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素肌にシャツを着て67
2016-09-30-Fri
つくしの目は爛々と輝いていた。

絵深は手を握られ、何が起こったか理解出来ない。

パッと時計を見るつくし。

「5時前か・・え?5時?!もうそんな時間?ヤバっ布屋さん閉まっちゃう。」

こうしちゃいられないとつくしは後片付けをし始めた。

絵深は呆然としている。

コンコン

「つくしちゃん、失礼するわよ。ここに絵深が、あ、絵深何しているの?」

菜々子が部屋に入ってきた。

「お母さん。」

絵深は母親を見て、はっとしたようだ。

「えっとつくしさんと話をしていたんだけど、」

「あ、オーナーすみません。あたし先に上がります。」

「ええ。いいわよ。珍しいわね。」

上がるので施錠しますとつくしは2人に頭を下げ、部屋を出てもらい自分も勢いそのままに帰って行った。

取り残された2人は何が起きたのか理解出来ていない。

「どうしたのかしら?つくしちゃんにしては珍しい行動だわ。」

「そうなの?」

「ええ。いつも遅くまで作業してて早く帰るなんて滅多にないわ。」

ふぅんと絵深は答え、菜々子は何故絵深が店に来たのか聞こうとした。

「お母さん。」

「何?」

笑深は真っ直ぐ母親である菜々子の顔を見る。

「お店さ、辞めないでよ。」

「・・笑深。」

***


「いっそげ、急げ。」

つくしは駅に向かって走っていた。

何故急いでる時に限って、パンプスなんだろう。昨日だったらローファータイプの靴だったからまだ走りやすかったのに。

その時つくしの目にバスが見えた。

そうだ問屋がある街はバスの方が便がいい。でも、この時間混まないかな?

今日は3日。バレンタインまで10日しかない。縫製に時間はかからないはず。3日あれば出来る。だか、それは作業に集中すればだ。いつもの作業の合間だと倍以上の時間が必要になる。休みを取る必要があるな。それに布地。色を考えたら思った色や素材の布はあるだろうか?そう考えると時間はいくらあっても足りない。

よし。決めた!!

つくしは急ブレーキをかけるか如く立ち止まり、右手を高らかに挙げた。

***


「絵深、どうしたの?」

「私知ってるよ。お母さんお店を畳もうと思ってるでしょ。私のために。」

「どうして・・」

「お父さんと話してるの聞いた。」

菜々子は驚きを隠せない。子どもに知られているとは思ってなかった。ここ数ヶ月は娘のことをちゃんと見ているつもりだったのに。

「このお店、おじいちゃんが大きくしたお店でしょ。他の人が持つなんて嫌だよ。その方がカッコ良くなったりするかもしれないけど、、おじいちゃんの時のままがいい。」

「絵深。」

「おじいちゃんが死んで、お母さんがお店をやるようになってから、お母さんが家に居なくて寂しいなって気持ちはあったけど、別にそれで反抗した訳じゃないよ。」

「え?どういうこと?」

「オーナー?」

そこに従業員の緒方がやって来た。

「どうしましたか?」

「あ、ううん。何でもないわ。絵深事務室に行きましょう。立ち話する話じゃないわ。」

「うん。」

事務室に場所を変え、菜々子と絵深の母娘は向き合った。

「小学校の時、お父さんやお母さんに反抗したのは2人が家に居なかったからじゃないよ。」

「じゃ、どういうことなの?」

「家庭教師のせい。」

「家庭教師?」

「そう。3人いたでしょ。その最初の人。自分の親の悪口ばかり言ってさ。あんたのとこもそうだよって、私それを間に受けてた。」

菜々子は驚いた。確かに最初の家庭教師を頼んだ女子大学生は絵深の成績の貢献は少ないと感じていたが、絵深の態度にただ2人は合わないと感じていたのだ。

合わないと感じたのは絵深の拒絶のサインだったのだ。

最初の家庭教師から親の悪口を吹き込まれまだ10歳にも満たなかった絵深はそれを言い出せなかった。本当だったらどうしようと思い過剰に反応してしまったのだ。そして次の家庭教師は真面目だったがそんな絵深を面倒だと思ったらしく勉強を進めるばかりで話を聞くこともしなかったらしい。3人目はプロにお願いしたがそのころには絵深は家庭教師自体が嫌いになっていた。

そんな中で両親は勉強に挫折したと思い込んでいるし、学校では女子校で噂ばかりする生徒に疑心暗鬼が膨らみ友人関係へと発展しなかった。転校した子は自分と同じような雰囲気で親近感を感じていたのだが、万引きに誘われ断れなかった。そしてその事に慣れていってしまったのだ。

「本当は万引きしたくなかったよ。お母さんが知ったら悲しむだろうなって分かってたもん。」

「そうだったの。絵深は言えなかっただけなのね。」

頷く娘。万引きに誘った友人が転校して絵深はホッとしていたのだ。そして夏休み祖父の家で過ごし愛情に触れたことで両親の愛情も欲しくなったのだがまた言えなかった。言えないまま学校を休み街をブラついた。だが街中で絵深が見つけたものはやはり親の愛情を感じるものだった。
学校を無断欠席した絵深は環状線の電車に乗り続けていた。幼い頃祖父と一緒に乗った電車。はしゃぐ自分をよく祖父は連れ出してくれた。そんな自分達を母は駅まで迎えに来てくれていた。

「私が電車の運転手になりたいのはそんな思い出があるからだよ。大好きだったおじいちゃんと乗った電車。そんな電車を動かしてみたいんだ。」

涙目で語る娘。菜々子の目にも涙が溜まっていた。

「お母さんだって、おじいちゃんが大好きだからこのお店を継いだんでしょ。だったら辞めないでよ。私お母さんが運転手の夢を応援するって言ってくれた時とっても嬉しかったよ。だけどそのためにお店を畳むなんて嫌だよ。お母さんの悲しい顔見たくないよ。」




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菜々子母娘の事情編。書いててちょっとうるうるきた私。うちの子はどんな思春期になるんだろう。
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第四章シャツが結んだモノ cm(2) tb(0)
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Re:

おはよう(=^ェ^=)
昨日は寝落ちしちゃった☆
執筆もうちょっと進めたかったのになぁ。
そうだよね〜子どもの思春期怖いです。
非行に走るなよとビクビクしてる。
本編ではヒーローがガッツリ捻くれたからね。
流石に母の私はそこまで酷く出来ませんでした。
ありきたりな感じでも、そこからどう進むからそれぞれの家庭次第ですよね。
TSUGeはつくしちゃんの職場なので私の理想になって行きます。本当に出来んのかよ〜とドリーム入ってくるかも。ムフフフフ
(= ̄ ρ ̄=)
lemmmon
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