「ふぅ。」
ミシンを動かす手を止めて息をつく。
ここ1・2ヶ月は作業に集中すべく、まるで仙人のようだった。
というのは食に関してだ。
作業が進まない理由を考えた結果、余計な情報を見てしまうことはもちろんだが、集中力もあげていかなければならない。御礼状にも記したが実りの秋とはよく言うもので、つくしはスーパーに並ぶ秋の食材にウキウキしていた。だが、お腹が満たせば眠くなるのは生物の常。就業中のお昼過ぎは眠気との戦いだった。ストレッチなどして軽い運動をしてみるものの全く効果は表れず。同僚に相談すると、食べた後だからね~美味しい季節はしょうがないと言われてしまった。(今そんな優しさはいらない。)なので断食を始めたのである。
断食といっても全く食べない訳ではない。(そんなことをしたら死んでしまう。)朝食はミキサーで作った野菜スムージーで、昼食は軽くおにぎりだけ。夕食はこれまたタンパク質をメインにと、聞けばつくしらしからぬメニューだが、そこはジムを経営している桜子に断食のことを話したからだ。つくしは最初完全な断食をしようと思ったのだが、あまりの腹の減りように作業どころではなくなり、桜子に相談したのだ。桜子はこれ幸いと美を保つメニューを言ってきた。
その成果もあってクリスマスソングが聞こえ始めたころには、かなりの商品を納品できる状態にあった。
「今日はヨーグルトにありつける♪」
ダイエットをしているか訳ではないが、断食中は褒美も必要だと桜子に言われ、一人の顧客の商品が準備出来ればヨーグルトを食べると決めていた。
コンコン
「はい。」
「つくしちゃん、ちょっといいかしら?」
そんな中オーナーの菜々子がやってきた。
「はい。大丈夫です。」
「随分精が出てるわね。なんだか少し痩せたみたいね。」
つくしの断食を知る菜々子は苦笑いだ。
「こないだは広沢さんに白いゴボウだと言われました。」
そう言って頬を膨らますつくし。
「相変わらずね広沢くん。どころでつくしちゃん年末に岩元さんが来店されると連絡があったの。」
「・・・はい。」
「28日を指定してきたわ。夜にパーティがあって、その前に来店するそうよ。昼過ぎかと思ったんだけど16時くらいで頼むって。締めの日だから忘年会予定してたけど、それは別の日にしましょう。つくしちゃんひとり後でって寂しいもんね。」
菜々子はにこやかに微笑むが、つくしは胸中穏やかではない。
指定したその日は・・・
「どうかした?」
「あっ、いいえ。分かりました。忘年会も別の日の方がお店空いてますものね。」
「幹事も宜しくね。」
つくしがはいと答え菜々子は出ていった。
再び物思いにふけるつくし。
司は何を考えているんだろう?
その日って・・・
そう考えた時、
ぐうーーーーーーーーー
「・・・・・・・」
盛大に腹の虫が鳴き、つくしは感情的な気分を吹っ飛ばされる。
ぷぷぷ
なんて自分らしいんだ。このタイミングで鳴る?(あ、でもお昼前だ。腹時計が正確なだけか。)
「ヨーグルト食べて気分上げて行こっ。今日はちょっと奮発しちゃおかな。」
つくしは感情的になるなということだなと理解した。
***
菜々子が事務室に戻ると、主任の桜庭が待っていた。
「お話とは何でしょう。」
菜々子は事務室の鍵を掛けた。
桜庭はその様子に驚く。
桜庭と目が合った菜々子が話し始める。
「まだ他のスタッフに知らせる時期ではないからよ。掛けてちょうだい。」
桜庭は用意された椅子に腰掛け、菜々子も自分のデスクに座った。
「あなたの意見を聞かせて欲しいの。」
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ここ1・2ヶ月は作業に集中すべく、まるで仙人のようだった。
というのは食に関してだ。
作業が進まない理由を考えた結果、余計な情報を見てしまうことはもちろんだが、集中力もあげていかなければならない。御礼状にも記したが実りの秋とはよく言うもので、つくしはスーパーに並ぶ秋の食材にウキウキしていた。だが、お腹が満たせば眠くなるのは生物の常。就業中のお昼過ぎは眠気との戦いだった。ストレッチなどして軽い運動をしてみるものの全く効果は表れず。同僚に相談すると、食べた後だからね~美味しい季節はしょうがないと言われてしまった。(今そんな優しさはいらない。)なので断食を始めたのである。
断食といっても全く食べない訳ではない。(そんなことをしたら死んでしまう。)朝食はミキサーで作った野菜スムージーで、昼食は軽くおにぎりだけ。夕食はこれまたタンパク質をメインにと、聞けばつくしらしからぬメニューだが、そこはジムを経営している桜子に断食のことを話したからだ。つくしは最初完全な断食をしようと思ったのだが、あまりの腹の減りように作業どころではなくなり、桜子に相談したのだ。桜子はこれ幸いと美を保つメニューを言ってきた。
その成果もあってクリスマスソングが聞こえ始めたころには、かなりの商品を納品できる状態にあった。
「今日はヨーグルトにありつける♪」
ダイエットをしているか訳ではないが、断食中は褒美も必要だと桜子に言われ、一人の顧客の商品が準備出来ればヨーグルトを食べると決めていた。
コンコン
「はい。」
「つくしちゃん、ちょっといいかしら?」
そんな中オーナーの菜々子がやってきた。
「はい。大丈夫です。」
「随分精が出てるわね。なんだか少し痩せたみたいね。」
つくしの断食を知る菜々子は苦笑いだ。
「こないだは広沢さんに白いゴボウだと言われました。」
そう言って頬を膨らますつくし。
「相変わらずね広沢くん。どころでつくしちゃん年末に岩元さんが来店されると連絡があったの。」
「・・・はい。」
「28日を指定してきたわ。夜にパーティがあって、その前に来店するそうよ。昼過ぎかと思ったんだけど16時くらいで頼むって。締めの日だから忘年会予定してたけど、それは別の日にしましょう。つくしちゃんひとり後でって寂しいもんね。」
菜々子はにこやかに微笑むが、つくしは胸中穏やかではない。
指定したその日は・・・
「どうかした?」
「あっ、いいえ。分かりました。忘年会も別の日の方がお店空いてますものね。」
「幹事も宜しくね。」
つくしがはいと答え菜々子は出ていった。
再び物思いにふけるつくし。
司は何を考えているんだろう?
その日って・・・
そう考えた時、
ぐうーーーーーーーーー
「・・・・・・・」
盛大に腹の虫が鳴き、つくしは感情的な気分を吹っ飛ばされる。
ぷぷぷ
なんて自分らしいんだ。このタイミングで鳴る?(あ、でもお昼前だ。腹時計が正確なだけか。)
「ヨーグルト食べて気分上げて行こっ。今日はちょっと奮発しちゃおかな。」
つくしは感情的になるなということだなと理解した。
***
菜々子が事務室に戻ると、主任の桜庭が待っていた。
「お話とは何でしょう。」
菜々子は事務室の鍵を掛けた。
桜庭はその様子に驚く。
桜庭と目が合った菜々子が話し始める。
「まだ他のスタッフに知らせる時期ではないからよ。掛けてちょうだい。」
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