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素肌にシャツを着て81
2016-10-07-Fri
「ん~おいひい~」

タマの部屋でご飯を食べるつくし。こうやってタマと一緒に過ごすのはもう 9年ぶりだ。

「たんとお食べ。」

「ありがとうございます。タマさんはあまり進んでいませんね。」

「年寄りだからね。食が細くなってね。最近は使用人頭も引退して、こっちで隠居さ。・・あんたと会えないうちに逝っちまうかと思ってたよ。」

その言葉につくしは言い返せない。

「すみません。いくら道明寺と別れたからって疎遠になってしまって、不義理ですよね。」

「ま、あんたの感情も理解できるさ。その後坊ちゃんは他の子と結婚したしね。」

タマの言葉につくしは聞きたいことを言えずにいた。

「いろいろあったよ。あんたが来ない間。あんたと別れたと知った使用人の中にはこっちを辞める気でいた子もいた。」

「へ? なんでそうなるんですか?」

「そりゃそうだろ。あんたが居たから坊ちゃんはマトモになったっていうのに、あんたと別れてどうなるか戦々恐々していたのさ。」

あ~と納得するつくし。確かに自分と付き合う前の司は酷かった。使用人が何人も辞めて行ったって聞いたことがある。

「でも結果的にそれで辞める子はいなかったね。」

「へ?だって戦々恐々って、、」

「坊ちゃんがすぐにNYに行ってしまったからね。ここの邸は主が不在の状態が続き、おまけにたまに帰国してもメープルを使うもんだからさ使用人の人数も減って行った。邸を管理出来る最低人数だけになったんだよ。」

「そうなんですか。」

「だから使用人の多くはメープルへと移動した。もしくはNYの邸にだね。比較的若い子は昔の坊ちゃんを知らないから抵抗はなかったようだ。」

「タマさんはどうしていたんですか?」

「あたしかい?あたしはずっとここさ。使用人が減った時に引退したよ。ここで坊ちゃんを見守っていたってとこかね。」

「見守っていた?」

タマの表情は穏やかだった。だからつくしも安心して聞いていたのだが、

「誰も納得なんてしてないからね。あんた達のこと。」

「え、、」

「あんたたちが別れたことであの子達にあたしゃ詰め寄られてね。あたしにあんな、団結してさ、は、まるで会社の団交のようだったよ。」

団交なんて見たことないけどねとタマは言う。

「あたしだって納得できないさ。坊ちゃんがあんたを好きなのは知っていたし、ずっと会っていただろ? それが突然別れたの一言だ。」

その当時のことを司なら言わないだろう。プライドの高い男だ。おまけに弱音をはく相手もいない。いや、いなくなった。

「その時は凄く機嫌が悪かった。なぜ機嫌が悪いのかあの子達の誰も知らず邸はピリピリしていたよ。その内外泊が無くなった。もしかしてと思うようになっても初めは誰も本気にしてなかった。だが、突然NYに行っちまってさ。そのうち道明寺本社につてのある子があんたが辞めていると聞き、別れたことを知ったのさ。」

つくしは不義理なのはタマだけじゃないことを思い知った。そうだここには使用人として働いた時期あった。道明寺のことを抜きにしても皆優しかった。

つくしは涙が出てきた。ここに訪れなかったことを後悔していた。例え司と別れていても挨拶くらいはすべきだった。

「坊ちゃんが渡米して半年後くらいに人員整理はしていったね。渡米する際にしばらく帰らないと言っていたけど、少し経って整理するよう向こうから言ってきてね。あたしは何か感じたのさ。」

「何かって、、」

「気づかないかい?」

そう言われつくしは目を伏せる。それでタマも気づいた。

「そうか。あんたは知っていたのかい。」

「すみません。」

「謝らなくていいさ。そうかあんたは知ってたか。坊ちゃんからかい?」

「いいえ。あいつは話しませんでした。でもあたしも道明寺にいたから知ることになって、、言いたくないなら言うなって、、言いました。」

「そうだったのかい。会社のことまではあたしの知るところじゃないからね。」

ふぅーとタマが息をつく。いろいろ分かってきたという表情だ。

「あの子達の話をもっと聞くべきだったかもしれないね。」

「聞いてなかったってことですか?」

「ああ聞き流す程度しか聞いてないよ。あたしゃ自分の立場を理解しているつもりだ。使用人が主人の動向にアレコレ言ってはならないとね。だけど、あの子達は納得できないと行動を起こそうとした。」

