甘さとスッぱさと ... 素肌にシャツを着て77
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素肌にシャツを着て77
2016-10-05-Wed
「いらっしゃいませ。」

閉店間際のTSUGe店内。

1年ぶりにこの男が来店した。

SPを従え目立つことは避けられない。足早に店内奥へと進んで行った。

「あいつはいるのか?」

「いえ、彼女は顧客との付き合いがあるため昼過ぎには上がりました。」

「そうか。」

落胆の色を隠せない男。

そんな男を見て佳乃は驚いた。
まさかあの道明寺司だとは思ってなかったからだ。

用意された椅子に座り司は脚を組む。一つ一つの動きが優雅で、その場にいた者は息を飲んだ。

「どうなってる?」

司は低い声で話しかける。ただそれだけなのになんて迫力なのだろう。

佳乃が気圧されていると、

「今彼女はオーダースーツに取り掛かっています。ワイシャツからの顧客が何人かオーダーしてくれて10月からの4ヶ月ほどで7着ほど納品しました。少しずつですが、自信を持ってきているようです。」

「そうか。」

とたんに司の表情が柔らかくなる。

その変化に佳乃は2人の関係を思い知る。

そして佳乃をチラッと見る司。

「新人はどうだ?馴染んでいるか?こちらが探したからな。上手くいってないようなら俺に責任がある。」

「そんなことはないですよ。鈴木さんは良くやってます。今のオーダーワイシャツを軌道に乗せたのも彼女です。」

「あっ、あのこの度は転職のお話を頂きありがとうございます。私にとっても働き易く皆の役に立てるようこれからも務めていく所存です。」

年下だろう男だが、佳乃は司の迫力に押されていた。こんな小さな店でまさか元の会社以上の緊張感を持つとは思えなかった。

「佳乃さん緊張しすぎっすよ。」

広沢がボソッと突っ込む。

「当たり前でしょ。あんた達は何でこんなに余裕なのよ。」

「初めてじゃねーし。」

「え?」

佳乃が広沢とヒソヒソ話しをしていると、司はまた菜々子に質問する。

「トラブルとかはねーか?」

「ありません。MIZUKIとの肌着の提携も、あちらに権限は全て委ねてますので何も言ってきてません。」

「そうだな。商品開発については大手のとこに任せた方がいい。後から真似する奴らは必ず出てくるだろうし、それがこっちの主流じゃねーんだろ。しかし変なモン欲しがる奴がいるんだな。まぁ水木社長には良い顔出来たからいーけどよ。」

「そりゃあ道明寺さんは要らないでしょうね。」

またボソッと突っ込む広沢。その言葉に桜庭が気になることを告げる。

「道明寺さんそのシャツ、サイズが合ってませんよね。牧野のではないんですか?」

「あ?これか。あいつに作ってもらったやつだぞ。痩せたからな。最近忙しくてよ。筋トレしてねーんだわ。」

司でも筋トレするのかと皆が驚く中、秘書がボソッと突っ込む。

「筋トレする時間なら確保してますよ。牧野様にお会い出来ないからやる気がないだけじゃないですか。」

「ああ?てめー余計なこと言ってんじゃねーよ。」

司に睨まれても秘書の男はどこ吹く風だ。眼鏡の鉄仮面秘書は長いことこの2人を見てきた。司のつくしに対する行動もすぐに予想できる。

そんな司の行動にも皆は驚くが、桜庭はある提案をする。

「ならばまた牧野にオーダーしませんか?今度は一式全てを。」

「一式?」

「はい。オーダーシャツからスーツまで。道明寺さんと言わずに牧野に手がけるよう仕向けます。道明寺さんのものだと気づけばきっと張り切ると思います。道明寺さんが来なくなってどこか寂しそうな顔をすることが増えましたから。」

その言葉に司は胸がこみ上げる。しかしそんな司とは知らずまた広沢が突っ込む。

「道明寺さんのオーダーとバレたら牧野意地になりかねませんからねー」

その言葉にピクとなる司。

「何故だ?」

「皆でオーダーシャツをしようと話した会議で、顧客の声を集めたんす。そしたら牧野そこでやっと自分に新規がないことに気づいたんすよ。で、ムクれてました。」

クックックック

司は笑った。機嫌が良いことが見てとれる。

その様子に皆は驚く。

とはいえ、温かい気持ちの驚きだ。

「本当にあいつはボケボケだな。あいつらしいっちゃーらしいが。」

「では、採寸を致しましょう。牧野でなく私が対応しますが宜しいですか?」

「男に抱きつかれるのは勘弁だが、しゃーねぇな。」

「俺も手伝いますよ。そしたらあまり触れずにすみますよ。」

「気がきくじゃねーか、見ない顔だな。おめーも新人か?」

「俺、最初に牧野と道明寺さんを採寸しましたよ。そんなに影薄いっすか?」

「あーあん時か、、確か他の奴連れてきてムカついてたんだよな。まぁ、色々耐えてたから仕方ねぇなと納得してたがよ。」

「何を耐えるんすか。やめて下さいよ。今日牧野居なくて良かったかも。」

クックックックとまた笑う司。TSUGeのメンバーと打ち解けている。

その様子に菜々子と鉄仮面秘書は話し始める。

「こんなに打ち解けることはあるんですか?」

「いいえ。いつもは相手に緊張感を与えてばかりですよ。まぁこちらも最初はそうですが、牧野様が絡むとこうなります。」

「彼にとっては本当にかけがえないのね。つくしちゃんは。」

「ええ、やっとここまで来ました。あとは彼女次第です。」

「・・寂しくなるわ。」

そう言う菜々子に秘書はある事を提案する。その提案を聞き菜々子は驚く。

「宜しいのですか?そんな都合の良い話。」

「それはこちらにも都合が良いですから。司様は牧野様へプレゼントをいつも考えているのですが、なかなか受け取ってもらえない。これなら牧野様は受け取ると思います。それで司様の機嫌も良くなり私達の仕事もやり易くなる。」

プレゼントにしては規模が大き過ぎるが、それで確かに菜々子の、いや皆の憂いは解決する。

「末長くお付き合い出来ればと考えてます。こちらが牧野様の憩いの場になっていただければと。」

その言葉に始めはピンとこない菜々子だが、司を見て気づく。納得した顔で返事をした。

「ええ。こちらこそ宜しくお願い致します。」



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