵深の姿を探した。

ドンッ

「すいません。」

つかしは何かに打つかり相手に謝った。

しかし、

「・・・・・」

恥ずかしさのあまりつくしは足早にその場を立ち去った。

打つかった相手は歩道に置いてあったビニール製の風船の置物。つまり店の看板だ。

こんなとこ誰か知り合いに見られたら最悪だと、真っ赤な顔したつくしは競歩さながら駅を目指す。

駅の改札を通り地下鉄の大きな柱の背に隠れ、ついつい周りを伺う。

そんな姿を地下鉄利用者の知らない人に見られ、つくしは自分の状況をかえりみる。

ー何でこんなに焦ってんだかー

そうよ。だいたいそう知り合いに会うはずないじゃない。滋も桜子も優紀もことみだって、いるはずがない。

そう思った時ことみの言った言葉を思い出した。

ーSPがついてたよー

ドキン

つくしは立ちつくした。

まさか。

振り返り、黒服の男がいないか探した。

いない。

本当にいないの?

つくしはいないことにガッカリしている自分に気づいた。

「は、そうだよね。あいつは奥様がいるじゃん。あたしの警護なんてしないか・・」

とたんに泣きたくなる衝動に駆られた。

瞼に力を入れ唇を噛む。

柱の方を向き額をつける。

ー泣かない泣かない泣かないー

つくしは自分に言い聞かせるように心の中で呟いた。



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第三章動かないミシン cm(0) tb(0)
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