「何したんですか?」

「何もしてないよ。」

「へ?」

「起こそうとしたんだよ。未遂さ。」

「あ、そうですか。」

ギョッとしたつくしだが、牙を抜かれたようになってしまった。

「あの子達はNYの邸に行き、坊ちゃんに詰め寄るつもりだったのさ。なぜ別れたのかと。でもあたしが説得した。それは使用人が口出しすることじゃないとね。あの子達に自分達の都合ばかり考えてないかと問うたのさ。」

「皆さんの都合?」

「ふふ、あんたには分からないかもね。使用人は主人次第で環境が良くも悪くもなる。主人である坊ちゃんが良くなるのはあんたがいてこそだが、あんたならこの邸でどんなふうにあの子達に接するか分かる。だが、他の子はどうだろうね。坊ちゃんが優しくするとも思えない。だから使用人に不満をぶつける。そう思っても仕方ないさ。」

つくしは司の元妻のことを考えた。タマが言う他の子とは元妻のことだろう。

「その時はあの子達も黙ってくれたよ。でもその後坊ちゃんは結婚した。あんたじゃない子と。流石に黙っていられなくなったみたいで、あたしに内緒で動いてたよ。」

「内緒で、、タマさんに言ったら止められるからですか?」

「それもあるね。でもさっき道明寺本社につてがある子がいると言っただろ。だから結婚に理由があると皆が感じたのさ。そうすれば使用人にまで知らせる内容じゃないことはすぐ理解できる。だから知りたい子はNYに行ったよ。そして坊ちゃんの相手を観察したらしいね。」

「観察、、」

「知りたいかい?」

そう聞かれ戸惑うつくし。しかし、

「そうですね。知りたいです。何故笑っているんだろうと思ってました。」

「笑ってた?」

「離婚会見です。」

「あぁ、あれだね。確かに不思議だよね。離婚会見で笑っているんだから。あっちの邸にいる子もあんな笑顔見たこと無いって言ってたよ。」

それはつまりNYの邸では笑ってないってことだ。やはり司は妻に優しくなんてしていなかった。結婚している間、司の元妻はどんな気持ちだったんだろう。

「どうしたかい?」

「いいえ。」

「あんたが考えても何にもならないことを考えてそうだね。」

ぐっとつくしは図星な態度を取る。しかし反論はしない。タマに分かってしまわれても、それだけの付き合いをしてきたんだ。

「だから考えるな。それでいいんだよ。」

答えないつくし。まだそこまで自分をコントロール出来てはいないようだ。

「無理です。考えるなって無理。・・・だから考えます。」

そう言ってガバッと顔を上げる。つくしはタマに決意しているようだが、タマの視線は後ろにあった。

「あいつの奥さんだった人って幸せだったんですか?不幸にしてたら許さないんだから!」

タマは何か言おうとするが、

「そうよ。離婚して、人様にバツを付けて、いい訳ないですよ。邸で笑ってないってことは、つまり不幸だったってことでしょ。あいつが帰ったらあたしぶっ飛ばしてやるわよ。捻くりまくった根性叩き直してやる。」

「つくし、坊ちゃんは捻くれてはないよ。」

「いえ、捻くれてます。あいつヤバイです。もう末期です。ミサイルくらいの衝撃が必要ですよ。」

「・・何かあったのかい?」

「あったなんてもんじゃないですよ。あいつ、あたしの勤めてる店に来て、あ、別の人の名前で来たんです。それでワイシャツをオーダーして、しまいには来なくなってもオーダーして、採寸してないって言ったら堅ぇの一言ですよ。しかもメールで!電話する時間もないみたい。どんだけ偉い俺様なんだかっ。それに、それにうちの店の人を取り込んだようなんです。あたしの知らない間に!ワイロとかしたんですよ。ねっ捻くれてますでしょ。」

つくしの勢いに呆気に取られるタマ。しかし後ろが気になるようだ。

「・・・どうなんですか?坊ちゃん。」

坊ちゃんの言葉にクルッと後ろを振り向くつくし。

そこにはドアにもたれながらも、

腕を組み、

ひたいには青筋が、

目は座っている・・(気のせいであってほしい)

かつての恋人がいた。



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